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2023.05.12
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『加害者家族バッシング』という本を、手にしたのです。
ニッポンの「世間」を解析し、解決の道筋を探るとか・・・果たして?




佐藤直樹著、現代書館、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
ニッポンの加害者家族バッシング。家族は自死にまで追い詰められる。これは、西欧諸国には存在しないこの国特有の現象だ。何故か!!その理由は、海外にはない「世間」があるからだ。本書はその構造を解析し、新たな解決の道筋を提示する。

<読む前の大使寸評>
ニッポンの「世間」を解析し、解決の道筋を探るとか・・・果たして?

rakuten 加害者家族バッシング


第2章で加害者家族問題が語られているので、見てみましょう。
p40~43
<第2章 親(家)は責任を取れ>
 第2章では、まず、加害者家族問題を考えるにあたって、この国における家族のかたちに大きな問題があることを明らかにしたい。というのも、加害者家族への差別や排除などバッシングの一番の理由は、「世間」があるために、明治時代に輸入されたヨーロッパ生まれの〈近代家族〉がいまでも未成熟で、ニッポンにほとんど定着していないことにあるからだ。

■1〈近代家族〉とはいったい何か
 西欧諸国では、加害者家族へのバッシングはまず生じない。そういうと、不思議に思われるかもしれない。
 たとえば、1998年にアメリカのアーカンソー州のミドルスクール(中学校)で生徒による銃乱射事件がおきた。そのとき驚くべきことに、加害少年の母親は、ニッポンのTBSの取材に堂々、実名・顔だしで応じている。少年による重大事件の加害者家族である。考えてみてほしい、これがこの国だったらどうなるか。

 さらには、2013年に起きた「ボストンマラソン爆破テロ事件」でも、実行犯とされた兄弟の母親が、ロシア南部ダゲスタン共和国の自宅で、英ITNテレビの単独インタビューに、やはり実名・顔だしで応じている。

 そのさいに彼女は、「私の息子たちの犯行ではない」と、兄弟の無実を主張したという。このときにも、とくに家族が非難されることはなかった。つまり、西欧では子どもの無実を主張するなど、家族が自分の子どもを守ることができる。しかしこの国では、無実どころか、家族が何か主張することすら「世間がゆるさない」ことは明らかだ。

 こうしたことが可能なのは、家族構成員はおのおの独立した個人であって、親と子はべつの人格であり、また家族は社会と原理的に対立するという考えが根底にあるからだ。それが生まれたのは、西欧では200年ほど前に〈近代家族〉という考え方が成立したからである。

 ところがニッポンでは、明治時代にこの〈近代家族〉という枠組みを輸入したものの、それから100年以上たっても、いまだに生活世界に定着していない。定着できなかったのは、「家」制度を含む「世間」が、ドラスティックな近代化=西欧化を経験しても、現在まで執拗にのこり続けたからである。

 では、〈近代家族〉とはいったい何か。そもそも〈近代家族〉は、19世紀にヨーロッパにおいて成立した家族の形態である。これを典型的に語っているのが、19世紀初めに活躍した哲学者G・ヘーゲルだ。彼は1821年公刊された『法の哲学』のなかで、この〈近代家族〉の本質をつぎのように表現している。
 家族は精神の直接的実体性として、精神の感ぜられる一体性、すなわち愛をおのれの規定としている。したがって家族的心術とは、精神の個体性の自己意識を、即自かつ対自的に存在する本質性としてこの一体性においてもつことによって、そのなかで一個独立の人格としてではなく成員として存在することである。
 愛とは総じて私と他者とが一体であるという意識のことである。だから愛においては、私は私だけで孤立しているのではなく、私は私の自己意識を、私だけの孤立存在をほうきするはたらきとしてのみ獲得するのであり、しかも私と他者との一体性、他者の私との一体性を知るという意味で私を知ることによって、獲得するのである。


 少しわかりにくいかもしれないが、ここでは、つぎの三つのことがのべられている。
 第一に、家族の本質は「愛」にある。たぶんいまでも、これを聞かれたら欧米人はただちに同じように答えるだろう。
 第二に、家族は、「精神の個体性の自己意識」「一個独立の人格」「私」「他者」「私の自己意識」「私だけの孤立存在」という表現にあるような、individual である個人から構成される。いうまでもないがこの個人とは、ヨーロッパで都市化とキリスト教の告解を通じて、11・12世紀以降に成立したものである。
 第三に、それにもかかわらず家族は、「愛」による「精神の感ぜられる一体性」「一体であるという意識」「孤立存在を放棄するはたらき」によって「成員」として存在することである。前と逆のことをいっているようにみえるが、あくまでもその前提は、個人の存在だということだ。

 ヘーゲルのいう〈近代家族〉の原理とは、吉本隆明風にいえば、原理的に三人以上の人間の観念が生み出す〈近代幻想〉とも、一人の人間の観念が生み出す〈自己幻想〉とも区別される、二人の人間の観念が生み出す〈対幻想〉である(『共同幻想論』)。

 ここで「原理的に」と私がいったのは、三人以上の家族も現実に存在するが、そのなかを支配する原理はあくまでも、二人の人間の観念が生み出す〈対幻想〉であるという意味である。
 このような〈近代家族〉が、日本に輸入されたのは明治時代である。しかしそれが定着したといわれるのは、じつは第二次世界大戦以降である。 

なんか哲学的で難しいではないか・・・ということで読破することはギブアップします。


『加害者家族バッシング』1 :ニッポンにしかない「世間」





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Last updated  2023.05.12 00:47:42
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