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2022.03.19
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『楽園のしっぽ』という本を、手にしたのです。
表紙に馬の写真があるように・・・
中を覗くと、馬とか田舎暮らしのお話が載っていて著者のアウトドア志向が見えるわけで、ええでぇ♪




村山由佳著、文藝春秋、2009年刊

<「BOOK」データベース>より
房総の丘で動物たちに囲まれ、自給自足の生活を送ってきた著者のユーモアあふれるエッセイ集。愛馬シューティが生まれた瞬間の感動、卵から孵し大きくしたニワトリへの愛情、雨不足が田を干上がらせていく風景に“分かちがたい天と地のつながり”を見る視線ー著者の小説世界を育んできた源泉を知る一冊。新たに最終章を収録。

<読む前の大使寸評>
中を覗くと、馬とか田舎暮らしのお話が載っていて著者のアウトドア志向が見えるわけで、ええでぇ♪


rakuten 楽園のしっぽ


沙漠が大使のツボということで・・・
モンゴル・トレッキングが出て来るあたりを見てみましょう。
p128~130
<十年>
 モンゴルへ行くことになった。『トレッキング・エッセイ紀行』という、NHK・BS2の番組のロケである(放送 2004年11月1日「まぼろしの湖を求めて」)。 
 行き先が行き先だけあって、4日間にわたるトレッキングのうち丸1日は朝から晩までみっちりと馬で移動するのだという。それ以外の日も、人が渡れない川などは馬の助けを借りて渡るのだという。

「行きます! いえ、行かせて!」
 意気込んで返事をしてから、あらためて世界地図をひろげてみると、モンゴルという国はロシアと中国の間にはさまれていて、思っていたよりずっと大きいのだった。
「昼夜の気温の差が激しいんで、防寒の用意だけはしっかりお願いしますね。昼間は30度をこえる炎天下ですけど、夜は零下まで冷えこみますから。何しろ緯度で言ったら北海道と同じくらいなんですから」

 最初の打ち合わせでそう脅かされはしたけれど、連続真夏日記録を更新中だった関東にいて、まじめに寒さを心配しろというほうが無理である。
へへーんだ、寒いといっても夏なんだし、ひと口に北海道ったって広いじゃんね、と半ばナメモードで確認したところ・・・うそッ! 首都のウランバートルって稚内より来たやんけ。ひゅーるりー、ひゅーるりーらら。

 しかも、トレッキングのコースはさらに北へ北へと向かい、大草原から湿地帯をこえて針葉樹林に入り、山を登り、最終目的地である「まぼろしの湖」に至っては遊牧民の人たちでさえ見た者は少ないというくらいの奥地にあるのだった。

「お馬さんに乗っけたげるよ」
 という誘惑がなかったら、さっさと断っていたと思う。
 ともあれ、依頼を受けてから実際に出発するまでは2ヶ月ほどあったので、その間に私がまずしたのは体重を落とすことだった。そう、前にもお話ししたダイエットの努力は、このモンゴル行きのため(というかモンゴルの馬たちのため)でもあったのだ。何せ蒙古馬は体が小さいと聞く。その背中にあんまりなデブが乗っているのが映って、視聴者の皆さんから動物虐待だと抗議の電話が来たりしたら悲しいではないか。
蒙古馬


 さらに日々のワークアウトの合間には、うちのジャックに付き合ってもらって乗馬の練習もした。向こうの馬がどんな荒れ地を走っても落っこちないで済むようにと、あぶみから足を抜いて乗ってみたりもした。
 そうして、どうにか体重を4キロ落とすことに成功した私は、行く先に待ちうける馬たちとの出会いに胸躍らせて、モンゴル行きの飛行機に乗りこんだのだったが――。

 飛ぶこと4時間半、窓の下はるかに赤茶けたゴビ砂漠が見えはじめた頃だった。
 座席の横を通り過ぎようとした女性が、ふと立ち止まり、まじまじと私の顔をのぞきこんだ。
「うそ・・・ムラヤマさん?」
 なんと、もう十年も前に朝のニュース番組の仕事を共にした女性だった。


『楽園のしっぽ』1 :ツバメの子





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Last updated  2022.03.20 11:25:02
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