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2021.04.22
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カテゴリ: アート
図書館で予約していた『マナーはいらない』という本を待つこと3ヵ月でゲットしたのです。
Web連載「小説を書くためのプチアドバイス」の単行本化とのこと・・・ええでぇ♪



【マナーはいらない】


三浦しをん著、集英社、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きたい人」へ。人称、構成、推敲など基本のキから、タイトルのつけ方や取材方法まで、本書タイトルにあやかって「コース仕立て」でお届けする大充実の全二十四皿。あの作品の誕生秘話や、手書き構想メモを初公開。もちろん(某きらめく一族への)爆笑激愛こぼれ話も満載で、全・三浦しをんファン必読の書…!金言ばかりのWeb連載「小説を書くためのプチアドバイス」を完全書籍化。

<読む前の大使寸評>
Web連載「小説を書くためのプチアドバイス」の単行本化とのこと・・・ええでぇ♪

<図書館予約:(1/9予約、4/10受取)>

rakuten マナーはいらない



ニ皿目の「枚数感覚について」を、見てみましょう。
p18~21
<枚数感覚について>
 「小説なんて書いてられっか!」ってぐらい暑い日がつづいていますが、みなさまお元気でしょうか。夏ノ暑サニモ負ケズ、1日ニ五枚ノ原稿ヲ書ク、サウイフモノニワタシハナリタイ。ぐすんぐすん。

 ところで、問題は「五枚」です。この「五枚」とは、A5用紙にびっしり五枚でも、ティッシュペーパーに五枚でもなく、原稿用紙に五枚です。
 「そんなことはわかっとるわい!」とおっしゃるでしょうけれど、待たれぃ。話を聞いてくだされ。

 実際に原稿用紙に手書きしているかたは、現在では少数派だと思います。私もこの原稿をパソコンで書いています。しかし日本語の原稿では、いまでも分量の基準が「原稿用紙」なのです。もっと言うと、20字×20行=400字詰めの原稿用紙です。

 出版社から小説やエッセイの原稿を依頼される場合、「75枚でお願いします」 「10枚でお願いします」などと言われます。これらはティッシュペーパーではなく、「400字詰めの原稿用紙で換算して、75枚(あるいは10枚)」という意味です。

 例外として、雑誌のレイアウトがかっちり決まっている場合や、新聞からの依頼は、たとえば「13字×52行でお願いします」と、字数×行数を細かく指定されます。広告関係の依頼の場合は、「1600字でお願いします」とざっくりした文字数を提示されることもあります。

 しかし原則は、あくまでも原稿用紙換算です。小説家としてデビューしたら、主に出版社と仕事をするはずなので、「原稿用紙1枚ぶん」がどれぐらいの分量なのか、身体感覚としてつかんでおかなければなりません。そうじゃないと、依頼された枚数でどれぐらいの内容が書けるものなのか、まったく見当もつかないまま執筆に取りかからねばならない、ということになってしまうからです。

 この問題は、小説の構成をどうたてたらいいのか、ということとも深くかかわっています。たとえば、コバルト短篇小説新人賞の規定は、「原稿用紙25~30枚」です。しかし応募原稿を拝読していると、「内容に枚数が合ってないな」と感じる作品にしばしば遭遇します。30枚に話が入りきらず、駆け足になったり尻切れトンボになったり、逆に、枚数がまだあるのに、エピソードをふくらましきれず終わっていたり。

 こういうケースは、一言で言えば「構成の失敗」なのですが、その背景には、「原稿用紙1枚の分量、そして原稿用紙30枚の分量を、身体感覚としてつかめていない」という問題があるのでは、と推測されます。

 みなさんはパソコンで文章を書くとき、字数はどういうふうに設定しておられますか? また、行数がちゃんと表示される設定にしておられますか? 手の内を明かしますと、私は「1行20字」設定で書いています。行数も表示し、常に自分が、いまどのぐらい書いているかを意識しています。ちなみにここまでで、原稿用紙3枚とちょっとです。

 枚数の感覚がまだつかめていないな、というかたは、「1行20字」あるいは「1行40字」設定にし、「いま原稿用紙換算でどれぐらい書いたところなのか」を、パッと暗算しやすいようにしたほうがいいと思います。そうすれば、「これぐらい書いて、5枚なのか。そのわりに話が全然進んでないぞ」「もう25枚目に差しかかってるのだから、そろそろ話を収束させる方向に持っていかないと」といった具合に、書く際の目安になります。

 これを繰り返しているうちに、「30枚の短篇だから、こういう展開にしよう」と、書くまえに構成を立てる力がついてきます。つまり、枚数に見合った話を思いつきやすくなるのです。

 いま何枚目を書いているのか把握できない状況で執筆するのは、地図も道しるべも通行人もない場所で迷子になってるのと同じです。自分がどれだけ歩いてきたのか、あと何キロ歩けば目的地にたどりつけるのか、まずはその点を身体的に把握するのが肝心です。

 自宅から最寄り駅まで、何分かければ到着するか、みなさんは経験則としてわかっておられるでしょう。それと同様に、「原稿用紙30枚」なら30枚の分量を把握すべく、字数×行数を意識しながら、経験を積まなければなりません。
(中略)

 この感覚を養わないかぎり、「せっかく構成を立てたのに、思いどおりに枚数に収まらなかった」という悲劇が起こりつづけます。場数を踏めば感覚は身につくので、枚数を意識しながら書くよう、心がけてみてください。


ここで、三浦しをん著『舟を編む』を見てみましょう。「枚数感覚」は当然としてバッチリでしょうね。

【舟を編む】


三浦しをん著、光文社、2011年刊

<「BOOK」データベース>より
玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていくー。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのかー。

<読む前の大使寸評>
映画化された作品でもあるが、まだ読んでなかったのです。
遅ればせではあるが、読んでみようと思ったのです。

rakuten 舟を編む


『舟を編む』3 :『大渡海』の完成祝いパーティp256~259
『舟を編む』2 :荒木が大手出版社に入社したあたりp6~7
『舟を編む』1 :冒頭の語り口p3~4

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Last updated  2021.04.22 01:18:31
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