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2021.09.18
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『海を渡ったスキヤキ』という本を、手にしたのです。
おや アメリカ人はスキヤキみたいな汁ものも好きになるのか・・・
なんのなんの「だんご汁」まで載っているがな。






グレン・サリバン 著、中央公論新社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
一皿、一匙に歴史あり!なぜアメリカで愛されたのか? 驚愕され、注目され、嫌われて、大人気になった、アメリカの「和食」、波瀾万丈のものがたり。

<読む前の大使寸評>
おや アメリカ人はスキヤキみたいな汁ものも好きになるのか・・・
なんのなんの「だんご汁」まで載っているがな。

amazon 海を渡ったスキヤキ


第4章で「すき焼きハウス」を、見てみましょう。
p201~204
<「すき焼きハウス」の出現>
 さて、ここで話は本章のはじめに戻る。
 全米に普及したすき焼き、そのブームを、我々の商売にどうやったら反映できるか。
 客層を広げたい和食屋オーナーは、この課題に全力を注ぎ込んだ。

 幸いなことに、たとえば中華料理に比べると、自分たちの状況の方がはるかに恵まれていた。チャプスイをゼロから流行らせた中国人と違って、すき焼きの流行はすでに進行中・・・いや、「過熱中」といっても過言ではなかったのだから。

 すき焼きとは何か、材料や割下はどうなっているのか、大半のアメリカ人は漠然とだったが、理解していた。だから、宣伝キャンペーンをいなくてもよかった、ただ流行に乗りさえすれば、それでよかった。成功は約束されていた。

 ただ、ニューヨークですき焼きパーラーが流行っていた戦前と違って、いくつかの課題があった。そのひとつは、日系一世の多くが日本に帰国しているので、客層はもっぱら、アメリカ人になってしまうということ。さらに、店の開店先は、郊外の住宅街になってしまうということ。なぜなら、日本人街の多くは、廃墟化していたから。

 そして何よりも、営業方針として、「日本」のイメージを強く押し出さなくてはならない、ということ。ぐらついた階段の上にあるすき焼きパーラーは、在ニューヨークの日系人サラリーマンにとっては満足できたのかもしれないが、アメリカ人の客は、そうはいかない。

 入店した瞬間から、彼らは別世界を求めている。ウェイターから「靴を脱ぎなさい」と言われたい。畳敷きの小部屋に案内されたい。食事中、日本の絵を見たり、日本のBGMを聴いたりしたい。
 このような背景から誕生したのが、住宅街のすき焼き屋、通称「すき焼きハウス」であった。

 開店先の多くは住宅街だったものの、たとえばサンフランシスコのフィッシャーマンズワーフなど、観光名所の飲食街で暖簾を掲げた店もあった。すき焼きのほかに、甘い醤油ダレで煮込んだ牛肉の照り焼きもメニューに載せ、日本酒を使ったユニークなカクテルも出した。が、厨房の名品や名酒よりもむしろ、「日本」を想起させるような内装が悪漢だったようだ。

 サンフランシスコの「大和すき焼きハウス」のメニューでは、次のような説明が扉ページを飾っている。

「ご来店の方々を、いにしえの日本のロマンを蘇らせた世界へと案内させていただきます。(中略)テーブルは、和風の座卓であり、座布団も用意させていただいております。店内は、昔の浮世絵にも匹敵するほど、日本のロマンや神秘性に満ちているものです」 (大和すき焼きハウスのメニューより)

 日本情緒とともに、日本的な宴会気分も演出された。ひとり客はめったにおらず、来店者の多くは会社員などのグループ客で、和気合いあいと喋りながら料理を食べたり、お酒を飲んだりした。こうしてみると、店内の雰囲気は、明治時代の牛鍋屋とさほど異なっていなかったのかもしれない。

<「スキヤキ」という名の歌>
 ここまで来るとすき焼きは、もはや「ブーム」の域を超えて、偉大なる文化現象と化していた、と言っても過言ではないだろう。

 その証拠のひとつは、「スキヤーキ」という言葉の新たな使われ方だ。60年代より、この一語は料理用語の枠を超え、「日本的」「日本風」などの意味を表す形容詞になっていたのである。
 リビングルームの低いテーブルは和風の座卓に似ているため、「すき焼きテーブル」と呼ばれ、たとえば『七人の侍』(1954年)など、日本で製作された時代劇映画は「マカロニ・ウェスタン」にならって「すき焼きウェスタン」と称された。人気上昇中の日本製オートバイは、アメリカのバイク野郎たちに「すき焼きバイク」と呼ばれたという。

 この傾向が最高潮に達したのは、まさしく日本の大ヒット歌謡曲『上を向いて歩こう』がリリースされたときだった。
 年は1963年。音楽ファンにはこれがいちばん親しみやすいと思われたのだろう。英米圏での正式曲名は『SUKIYAKI』と定められたのである。すき焼きが歌詞の内容とはまったく関係していない(!)にもかかわらず。


『海を渡ったスキヤキ』1





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Last updated  2021.09.18 00:16:00
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