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2021.03.31
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カテゴリ: 歴史
図書館で『アジア・太平洋戦争と石油』という本を手にしたのです。
石油の禁輸が強化されて、日米関係が緊迫していった史実があるわけで・・・・この本は開戦のメカニズムを知る上で興味深いと思ったのです。





岩間敏著、吉川弘文館、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
石油に乏しい日本は、なぜアジア・太平洋戦争に踏み切ったのか。蘭領東インドとの輸入交渉、真珠湾攻撃での洋上給油作戦、石油備蓄と需給の予測、南方からの石油輸送と海上護衛戦の実態、本土空襲と製油工場の被害などを考察。石油のほか艦船・航空機など戦備に関する豊富なデータをもとに、あらゆる資源を動員した総力戦の実態と末路を解明する。

<読む前の大使寸評>
石油の禁輸が強化されて、日米関係が緊迫していった史実があるわけで・・・・この本は開戦のメカニズムを知る上で興味深いと思ったのです。

rakuten アジア・太平洋戦争と石油



「第5章 世界最初の戦略石油備蓄」で航空機と航空揮発油あたりを、見てみましょう。
やや 飛行機オタクの傾向が出たが・・・総力戦の実態を見てみたいのでおます。
p87~89
<2 兵器としての航空機と航空揮発油>
■航空機の実戦使用開始
 次に、航空機とその燃料について考察する。第一次大戦時、日本は連合国軍側に立ってドイツ軍が守る中国の山東半島にある青島要塞を攻撃した。その際、海軍はフランス製の複葉ファルマン式水上機(速力76km)3機と同水上機(速力99km)1機の計4機を貨物船改造の特設水上機母艦「若宮」に搭載して偵察や爆撃に使用した。

 全作戦中の飛行回数49回、投下した爆弾総数199発、うち命中したと思われるもの8発であった。これが、日本の海軍機が実戦に参加した最初であった。

 大戦終了後の1919年1月、日本陸軍はジャック・ポール・フォール陸軍中佐を団長とする「フランス遣日航空教育軍事施設団」(総勢57名)を招聘し、陸軍の所沢、各務ヶ原飛行場で3ヵ月にわたり指導を受けた。

 1921年9月、日本海軍は英国からウイリアム・フォーブス・センピル空軍大佐を団長とする「センピル航空教育団」(総勢29名)を招聘した。この教育団は、英国空軍が第一次大戦の実戦で得た教訓と戦術を霞ヶ浦と横須賀で1年半にわたって日本海軍へ教授した。それまで、海軍の航空技術は初歩的な段階にとどまっていた。航空教育団は、最新鋭の戦闘機、雷撃機、偵察機、飛行艇、練習機など多種多様な機種を持ち込み、日本海軍の操縦士たちに第一次大戦の実戦で英国空軍が習得した空中戦、爆撃、雷撃などの高度な技術を教えた。

 英国は第一次大戦中の1918年4月、航空機が主要な戦力になると判断して、陸軍航空隊と海軍航空隊を併せて世界最初の空軍を設立していた。その後、センピル航空教育団の訓練を受けた日本海軍の操縦士たちが1922年11月の霞ヶ浦海軍航空隊発足の中心となる。

 1922年12月、日本海軍は起工時から空母(搭載機27機)として設計された世界最初の制式空母「鳳翔」を横浜鶴見の浅野造船所で竣工させた。日本海軍は近代兵器としての飛行機と空母に着目したのである。

 それから20年、米英との開戦時の1941年(昭和16)末、日本海軍は世界最多数の空母10隻を保有していた。この時点で、複数の空母を集中運用できる能力を持っていたのは、日本と米国だけであった。

 日本海軍は空母の他に横須賀、横浜、館山、木更津、千歳、美幌、大湊、佐世保、佐伯、鹿屋、呉、舞鶴、元山(朝鮮)、鎮海(朝鮮)、父島、高雄(台湾)に基地航空隊を置いた。これらの陸上基地には戦闘機だけでなく、空母に搭載できない双発の陸上攻撃機、水上機、輸送機が配備された。、

マレー沖海戦

■マレー沖海戦での日本海軍航空隊
 開戦直後、日本海軍は英国東洋艦隊の新鋭戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」と巡洋艦「レパルス」をマレー半島沖で撃沈する。攻撃したのは美幌、元山、鹿屋の各基地航空隊所属の九六式陸上攻撃機と一式陸上攻撃機であった。この戦闘は「マレー沖海戦」と呼ばれるが、世界で初めて作戦行動中の戦艦を航空機が撃沈したことで有名になった。時のチャーチル英国首相は回想録に、「戦争の全期間を通じて、私はこれ以上のショックを受けたことがなかった。私はベッドの上で、身もだえした。もう、太平洋は、日本のものになった」と書き残している。

■航空機性能と油
 日本の航空揮発油(ガソリン)の消費量は、満州事変時の1931年(昭和6)には5万k㍑であったが、日中戦争が勃発した1937年には11万k㍑、アジア・太平洋戦争中の1943年には107万k㍑と、戦時の6年間で、約10倍に急増した。海軍の最大の関心はこの航空揮発油を確保することにあった。

 さらに、量だけでなく質の問題もあった。米国の実戦機で通常使用されていた高品質のオクタン価100の航空揮発油は、日本では敗戦まで工業製品化されることはなくオクタン価87~92のものが実戦で使用された。オクタン価はアンチ・ノック性を示す指数で、ほぼその数値に比例して出力、燃費が上昇した。例えば、三菱重工業製の金星四型エンジンの場合、オクタン価92では1092馬力の出力が、100では1233馬力となった。このことは小出力のエンジンしか製造できなかった日本の航空機の性能に大きく影響いた。
(中略)

 日本は航空潤滑油(エンジンオイル)の製造も遅れていた。潤滑油は発動機の性能に大きな影響を与えた。初期の航空潤滑油はカストル(ひまし)油が使用されていた。しかし、航空機の発動機が空冷式で高度化するとともに、カストル油では熱と酸化に対する安定性の不足のため鉱物性潤滑油が求められた。

 日本で本格的に航空潤滑油の製造に取り組んだのは1937年の日中戦争開始の頃であった。それまでは、ほとんどの航空潤滑油は米国から輸入されていた。第三海軍燃料廠(徳山)で研究が行われ、米国の基準航空潤滑油の120番潤滑油水準の生産に成功し、北樺太オハ原油を原料に製品の出荷が始まったのは、1941年春頃からであった。


『アジア・太平洋戦争と石油』2 :石油をめぐる前哨戦
『アジア・太平洋戦争と石油』1 :日中戦争と日米対立

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Last updated  2021.03.31 22:16:04
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