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2023.10.03
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『漢字と日本語』という新書を、手にしたのです。
漢字といえば、東アジアの共通言語でもあるわけで・・・私のツボとなっております。




高島俊男著、講談社、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
【目次】1 「漢語」のはなしから/2 やさしいことばはむずかしい/3 「空巣」「人脈」など/4 中国の「ドーダ」/5 日本語と国語/6 『かながきろんご』/7 江戸のタバコ禁令

<読む前の大使寸評>
漢字といえば、東アジアの共通言語でもあるわけで・・・私のツボとなっております。

rakuten 漢字と日本語



中国語、日本語、西洋語が語られているあたりを、見てみましょう。
p117~120
<中国の西洋音訳語>
 この前は、近代の中国語には日本語がたくさん入っていること、その多くは西洋語(主として英語)の訳語であることを申しました。
 ただし、どの言葉が日本人が作った(訳した)日本語であるか、どの言葉がもともと中国語であるかは、なかなかむずかしい。中国人は日本語だと思っているが、もとを正せば中国語、ということもよくある。

 日本語みたいだが中国語、というのは主に二つのケースがある。一つは日本人が中国の典籍から語を拾ったばあい、一つは中国の西洋人宣教師が作った語のばあいである。

 まず一つめ。日本の江戸時代までの学者知識人は、中国語を外国語だとは思っていない。漢字が本当の文字だと思い、漢語が正しい言語だと思っている。
 幕末明治初めの知識人にもその意識は残っているから、西洋語を訳す際もなるべく中国の典籍から語を取ろうとする。

 たとえば英語のシビリゼーションが入ってくると、周易(易経)に「〇」とあるのを取って「文明」と訳した。だから「文明」は、外見は漢字語だが実質は西洋語である。それがのちに中国に入ると日本から来た新語としてあつかわれて、たとえば洋式の結婚を「文明結婚」、といった風に使われる。故に「文明」は日本語、と言えばその通りだし、根は中国語、と言えばそれはそうにちがいないのである。

 二つめ。日本へ西洋人が多数来始めたのは19世紀半ば以後だが、中国は半世紀ほど早く、1800年前後から宣教師が来ている。宣教師はキリスト教を広めるのが目的だが、西洋の学問知識も教える。
 宣教師たちは、中国人を教えるのは中国語によらねばならぬ、と信じてまず中国語を勉強し、英語と中国語の対訳辞書すなわち英華辞典を作った。これは中国ではそんなに広まらなかったらしいが、日本に渡ってきて日本人に大きな影響を与えた。

 たとえば江戸時代の日本人は化学を、オランダ語のchemie(セーミ、英語のケミストリーに相当)そのまま舎密(せいみ)と言っていた。英華辞典が入ってくるとケミストリーを「化学」と訳してあるので、舎密は捨てて「化学」とした。のちにこれが中国に流入すると中国では「化学」は日本新語としてあつかわれた。根は西洋人宣教師が作った中国語で、中国人がそれを知らなかっただけである。

 しかしこういう日本語か中国語かという素姓しらべはなかなかむずかしい。
 たとえば「保険」。この語(字並び)は昔の中国の本に稀にだが出てくる。「保」は守る、「険」は険要の意である。敵との境界の山上などに砦を築いて守ることである。
 生命保険などの英語インシュアランスが入ってきた時日本人が、昔の中国典籍に稀に出てくる「要害守備」の意の「保険」を知っていて流用したのかどうか、わからない。流用にしては意味が離れすぎている感じがする。

 『日本国語大辞典』の「海上保険」の項を見ると、1869年(明治2年)の『新塾月誌』第二号「支那に宅担保、命担保、船担保、あるいは火燭保険、海上保険と名づく」というのを引いている。これによれば当時中国人(の一部)が保険インシュアランスを「担保」ないし「保険」と言っていて、日本人がその「保険」をまねたのであるように見える。しかし中国では当然のごとく「保険」は日本から来た語とされている。これも「文明」や「化学」と同様、日本人にとっては中国から来た中国語、中国人にとっては日本から来た日本語、なのかもしれない。

 中国にも西洋語からの訳語はたくさんある。もちろんみな漢字で書く。
 その前に、日本製の漢字音訳西洋語があるからそれをまず御紹介しましょう。これは早いころに日本人が西洋語の音を漢字で表わして、それが中国に入ったのである。

 たとえばオランダ語のガスを「瓦斯」。これが中国に入った。今もそのまま使われている。あるいはソーダを「曹達」。これは今も日本の会社名であるんじゃないかな。あるいは英語のクラブを「倶楽部」。これは音だけでなく「倶に楽しむ部」という意訳でもある。名訳というべきでしょうね。中国に入っても音意兼訳語として用いられている。 


『漢字と日本語』1 :中国の「ドーダ」





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Last updated  2023.10.06 09:51:25
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