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柄留:少しの時間でもあればネットの動画を漁ってる。ReviveTheGunSword灰蘇の剣銃20「蒐魅と功太朗」 ボクを囲んでいるサイバネは4人。 超速撃ち催眠弾で一気に仕留める?それとも一発誘導弾で4人同時に撃ち抜く? 4人のサイバネが持ってる武器は恐らくショックガン。電気ショックで敵を痺れさせるもの。普通の銃と違って比較的手に入りやすい。 「……」 和音君が見てる。 ここはカッコよく一発で全員仕留めよう。催眠弾を誘導でそれを超速撃ちだ! 0.1秒でそれをするには……弾丸精製を0.05で行わなきゃ。 出来るかな? 出来るはず! 生身の速撃ち世界記録が0.02秒。しかも2連射! フルサイバネの蒐魅ならきっと出来た。だったらボクはそれを出来なきゃダメだ! 「シャオラー!」 サイバネが動く。ボクはそれを合図にグレイブラスターを放った。催眠誘導弾をグレイブラスター出現0.1秒の速撃ちで! 「ゴ………」 4人のサイバネが崩れ落ちた。 出来た!出来たよ!! 「さてと」 倒れたサイバネを尋問する。 「お前たちに命令して襲わせたのは誰?」 「……あ、あがががが」 ブルブルと震えている。 「エ……蒐魅が帰ってきた……」 後ろのサイバネが呟いた。 催眠状態なのに恐怖で勝手に喋ってる?それともかかりが甘い? 「ボクは柄留だよ。さぁ答えて?」 「お、おれたちは元グリーンキャップのメンバーだ。黒いフェイスマスクのビジネススーツの男に雇われた。100万で」 グリーンキャップ? ……えっと第六地区の半グレグループだっけ? 「雇い主の黒フェイスマスク男は誰?」 「知らない……だがあれは大企業の役員のはずだ……高そうな服に全身に装備されたサイバーガジェットにパワースーツのボディガード、普通の人間があそこまで揃えられない」 うーん……院瀬見の派閥関係かな? 和音君が近づいてくる。サイバネの顔を覗き込む。 「アヒヒイイ……た、大河?」 「違う」 サイバネは恐怖で完全にボク達を兜金大河&蒐魅兄妹と思ってるらしい。 「……いかんな完全に怯えている。亜瑠ならもっとスマートにやるか」 「むむむ……」 亜瑠ちゃん&ミレーヌのコンビはどうだったんだろう? 「あの怪人はその男が連れてきた?」 気を取り直してボクは質問を続ける。 「そうだ……怪人と一緒に襲撃しろと言われた……それだけだ」 これ以上コイツらからは情報聞けそうにないので気絶させて膝関節を破壊しておいた。 怪人の始末は警察に任せるって和音君が言った。 「いやいやいやはやお見事ですね!」 車から降りてくる罅助。 「それでこそこの街を守るチームにふさわしい!さぁ後始末は警察に任せて我々は先を急ぎましょう」 またサイバーゴーグルをつけてる罅助。ボク達を撮ってた? 車は第五地区を進む。 第五地区は中央から放射状に主要道路があって用水路は四角渦巻きで張りめぐらされている。地図で見ると蜘蛛の巣に見える。 「中央の院瀬見タワーは発電所でもある……かぁ」 「そのうちあそこに行くこともあるでしょうね」 それにしても第五地区は生活感が全然ない。工場と建屋ばっかりで走っている車は作業、運搬用のがほとんどで歩いている人はほぼいない。 「第五地区の工場は24時間休みなく動いてます。労働者は3交代でシフト制、寮と職場往復の他はモノレールで他の地区に移動しますから歩いている人はほぼいないんですよ」 「ある意味安全な地区か」 和音君が言った。 「そうですねぇ一般作業者でも生活は保障され福利厚生もしっかり。シフトの都合で連休は無いですが有休がありますし普通に家族を養っていけて安全に過ごせるでしょう」 「……それなのに第六地区の人たちは移住に反対なんだよね?」 「まぁ……第六地区の殆どの人たちは自由であることを最優先に考えますからね。ですが院瀬見のやり方も強引です。生きるか死ぬかの過酷な環境で自由を叫ぶか、安全に管理されて縛りのある生活をするかの二択を迫られても……とは自分は思いますがね」 「うう~ん……」 「今の状態になる前は第六地区の住民はどうしていたんだ?」 「只の貧困層が住む地域だったと聞いています。この街のどこでも仕事場を見つけ通勤していたんでしょう。第六地区再開発の計画が立ち上がった時、運よく蓄えを残していた世代はそのまま各地区に住み次の世代へ移ってその地区に定着しました。そうではなかった第六地区の人々は半強制的に第五地区に仕事場も住み家も移せと言われ困惑したのです」 「再開発計画が上がって引っ越し出来た者はそのまま各地区に住めたがそれが出来なかった者は当然反発した」 「ええ、何度も何度も説明会を院瀬見は開きましたが第六地区の住民の怒りは収まらず、ついに事件が起きたのです。院瀬見の重役が第六地区の住民に襲われ亡くなったのです。これをきっかけに院瀬見と第六地区は完全対立する形となり今の見捨てられた地区になっていったのです」 「なるほど」「ふ~む」 「陶子さんは当時の資料を調べ兜金大河とも会いその事について話し合ったと聞いています。その中で一連の対立騒動は仕組まれたものではないかという説が浮上してきましてね。……この辺は和音君達には関係ないので今は置いておきましょうか」 「ちょっとまって、比留山刑事と兜金大河は知り合いなの?」 「知り合いも何も陶子さんは学生時代に大河と付き合っていたのですよ」 「ええええーっ!?」 「ははは、自分も知った時は驚きましたし大河に嫉妬しましたね」 「……罅助、DMCが出現したのはいつ頃からだ?」 和音君は比留山刑事には興味ないっぽい、ちょっと安心した。 「それがハッキリしないんですよね和音君。元々は各地区に置かれていた【六人の見張り役】の一人、第二地区【繁華街の王】が立ち上げたと噂されています」 「院瀬見の息がかかっていた者か」 「ええそうです。院瀬見はオータムホースシティを開発した時に六人の重役にそれぞれの地区を担当させました。その者達が用意したのが見張り役です。DMCは知る人ぞ知る集団だったのですが再開発の話と役員死亡事件の後から急に表に出て来ました」 「DMCの内部で何かあったのだな」 「おそらく。ま、院瀬見の事は鈴村氏に詳しく聞きましょう」 車は住宅街に入って行く。無機質な箱型の集合住宅が並んでいる、罅助曰く殆どが社宅。 「この集合住宅地に2万世帯約5万人が住んでいます」 不気味なくらい静か。公園も無いし子供の姿も無い。 「もうすぐ着きますよ」 集合住宅地の中にある仮設住宅の前に車は停止した。 「追手はもう来ないようですね」 近づいてくる車もバイクもドローン無い。 インターホンを鳴らすと電子ロックが開く。ボク、和音君、罅助は家の中には居る。土足式の家でそのままリビングに入っていく。そこには背の高いオールバックの中年男が居た。がっしりしている。 「やぁどうも、私が鈴村功太朗です」 車のスピーカーで聞くよりも生声は響いた。大企業の重役らしく声に力がある。 「やあ鈴村さん、こちらが諸田和音君と柄留さん」 「諸田和音です」「柄留だよ」 「諸田和音君、いい目をしている。