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2022.04.20
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『漢字と日本語』という本を、手にしたのです。
おお漢字雑学ってか・・・中国は嫌いだけど、漢字雑学は好きでおます♪




高島俊男著、講談社、2016年刊

<出版社>より
「外来語」はいつからあるのか?「復原」と「復元」、「降伏」と「降服」のちがいは?「空巣」の意味は、年寄りだけの家!?「健康」「積極」「場合」は中国が日本から取り入れた外来語だった。俗字、異体字、略字の由来は?読んだその日からつい誰かに話したくなる漢字雑学の数々。中国文学者が漢字と日本語の面白さを洒脱に書き下ろしたPR誌「本」の人気連載、新書化第二弾!

<読む前の大使寸評>
おお漢字雑学ってか・・・中国は嫌いだけど、漢字雑学は好きでおます♪

rakuten 漢字と日本語


「第Ⅳ章」で中国の「ドーダ」を、見てみましょう。つまり「おれはこんなに偉いんだぞ、ドーダ」の解明になりますが。
p142~149
<中国の「ドーダ」>
 東京大田区の後藤延一さんが、NHKテレビ番組「中国文明の謎」三巻のDVDを送ってくださった。第一回は「中華の源流・華王朝は実在した」、二は「漢字誕生」、三は「始皇帝中華帝国」である。
 つけたお手紙に「中国のドーダですね」とある。「ドーダ」は東海林さだおさんの名言である。

 早速見ました。後藤さんの言う通りである。第一回は「おれはこんなに古いんだぞ、ドーダ」、二は「おれはこんなに賢いんだぞ、ドーダ」、三は「おれはこんなに偉いんだぞ、ドーダ」といったところか。
 何も知らぬ一人の日本人が北京あたりの骨董屋に迷いこんでそこの親父の説教を聞く、という仕立てである。その親父が「ドーダ」をやるわけだ。

 後藤さんが、NHK取材班『中華文明の誕生』(2012、講談社)のコピーをつけてくださっている。これは面白かった。左に引きます。とびとびです。
<この20年、中国の考古学界は、まさに発掘ラッシュの様相を示し、歴史を変える新発見が相次いでいる>
<中国政府が古代文明を探索する国家プロジェクトを立ち上げ、本格的に考古学に力を注ぎはじめたからである>
(中略)
<考古学の発掘にも潤沢な資金が注入され、全土で本格的な発掘作業がすすみはじめたのだ>

 ここ掘れワンワンである。もっともここ掘れワンワンは掘る場所の指定だが、こちらは掘り出すものの指定である。仰せの通り首尾よく「夏王朝は実在した」を掘り出しました、というわけだ。

 学問にもいろいろあるが、歴史学は最もアブナイ学問である。学者のまじめな勉強が権力の足元を掘りかねない。だから国家は手綱を離さない。中国の歴史学は中国共産党の侍女である。

 と言うと中国の歴史学をバカにする人があるかもしれないが、日本だってつい先ごろまで、歴史学は天皇制の飼犬だった。天照大神だの神武天皇だのという神聖不可侵のシロモノがあって、無条件にあがめたてまつらねばならなかった。わたしなどはまずそれから教えられたクチだ。

 中国の歴史学は天照や神武のいる歴史学である。誰が天照かは時によって変わるが――。
 1949年建国後の、歴史学者が語る歴史はだいたいこうだった。――人類の歴史は階級闘争の歴史である。当然中国の歴史もそうである。数千年の昔から中国の労働人民は、悪逆非道の支配階級に抗し、幾百度も立ちあがって果敢な闘争を挑んできた。20世紀にいたって労働人民の前衛中国共産党が現われ、その正しい指導にみちびかれて労働人民はみずからを解放し、社会主義中国の主人公になった・・・。まあ労働人民が天照、共産党が神武、ということになりますかね。これだとそう地面を掘ることもなかった。

中国の「ドーダ」が顕著になってきたのはわりあい最近である。
1976年に毛沢東が死んで、どこかにかくれていた鄧小平が二度めの復活をして、2年ほどのあいだに最高実力者になって、どえらいことをやった。階級闘争路線を放棄し、国の進路を百八十度転換して、「改革開放」(市場経済)を始めた。70年代末の段階で、社会主義を見限ったわけだ。

 あとで考えれば、それは明らかに正しい選択だった。その後80年代以降に、ソ連も東欧もみんなつぶれたのだから――。しかし、牛が牛であることをやめるみたいなものだから、その手があるとはだれも気づかなかった。鄧小平の聡明と貫録をもって初めてやれたことだ。

 それ以後、特に90年代初めの鄧小平の南巡講話囲碁、中国の経済はめざましく伸び、アメリカにつぐ規模を有するに至った。これが「ドーダ」の裏づけになっている。むやみに「中華民族」と唱え始めたのもこのころからである。

「中華民族」という言葉は1920年ごろに孫文が発明したと言われている。便利な言葉である。多くのばあい、漢人(漢族。チャイニーズ)自誇称である。日本人が「天孫民族」と称して威張ったみたいなものだ。しかしばあいによっては(公式には)支配下の多数の(中国政府によれば55の)種族をも含む、ことになっている。

 ウイグル人やチベット人に「お前たちも中華民族だよ」と言ってやるわけだ。本気で言っているわけじゃない。ウイグル人やチベット人も本気で受け取って喜ぶわけじゃない。
 70年代末までは、民族は階級に解消される、という建前だから、民族を言い立てる必要はなかった。共産党は労働人民の前衛、ということで、支配階級を仕立てていじめていれば事はすむ。「中華民族」が必要になってきたのはそれ以後である。

 鄧小平の「改革開放」は偉大だったが、そのかわり共産党権力の存在理由があやしくなった。アメリカや日本の権力なら、国民の自由な選挙で選ばれております、という建前がつうようするが、競争相手の存在を許さない中国ではそれはない。以前は、働く者の天国社会主義への導き手、だったが、鄧小平はその「社会主義への道」を捨ててしまった。「中華民族」の出番、とあいなったのだろう。
(中略)

 それに何より、中国共産党には競争相手がいない。
 競争相手のいない状態が「統一」である。テレビ番組「夏王朝」「漢字」「始皇帝」の三点セットも、一貫した主題は「統一」である。秦始皇が天下を統一したことは言うまでもない。諸地域で話される違った言葉を統一するものが漢字である。漢字によって中華諸地域は一つになった、と番組は言う。

 夏王朝も、紀元前二千年ごろにできた当初から統一王朝であったように、番組は、つまり骨董屋のおっさんは言う。三点セットに階級の視点は全くない。あるは民族・統一のみである。「中華民族」が天照だ。


『漢字と日本語』1





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Last updated  2022.04.23 14:39:52
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