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2021.06.15
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『ワールドサイドをほっつき歩け』という本を、待つこと8ヶ月ほどでゲットしたのです。
ロンドンの労働者階級のおっさんたちと呼応する熱きハートを持つ著者である。
その熱きハートで、身の回りをクールにレポートするところが・・・ええでぇ♪





ブレイディみかこ著、筑摩書房、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
EU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての著者解説編。

<読む前の大使寸評>
ロンドンの労働者階級のおっさんたちと呼応する熱きハートを持つ著者である。
その熱きハートで、身の回りをクールにレポートするところが・・・ええでぇ♪

<図書館予約:(9/19予約、副本13、予約218)>

rakuten ワールドサイドをほっつき歩け


英国の医療制度が語られているので、見てみましょう。
新型コロナに対する英国の手際の良さは、もって「他山の石」とするのが日本システムなんやけど。
p120~123
<14 Killing Me Softly 俺たちのNHS>
 9月からずっと、頭が痛いと連合いが言っている。
 咳をしたり、クシャミをしたりするときが大変だそうで、両手で頭を押さえてないと耐え難い激痛が走るらしい。

「へえー」
 と言い続けているのだが、そのままである。連合いがモノグサで病院に行くのを嫌がるからではない。病院に到着するまでの経緯が茨の道すぎるからである。

 英国の医療制度というやつは、大まかに分けてNHS(国民保健サービス)とプライベート(民間医療施設)の二つに分かれる。で、早い話が、自分でお金を払って治療を受けられる人はプライベートを、無料で治療を受けたい人はNHSを利用することになる。

 このNHSについては、『花の命はノー・フューチャーDELUXE EDITION』(ちくま文庫)に収められた文章の中で、どれほど利用するのが困難かということを書いたことがある。だいたい、NHSという医療制度は、日本人であるわたしには最初、謎のシステムであった。

 日本なら、膝が痛ければ整形外科へ、胃が痛ければ内科へ、体に湿疹ができたら皮膚科へというふうに最初から行きたい病院に行く。が、NHSの場合は、まず自分が登録している地域の診療所に行って、GP(ジェネラル・プラクティショナー)という、ほんとにジェネラルに何でも診てくれる(まあだいたいは話を聞くだけの)主治医に診てもらわなければならない。

 で、そこでGPが「ありゃ、これはマジで専門医の診断が必要かも」と判断すれば、外科、内科、皮膚科、耳鼻咽喉科などの専門医へ紹介状を送ってくれて、専門医から患者に「この日に貴様の予約を入れておく。予約日時変更を望む場合は電話してきやがれ」みたいな手紙が来る(注:文面はこの通りではない)。で、ここまでですでに2ヶ月ぐらいの月日が過ぎているよというのが十年前の話だったが、じつはあれから事態はさらに悪化している。

 例えばうちの近所の診療所。ここでGPに診てもらうアポを取るためには、朝八時に電話を入れることになっており、みんなが一斉に電話を入れるからいつも話し中で、まるで人気歌手のコンサートのチケットを取るぐらい大変。と書いたのが十年前だったが、これがさらに困難になっている。まず、近所の診療所では、朝八時に電話するシステムが廃止になった。じゃあどうすればいいのかというと、医者に会いたきゃ朝八時に診療所に直接来いというのだ。おかげで診療所の玄関前にはオープン前から長蛇の列ができている。
(中略)

 が、それから数年たつと、今度は並んだだけでは診察の予約が取れなくなった。いや並ぶのは同じなんだが、まずGPと電話で話す予約を取るようになったのだ。
(中略)

 このようにどんどんどんどん予約が入れにくいシステムを導入しやがるのは、患者を減らすためである。これだけ予約のハードルが高くなると、人々はちょっとぐらいのぎっくり腰や蕁麻疹ぐらいなら我慢するようになる(わたしのことだ)。NHSは「できるだけ病院に来るな」というメッセージをがんがん発信しており、最近では救急車を呼ぶ人も減らすため、「111」という番号を設け、まず電話アドバイザーと話をさせてから救急車が必要かどうか判断する方向に舵を切ろうとしている。

 なんでNHSがそんないけずなことをするのかというと、一言でいえばカネがないからだ。政府が2010年から緊縮財政を始め、NHSへの支出をケチってきたばかりか、NHSの切り売り民営化を進め、その結果かえって前よりNHSの経営状態が悪化している。

 そもそも、英国の場合、NHSを使えば治療は無料(ただし、処方薬のみ個人も負担。一律千三百円ぐらい)だが、民間医療施設なら全額負担だ。「無料or全額負担」というのはあまりにも極端であり、日本みたいに、どこの病院でも国の保険が使えて一割とか三割とか個人が一部だけ負担するシステムにしたらええやん。とわたしも昔は考えていた。

 が、そのうち、じつはNHSには利便性を超えた側面があるのだということがわかった。NHSそれじたいが、左派の最後の砦というか、一つのイデオロギーになっているのだ。

 終戦直後の1945年、英国では、ナチを倒して英国を勝利に導いたチャーチル首相がなぜか選挙で惨敗し、地べたの人々の熱狂的支持を受けて労働党政権が誕生する。この政権が、いわゆる「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家時代の英国を築いた。で、その目玉がNHSの設立であった。

ウーム イギリスの医療制度も予算カットにより、うまく機能していないようですね。
とにかく電話による予約は全く機能しないというのは万国共通のようです。
・・・とまあ、ワクチン接種の予約でこりごりの大使でおます。

『ワールドサイドをほっつき歩け』3 :英国の物乞い問題
『ワールドサイドをほっつき歩け』2
『ワールドサイドをほっつき歩け』1 :This Is England





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Last updated  2021.06.15 00:06:00
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