そちらの柄留さんは……ふむ。思ってた以上に蒐魅に似ている。顔は全く似ていないがね」 「蒐魅の事聞きたい!!」 「いいとも、さぁそこに座って。知っていることは全て話そう」 質素なダイニングテーブル椅子に全員が着席。鈴村功太朗はペットボトルの水を出してきて皆に配った。 「保釈中の身なんでね、大したものは出せなくて済まない」 「まずは……柄留さんが聞きたがっている蒐魅の事を話そうか。構わないかね守山さん、諸田君?」 「ええ」「お願いします」 「ボクはまずこれを聞かないと他の事頭に入んないよ!」 鈴村功太朗は話し始めた。 「蒐魅と出会ったきっかけは第二地区の路地裏でした。私は仕事の打ち合わせで個室のあるバーで取引相手との商談の後、呼び出した迎えの車を待っていたんです。そろそろ到着するとのメッセージを見て店の外に出ると路地からボロボロの若い女性が飛び出して助けを求めていました。周囲の人々は関わりたくない為速足で去っていき残ったのは私だけでした。すぐに携帯を取り出し警察へ連絡しようとすると女性はしがみついてきました」 『私じゃない!妹たちを助けて!!このままじゃ……』 「傷だらけの女性が指をさすのは路地裏の突き当りにある扉。そこから2mを超えるサイバネ男がこん棒をもって近づいてくるのが見えました」 『警察来るまで間に合わない!!助けて、助けて……他の友人はもう……』 「警察にコールしながら私は大男に向かっていった。警察を呼んだ、これまでだと。しかし大男はそれをあざ笑いこん棒で私を殴りつけてきた。武道の経験があって護身用のビジネスジャケットを身に着けていた私はその辺のサイバネチンピラに負ける気などしなかった。その考えは甘く、こん棒の一撃で私は吹き飛ばされ壁に叩きつけられました。護身用ジャケットのセーフティが発動し無事でしたが車に激突されたような衝撃でショック状態になり動けなくなりました。これまでかと思った時に上から小柄な女性が降ってきて大男の頭を踏みつけたのです。それが蒐魅でした」 『あんたのおかげで間に合った感謝するよ』 「そう言うと蒐魅は両腕のブレードで大男のサイバネアームを切断しエビぞり状態でワイヤーで拘束した」 『警察への連絡は?』 「『しま……した』と何とか声を絞り出して答えました」 『じゃあ後は中にいるクズ共の始末ね』 「ブレードで扉を切り裂いて中に突撃する蒐魅。怒号、悲鳴、銃声が聞こえてきましたがものの十数秒で静かになり、中から傷だらけの少女を二人の手を引いて蒐魅が出て来ました。少女たちは姉と抱き合ってました。この時蒐魅に聞いたのですが中では腹をすかせた猛獣と人間を同じ檻に入れその様子を楽しむという異常な行為が行われていたと」 『この街はこういった下衆が多いんだよ。あんたみたいなエリートサラリーマンには関係ないだろうがね』 「そう言った蒐魅の声は怒りで震えていました。小柄で高めの声、ざっとみると全身はほぼサイバネに見えアンバランスさに驚きました」 『チッ……また左足首が』 「私はサイバネ技術の技術開発部門であったので蒐魅の左足首の関節の違和感が何かすぐに予想がつきました。私は助けてもらったお礼に体の調整を申し出ました。蒐魅は最初断りましたが私が電子名刺を見せると少し考えた後付いてきてくれることになりました」 『院瀬見の重役がこんな事していいの?』 「『いいんです。貴女にお礼をしなければきっと後悔しますから』私は自宅とは別にある作業場兼寝床の家に連れて行きました。院瀬見の誰も知らない秘密基地です」 『隠れ家?あんたここで何しようとしてたの?』 「『実は……』私は蒐魅に話しました。警察の目の届かない所で行われている凶悪犯罪。それらをどうにかしたい。妻が亡くなる原因も娘が家出した理由もそこにあったので。秘密基地には院瀬見の技術の粋を集めたサイバネパーツやスーツを揃えていました。いつかこれを装備してオータムホースシティの平和を影から守るシャドウナイトになるのだと」 『アタシの他にもそんな事を考えてる奴がいるなんてね。しかも大企業院瀬見の重役』 「わたしと手を組んでくれないか?そうすれば私は貴女を全力で支援できる。残念ながらさきほどのサイバネ相手に立ち向かった時に思い知らされた、私にはあんなサイバネ達相手に勝てない」 『お金持ちの趣味に付き合うのも悪くないかもね。ああ、皮肉じゃないよ?余裕のある人間じゃなければアタシなんかと関われば不幸になるからね』 「これが蒐魅と出会った時の話です。私は蒐魅が兜金の人間だと後になって気が付きましたがこれは縁だと感じましたね。院瀬見は世界をより良くする為に大きくなったはずでした。KAMINAに追い抜かれいつの間にか内部抗争に明け暮れ院瀬見は腐り始めました。蒐魅の祖母が院瀬見の人間だった頃が一番輝いていた時代でした。この街の平和と院瀬見立て直しの為に私は人生を捧げる決意をしました」 鈴村功太朗は熱く語る。正直者で正義感も強く情熱もある、なるほど蒐魅が組むことを認めた訳だ。 「そうして蒐魅とあんたは活動し始めたんだね。じゃあグレイブラスターを蒐魅は手に入れた後は?」 ボクはグレイブラスターを左手に持って見せる。 「……それは蒐魅が偶然第六地区で見つけたのです。流れ星が落ちた地点にそれはあって一目見ただけで惹かれたと言ってました」 「蒐魅の様子は変わっていった?」 「ええ……活動を始めた頃は二人で計画を練って慎重に動いてたのですがそれを手に入れて使いこなしだした蒐魅は単独行動が多くなり大胆に仕掛ける事が多くなりました。あっという間に裏社会では知れ渡り【グレイブラスターの蒐魅】と呼ばれるようになりました。そしてあっという間に第六地区にある半グレグループを兄の大河と共に全滅させたのです。その頃にDMCの活動も活発になりだしました」 「ふ~ん……当然蒐魅はDMCを何とかしようとしたでしょ?」 「ええ、ですがDMCの会員は何知らないただの一般人が多いので巻き込む事は出来なかった。それに有名になってしまった蒐魅は警戒されDMCは中々尻尾を掴ませてくれませんでした」 「DMCはこそこそしてたわけね。それで第六地区はどうなったの?」 「第六地区は大河のチームG/Tによってまとめられ抗争は無くなりましたが代わりにハンターと呼ばれる者達が他の地区から人攫いに来るようになりました。しばらくすると怪人と呼ばれる異形の者も現れ出し、私と蒐魅は対策を練る事にしました」 「……もしかして」 「キャリバー計画です。グレイブラスターは出現させている間は変身することが可能なので全身と銃を覆って突如出現した謎の存在として活動を開始したのです。流石に私と蒐魅だけでは第六地区と他全てに対応できる訳がなくG/Tにも協力を頼みました」 「それで順風満帆とはいかなかったんでしょ?Mってのが現れたから」 「そうです。Mは怪人に遭遇すれば退治してくれましたが、目的はキャリバーでした。グレイブラスターの破壊もしくはキャリバーの討伐。彼女も神出鬼没で更にキャリバーの弾丸が通じませんでした。Mの操る剣で弾丸は防がれ無効化されるのです」 「Mの正体は掴めたの?」 