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2021.09.29
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カテゴリ: 中国
図書館に予約していた『チャイニーズ・タイプライター』という本を待つこと6日という速攻でゲットしたのです。
圧巻の言語技術文化史ってか・・・これは読むしかないでぇ♪






トーマス・S・マラニー著、中央公論新社、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
中国語タイプライターの“不可能性”から繙かれる圧巻の言語技術文化史。漢字についての発想の転換や戦時中の日中関係、入力や予測変換といった現在につながる技術の起源まで、波瀾と苦渋に満ちた展開を鮮やかに辿る。

<読む前の大使寸評>
圧巻の言語技術文化史ってか・・・これは読むしかないでぇ♪

<図書館予約:(7/17予約、副本1、予約3)>

rakuten チャイニーズ・タイプライター



中国語タイプライターの日中間の相克を、見てみましょう。
p227~229
<帝国のペーパーワーク>
 日本のタイピスト養成学校も、大陸の占領地域や満州国、台湾の各都市に作られた。『タイピスト』誌のある報告が伝えるところによれば、1940年には台湾の会社で日本人タイピストのいないところはほとんどなかったという。中学校や女学校、日本のタイプライター会社と結びついた養成学校で訓練を受けた新しいタイピング人材が、毎年500人ほど流入して、「タイピスト熱」が湧き起こっていた。日本タイプライター株式会社の台北出張所支部長は、タイプライターが「欧米各国の様に各家庭で使われる日が必ず来る」という野望を明かしている。

<同文同種同タイプライター>
 帝国日本の拡張は、日本語タイプライターの販売に確かに恩恵をもたらした。しかし、戦時中に積極的に進められた日本タイプライター株式会社などによる中国語情報技術の市場への投資で得た利益に比べれば、日本語市場の影は薄くなる。1945年までには同社は中国での幅広い普及を誇るようになった。

 同社の支店は大連や新京、奉天、鞍山、ハルビン、吉林、錦州、チチハル、上海、北京、天津、済南、南京、張家口、厚和、太原、漢口、京城、台北に置かれた。大阪や名古屋、札幌、仙台、新潟、金沢、静岡、函館、小倉、福井などの日本国内の支店と合わせて、日本タイプライター株式会社は世界最大級のタイプライター製造業者となった。

 しかも、レミントンやアンダーウッド、オリンピア、オリベッティ、マーゲンタイラー、ライノタイプができなかったことを成し遂げた。すなわち、中国語市場に入り込み、さらに独占することだ。商務印書館やユヒンキにとって、市場シェアの低下は凄まじいものであっただろう。

 中国市場を日本が独占する上での主力機種となったのは、日本タイプライター株式会社が作った「万能」タイプライターだった。1940年の『遠東貿易月報』の広告にある冗長ながらわかりやすい別名は、「日満華蒙文各種タイプライター」だ。この機械は日本の「大東亜共栄圏」、そして植民地的なスローガンである五族協和と「同文同種」が形になったものなのである。

 日本の製造業者が、漢字をベースとした東アジアの文字体系だけでなく、アルファベット文字体系である満州語とモンゴル語も使えるようにしたという点でも初めてのものだ。
 新京や大連、奉天、鞍山、本渓湖、牡丹江、ハルビンの各都市からタイピストを集めて開かれた1940年の「全満タイピスト競技大会」など、満州国の民族の協和を強調するイベントにもすぐに動員されるようになった。

 これら全てが、中国の製造業者に打撃を与えるものだった。「万能」は中国で選択しうる唯一のタイプライターとなった。

 商務印書館が製造する〇式中国語タイプライターも、ユヒンキのものも、追い払われた。プラテンを大型化して、インクリボンの代わりにインクボールを使い、中国語か欧文かに応じて字間隔を調整できるようにした改良型の〇式タイプライターを発表することで、商務印書館はこれに対抗いようとした。しかし、こうした努力にもかかわらず、商務印書館は太刀打ちできなかった。

ウン 戦時中の日中関係の雰囲気やタイプライターの技術格差が伝わってくるが・・・著者の綿密な探究には驚いたのです。

ネットで中国語タイプライターを見てみたのです。

文字を刻んだ「版」を約7000個も用意していた中国語タイプライター
 欧米でタイプライターが誕生したのには、「使用される文字が少ない」という言語的な背景があるとも考えられています。英語であれば「A」から「Z」までの26文字であり、大文字と小文字を合わせても52文字、そこに数字や感嘆符などを含めても100文字以下でほぼ全ての文字を網羅できるのは、「表音文字」であるアルファベットの利点といえます。
 一方、一つの文字がそれぞれ意味を持つ「表意文字」を用いる日本語や中国語のような言語は、使われる文字の数が飛躍的に増加するという特徴を持っています。日本語の場合は、一般社会で使われるとされる常用漢字だけでも2136種類が存在します。さらに、漢字文化が生まれた中国では、漢字情報処理に必要とされる当用漢字だけでも5000~6000文字が選定されています。
Double Pigeon

 そのさらに上を行くのが、中国語タイプライターといえます。タイプライターメーカーの「Shanghai Chinese Typewriter Manufacturers(上海中文打字機製造廠)」が製造していた中国語タイプライター定番機「Double Pigeon(双〇)」は2450個の活字を持つという、中国語タイプライターの中では「小型」とされるモデル。その操作はお世辞にも簡単とはいえず、入力速度を計測すると「2時間で100文字」という結果が出たこともあるそうです。

ウーム 1945年当時、日本タイプライター株式会社の「万能」は中国製の中国語タイプライターを駆逐していたようですね。
Double Pigeonも「万能」には敵わなかったわけだ。





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Last updated  2021.09.29 08:29:26
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