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2023.05.13
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『ポバティー・サファリ』という本を、手にしたのです。
「イギリス最下層の怒り」という副題が付いているが、なんといっても・・・
ブレイディみかこ序文となっているのが、借りる決め手になったのです。


【ポバティー・サファリ】

ダレン・マクガーヴェイ著、集英社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
ダレン・マクガーヴェイは、貧困とその破壊的な影響を当事者として経験した。したがって、イギリス中の恵まれないコミュニティで人々がないがしろにされていると感じ、怒りを燃やしている理由を知っている。そして、それを説明したいと考えている。読者はある種のサファリに招待される。野生動物を安全な距離から眺めるようなサファリではない。読者を貧困の内側に引きこみ、その窮迫がどのように感じられるのか、それを乗り越えるのがいかにむずかしいのかを示すのが本書である。マクガーヴェイは、左右両派がいずれも現実の貧困を誤解していると論じ、状況を変えるために自分自身を含めて人々に何ができるのかを示す。切れ味鋭く、大胆で誠実に語られる『ポバティー・サファリ』は、現在のイギリスについて忘れがたい洞察を示してくれる。2018年オーウェル賞受賞。

<読む前の大使寸評>
「イギリス最下層の怒り」という副題が付いているが、なんといっても・・・
ブレイディみかこ序文となっているのが、借りる決め手になったのです。

rakuten ポバティー・サファリ


先ず、ブレイディみかこの序文から見てゆきましょう。この本の著者が育った貧困地域の説明が出てきます。
p1~5
<「ポバティー・サファリ」とは何なのか:ブレイディみかこ>
「EU離脱はどうなっているんですか」
 どんなテーマで取材を受けていたとしても、日本のジャーナリストたちは最後にはみんなこの質問を投げてくる。
 要するに、彼らがいま英国について知りたいのはそれなのだ。

 けれども、そんなに簡単に答えられるならわたしの在住国だってここまで混迷していない。これほど複雑な問題を、一言や二言で説明しろというのが無茶な話だ。
 でも遠く離れた場所から見ている人々の認識なんてきっとそんなものだ。彼らがほしいのはわかりやすく明快な答え、それだけなのである。

 これは貧困の問題にも当てはまる。
「どうして貧困から抜け出せない人々が存在するのでしょう」
 外側から見ているだけの、わかりやすい答えがほしい人々はいきなりこんな問いを投げてくる。

 貧困がそんなにシンプルに語れる問題だと思っているあなたは、きっと「ポバティー・サファリ」をするのなんかも大好きでしょうね、と本書の著者、ダレン・マクガーヴェイならたぶん言うだろう。

 彼の言う「ポバティー・サファリ」とは、サファリで野生動物を見て回るように貧困者を安全な距離からしばらく眺めたあと、やがて窓を閉じて忘れてしまうことだ。しかし、貧困はジープの窓から眺めておけばだいたいわかるというような単純な問題ではない。実際、貧困は、ほぼすべての社会問題と相関関係にあるのだとダレンは書いている。

 彼はスコットランドの貧困地域の虐待的文化のど真ん中で育った。36歳で亡くなった母親も幼いころから暴力の中で育ち、若くしてレイプされ、アルコールとドラッグに依存した。自分の息子がなきやまなかったら彼の自転車を川に投げ捨て、言うことを聞かないとナイフを片手に家の中を追い回し、幼い息子を殺そうとした。ダレンが学校でいじめの恐ろしさを乗り越えられたのは、母の恐ろしさに比べたら何でもないからだった。

 彼女の常軌を逸した行動は、彼らが暮らす貧困コミュニティ全体が抱える問題をそのまま反映していた。それは彼の育った環境では特別なことではなかったのである。
 しかし、その世界を知らない人々にとっては、彼の育った環境と経験は特別なことだった。中等学校卒業を目前に控えたころ、BBCラジオ・スコットランドの番組でダレンは雇用と階級の問題についてコメントするが、これが話題になって出演依頼を受けるようになり、ニュース番組のゲスト司会者を任されるまでになる。
(中略)
 世間の注目を集める存在になりながらも、ダレンのアルコールやドラッグへの依存は深刻になり、ホームレスの状態になっていた。彼のような立場の人間は、自分に力を与えようとしている人々の気分を害することをした途端、彼らにあっさり見捨てられるのだということをダレンは学んだ。それは組織でも、運動でも、政党でも同じだった。声なき人々に声を与えよう、と言っている人たちが、ダレンがラジオの台本から離れて本心を語り始めるとマイクを切り、照明を落とすのだった。

 この経験を経て、ダレンは悟った。彼のような階級の人間が自分の考えを聞いてもらおうと思ったら、意見をしゃべる前に、アルコール依存症で亡くなった母親や、つらかった子ども時代のことを話さなければならない。お偉方やミドルクラスの善人たちに下層の人間たちのことを受け入れさせようと思ったら、「体裁」を繕う必要がある。体裁とは何なのか。信じられないほど悲惨な貧困当事者として、まず彼らがほしがっている話を聞かせることだ。

 だから本書も、前半は彼自身の幼い日からの回顧録になっている。文字通り、ダレンはまず「ポバティー・サファリ」を提供しているのだ。日本の人々はこれを読んで驚くかもしれない。そこには何一つ活字用に殺菌されていない、赤裸々でグロテスクなスコットランドの下層の日常があるからだ(当然だが、ここに書かれている労働者階級の人々はケン・ローチの映画の登場人物のようにみんな「罪なき人」というわけではない)。


ブレイディみかこの作品を一つ紹介します。

【他者の靴を履く】


ブレイディみかこ著、文藝春秋、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
“負債道徳”、ジェンダーロール、自助の精神…エンパシー(意見の異なる相手を理解する知的能力)×アナキズムが融合した新しい思想的地平がここに。

<読む前の大使寸評>
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』という作品を読んで以来・・・著者の作品をフォローしているのです。

<図書館予約:(8/14予約、副本8、予約81)>
rakuten 他者の靴を履く

( 『他者の靴を履く』3 )より





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Last updated  2023.05.13 00:22:05
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