「いえ……G/Tの中に探偵業をしている者がいるとの事でその人物が調査していましたが判明しないまま蒐魅は行方不明となりました」 「……ボクたちはMの正体を知ってるけどね」 「おお!そうなんですね!是非お聞かせください!!」 ボクは説明が下手のなので代わりに和音君が答えた。比留山刑事や新しい組織の事は上手い事伏せて分かりやすく鈴村功太朗に聞かせた。流石! 「そうでしたか……M、いや亜瑠さんと蒐魅は親友。お互い正体を知られたくないと隠してたんですね。それ悲劇に繋がった、亜瑠さんは意識不明、蒐魅は行方不明……」 「悲劇とは言い切れないぞ」 和音君が言った。ボクを見て言った。 「まだ確証を得てないがここにいる柄留が亜瑠の導き出した最適解だと思っている。グレイの支配から蒐魅を解放しMの使命も果たせる方法、それがこの形になったのだと」 「??私にはさっぱり解りませんが……柄留さんが悲劇を回避した結果だと?」 「ああ、コイツの使う力は白魔女とグレイマン両方だ。相反する二つの力を有する存在がここにある。オレは亜瑠と双子だからある程度考えてる事はわかる。柄留の存在は蒐魅を救うために導き出した答えだと」 「では……柄留さんは蒐魅なのですか?」 「違うだろう。だが無関係ではない」 続く
Aug 29, 2022
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柄留:銃を撃つゲームなら世界ランキングに入れると思っている。ReviveTheGunSword灰蘇の剣銃19「龍の息吹(ドラゴンブレス)」 和音君の美味しい朝食を頂きながらテレビに視線をやるとモクモクと黒煙を上げる工場、ヘリコプターからの映像が映っていた。 「第五地区……比留山刑事の話だと鈴村功太朗は第五地区に居るのだが」 今日これから会いに行く鈴村功太朗。キャリバーと蒐魅の事を知っている需要な人物だ。 「めちゃくちゃ煙出てるね和音君」 「ああ……だがおかしいな。少し調べたが第五地区はある意味この街の心臓部、火災が長々と続かないように高性能を謳った消火システム、消火ロボやドローンなどがサイトで紹介されている。それらが消化活動をしている数が少なすぎる気がする」 「むむ……消防車の数も少ないよね?あれってわざと燃やしている?それとも何か意味があるのかな?」 「考えられるのは誰かに対するメッセージか。一見派手に燃えてるように見えるが実際はそうでもないのかもしれない。或いは第五地区に今は注目させておきたいとかな」 あの屋上で襲ってきた工作員といいDMCが何かやってる? 「柄留、食べ終わったら急いで準備をしろ。守山探偵事務所に行くぞ」 「はーい」 ご飯を食べるのは急かさないのが流石和音君!ボクは空気を読める女だから慌てないようになるべく急いで丁寧に朝ごはんを口に運ぶ。 ニュースはCMに切り替わり最新のサイバーゴーグルを芸能人が紹介してる。12万とか高っか……携帯端末でちょこっと調べた所、サイバーゴーグルは元々軍用で開発されたものらしい。一般用にしたのがCMのサイバーゴーグル。インプラント無しでも8割程度の機能が使えると言っている。 「サイバーゴーグルか……瞬栄さんも持ってるな。病院の職員の多くが使っているぞ」 「そうなの?ボクIDが無いから勝手に病院入れないし知らなかった」 「サイバーゴーグルを着ければ装着者だけが見えるホログラム画面を手元に出せるからな、荷物にもならず両手も自由になる。傍から見たら宙を手で動かしてるようにしか見えない」 「そうなんだ!和音君使ったことあるの?」 「ああ、一世代前のを亜瑠が持っていた。CMで映ってたような眼鏡型じゃなくて明らかに大層なヘルメット型だったがな」 「ふーん……」 蒐魅は使っていたのかな?ほぼフルサイバネだし……若しくはキャリバーに変身すればサイバーゴーグルみたいなことできたのかもしれない。 支度をして家を出るボクと和音君。 あ、そういえばG/Tのサイドカーバイクは発信機がついてるんだっけ?じゃあ壊せばいいかな。 「発信機あるから壊したいよね」 「何処についてるか分かるのか?」 「知らない、でも大丈夫!」 グレイブラスターを掲げて上に撃つ。光の弾丸は散らばってボクの体にくっついていく。 「弾着!」 ゴーグル、胸、腰、肘、膝に灰色のアーマーを纏う。あんまりゴリゴリに弾着する必要も無いから今回はおとなしめで。肝心のゴーグルは……やっぱりサイバーゴーグルっぽいやつだ!成功!! 「スキャン!」 バイクをスキャンしてシートの裏に発信機を見つけた。 「どうだい和音君!弾着も使いこなせてきたっしょ?」 「そうだな」 和音君は発信機を取り外して握りつぶした。 「さぁ行くぞ」 和音君の運転するサイドカーで守山探偵事務所に向かう。 *** 厳重なセキュリティが施されたビルを進み事務所に到着した。異常なまでに厳重な理由は比留山刑事の話で少し解った。秘密組織のアジトってこうでなくちゃ。 「お待ちしておりましたよ」 サイバーゴーグルを装着したビジネススーツ姿の守山罅助が出迎えた。 「比留山刑事から既に話は聞いている」 「ええ、自分も先ほど陶子さんから聞きました。歓迎しますよお二方。そしてこれまで詳しい話をせずに試すような真似をしたことを謝罪します」 「オレはようやく亜瑠に追いついたって事か」 「早過ぎるほどですよ。流石は亜瑠さんの双子のお兄さんです、あの人はこうなることが分かって引き寄せたのかもしれませんね」 「……かもな」 「そのサイバーゴールは何?」 ボクは罅助が今日に限ってつけてるのが気になった。 「すみませんね、実は他の仕事中でして……ドローンの映像をこうして確認させてもらってます。このままお話をさせてもらっても大丈夫ですかね?」 「ああ」 「いいけど……」 「比留山刑事のチームに入った後も探偵業は続けるのか?」 「続けますよ。引き受ける依頼は減らしますが」 罅助はサイバーゴーグルを取り外して机に置いた。 「これから鈴村功太朗に会いに行きます。お二人とも一緒に?」 「そうだ」 「ではすぐに行きましょう。街に不穏な動きがあります急いだほうがいいですね」 「そうなのか」 「その辺りは移動しながら話しましょう」 事務所の奥に進むと電子ロックの扉があり通り抜けると地下の駐車場に繋がっていた。そこには3台の車があった。 「真ん中の車で行きます、さぁ乗って下さい」 真ん中の黒い車は車高が低く全面に装甲が施されている。スポーツカーの装甲車といった印象を受けた。 後部座席にボクと和音君が乗り込む。3重シャッターを潜り抜けて車道に。車は第五地区に向かって走り出す。罅助はハンドルに取り付けられたタッチパネルを操作して電話をかけだした。 「鈴村さんおはようございます」 『おはようございます守山さん』 「今そちらに向かっています、例の二人も一緒です」 『なるほど……それなら少しは希望が持てる』 「到着するまでどうかこのまま通話状態でお願いします」 『分かった』 交差点の信号で停止する。罅助はバックミラーを見て「来たか」と言った。 