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2022.04.15
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『(日本人)』という本を、手にしたのです。
どこを開いても、鋭いテーマというか・・・読みどころの多い本になってるでぇ♪




橘玲著、幻冬舎、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
これまでの日本人論で「日本人の特殊性」といわれてきたことは、ほとんどが人間の本性にすぎない。世界を覆い尽くすグローバリズムの中で、日本人はまったく「特殊」ではない。従来の日本人論をすべて覆すまったく新しい日本人論。

<読む前の大使寸評>
どこを開いても、鋭いテーマというか・・・読みどころの多い本になってるでぇ♪

rakuten (日本人)


「第16章 ぼくたちの失敗・経済編」から、日本の「失われた20年」を見てみましょう。
p274~278
 日本の戦後政治を現時点(2012年)から振り返れば、ムラ社会型の夢幻責任=無責任体制のもとで、経済成長の敗者に補助金を分配しつつ、全員一致の合意を得ようと苦心惨憺してきた歴史だということがよくわかる。

 こうした“ばらまき政治”は高度経済成長が終わる1970年代なかばには機能しなくなっていたが、その後も責任と権限が一致する近代的な統治(ガバナンス)を構築することはできず、なにも決められないままひたすら借金だけを増やしつづけてきたのが「失われた20年」だった。

 しかしこれは、政治家や官僚だけの責任ではない。イエ社会のローカルルールは日本の社会の隅々にまで浸透し、日本人を「支配」していた。
 グローバル化に失敗したのは、「三流」の政治よりもむしろ、「一流」とされてきた経済のほうだった。

<1940年体制>
 日本の経済が欧米に比べて“異質”だということは、1980年代から主にアメリカの経済学者によって指摘され始めた。だが不幸なことに、こうした“日本異質論”は日米貿易摩擦のなかでジャパンバッシングの道具として使われたために、日本社会は彼らリビジョニスト(日本を「異質な社会」として再定義するひとたち)の批判を真剣に受け止めることができなかった。

 バブル崩壊後の混乱のなかで、護送船団方式に守られてきた大手金融機関がつぎつぎと破綻し、“無謬”とされてきた高級官僚がスキャンダルにまみれて逮捕されると、日本的なシステムの耐用年数が切れてしまったことが誰の目にも明らかになった。

 私たちはいったいどこで間違ってしまったのか。日本社会の本質を70年前までさかのぼって解き明かしたのが、経済学者・野口悠紀雄の「1940年体制論」だ。
 野口はここで、日本社会は第2次世界大戦の敗北によって生まれ変わったのではなく、戦時下の国家総動員体制が戦後も継続し、自由経済のふりをしていたにすぎないと、その「出生の秘密」を暴く。

 1940年体制は、戦争遂行のため経済を国家の統制のもとに置くもので、岸信介など“革新官僚”によって実行された。その特徴は、自由競争を否定し、私的所有権を制限するとともに、電力・通信・運輸などの基幹システムを国有化し、軍需産業の生産力を最大化しようとすることで、そのため以下のようなきわめて特殊な制度が考案されたと野口は指摘する。

① 日本型企業
 戦前の日本企業は株主を中心に運営され、労働市場の流動性も高かった。それが国家総動員体制のもとで株主の権利が制限されると、企業は利潤追求の組織ではなく、従業員の共同利益のための組織となり、一部の重化学工業でしか採用されていなかった終身雇用制と年功序列賃金体系が広く定着し、労使関係の調整のための産業報国会が戦後は企業別の労働組合へと再編された。

② 間接金融
 戦前の日本には発達した資本市場があり、企業は直接金融(株式や社債の発行)によって資金調達するのがふつうだった。だが戦争によって資金供給が逼迫すると、重化学工業など軍需産業への資金配分が優先され、金融市場が機能を失うとともに間接金融(融資)で長期資金を供給するメインバンク制へと移行した。
 こうしてメインバンクを中心とする企業系列、いわゆる財閥が形成され、配当の制限と株式の持ち合いが常態化した。

③ 官僚体制
 明治期の「殖産興業」の時代でも、民間企業に対する官庁の権限や指導力はそれほど強いわけではなかった。それが1930年代になると昭和恐慌を背景に経済統制が強化され、業界ごとにカルテルを結成させ、それを行政指導によって官僚が指揮する体制が確立した。
 革新官僚は、「企業は利潤を追求するのではなく、国家目的のために生産性を上げるべきだ」として、国家総動員体制を推進した。

④ 財政制度
(中略)

⑤ 土地制度
 戦前の自由放任主義的な住宅政策から、戦時下では一転して、「国家総動員法」の規定に基づき、家賃・地代を統制し借地・借家人の権利を強く保護する政策へと舵が切られた。また農村部でも、小作貧農を救済するために、小作料の引き上げが禁止されるとともに、食糧管理法によって小作農の負担が大幅に減った。
 これらの戦時下の「改革」によって、占領軍の農地改革を待たずして日本では地主階級が壊滅し、それが戦後の産業化を容易にし、所得格差の小さい大衆社会を実現させた。
 こうした1940年体制の本質を、野口は「生産者優先主義」と「競争否定(平等主義)」だと述べる。戦後日本の高度成長は、輸出産業の育成を国家目標に据え、消費者の利益を無視し、「競争」ではなく「共生」を尊ぶ奇妙な資本主義のもとで達成されたのだ。 


『(日本人)』1 :新渡戸の『武士道』





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Last updated  2022.04.15 00:02:06
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