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2024.01.14
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カテゴリ: 気になる本
図書館で「図説 第二次世界大戦」という本を手にしたのです。
世界に災禍をもたらした独ソ戦争や太平洋戦争はなぜ起きたのか?、アメリカの参戦はなぜ遅れたのか?という興味でチョイスしたのです。





池田清×太平洋戦争研究会著、河出書房新社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
80年前、ドイツがポーランドに侵攻して第二次世界大戦が始まった。独裁者に翻弄され、恐るべき破壊と、膨大な兵士と市民の殺戮が行われた「世界戦争」の全貌を、270点余の豊富な写真で見せる永久保存版!
<読む前の大使寸評>
世界に災禍をもたらした独ソ戦争や太平洋戦争はなぜ起きたのか?、アメリカの参戦はなぜ遅れたのか?という興味でチョイスしたのです。

rakuten 図説 第二次世界大戦


1941年6月にドイツ軍300万は、ソ連へ侵攻(バルバロッサ作戦開始)したのです。
300万の軍勢は、中央軍集団、北部軍集団、南部軍集団と三つに分けられていたが、そのうち南部軍集団はウクライナを目指していた。
現在ではウクライナを舞台にしてウクライナとロシア連邦が戦っているが、当時はドイツとソ連がどのように戦ったのか・・・史実を見てみましょう。
T34型戦車

p60~63
<キエフ陥落とヒトラーの戦争目的)>
 キエフはウクライナ共和国の首都であり、ドニエプル川中流沿岸にある。「ロシア諸都市の母」と呼ばれるように、9世紀ごろから栄えてきた古い都市で、ドイツ軍の侵攻当時すでに人口は150万を超えていた。

 ソノキエフをドイツ軍が包囲したのは9月2日である。ソ連軍も35個師団(約70万人)で応戦したが、9月中旬までに戦闘は終わった。ドイツ軍は捕虜66万人、捕獲した戦車は約900両、大砲は約3700門と宣伝した。もっともソ連側は悔しまぎれに捕虜は55万人と言い返したそうだ。

 ソ連の降伏は時間の問題と信じたヒトラーは、キエフでの戦いがたけなわのころ、軍やナチス幹部を前にして占領後のロシアについて「将来計画」を語っていた。

 ロシア人をウラル山脈の東側に追い払い、ドイツ人を中心として、ノルウェー人、スウェーデン人、デンマーク人、オランダ人を占領地に移し、大農業地帯をつくる。
 ドイツ人移民のために「30キロから40キロの環状地帯をつくり、そこに美しい農村を建設して、最上級の道路によって結びつけ」、「ロシア人たちは、ドイツ移民とまったく別の世界に住まわせ、なんの文明施設も与えずに放置すればよい。ただ彼らはドイツ人に無条件に服従しなければならない。もし、彼らが革命を起こすようなことがあれば、その町々に対して、ニ、三発の爆弾を射ち込んで、町もろともに全滅させてしまうべきだ」(村瀬興雄著「ナチズム」)

 ヒトラーはソ連国民のなかのウクライナ人や白ロシア人の一定数の絶滅と追放、それ以外のソ連人(大ロシア人)は三分の一を絶滅させ、三分の一を追放することを基本としていた。

 このように、ヒトラー・ドイツのソ連に対する戦争は、領土や資源の獲得が最終目的ではなかった。対ユダヤ人のようにすべてを絶滅させるという方針こそなかったが、ポーランド人と同様にロシア人の大部分を抹殺し、生かした者を奴隷にしようというものだった。
 こうした方針に従って、開戦早々の占領地区は、捕虜やソ連国民に対する凄惨な強制労働・リンチ・虐殺・追放が始まっていた。

<なぜソ連軍は弱かったのか>
 それにしてもソ連軍はどうしてこんなにも弱かったのだろうか。
 じつを言うと、ソ連軍のT34型戦車はドイツ製のものより大型で77ミリ砲を装備していた。それはドイツ軍の主力である4号戦車の75ミリ砲より威力があり、装甲も厚かった。わずか2ミリの差ではあっても、戦場では格段の違いが生まれる。

 当時、ソ連軍はそれほどの威力をもつT34型戦車を少なくとも1200両以上、少し多めに推定すると2000両ほど配備できていたと思われる。だから、負けるにしてもこれほど一方的に敗北を重ねるにはそれなりの理由があるはずである。

 よく指摘されるのは、1936年から38年にかけてスターリンが実施した大粛清こそソ連軍弱体化の原因だということである。この大粛清は共産党幹部から一般党員、軍人、市民にまで、処刑・強制収容所送りが少なく見積もっても350万人、最大1200万人と推定されている。

 トップクラスの党幹部に対する粛清裁判は外国人記者も傍聴する公開裁判で実施された。これによって、スターリンは名実ともに絶対権力者の地位を確立する。
 赤軍、すなわちソ連軍幹部に対する粛清は37、8年に行われ、トハチェフスキー元帥を筆頭に高級将校8人が処刑されたのをはじめ、全部隊にわたって粛清の嵐が吹き荒れた。有能な軍幹部で生きのびた者は、ジューコフ元帥(当時は大将)などまことに少数だった。

 そのうえ、粛清前にはドイツ軍にも劣らぬほどの機甲軍団を持っていたが、1939年にすべて解隊してしまった。「戦車は歩兵部隊に協力する兵器」という、戦車が開発されたごく初期の見方から抜け出せない、出来の悪い幹部しか生き残らなかった証拠、という評者が少なくない。

 しかし、ドイツ軍がその機甲部隊を駆使して、ベルギー、オランダを席巻し、あっという間にフランスを占領するのを見て、腰を抜かした。戦車はああいうふうに使うものかとわかった。大急ぎで機甲軍団を編成しはじめた。そこまではよかったが、戦車の生産能力を無視した無茶苦茶なやり方で、年間1000両しか生産できないT34型戦車を1万2600両も必要とするような大軍団を1年あまりで一気に編成しようとした。

 ドイツ軍がソ連侵攻を始めたとき25個軍団まで完成配備されていたが、T34戦車は各軍団に総花的に配分され、不足分は旧式戦車を数だけそろえた見かけだけの機甲師団だったわけである。案の定、ソ連軍はかつてのフランスのようにドイツ電撃戦のまえに蹴散らされてしまった。





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Last updated  2024.01.14 00:07:28
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