「どうした?」 和音君が後ろを見る。ボクも同じ方向を見る。 「予想通りの男が付けてきたので」 男?どれどれ……特徴的なサイバネフェイスをしたバイク乗りが見えた。アイツか! 「七曲キョウヤか」 和音君も見つけた。 「昨日から少しつついてやったのですよ。わざと隙を見せて釣りました」 「何故奴を?」 「院瀬見の犬だからです。つまり鈴村功太朗氏にとっては非常に邪魔な存在。周囲をウロチョロされるよりはこうして釣って捕らえようってわけです」 「あの男、院瀬見に雇われているのか」 「まぁ院瀬見といっても複数の派閥がありますからね。その一つに雇われたのです、鈴村功太朗氏に敵対する派閥ですね」 「七曲キョウヤはG/Tのメンバーでもあるのだが……」 「兜金大河は言っていないでしょうが兜金家も院瀬見の派閥に関係してますからね。大河の祖母が院瀬見の一派閥のトップでした。七曲家と兜金家はその頃からの付き合いなんです」 『院瀬見は私、鈴村功太朗の派閥を含め主に5つ存在しています』 「院瀬見と兜金家……蒐魅と鈴村功太朗の繋がりか……」 和音君が静かに言った横顔カッコいい! 『私の派閥は穏健派で弟の影彦の派閥は強硬派。他には保守派、リベラル派、中立派』 「……企業の派閥の事なんか興味ないよ」 ボクは小さくため息をついて言った。 「ボクが知りたいのはどこが敵かってだけ。企業の事情なんてボク達に何か関係ある?」 『驚いた……蒐魅がそこにいるのかと思いましたよ』 「蒐魅の事はこれからじっくり聞かせてもらうから」 『もちろんです。それで話は戻りますが弟の影彦の強硬派は近年勢いを増してきたのです。そして第六地区の再開発の話を持ちだしました』 「諸田和音君ならすぐに察するでしょう?ここ数日この街を見て回り話を聞いて、体験してきたのなら」 何でか分からないけど罅助が得意そうに言った。試そうとしないでさっさと言え! 「院瀬見の強硬派とDMC、六区住民を狙うハンターに怪人、収容所……」 メモを眺めてる和音君。ボクにはさっぱりだから黙っておく。 「DMCを潰せばそれで終わりという簡単な話ではないな……」 「そうですね、だから我々は鈴村功太朗氏をバックアップします。私たちは院瀬見外部の人間ですが出来る事は沢山ありますからね。守山探偵事務所はこの街を守る為にあるのです。院瀬見の実権を握る人間によってこの街の治安は変わるのです」 とにかく今は鈴村功太朗を死なせちゃダメって事ね。悪い奴に好き放題させない為にも。 車は第五地区に入る。トンネルを抜けると合流車線から大型トレーラーが並走してきた。 いつの間にか七曲キョウヤの姿は消えていた。 「やはり現れましたか。七曲キョウヤが呼んだのでしょう」 罅助が言った。 「……」 「え?」 そうなのかな?ん?あれ?でも……それだと七曲キョウヤの行動おかしいような?さっき話しに出てた他の派閥の奴かも?でもとりあえず幅寄せして事故らせようとしてくるトレーラーの奴は敵だ! トレーラーの影からから出てきたワゴン車はボク達の乗る車の前に位置取りし減速し始める。 「どうすんの?やるならやってやるけど?」 ボクはグレイブラスターを取り出して言う。 「ここらで力を見せつけてやるのも悪くないですね。柄留さんは勿論、和音君も宜しくお願いしますよ」 罅助が言った。ゆっくりと車を路肩に停止させる。 「柄留、オレの手助けは無用だ。お前は車と自分の身を守れ」 「はぁい」 トレーラーの荷台から黒マントフードの大男が現れた。ワゴン車からは黒ずくめの男達、機械音からサイバネと分かる。 「ヌガハハハハハハハ!!殴ってやるぞ!壊してやるぞ!そして俺を見ろ!!」 マントを広げる大男。前に会った変態マント怪人だ!! 「ヌガハッ!イケメンぶっ潰しだぁ!!」 ハンマーパンチを振り下ろす大男、和音君はそれを左手でキャッチボールするかのように受け止めた。 「ヌナアアッ!?」 「それがどうした変態男」 「俺のワンパンで逝かなかったのは驚いたが今のは2割程度のパンチ。それを受け止めただけで調子に乗るなよ!!」 「いいぞ、来い。遠慮なく全力で」 「死んで後悔しろヌガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」 変態怪人は大きく両手を振り上げてハンマーパンチを振り下ろす。再び左手で受け止めた和音君。足元のアスファルトに亀裂が入った。 「バ、バカナァアアアアアアア!!」 「次はオレの番だな」 軽くフッと息を吐いた和音君。瞬間変態男は光に包まれ後方に飛び、トレーラーの荷台に激突した。 見た!見たよ!!あれが龍の息吹(ドラゴンブレス)!! 凄い!!全力で放ったらどうなっちゃうんだろう!! 「ヌガ……」 「どうした?ほんのあいさつ程度だったが?」 「テメェ……何者ダァ……」 「高校生だが?」 「フザケテルンジャネー!!怪人化し人類を超越した俺に向かって舐めた口聞きやがってぇぇえええええええええ!!」 咆哮する変態怪人。空気が振動する、その場にいた全員の動きが止まった。 「全力の粉砕パンチで跡形もなく木っ端微塵にしてやるぜえええええええ」 全身から蒸気を発っし赤くなっていく変態怪人。右腕は熱した鉄のようになっている。 「ヌガアアアアアアアアアアアッ!!」 全力パンチを仕掛ける変態怪人。和音君は怪人の横を通り抜けた。 「チィッ!避けやがったか!!次はぶっこんでやるぞ」 「できるのか?」 そう言った和音君の手には変態怪人の右腕が!!肘から先を無くした変態怪人は切断面からモクモクと蒸気をだして硬直している。 「ありえねぇ……ありえねぇえええええ!!」 ボクがこの前コイツと戦った時は使いこなせてなかったとはいえデモンズエッジ・スキャバードでダメージ与えられなかった。その変態怪人を圧倒してる!和音君凄すぎー!! 「怪人はこの程度の力なのか?」 「クソがあああ!!そんな訳ねーだろ!!」 「お前のボスは誰だ?答えてもらうぞ」 「バカが!答えるわけねーだろ!!」 大きく息を吸い込んで例の臭い煙を吐き出す変態怪人!煙が充満するまえに和音君は一瞬で背後に回って首根っこを掴んだ。 ボクとサイバネ達は和音君が凄すぎて目を離せないまま膠着状態だ。 「ヒィイイイイイ!!何なんだよお前はあああああ!!」 「質問に答えろッ!!」 和音君の目が一瞬人間じゃない輝きを発した。間近でそれを見た変態怪人は脱力、抵抗する力を失っていた。 「俺たち怪人のボスは……かかか……怪人王……です」 「そいつは何処にいる?」 「第五地区に居ます……地下のアジトで毎回場所が変わるので今はどこにいるか……」 「DMCと怪人王の繋がりは?」 「知りませぇん……俺はヤクがバレてクビになった只のサラリーマンでぇ……」 「何故怪人化した?」 「収容所で治療を受けてたら気が付いたら怪人にぃ……選ばれしものと言われましたぁ」 意識を失って倒れる怪人。体の変形は元に戻り右腕は肘から先がないまま傷が塞がっていた。 「えー!凄い和音君!!なんで今まで力使わなかったのー?」 「目立たない為だ。だがもうそんな必要もなくなったからな。柄留、さっさと残りを斃せ」 「りょうかーい!」 思い出したかのように動き始めるボクとサイバネの連中。 続く
