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2025.01.12
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『韓国の行動原理』という新書を、手にしたのです。
小倉紀蔵さんの専門は東アジア哲学とのことで・・・なにやら難しそうで、興味深いのである♪




小倉紀蔵著、 PHP研究所、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
日韓請求権協定に関わる報道に接して、韓国人の法意識に疑問を持つ人は少なくない。著者は韓国は法よりも道徳にこだわる国だと説く。朱子学の影響で、韓国では道徳は敵を叩き潰すための武器になっている。また、韓国の前近代が王朝であり、日本の前近代が封建社会であったことの違いも大きいといえる。ただし韓国の法曹的能力は日本よりも高く、「法を軽視する韓国の民主主義はレベルが低い」と考えるのは危険である。さらに著者は韓国を国家と思わず、一つの「運動団体」と捉えたほうがよいと論じる。韓国の実像を知るための視座が得られる一冊。

<読む前の大使寸評>
小倉紀蔵さんの専門は東アジア哲学とのことで・・・なにやら難しそうで、興味深いのである♪

rakuten 韓国の行動原理


「第一章 韓国を正確に認識しなくてはならない」でもうひとつ、見てみましょう。
p27~33
<2 日本よりも先を行っている韓国>
■王朝的伝統の韓国、封建的伝統の日本
 たとえば法と道徳の関係について、嫌韓派の多くは、「日本は法治がきちんとしている立派な民主主義国家だが、韓国は情治や人治しかできず、三権分立もできていない前近代の国」という認識を持っている。これはブブbb的には正しい。

 つまり高度に学問的な客観的知識によってある程度のサポートできる認識だといえる。だが、この枠組みが過度な信念体系になってしまうと、あきらかな誤謬の領域に突入し、日本の国益にも著しく反する認識となる。

 韓国の法と道徳の関係について日本で初めて思想的な問題提起をしたのは、わたしではないかと思う。「市民」や「民主主義」「歴史」「道徳」「法」などという語彙を日本語と韓国語は共有しているが、これらが「両社会で同じ意味内容を持つ」と誤解するとき、日韓の対立が大きくなるとわたしは考えている。両国がいわゆる「体制の共有」をしたあとに、むしろ摩擦が増大化しているひとつの理由は、そこにある。

 このような考えのもと、わたしは2014年に、現代韓国朝鮮学会という学会で、以下のような発表をした。同時に、日韓のいくつものメディアにおいてこの考えを述べた。

 韓国での市民の概念は、「エリートから民衆へ」(80年代)、「民衆から市民へ」(90年代)、と変化し、そこで後期資本主義に遭遇して市民がグローバル化、情報化した。これに対して日本では、「エリートから大衆へ」(60年代)、「大衆から中間層へ」(70年代)、と推移し、その後グローバリゼーションの時代を迎えても、これに逆行して内向き化の傾向を深めた。

 韓国では「わが国の市民は権力」といわれるし、政権よりもむしろ市民の「世論」のほうがパワーを持つ局面がしばしばある。これに対して日本では、「プロ市民」という言葉があるように、政治変革をうながす市民パワーに対しては、国民の冷淡な目が存在する。むしろ日本の市民運動は、政権交代のような大イシューではなく、日常生活と密着したこまごまとした課題解決にその本領を発揮しているというのは、日韓比較社会学における常識である。

 この背景には、なにがあるのだろうか。わたしは、韓国の「市民」の淵源は儒教的な「士大夫」にあると考えている。近代への移行期に社会の「総両班化」が進行したという歴史も介在している。

 両班とは伝統的な儒教的支配層である。これに対して日本の「市民」の淵源は、江戸時代の農村における「自治」にあると考える。近代における社会の「総中間層化」がそれを一般化した。
 逆にいえば、韓国には法的な「自治」の概念が薄いのだが、これは王朝体制の遺風という側面が強いだろう。そして日本には道徳志向的な「反権力」の概念が薄いのだが、これは封建体制の遺風という側面が影響しているのであろう。前近代が王朝社会(朝鮮)だったのか、封建社会(日本)だったのか、の違いが大きいのである。

 このように考えると、「現代社会をつくるうえで、なにがもっとも重要なメルクマールとなったのか」という問いに対して、韓国は王朝的(儒教的)伝統によって「道徳」がもっとも重要だったのだといえるし、日本では封建的(非儒教的)伝統によって「法」がもっとも重要視されたのだといえるかもしれない。

 このことを裏打ちする事実として、韓国社会では反道徳的行為への生理的嫌悪がもっとも強いのに対して、日本社会では反遵法的行為への生理的嫌悪がもっとも強いということが挙げられうるであろう。自治は、「自分たちがつくった掟を守る」ということにおいて成立する。だが道徳は、いちど作られた方や合意による安定性を突破する力を持つ。

 日本の近代化においては、大日本帝国憲法下においてもすでに法実証主義的なメンタリティが強く、これを強力な官僚機構の支配が下支えしてきたのだが、このことによって民主主義の機能不全という事態が継続して起こっている。民意が官僚にブロックされてしまい、政治に反映されにくいのだ。

 これに対して韓国では、道徳志向的なメンタリティが強いために、「汚濁にまみれている現実の歴史より、理想的な仮想道徳歴史(バーチャル・ヒストリー)のほうが重要だ」という朱子学的な歴史観の専横が浸透し、これによって民主主義(道徳的理想を実現させるシステムだと韓国では考えられている)への過信が過剰化するとともに、それへの深い失望や絶望も同時に進行する。
 もちろん日本にも韓国にも多様性があるので、個々のひとびとがすべて以上のように考えているわけではないが、大きな流れとしてこのような傾向がある、というのがわたしの仮設であった。
(中略)

■韓国の法曹的能力は高い
 そもそもわたしは、「日本では法が重視され、韓国では道徳が重視される」という認識を打ち出しはしたが、この場合に、韓国に対する蔑視や軽視の支線は介在していない。ところが日本の嫌韓派は、この認識をよりどころにして、韓国蔑視をしている。これが危険なのだ。

 どこが違うのか。
「韓国では道徳が重視される」という場合、法は道徳によって簡単に破られるのではない。つまり、道徳と法のあいだに緊張関係がないのではない。むしろ強い緊張関係がある。法は軽いがゆえに破られるのではなく、道徳が強いがゆえに破られるのである。「日本と違って韓国の民主主義は法を軽視するのでレベルが低い」と単純に考えるのは危険だ。
 なにが危険なのか。
(中略)
 日本のロイヤー界のグローバル化に長年尽力してきたひとから聞いた話だが、「2019年から翌年にかけての民主化デモで香港が混乱したことによって、もっとも多くの利益を得るのは韓国かもしれない」ということだ。米国の弁護士事務所の多くは、これまでアジアの拠点をシンガポールと香港に置いていたが、これをシンガポールとソウルに変更しようという動きがあるという。東京は完全に蚊帳の外だという。弁護士の英語力を含めた能力の圧倒的な差と、グローバルな法思想の流行に対して日本の法曹界があまりにも鈍感であるためである。

 ひとことでいって日本の法曹界は内向きにしか機能していない。これはきわめてゆゆしい動きだといわざるをえない。


『韓国の行動原理』1 :王朝的伝統の韓国、封建的伝統の日本





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Last updated  2025.01.12 00:01:46
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