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2023.10.16
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『K氏の大阪弁ブンガク論』という本を、手にしたのです。
K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪




江弘毅著、ミシマ社、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
国民的作家から現代の人気作家まで縦横無尽!長年街場を見つめてきた著者がボケてつっこむ!唯一無二のブンガク論。
【目次】ブンガク論に入る前に、ちょっと地元のこと。K氏の場合。/日本ブンガクを席巻する関西弁の技法/黒川博行ブンガクを支える「口語」表現/『細雪』-大阪弁が現代文で書かれるようになった時代/『細雪』はグルメ小説や!/大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性/ほか

<読む前の大使寸評>
K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪

rakuten K氏の大阪弁ブンガク論

糸子「起きりー! 朝やでぇ!」

第9章「泉州弁で描ききる先端性」で尾野真千子の泉州弁を、見てみましょう。
p194~196
<なるほど、方言指導は「カーネーション」の林英世さん>
 そんなK氏は早速Twitterに「『村上海賊の娘』の泉州弁は最高。和田竜はすごく泉州弁に精通している。研究をしているのか」と呟いた。岸和田以南で使われる「チャル」言葉、すなわち「見せちゃらんかい」「やっちゃる」などの使い方が的確すぎる。
 すると反応が早いリツイートの中に、前にも登場いただいている「役割語の研究」でおなじみの大阪大学の金水敏教授から「あの小説は林さんが方言指導したんです。知らなかったの?」とリプライがあった。

 林さんというのはNHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』で方言指導をした、女優の林英世さんのことである。
『カーネーション』はデザイナーのコシノ三姉妹を育て上げた小篠綾子の生涯を描いた2011~12年の連ドラで、放送されるやいなや全国で話題になり、ギャラクシー賞に輝いた名作だった。

 とくに開始早々だんじりの豪快な遣り回し曳航のシーンとともに特徴ある岸和田弁がオンエアされ、「ユニークな関西弁」と喝采を浴びた。「抑揚がかわいい」という評価もあって、K氏は「ほんまかえ」と訝ったが、まんざらでもないと思った。

 何を隠そうこの連ドラで多用されるだんじり祭のシーンは、K氏が参加している五軒家町のだんじりを太秦映画村に持っていって撮影したものだ。
「(父親役の)小林薫に、だんじりにタカるとこの演技指導しちゃったんや」というのがK氏の自慢だ(ほんまかいな、と思うが事実とのことだ)。

 泉州弁の方言指導を受け持った林英世さんはK氏の岸和田高校の後輩であり、太秦での撮影の際にも真っ先に「Kさん。こんなんですが、これでええですか」と台本を持ってきた。それは他所の言語話者にもわかりやすく類推しやすい見事な岸和田弁で、「ええんちゃうか」とK氏は目を細めて頷いた。同時に「ええんかいな、こんなん放送して」と思った。

 林さんはすべての台詞をあらかじめ自分でボイスレコーダーに録音して出演者たちに聞かせた。とくに主人公に扮する尾野真千子には目の前で岸和田弁を聞かせて指導した。
 NHK大阪放送局制作の番組では、俳優の喋る大阪弁イントネーションが「らしくない」だけで「大阪弁がおかしいから見たくない」と如実に視聴率に跳ね返る。制作にあたって林さんは、プロデュ―サーにまず「何とかして大阪弁をクリアしたいんです」と言われた。

 だんじりの岸和田旧市エリアはとくに地元意識が強いからそのハードルは高くなる。俳優が下手な岸和田弁を喋ろうものなら、「んなもん、あっかえ。だんじりちゃうわい。で一発退場やな」とはK氏の弁である。

「本番でその都度目の前で方言指導するのですが、尾野真千子ちゃんは耳が良いので、きっちり口真似以上のものを言ってくれました」と林さん。ええ話である。
 視聴率も抜群で大成功をおさめ、さらに「岸和田弁って面白い言語だ」と人々を魅了した『カーネーション』の放送が終了して二年弱。今度は時代小説の盟主である和田竜さんの『村上海賊の娘』が出版されたのだ。

「おー、これ読んでみぃ。めちゃおもろいど、祭で言うてる丸出しの泉州弁や」と、ことあるたんびに岸和田の知人友人に吹聴していたK氏であるが、その方言指導をしでかしたのがまた林さんなのだということを知ると、「え~、これも、お前やったんかぁ!」と即座に林さんに電話した。


この本も「 尾野真千子の世界 」に収めるものとします。

『K氏の大阪弁ブンガク論』2 :大阪語・標準語の書き分け
『K氏の大阪弁ブンガク論』1 :多様な関西弁





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Last updated  2023.10.16 00:06:31
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