Aug 21, 2022
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諸田和音:自分自身が非現実的な存在な為オカルトを頭から否定しないReviveTheGunSword灰蘇の剣銃18「特殊犯罪対策課」 屋上には他に手掛かりは無かった。柄留が服を手に入れた下のファッションフロアーの店員に話を聞くのは営業時間の方がいい。閉店時間に侵入してもリスクが大きい。 オレと柄留は諦めて瞬栄伯父さんの家に戻る。 「明日は鈴村功太朗に会いに行くぞ。それからDMCの集会への潜入だ。一応比留山刑事には話しておいた方がいいな」 「やっと亜瑠ちゃんに追いついてきた感じだねー蒐魅の手がかりは全然ないけど……」 「気になるのは招待状が一枚って事だな。一人一枚ならどちらかしか入れない」 「じゃあボクが潜入するよ多少マズい事になってもグレイブラスターで誤魔化せるでしょ?それにほらボクはID無いから後々面倒な事にもならないし」 「……別の意味で心配だな。オマエがやりすぎないかと」 「大丈夫だよ……多分!どうせイカれた連中ばっかだし痛い目にあわせなきゃ」 「……本当に大丈夫か?柄留、なにかオマエ変わってきてるぞ?」 「うん?そうなの??わかんないけどボクがボクを取り戻しつつなるのかな?」 柄留はグレイブラスターをいつの間にか取り出してリボルバー回しをしている。 「左手……右手……うーんやっぱり銃は左手で撃つ方がボクには向いてるかも」 ベランダに出る柄留。ペットボトルを二つ離れた位置に置く。 「何をするんだ?」 「速撃ちってやつ。出かける前に動画で見てたんだけど生身での最速は0.02秒。サイバネでもこの速さに到達できるっぽいけど射撃の正確さは未だに生身の速撃ちの人なんだって、凄いよね」 「で、その速撃ちの達人に挑戦しようってのか?」 「うん!多分だけど……蒐魅はその達人並だったんじゃないかなーって。それならボクもやらなきゃって。まぁ見ててよ和音君、弾は空気弾にするからさ」 柄留はグレイブラスターを一度消した。両手をさげてブラブラさせそして夜空を見上げた。次の瞬間、グレイブラスターを出現させて腰撃ちで二つのペットボトルを撃ち抜いた。 「全然だめだぁー多分0.1秒くらい……相手が速撃ちのサイバネマンだったらボク負けちゃうよー……」 「負けないんじゃないか?オマエ弾はくらわないとか言ってなかったか?」 「そうだけど速さ勝負に負けるじゃん!先に撃って先に弾丸ぶち込みたいの!」 再び速撃ちを行う柄留。今度は先ほどよりも速かったが一発外した。 「速さだけなら1発だけならあの動画の達人オジサンに迫れるんだよねー……それなら弾を誘導にして1発で沢山撃ち抜けばいいかな」 「ほどほどにしておけよ」 オレは部屋に戻って亜瑠のデータを見ながら考える。 蒐魅はDMCと関わっていたに違いない。そして亜瑠も気が付いたはずだ。 DMCの目的は不明だが怪人騒ぎの原因と考えられる。そこに現れたのはキャリバーだった。キャリバーは怪人を斃して回った。 亜瑠はMとして蒐魅を追っている最中にキャリバーを知ったのではないか? キャリバーの正体として考えられるのは蒐魅、それと鈴村功太朗。もしかすると二人はチームを組んで活動をしていたのではないか? 亜瑠(M)とキャリバーは何度かぶつかりあった? お互いの正体を知らないまま親友同士の亜瑠と蒐魅はMとキャリバーとして…… 『デモンズエッジ・スキャバード!』 柄留がベランダで叫んでいるのが聞こえてきた。 「……ん?」 また亜瑠の携帯にメッセージが入った。例の読めないメールだ。 …… これを解読すればミレーヌが何者か手がかりが掴める気がするが。 一旦机を離れ茶を淹れて来る。 一息ついたところで比留山刑事の事を思い出した。10回目のコールで漸く出た。 『……諸田和音、何の用だ?』 「キャリバーとDMCについて聞きたいことがあります」 『そうか、なるほど……そこまで調べたか。とはいえ私がお前と会える時間と場所は限られている1時間後迎えに行く』 「わかりました」 ―1時間後 比留山陶子刑事の運転する車が家の前に到着した。素早く乗り込むオレと柄留。車はオータムホース環状線道路に入る。 「この車は守山探偵事務所の所有するものだ。安心しろ警察には追跡されてない」 「やはり比留山刑事は守山探偵事務所とやり取りしているんですね」 「まぁ……そうだな、今後もやり取りすることになるだろう。これから色々と話す……諸田亜瑠がここに居れば話は早かったんだが」 比留山刑事が柄留をバックミラー越しに見る。 「さてまずは……そいつの存在だ。どうにも気になってな、こちらでも色々調べたのだが何も出てこない、そいつはある日突然この街に出現した事になる。そしてお前はあって間もないというのにそいつに世話を焼いている」 「むむ」 柄留は眉をひそめて比留山刑事を見ている。 「比留山刑事はオレと柄留を調べていたんですね。だからオレ達警戒させないために距離を取っていたと」 「悪く思うなよ。お前が亜瑠の双子の兄だとしてもいきなりすべて話すわけにはいかない。疑ってかかるのが刑事の性分だからな」 比留山刑事はダッシュボードから紙のファイルを取り出してオレに渡してきた。 「とりあえずそれに目を通してくれ、その方が話が早い」 ファイルの表紙には特殊犯罪対策課と書かれていた。目次にM(ミレーヌ)についての項目を見つけた。 「特殊犯罪対策課……ミレーヌ……」 「ああ、私は近いうちにそこの課長になるだろう。ミレーヌは隊員の予定だった」 ミレーヌ・ジンデル 黄金の暁会第三団・白魔女。 通称『剣の魔女』 現実離れした単語が並んでいる。創作の世界でしか目にすることのないような。 「フィクションのように思えるだろう?私も始めはそうだった。まぁ現実離れした存在はこの街に珍しくはないからすぐに受け入れたがな。亜瑠からも色々と聞いている龍の事も」 「ミレーヌが隊員の予定【だった】とはどういう事なんですか?」 「ミレーヌは自らの使命で一時的に現界してるの過ぎないのだと知った。つまり白魔女とは使命を終えればこの世界から消え彼女らのいるべき場所に帰るのだ」 「ミレーヌの使命とは?」 「外宇宙からの侵略者の脅威を排除する事。ミレーヌはこの街に現れた外宇宙の脅威を始末しに現れた」 「外宇宙?侵略者?この街にエイリアンが?」 「そうだ。ミレーヌはエイリアンらの事を【グレイ】と呼んでいたな。そして世界中に既にグレイは現れ人類滅亡を狙っていると」 ファイルを見ていくと世界中で起きているテロや事件、戦争などの事が書かれていた。 「2か月程前に京都で起きたあの集団テロ事件の事も書かれてますね」 「京都の事はグレイだけが原因ではないが……深く関わっていた。この街も京都のような事態に……いや、それ以上に悲惨な事が起こっていたかもしれん。諸田亜瑠とミレーヌのおかげで防げた」 ファイルを見ていくとキャリバーの事について書かれていた。 