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2017.11.10
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カテゴリ: 歴史
図書館で『東インド会社とアジアの海賊』という本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくると、アジアの海賊、国姓爺、アヘン戦争とか興味深い史実が見られます。要するに、清朝末期の列強の大陸侵食が興味深いのでおます。




東インド

東洋文庫編、勉誠出版、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
誰が海賊だったのか?海賊の多様性を歴史から読み解く。17世紀初頭にヨーロッパで誕生した東インド会社とその海上覇権の確立にあたって大きな障壁となった現地の海賊たち。両者は善と悪という単純な図式では表せない関係にあった。東インド会社もまた海賊であったー。東インド会社と海賊の攻防と、活動の実態を明らかにする。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、アジアの海賊、国姓爺、アヘン戦争とか興味深い史実が見られます。要するに、清朝末期の列強の大陸侵食が興味深いのでおます。

rakuten 東インド会社とアジアの海賊


アヘン戦争英メネシス号の中国兵船砲撃

アヘン戦争と清朝水師のあたりを、見てみましょう。
p280~282
<清朝に雇われたイギリス海軍>
■清朝の海上支配の動揺とアヘン戦争
 清朝の海上支配の崩壊は貿易と治安の両方面から進んだ。周知のように、18世紀末以降、世界的に貿易は拡大し、中国においても、イギリス向け茶貿易の発展により、広州貿易は急速に拡大した。ところが、この広州貿易の発展に仲介業者が対応できずに倒産するなかで、仲介業者以外の商人たちが貿易に参入し、貿易管理制度は動揺を始めた。

 一方で、中国の対欧米貿易の中心となっていたイギリスにおいても、貿易の拡大の中でイギリス東インド会社以外の商人、アジア間貿易をになう地方貿易商人が成長し、彼らの批判もあって東インド会社の貿易独占権は失われていった。そして1834年には中国貿易の独占権を失うことになる。中国における東インド会社の時代は終わったのである。こうして中英双方で既存の貿易制度は変更を迫られていた。

 治安の問題についてみると、18世紀末~19世紀初頭にかけて、いわゆる「嘉慶海寇」と呼ばれる海賊活動の活性化が、中国東南沿海においてみられた。清朝水師にこれを十分に鎮圧できる能力はなく、海賊を投降させて水師として雇用する招撫や、ポルトガルの軍事力利用など、様々な手法でどうにかこれを沈静化させた。

 嘉慶海寇の沈静化の背景には、アヘン貿易の発達があるだろう。東インド会社がインドにおいて専売したアヘンを広州周辺に大量に持ち込んだのは地方貿易商人であるが、広州周辺でこれを入手していったのは沿海の広東人・福建人である。かれらの多くが漁業・海運関係者であり、もともと海賊であった者も多い。実際、アヘン運搬船は清朝水師が手を出せないほど重武装している場合もあった。

 沿海の人々にとって、小型船を襲撃する海賊稼業よりも、アヘン貿易はより大きな利益があったであろう。このアヘン貿易の拡大によって銀が流出したことは、清朝財政に大きな影響を与えたため、清朝は真剣にこれを取り締まろうとした。しかし、貿易管理を仲介業者に依存していたために、中国人側の行為を取り締まることができず、結局外国人商人のアアヘンを没収い、それがアヘン戦争の契機となる。

 1840年に始まったアヘン戦争であるが、戦争そのものは、軍事技術の格差だけでなく、清朝側の戦術の拙劣さもあり、清朝側の一方的な敗戦に終った。なかでも、東インド会社海軍の汽走砲艦メネシス号の活動はめざましいものがあり、先述の挿絵もメネシス号の活躍を示している。ただし、中国に派遣されたイギリス艦隊の大半は帆船であり、また老旧艦であった。そもそもイギリス海軍の主力は本国防衛と地中海方面への対応のためヨーロッパ海域に展開していたのである。もっとも、清朝相手ならばこの程度の海軍力で十分であるとイギリスは判断したのであろう。

 実際、対外戦争を経験したことのない清朝水師は大打撃を受けた。イギリス艦隊は沿海の広範な地域に展開したが、戦場となったのは広州周辺から、福建(〇門)、浙江(舟山、寧波付近)、江蘇(乍浦、上海、鎮江)で、いずれも海上・水上交通の要衝であった。このうち広州周辺の戦闘で清朝側は戦闘ジャンクを少なくとも数十隻を失い、〇門では40余隻の戦闘ジャンクが破壊された。

 これによって、広東・福建の水師は海上警備能力を失い、清朝の海上支配はここに完全に崩壊した。そうした中で、海賊活動も活性化し、清朝に代わってイギリス海軍がその掃討にあたるという事態も生じていた。

清朝が無償でイギリス海軍にアウト・ソーシングしていたような状況が皮肉です。
なお、イギリス向け茶貿易については、 『紅茶スパイ』7 という本が面白いのでお奨めです。

『東インド会社とアジアの海賊』1 :東インド会社の特徴や商品
『東インド会社とアジアの海賊』2 :徽州海商と後期倭寇
『東インド会社とアジアの海賊』3
『東インド会社とアジアの海賊』4 :オランダ東インド会社の登場
『東インド会社とアジアの海賊』5 :オランダ東インド会社のダークサイド
『東インド会社とアジアの海賊』6 :清朝水師と海賊の関係





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Last updated  2017.11.10 13:28:42
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