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2024.01.15
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カテゴリ: 気になる本
図書館で「図説 第二次世界大戦」という本を手にしたのです。
世界に災禍をもたらした独ソ戦争や太平洋戦争はなぜ起きたのか?、アメリカの参戦はなぜ遅れたのか?という興味でチョイスしたのです。




池田清×太平洋戦争研究会著、河出書房新社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
80年前、ドイツがポーランドに侵攻して第二次世界大戦が始まった。独裁者に翻弄され、恐るべき破壊と、膨大な兵士と市民の殺戮が行われた「世界戦争」の全貌を、270点余の豊富な写真で見せる永久保存版!
<読む前の大使寸評>
世界に災禍をもたらした独ソ戦争や太平洋戦争はなぜ起きたのか?、アメリカの参戦はなぜ遅れたのか?という興味でチョイスしたのです。

rakuten 図説 第二次世界大戦


第5章で、日米開戦前の状況を見てみましょう。
p70~71
<第5章 日本、米英に宣戦布告
■日中戦争の行き詰まりと対日禁輸
 盧溝橋事件(1937年7月7日)を発端として続々と中国大陸に兵力を投入、北京・上海・南京・広州・武漢三鎮(現在の武漢市)など主要都市を占領したものの、日本はついに中国政府(蒋介石政権)を屈服させることはできなかった。

 日本は中国の徹底抗戦の意欲とそれを支援する米英勢力に対抗するため、日独伊三国同盟を結んだ。しかしそれは、米英の結束をますます固め、対中援助を強化することにしか役立たなかった。その政治的信念したがい三国同盟を締結した松岡洋右(第二次近衛内閣の外相)は、日米開戦の報を聞き、自分の見込み違いを悔やみ、はらはらと涙を流した。

 国内の戦争準備とヨーロッパ戦線への援助に忙しかったアメリカは、日本に対する経済的締め付けを徐々に行いながらも、石油の輸出だけはストップしなかった。アメリカの戦争準備が整わないうちに戦争に訴えられたらかなわない。
 当時の石油の最も大きな消費者は軍であり、とりわけ海軍の比重が圧倒的に大きかった。石油の対日輸出を止めれば、日本はすべてが干上がることをアメリカはよく知っていた。実際、需要の7割以上をアメリカから輸入していたのである。あとは蘭印(オランダ領東インド)からである。
 日本軍が南部仏印(フランス領インドシナ)に進駐した直後、アメリカは日本への石油輸出を禁止した(1941年8月)。蘭印もこれにならう。

 海軍首脳はそれまでアメリカとの戦争は避けたいと考えていた。連合艦隊司令長官の山本五十六大将はその急先鋒だった。1年ほどは暴れられるが、長期戦になったら必ず負けると近衛首相に断言していたほどだ。

 こうした考えにおおむね同調していた海軍首脳も、いざ石油が輸入できなくなる事態に直面すると、戦争をやるならまだ石油のストックがあるうちにやってもらいたいと主張するようになった。アメリカを軍事的に屈服させることは出来ない相談ながら(これは陸軍首脳も同じだった)石油が豊富にある蘭印(を占領し、付近の米英勢力を追放することができれば、日本は生き延びられるのではないかと考えた。いわゆる自在自衛論である。

 日中戦争に自ら幕を引き、中国から撤兵することは、アングロサクソン(米英)に対する屈従であると考えられた。中国の日本一国支配を放棄することを意味していたからだ。日本はどうしても中国を日本だけで支配したかったのである。

 日本が中国に対して独占的・排他的に勢力を扶植するというこのような姿勢は、第一次大戦中の「対華21ヶ条の要求」以来のものである。戦後、アメリカはワシントン会議を招集して日本・中国・米・英をふくむ9ヵ国条約を結び(1922年)、中国の主権と独立を尊重し、各国の中国に対する門戸開放・機会均等を規定した。
 いわゆるワシントン体制の根幹をなす条約だが、日本は満州事変(1931年)につづく満州国建設で、このワシントン体制に公然と挑戦し、米英協調路線を放棄した。

 それから10年目に日米対立は戦争にまで発展した。双方譲らなかったし、中国は賢明にも米英の協力をとりつけていたから、日本は進退きわまっていた。日本は自分の侵略行為を棚に上げて、米英を非難し、米英の支援を受けて抗戦する中国を非難していた。

■聖戦の名のもとに
 日中戦争は聖戦の名のもとに遂行されていたから、批判の声は封じられた。批判や停戦、休戦を言うことは、天皇にそむくことであって、それは「非国民」なのだった。日本はアメリカやイギリスと違って、公然と意見を交わし、世論を形成し、それに従って政治を行うという国家ではなかった。

 それでも海軍の最高首脳の間で、アメリカが要求しているように中国から撤兵して、米英と協調路線をとって国家が生きる道を模索すべきであるという議論が開戦2ヵ月前に煮詰まろうとした瞬間があった。

 しかしそれには、撤兵など論外とする陸軍との大喧嘩(内乱)を覚悟することでもあり、海軍にはそこまでの決意はなかった。中国からの撤兵は満州国を動揺させ、ひいては朝鮮統治を危うくする、それは明治維新直後の日本に逆戻りすることである、それでもいいのかという陸軍の主張を論破するだけの経綸(ビジョン、青写真)を持っていなかった。

 この論法を強力に展開したのが1940年7月以来の陸軍大臣・東条英機中将である。東条のリーダーシップというより陸軍の総意であった。最後の段階で東条は首相を命じられるが、最後まで日本の譲歩に反対した。彼はヒトラーのような独裁者ではないから、閣僚は自由に意見を述べることはできたが、反駁し、矛盾をつき、別の考え方の正統性を、誰も主張しなかった。
(中略)

 天皇の命令には絶対服従だったが、天皇の命令はすべて政府や軍部が決定したものである。絶対権力者の恣意的な決定を防ぐ効果はあったが、決定事項に議会も新聞も放送も国民も異論を唱えられない仕組みになっていた。

 日中戦争が始まってからは、その度合いがますます強められていた。いわゆる国家総動員法(1938年成立)は、戦争のためにあらゆる物資の生産計画をたてたり、物資の価格を統制したり、流通先を限定したりするだけでなく、戦争に疑問を出したり、反対を表明したりする意見も取り締まる法律だった。そういう意見につながりそうな自由主義思想そのものも取り締まりの対象となっていた。


『図説 第二次世界大戦』1 :キエフ陥落とヒトラーの戦争目的





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Last updated  2024.01.15 00:04:18
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