【グレイキャリバー】 「キャリバー!?」 「キャリバーはグレイに魅入られた【グレイマン】の一人【グレイキャリバー】だ。怪人退治のヒーローなどではない。人類滅亡を企むグレイの手先となったグレイキャリバーだ」 「じゃあ蒐魅は……」 「グレイに魅入られてしまった。白魔女はグレイの存在を感じていてもグレイマンとして覚醒するまでは様子を見るのだ。こちらの世界で活動するために人間と契約して同化する場合もある。白魔女は本体はなく霊体のような状態なのだ」 「亜瑠はミレーヌと契約したという事ですか」 「ああ。白魔女は魂の波長が合う、生命力が強い、肉体を維持できる媒介を持っている者、若しくは作り出すことが出来る者などを選ぶ」 「蒐魅の話に戻りますが……グレイマンとして覚醒した場合白魔女はどうするのです?」 「その場合グレイの魂を破壊するか宿主本体を破壊するかだな。どちらにせよ無事では済まない」 「それでは蒐魅は……」 「消えた……と言いたいところだがそいつの存在のせいでよく分からんことになっててな……」 再び柄留に視線を送る比留山刑事。柄留は珍しく大人しくして話を聞いている。 「ミレーヌと亜瑠はグレイキャリバーに変わった蒐魅を討った。相打ちになったとも言えるが……その後そいつが現れたのだ。白魔女とグレイの両方の性質を持つそいつだ。おまけに見た目は亜瑠にそっくりだ」 「すぐにこいつ、柄留を捕らえなかった理由は何ですか?」 「マークをして様子を見る事にしたのだ。亜瑠の意識が戻るまでは下手に動くべきではないとな。そこに和音お前が来たのだ、幸いにもその謎の女をお前が管理しているのを見てな。お前の事は亜瑠から聞いている、任せても大丈夫だと判断した。下手に生身の人間がそいつを捕獲しようとするよりずっと安全だからな」 「柄留を見つけたのは偶然……いや亜瑠の力が影響してるのかもしれませんね。話は変わりますが警察はDMCや他の犯罪者に対しては後手に回っているように見えます。怪人騒ぎに対しても警察は何かしているのですか?」 比留山刑事は小さくため息をついて煙の出ないタイプの電子タバコを咥えた。 「……警察はデカい組織ゆえに色々としがらみも多いのだ。DMCに関しては大物政治家や警察上層部や経済界の重鎮などが関わっている。怪人とDMCを結びつける証拠は表に上がってこないし動けるのは事後処理のみだ。ヒーロー魂で現場に突撃して怪人と戦おうとするバカ刑事も居るには居るが家族の安全とは天秤にかけられない。皮肉なことにこれまではグレイキャリバーに助けられていた事になる」 自分自身を鼻で笑う比留山刑事。 「ある意味ではグレイキャリバーはダークヒーローだったんだろうよ。でもな、グレイマンは放っておけない。怪人が消えDMCが消えた後グレイキャリバーは何を始めると思う?戦うべき相手を求めて敵対象の拡大だ。奴の脅威は単体だけのものじゃない。グレイキャリバーは奴の力の一部を使える武器を産み出すことが出来る。それで容易く武装集団を作り出せるのだ。思考を操る弾丸を使えば集団扇動も奴にはお手の物、あっという間にこの国はグレイキャリバーに支配されてしまうだろう」 「……」 「私は兜金蒐魅がグレイキャリバーに選ばれて良かったと思っている。素直で純粋ゆえに危なっかしい奴だったがな。蒐魅が私刑を行ったような連中、どす黒い感情をかかえるこの街の悪人共がグレイキャリバーにならなくて本当に良かった」 「……比留山刑事、鈴村功太朗の事はどう考えてますか?」 「蒐魅と接触があったまでは掴んでいるが、そこまでだ。あの男が蒐魅に共感して協力していたと考えている。グレイキャリバーを消滅しきれていないのなら次はあの男が成るとマークはしている」 「亜瑠の事は」 「……今は医師に任せるしかない。一応科学以外に詳しい者にも依頼はしている、多忙でこの街に来るのはまだしばらくかかるそうだが」 「あの……」 大人しくしていた柄留が小さく手を上げた。 「グレイブラスターの弾丸で亜瑠ちゃんを覚醒できるんじゃないかなーって……」 「やめておく、専門家が来るまでは下手な事はしない。得体のしれないお前という存在の手は特に借りれない」 「はい……」 申し訳なさそうにうつむく柄留。 「ここまで知ってしまったお前たちはもう自由に行動は出来んぞ?下手にこの街を出ようとするならすぐに指名手配となる。秘密を守り協力するというのなら別だが」 柄留がすぐそばにいるというのに強気な発言が出来る比留山刑事。並の度胸ではない。 「脅すつもりではないのだが職業柄こういう言い方になってしまったな。要は特殊警察の仮隊員としてこの街に居る間は行動してくれという事だ。私からの指示は守山探偵事務所を通じて行う」 「……もしボク達が勝手に動いてDMCを壊滅させたとしたらどうなるの?」 柄留が泣きそうな顔で言った。 「それはそれで構わんと個人的には思うが……後始末がとんでもない事になる。その混乱に乗じて訳分からん連中が出てきたら対応できん、この街の機能は停止するだろう。理想的なのは……世間的にも物理的にも完全に潰す事だ。初めからDMCなど無かったことにするのが一番なのだ」 「そんな事ができるの?」 「私が就任する特殊犯罪対策課の上の存在はそのくらいのことが出来るのだ。準備に時間は掛かるが可能とだけ言っておく」 オレ達を乗せた車は環状線道路を降りて街中を走る。 「大体の事は話した。何かあれば守山探偵事務所に行くと良い。最後に何か聞きたいことはあるか?」 「では二つ。まずは井之頭刑事についてなんですが」 「……あの男か。刑事としては優秀なのだが上の存在に振り回されている。DMCに関わっている警察関係者に良いように使われるだろうな。お前たちはあの刑事になるべく関わるな、もし何かあれば守山探偵事務所に報告しろ」 「はい。ではもう一つ、明日オレたちは鈴村功太朗に会いに行くつもりです」 「なんだそうなのか。それなら守山探偵事務所に寄っていくといい、私から言っておく。鈴村功太朗に会いたければ罅助に頼むのが早いだろう」 「……わかりました」 「ではまたいつか会おう。それまでソイツ(柄留)の管理は任せたぞ諸田和音」 「ええ、任せてください」 車を降りるオレと柄留。柄留の表情が暗い。 「らしくないぞ柄留どうしたんだ?」 「だって……グレイの事とか蒐魅の事とか亜瑠ちゃんの事とか……ボクのせいで蒐魅は消えて亜瑠ちゃんは意識不明になったんじゃないかって思うと……」 「どうしてそうなる?」 「だって……刑事さんの話だと白魔女の武器とグレイの武器両方使えるのおかしいじゃん。相反する二つの力だよ、きっとボクが蒐魅と亜瑠ちゃんを吸い取ったんだよ……ボクの本体はきっとミレーヌだ。使命を果たす為にやらかしたんだよ……」 「結論を急ぐな、お前が何者だろうとオレは途中で見捨てるなんてことはしない」 「かずねくぅ~ん~~~~!!」 腕にしがみついてきた柄留。頭に手を置いてそのまま家の中に誘導する。 「絶対いい子にしてるから、役に立つから……」 「出来る事をしていこう。比留山刑事のあの様子だとお前を悪いようにはしなさそうだぞ」 「そうかなぁ……牢屋にぶち込まれて人体実験されるんじゃないの?」 「そんなは事させない。もう今日は遅い寝ろ」 「うん……」 ―翌朝 病院から帰った瞬栄さんにコーヒーを淹れ寝室に向かうのを見届けた。 朝食の準備をしているとバスタオルで髪を拭きながらTシャツ姿の柄留が現れた。 「おっはよー!和音君!!」 昨日の落ち込み具合はどうしたのか。 「元気になったな」 「朝シャワーでスッキリしてきた!今日の朝ご飯は何~?」 「オムレツとキャベツの味噌汁だ」 「おいしそー」 頭にバスタオルを巻いて席につく柄留。オレが席につくのをテレビを見て待っていた柄留「いただきまーす!」と言い終わると同時に食べ始めた。 『今日未明、第五地区の化学工場で大規模な火災が発生し今も消火活動が続いています』 アナウンサーの声が聞こえてきた。 続く
