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2023.11.19
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『ジンセイハ、オンガクデアル』という文庫本を、手にしたのです。
この本にはやたらクソ(SHIT)とかFUCKという言葉が飛び交っているのです。
著者の過激で過酷な時代のお話しなんでしょうね。




ブレイディみかこ著、筑摩書房、2022年刊

<「BOOK」データベース>より
貧困層の子どもたちが集まるいわゆる「底辺託児所」保育士時代の珠玉のエッセイ。ゴシック文学的言葉を唱え人形を壊すレオ。「人生は一片のクソ」とつぶやくルーク。一言でわたしの心を蹴破ったアリス。貧窮、移民差別、DV。社会の歪みの中で育つ、破天荒で忘れがたい子どもたち。パンクスピリット溢れる初期作品。『アナキズム・イン・ザ・UK』の一部に大幅増補。映画・アルバム評、書評を収録。

<読む前の大使寸評>
この本にはやたらクソ(SHIT)とかFUCKという言葉が飛び交っているのです。
著者の過激で過酷な時代のお話しなんでしょうね。

<図書館予約:(2/10予約、副本1、予約15)>

rakuten ジンセイハ、オンガクデアル


「第1章「底辺託児所」シリーズ誕生」からひとつのエピソードをみてみましょう。
p38~41
<人が死ぬ>
 今年(2008年ころ)に入ってからやたらと人が死ぬ。なんだか週末になる度に黒い服を着ているようだ。
 亡くなっているのはすべて連合いの友人たちである。うちの連合いはわたしより9歳年上なので50代。そろそろ死ぬ年頃なんだろう。過去にわたしの雑文に登場したことのある人なんかも亡くなっている。いくら英国は日本のような長寿国ではないとはいえ、こうも次々と人がいなくなると、残された者の気持ちは揺れるようだ。

 連合いはライフ全般がSHIT、即ちクソに思えると言う。
 住んでいる家もクソなら仕事もクソ、わたしや子どもと言った家族もクソ、あまりに何もかもがクソなのでこのまま自分の人生が終わるのかと思うと全身全霊で嫌気がさすらしく、本当にそう言いながら鳥肌をたてている。

 またいつもの欝かな。と思っていたが、今回のは妙に長い。
 死にたくなる。というような衝動は彼にはないようなので、そのうちポール・ゴーギャンのように出奔でもするのかなと思ってみているが、今のところは毎日帰宅している。

 もともと責任とか家庭とかいったものが滅法苦手であり、放浪癖のある人だということを知ってて一緒になったので、そういうことになったとしてもわたしはあまり驚かないし、今にもバックパックを背負って出ていきそうな気配のある昨今ではなおさらのことだ。

 ミッドライフ・クライシス。というやつは、40歳で訪れる人と50歳で訪れる人とあるようだが、肉体と容貌の衰えから来る40代のクライシスと、まわりが死に出してふと自分の人生に思い当たる50代のクライシスとでは、その質がかなり違うように思える。

 かくゆうわたしはまだそういう危機は経験したことがないように思えるが、生き死にの問題で言うなら、坊主を出産する前は、もう死んでもいいと思っていた。と書くとえらくネガティブな感じだが、そういう劇的な心情ではない。これまでやりたい放題やってきたから。というか、行きたいところに行って飲みたいだけ飲んで好き勝手に生きてきたので、とくにやり残したと思うことはなかったのである。
 今後生きていっても、老いや年金問題などで人生下り坂になる一方だし、それなら別に死んでも構わないなー。ぐらいの気持ちだったのである。

 が、坊主を産んでからはそう思わなくなった。
 子どもなどというものは親があろうとなかろうと育つもんではあるが、この国の施設に預けられた子どもたちが精神的・肉体的虐待を受けた話などを聞けば、あんまり自分の子どもにはそういう目にはあわせたくないと思うし、できれば自分の手と金で大人にしてやりたいと思う。

 そう考えればわたしの場合は出産でミッドライフ・クライシスを乗り切ったのかもしれず、連合いの場合は“子どもの誕生”よりも“友人の死”の方が切実であり、重大であるということなのだ。そういえば以前、ブライトンのゲイ街でパブを経営しているランドレイディ(おかみ)が、“男と死”というテーマについて熱弁していたことがある。

「男って生き物はさー、死ぬってことをやたら大変なことだと考えているのよね。だから死ぬ前にこれだけは成し遂げたい、とか、死後も何かを残したい、とか、いろいろ力んで考え込んじゃうの。死後に何かを残す、なんて、ねえ。アタシなんか絶対考えられない。生きてるってだけでもこんなに恥ずかしいことなのに、死んでまで何を残そうっていうのかしら。自分がいなくなた後まで自分に関係する何かがこの世に残ると思ったらゾッとする。人間なんて、恥を晒して生き永らえて、死ぬ時が来たらきれいさっぱりいなくなりゃいいのよ。それだけのことなのよ」
 いやほんとうに、それだけのことだとわたしも思う。
(初出:THE BRADY BLOG 2008年4月12日)





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Last updated  2023.11.19 00:24:00
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