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2021.07.29
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カテゴリ: 中国
図書館で『「中国」という神話』という本を手にしたのです。
目次を見てみると、どれも興味深いテーマが並んでいます。・・・モンゴル生れで静岡大学教授という著者の出自には一目置くわけでおます。





楊海英著、文藝春秋、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
「中華民族の偉大なる復興」を唱える習近平。しかし、その世界戦略「一帯一路」のターゲット、内陸アジアこそ中国最大のアキレス腱だ。歴史の改変、暴力による弾圧、洗脳教育、結婚外交ー「中国は巨大な一つの国家であり、その支配は正当だ」という神話づくりの数々を鋭く暴く。

<読む前の大使寸評>
目次を見てみると、どれも興味深いテーマが並んでいます。・・・モンゴル生れで静岡大学教授という著者の出自には一目置くわけでおます。

rakuten 「中国」という神話



「第一章 中華民族は兄弟という神話」で匈奴と呼ばれたモンゴル民族を、見てみましょう。
p38~42
<3 モンゴル人を殺して匈奴を愛す>
 中国人は、紀元前からユーラシア大陸で活躍した匈奴を「モンゴル民族の祖先」と見なす。そして、「匈奴族もモンゴル民族も、我が国の北方の少数民族で、その政権は我が国の地方政権だった」と弁じる。

 それに対し、日本の歴史学者の沢田勲はその名著『匈奴―古代遊牧国家の興亡』(1996年)の中で以下のように指摘する。
 そもそも近代の概念「民族」で古代の歴史を語るには限界があり、匈奴が打ち立てたのは独自の遊牧国家で、漢王朝の属国ではなく、「中国の古代少数民族」でもない。むしろ漢王朝が成立した最初の頃は、匈奴の方が遥かに強かったので、漢の高祖も匈奴の単于と「兄弟」と称せざるを得なかった、と。そして沢田勲は次のように喝破している。

<中国は中華思想の国である。その中国にとって、たとえ形式的には漢皇帝が兄、匈奴単于が弟となっているとはいえ、これまで戎狄として蔑んでいた匈奴を対等な相手として認めねばならないことは、屈辱以上の何ものでもない>

 沢田勲の研究によると、匈奴と漢の両国家間の外交的なやりとり、たとえば国書の形式や言葉遣いを見ても、実際は匈奴の方が上だった。実力の面で強かった匈奴と対等な関係を構築したかのような概念操作は、「中華思想を標榜する漢の哀れな見栄の現れであった」と沢田勲は指摘している。

 漢王朝の「和親」政策とはどんなものだったのだろう。
 沢田に言わせると、中国人の女性を異民族に嫁がせる行為は一種の懐柔政策であるという。ただし、異民族が強かった時には皇帝直系の娘が、中国が優位に立つと、皇室以外の女性が選ばれた。王昭君も、皇帝家の出身ではなかったので、漢と匈奴の関係が逆転していた時期の産物である。

 日本人の考古学者は以下のように論じる。
 強度が建設したのは遊牧帝国で、漢との関係もユーラシア東部における大国同士の国際関係である。漢籍の記録を見ると、紀元前33年に王昭君をもらおうとして呼韓邪単于が漢の朝廷を訪れた際に、どのように彼を迎えるかをめぐり、皇帝と臣下たちの間で議論が湧き起こった。

 最終的には、匈奴は漢の暦を使わない敵国であるので、臣下の礼ではなく客分の礼で対応し、呼韓邪単于が藩臣と称しても、漢は謙虚な気持ちを見せて臣下扱いせずに、諸侯王よりも上に置く待遇をするのが妥当だ、決着している。王昭君が嫁いだあとの両国関係は、しばらくは順調だった、という。

 このような実証的な成果を踏まえた日本の研究者たちと、中国人史家の見解はまったく異なる。彼らは、漢王朝と匈奴の和解は「民族団結」だったと説くのだ。中国を代表する「匈奴史家」は、広東省出身の林幹だとされている。現代中国で語られる自身と匈奴の関係史は、ほとんど林幹の見解に沿ったものなので、彼がどういう人物であるかに注目する必要がある。

■モンゴルの「罪」を発見した林幹
 1966年から中国文化大革命が勃発すると、内モンゴル自治区では大規模なジェノサイドが実行された。政府の公式見解によると、当時、人口約150万人弱のモンゴル人に対し、中国政府は34万人を逮捕し、2万7900人が殺害され、12万人に身体障害が残った。モンゴル人たちはかつて「民族分裂的な活動」を行った内モンゴル人民革命党員の残党であるとの理由で虐殺されたのである。これは、かつて「日本のウパイであった」ということだ(楊海英『墓標なき草原』2009年)。

 内モンゴル人民革命党は、コミンテルン(共産主義インターナショナル)とモンゴル人民共和国の支持で、戦前の1925年秋に成立した、モンゴル人の民族主義の政党である。日本が内モンゴルに進出していた時期、同党の党員の多くは日本の力を借りて中国から独立しようと模索した。同胞との統一は、1945年2月に結ばれた「ヤルタ協定」の密約によって葬られたため、内モンゴルのモンゴル人は仕方なく中国人との共生を選ばざるを得なかった。

 「ヤルタ協定」の密約では、北方4島をソ連に、内モンゴルを中国に譲渡する、と決めていた。もちろん、このヤルタの会議場にはモンゴル人や日本人のために用意された椅子はなかった。

 中国政府から有名無実の「区域自治」を与えられた内モンゴルであるが、1960年代になって、すでに解散させられていた内モンゴル人民革命党の「罪」がふたたび発見された。発見したのが他でもない、「匈奴史家」の林幹である。

 林幹は、1957年に打ちモンゴル大学が創建された際に、中国内地から「辺境の人々を援助する人材」として政府から派遣されてきた。彼は歴史を調べようとして自治区の公文書を読みあさり、モンゴル人の「過去の民族分裂的な活動」を見つけた。彼は早速、自らの「発見」を中国政府の情報機関に報告した。

 中国政府の情報機関は「内モンゴル人民革命党」は解散しておらず、地下に潜伏して活動していると判断した。ここから、大勢のモンゴル人が逮捕され、殺戮されていったのである。


この記事も 嫌中本あれこれR7 に収めるものとします。





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Last updated  2021.07.29 00:23:58
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