Aug 14, 2022
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諸田和音:ミステリー小説はかなり好きReviveTheGunSword灰蘇の剣銃17「サクリファスシップ」 黒いフードの男の身長は2mを超えている。顔は暗くて見えない。 「誰だ?」 「俺が何者かなんてどうでもいい。質問に答えろどこに行く?」 「知らない人間に答える必要はないと思うが?」 「チッ……面倒なガキめ。俺は警察官だ、このバイクお前のじゃあないな?詳しい話をきこうか?」 大柄な男は刑事ドラマのように警察手帳を見せたりはしなかった。 「比留山陶子刑事を知っているか?」 「ああん?あのクソアマがなんだって?」 知ってはいるようだ、この男本物の警官か?だとするとこの場面では面倒だ。どうする?柄留はIDもない素性不明な奴だ詮索されるのは避けたい。 「タレコミがあってよぉ、指名手配犯のバイクがここに止まってるってな。なんでこの家の前にあるのか聞かしてくれよ」 「……」 後ろで柄留が何か動いている。妙な事をしてややこしい事態にならなければいいが。 「黙ってろクソポリス!グレイブラスター!!」 いきなりグレイブラスターを放った柄留。銃弾を胸に受け自称警官はその場で棒立ちになった。 「何をやっている柄留!」 「大丈夫だよ和音君!催眠弾だよ、まぁ効くかどうかわかんなかったけど」 「お前……そんなものまで撃ちだせるのか」 「なんか出来そうって、蒐魅の資料とか見てたら思い出すように頭に浮かんできたの」 「ますますお前が解らないな。お前はミレーヌではないのか」 「それよりも和音君、そこのデカいおっさんに質問してみてよ」 柄留は普段はふざけてるくせに不意にスイッチが入ったように狂暴になる。大河の時もそうだった、あのまま柄留が暴れていればどうなった事か。 「……アンタは誰だ?」 「井之頭誠……組織犯罪対策課・巡査部長」 虚ろな目で答える。完全に催眠状態のようだ。 「誰の通報でここに来た?」 「俺が首輪をつけてるクソ共の一人からだ」 「そいつの名前は?」 「七曲シンヤ」 「……あのホストか」「ウゲ、またアイツ~?」 柄留は嫌そうな顔をして舌を出している。 七曲キョウヤは弟のシンヤを使って俺たちを足止めしたのか? 「こんな所より第六地区を探ったらどうなんだ?いくらでも逮捕できるのがいるだろう」 「あの場所は上からも行くなってお達しがあった。少し前に無視して入ってたアバズレの比留山陶子は謹慎処分をくらった」 「……兜金蒐魅を追って第六地区には行かないのか?」 「第六に奴が居れば仲間のクズ共がワザワザ探しにこっちに出てこねぇよ。この街と他の東京都の地区と繋がる唯一のゲートブリッジは厳しい検問が張ってあるし交通機関には監視カメラが山ほどある。兜金蒐魅はこの街から出ていない」 「井之頭刑事、このウェビングについて知ってる事は?」 蒐魅のコンテナのウェビング写真を見せる。 「そいつは兜金蒐魅が殺人未遂を起こした連中だ。どいつもこいつも半グレに関わるクズどもだ。いっそのことぶっ殺してくれた方が良かったんだがな。連中は皆警察病院兼収容所に移送された」 「なぜ蒐魅はそいつらを狙ったんだ?」 「胸糞悪いクズ共だからな。暴行に詐欺に違法薬物の取引に人身売買にマネーロンダリング、これと言った決め手がなくて逮捕できなかった連中だ。兜金蒐魅はアイツらの悪行を知ってダークヒーローを気取ってシメたんだと周囲は騒いでる。正直警察としてもこのクズ共が街から消えて清々してる。代わりに訳の分からん怪人だかなんだかが出てきたが」 蒐魅が連中を狩り始めたきっかけはまだ解らないがこれでウェビングの謎は解けた。その後の行方不明と怪人騒ぎは繋がりそうな気がするが。 「怪人騒ぎといえばキャリバーが関わってると噂で聞いたが?」 「あれは狂人の類だな。怪人狩りをしに現れるが自作自演だと警察は考えた。多大な犠牲を払ってついにキャリバーを突き止め逮捕した。鈴村功太朗って会社員だった」 「また怪人が出てきているが?」 「複数犯の可能性が出てきたと警察は考えている。鈴村功太朗はキャリバーであることを否定してる。裁判はまだだが保釈されたと聞いた」 「蒐魅がキャリバーと関わってるという話は?」 「奴もキャリバーの一味だという線も疑い捜査している。鈴村功太朗が逮捕され兜金蒐魅が行方不明になってからキャリバーは現れていないからな」 保釈された鈴村功太朗は第五地区の仮設住宅に居るのがわかった。 聞きたいことはもうないか?井之頭刑事との会話を覚えておいてあとは比留山刑事と会って話した方がいいかもしれない。催眠弾がいつ切れるかも解らない。「ではここであったことはすべて忘れ自宅に戻ってくれ。蒐魅のバイクは七曲シンヤのいたずらだったと寝て起きれば全て催眠は解除される」 「わかった」 虚ろな目のままフードを被った巨漢の刑事井之頭は去って行った。 「しかし……」 驚いたのはグレイブラスターだ。催眠状態にできる弾丸だと?その気になれば何でもありなのかあの銃は。 「どうしたの和音君?ボク上手くやったんじゃないの?」 「上手くいきすぎて驚いている。グレイブラスターは何でもありなんだな」 「う~ん出来ないこともいっぱいあるっぽいけどね……このグレイブラスター。ギャングとかチンピラ勢が恐れてるのって蒐魅が怖かっただけじゃないんだね。超狂暴なほぼ全身サイボーグの蒐魅がこんな万能銃持ってるんだから。しかも蒐魅しか使えなかった」 そう聞くとコイツが蒐魅ではないと思う。グレイブラスターを使える理由は解らないが。 「亜瑠はこの街での蒐魅の事も調べたんだろう。普段街の外で会う蒐魅とこの街での蒐魅の違いに気が付いた」 「なるほど、亜瑠ちゃんは街でウロチョロしてる所を蒐魅に見られたくないからミレーヌの格好してMなんて名乗って捜査してたんだ。守山探偵事務所にも行った」 「ああ、そして亜瑠は蒐魅のウェビングを見つけ何をしていたか知った。止めようとしたに違いない。一方蒐魅は監視カメラに映ったミレーヌを怪しんでマークしてた」 「七曲キョウヤがここから関わって来るのかもな。蒐魅は恐らく兄の大河にMの事を話しただろう。大河は七曲キョウヤを使ってM(亜瑠)を探し始める。