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2021.04.20
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カテゴリ: アート
図書館で『仕事にしばられない生き方』という新書を手にしたのです。
日々「仕事にしばられない生き方」で暮らしている大使にとって必要性は薄いが、ヤマザキマリが説く骨太な生き方には惹かれるのでおます。






ヤマザキマリ著、小学館、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
チリ紙交換のバイトに始まり、絵描き、大学教師、テレビリポーター、普通の勤め人等々、経験した職業は数知れず。働き方を考え続けてきた漫画家が体験を元に語る、仕事やお金との向きあい方。好きな仕事ならばどこまでもがんばるべきなのか。金にならない職業をいつまで続けるか、などについて考察。さらに、契約を軽視する日本の慣行についても言及。「働くこと」を考えるヒントが満載の体験的人生論!

<読む前の大使寸評>
日々「仕事にしばられない生き方」で暮らしている大使にとって必要性は薄いが、ヤマザキマリが説く骨太な生き方には惹かれるのでおます。


rakuten 仕事にしばられない生き方




マリさんがスティーブ・ジョブズを語っているので、見てみましょう。
p146~149
■たったひとりでも味方がいてくれたら
 どん底に落ちた時でも、とりあえず生きてさえいれば、うちの母なら非難したりはしないだろう、そう確信していたことも、大きかったと思います。

 母には、私が妊娠したことも、デルスを産んだことも、言いませんでした。余計な心配を増やすという以前に、忙しい母をおもんばかると、とても言い出せなかった。帰国後、「実は、新しい家族が増えました」と言ったら、一瞬ぽかんとしたけど、自分も女手ひとつで娘達を育ててきた人ですから、すぐに「あらそう、よかったじゃない」。そして「〇」とも。

 ありがたいことに、ヴァイオリンを教える時も、ちっちゃかったデルスをおんぶしたままやってくれたりして、子育てもうんと手伝ってくれました。責められることもなかったし、なぜそうなったのか、理由を問い質したりもしなかった。それまでのすべてと別れ、帰国した私にとって、それがどんなに心強かったか。

 母は母で波瀾万丈の人生を歩いてきたんでしょうね、たぶん。でもそれは母がしゃべりたくなった時に、しゃべってくれたらいいことで、私もあえて聞かないし、聞かなくても、そういう片鱗から「生きているとお互い、いろんなことがあるよね」というのが汲み取れるわけです。
(中略)
 そのせいでしょうか。のちに『スティーブ・ジョブズ伝』を3年かけてコミカライズした時、変人、変人と言われ続けた彼の気持ちがわかるような気がしたんです。

 アップルの創業者のひとりであり、iPodやiPhoneなどエポックメイキングなツールを生み出したスティーブ・ジョブズとは、どんな男だったのか。その人物像に迫った評伝は、アメリカで刊行されると、たちまちベストセラーになりました。漫画化しないかという話があった時、実はいったん依頼をお断りしたんです。

 理由は、カリスマ的な人物の輝かしいサクセスストーリーには興味がもてなかったし、何より子どもがアップルストアで散財ばかりしていたので、その商売の体制が嫌いだったから。

 でもその後、息子デルスの「なんで?しっかり原作を読んだら、絶対に面白いと思うよ」のひと言に背中を押されるようにして、とりあえず原作を読んでみたら、彼の孤独、一切の妥協をしないあり方に惹きつけられたのです。

 人からは傲慢な支配者だと非難され、アップル社を追われ、パートナーだったウォズニアックと袂を分かつことになっても、なぜ、自分のやり方を貫くことができたのか。

 どこかに帰属しようと思うと、そこのルールに自分を合わせないといけなくなる。でもジョブズは、誰も自分のことを理解してくれなくて、組織を追い出されることになったとしても構わない、いつだって身ひとつの自分に戻るだけだと思っていたんだと思います。 
 そして、そんなふうに腹をくくることができたのは、ジョブズの養父母が、どんなに変人だろうと「スティーブは特別」と言い続けてくれたからだと思うんです。生まれる前から養子に出されることが決まっていて、実の親に捨てられたと思っていたジョブズにしたら、この人達さえ自分のことをわかっていてくれたらそれでいいと、100万の味方を得た思いだったに違いありません。


『仕事にしばられない生き方』1 :骨太の貧乏生活





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Last updated  2021.04.20 01:03:11
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