亜瑠は警戒して自分の姿とミレーヌの姿を使い分けただろうな。亜瑠が比留山刑事と連絡を取ったのはG/Tがらみからだろう」 「ふむふむ……守山探偵事務所の所長の徳三さんは元刑事で比留山刑事と知り合いだからね。徳三さんから紹介されたんだよきっと」 「行動を制限された亜瑠は蒐魅を止める事は出来ずにウェビングの連中は警察病院送りとなったと考えられる。その後データに残ってたやり取りがあって蒐魅は消え、亜瑠は何らかの原因で意識を失った」 「蒐魅がクズ共をシメたのはどのくらい前なのかな?」 「守山探偵事務所の話と照らし合わせると……一ヶ月ほど前になるか」 「怪人とキャリバーがでてきたのは?」 「……丁度その頃になるな」 それは一度考えたことがある。蒐魅が活動方針を変えキャリバーとして動き出したのだと。だが怪人はどこから現れた?そしてこれまでの話で一度もDMCの名前が出てこない。この街で一番怪しい集団だというのに。 「…………」 「和音君?」 DMCの怪しい何か決定的な出来事は無かったか? …… ………… あった。ビルの屋上で連中が妙な儀式で人間の姿を変えていた。その映像を見た。 「怪人はDMCから現れているのか……」「えっ!?」 柄留に説明してやる。 「おおー!!そうだそうだそんな事があった!!キャバ嬢が動画撮ってたんだ!!」 「あの従業員、当然動画は警察に見せたはずだ」 「でも動いてる感じないよね?警察内部にDMCのメンバーがいる?」 「かもな……」 あと一つ何か決め手があればキャリバーと蒐魅、亜瑠とミレーヌが繋がりそうな気がする。ミレーヌの言ってた使命とは何だ? 「あ!そういえば和音君、ボクこんなの持ってたんだ」 柄留は使い古されたICカードを見せてきた。 「どこのカードだ?見た感じカードキーのように見えるな」 「全然わかんない」 亜瑠が残したものなのか?それとも蒐魅? 誰に聞けば解る?亜瑠の関係者、若しくは蒐魅の関係者。 「……会って話を聞かなくてはならない人物が比留山刑事の他に居たぞ」 「え、誰?」 「鈴村功太朗だ……」 「ん?」 柄留は鈴村功太朗についてピンときていない。 「ねぇ和音君、ソギカワに催眠弾撃って話聞くのもありなんじゃないかな?」 「……催眠弾の影響が解らない以上無闇矢鱈に使えないぞ」 「むー……」 「とりあえず鈴村功太朗は明日だな。今日はオマエが目が覚めたビルに行くか」 「うん」 柄留が目を覚ましたビルと亜瑠が気を失って発見された場所はすぐ近くだった。 ビルは商業施設、閉店時間を過ぎ普通には中に入れない。 「和音君、裏に非常階段があるんだよ」 柄留の案内で非常階段に向かう。1階の階段口には鉄扉、厳重に電子ロックががかかっている。 「さっきのICカードは使えないのか?」 「ちょっと待って」 柄留がカードをかざすが解除されなかった。 「ここの鍵じゃなかったね」 「まあいい、それなら登っていくだけだ」 飛び上がって2階の鉄柵に手を掛けて登る。次はそこから3階に飛び移る。 「柄留、無理してついてこなくていいぞ。携帯のカメラで屋上を見せてやるからな」 「大丈夫だよ和音君、ボクだってそのくらいできるよー」 柄留はオレと同じ要領で軽々と3階まで上がってきた。 「あ、思いついちゃった!グレイブラスター!!」 グレイブラスターを屋上に向ける柄留。発射されたのはフックロープだった。 「これで一気にグイーンと屋上まで行っちゃおっと!和音君、手だして」 「いや、いい。オマエはそれで上まで行け。オレはさっさと上がってしまう」 「もー!なんで!」 頬を膨らませる柄留を置いて上の階上の階へと一気に飛び上がって屋上に到着した。 柄留もほぼ同時に屋上へたどり着いた。 「……」 「むむ」 柄留も気が付いたようだ。数名の気配がする。 「警備員ならすぐに声をかけてくるはずだな」「そだね……」 威嚇の気を放つと物陰から現れたのは4人の黒フードだった。手には儀式で使うような装飾の多い剣。 「DMCか」 「ククク……今夜の儀式にはこんなおまけがついてくるとは。死のダンスを踊って逝け」 黒フード4人は儀式剣を構えた。 「DMCなら丁度いい」 「和音君、ボク一人で十分だよこんな奴ら」 グレイブラスターを構える柄留。DMCは剣先を柄留に向ける。 「バカが!」 4人の剣先から猛毒の針が発射された。しかし柄留の体には命中せずに弾道が逸れ後方へと消えていった。 「当たらないんだなーこれが。グレイブラスターを持ってるボクに飛翔物は当たらない。お前ら蒐魅とやりあってたんなら知ってるはずじゃないの?それともバカ??」 柄留が唐突にグレイブラスターの事を語り出した。記憶?が戻ってきているのか? 「ならば直接刻んで刺すのみ!!」 黒フードたちは柄留を囲んで同時に襲い掛かって来た。訓練されたかのような洗礼された動きは素人とは思えない。 飛び上がった柄留は糸でつられたように空中で停止したまま旋回、ビーム状のものをグレイブラスターから放った。 「ぐっ……」膝をつく者、うつ伏せに倒れ吐く者、4人全員の動きが止まった。 「内蔵にズシンとダメージきたでしょ?鍛えてるか若しくはサイバネだろうけど皮膚筋肉関係なしに直接内蔵にダメージ通したら関係ないよね?」 柄留の目が僅かに橙色に光っている。 「なんのこれしき……」 一人の男が立ちあがり儀式剣をもう一本取り出し二刀流で構える。 矢のように飛び出す男。柄留は斜め後ろに飛びながらグレイブラスターを放つ。膝に2発、光弾を正確に撃ち抜いた。 「ぐぅあっ……」 派手に転倒して転げる男。柄留は冷静にグレイブラスターを構えて立っている。 「関節をブチ砕いた、もう動けない。DMCのアジトの場所吐いてもらうよ?」 「バカが……俺たちは所詮雇われの身。上級会員しかアジトの場所など知らん」 膝関節があらぬ方向に向いた男は脂汗を垂らしながら言った。 「ホントかな~?自白弾で確認しよっと」 4発の弾丸を倒れている男達に撃ち込む柄留。普段の軽薄な態度は消えマシーンのように淡々とそれを行った。 「お、俺たちは……」 男らは白目を剥きながら柄留に語りかける。 4人の男達は上級会員の一人、【I(アイ)】に雇われた元工作員(ブラックヴァリーというらしい)だった。 普段DMCは街のクラブやバー等を貸し切りイベント名目で集会を行いそこで信者を勧誘したり取引をしたり情報を収集してるという。上級メンバーは集会を取り仕切りを任されている。上級メンバーは秘密のアジトで幹部や教祖と面会するらしい。 「只の興味本位でイベントに参加したのがきっかけだった……」 「で、DMCのイベント次はいつ行われるの?」 「明日の夜……第二区のサクリファスシップてバーだ」 「いきなり行って入れる?」 「招待状がいる。ここに1枚ある、これを見せれば中に入れる……」 「おっけ~……じゃあお前らはこのまま麻酔弾で気絶してて」 4人を眠らせる柄留。グレイブラスターをしまうといつもの表情に戻っていた。 続く
Aug 7, 2022
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