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2024.09.07
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『杉原千畝の実像』という本を、手にしたのです。
杉原千畝については、外務省本省の方針に反してユダヤ人に日本通過ビザを発給したことで知られるが、興味深いのです。




古江孝治著、 ミルトス、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
第二次世界大戦中、外交官だった杉原千畝は外務省の方針に反して日本通過ビザを発給し、多くのユダヤ人を救った。杉原はなぜビザ発給の決断に至ったのか。そしてその覚悟とは…。多くの資料を紐解き、様々な証言や時代背景に照らして、知られざるその理由に迫る!

<読む前の大使寸評>
杉原千畝については、外務省本省の方針に反してユダヤ人に日本通過ビザを発給したことで知られるが、興味深いのです。

rakuten 杉原千畝の実像


「第3章 外交官時代」で、ヨーロッパでのユダヤ人排斥を見てみましょう。
p47~49
<プラハでもビザ発給>
 リトアニアのカウナスでのビザ発給は第2部で詳しく述べるので、ここではカウナスから移動したプラハでのことを先に見ていこう。カウナスの日本領事館に避難民が集まり始める1カ月前の6月15日、ソ連はリトアニアに侵攻し、8月3日にリトアニアを併合した。杉原は、ソ連当局や外務省から領事館を閉鎖するよう何度も通告を受けていた。

 1940年8月29日、杉原は次の任地としてチェコのプラハへの異動命令が発令された。9月4日にカウナスを発ち、ベルリンに立ち寄った後、9月12日にプラハへ着任。前任者は総領事代理の市毛孝三だった。市毛は1939年6月から1年あまりの勤務を終え、1940年11月に日本に帰国した。

 1941年1月15日、杉原は松岡洋右外務大臣に宛てて、「ドイツのボヘミヤ・モラヴィア保護領の統治業績並びにチェコ民族の対ドイツへの感情に関する件」と題してチェコにおけるドイツ軍と地元の状況について報告した。その中のユダヤ人に関する項目で、「ドイツ側が旧法律の手始めとして、ユダヤ人排斥の法律を制定したことにより、ドイツ国内と同じように規制を行い、この法律によってユダヤ人は、すべての官公庁の公職やその他の職業(特に医薬業、法律業、技術、獣医業)に就くことが禁止された」とユダヤ人の置かれた現状を報告している。

 また、事実上ドイツに占領されていたチェコの保護領政府については、「ドイツ側の顔色を窺い、協調と妥結の建前を採っていた」とし、一般市民については、「
出版や集会の自由を極度に制限されているため、その真意は現状においては不明だが、概ね保護領政府と同じようだ」と分析した。杉原はその他にも、ドイツの統治方針や財政、経済上の措置、さらに日用品や家屋資料、そして労働者や農民の生活状況などについても詳細に報告した。

 杉原によると、チェコにおけるドイツのユダヤ人政策は過酷なものだった。公職をはじめとする多くの職業に対して厳しく制限したばかりではなく、ユダヤ人企業を没収し、銀行や主要産業などを彼らから取り上げた。ユダヤ人はすべてを奪われ、コミュニティは崩壊し、地獄のような状況下に置かれていた。

 外務省の外交史料館には、プラハの杉原がビザ発給について松岡大臣に宛てて報告した調書「査証(ビザ)調書並発給表送付ノ件」が残されている。それによると、プラハの総領事館では1940年1月18日から1941年2月26日までに、105枚のビザが発給された。市毛は37枚のビザを発給し、杉原は68枚だった。そのうち95枚がユダヤ人に発給されている。
 また、発給を受けた人のほとんどがドイツ国籍であり、渡航先は上海、アメリカ、ウルグアイ、アルゼンチン、日本など11の国と地域にわたっており、その多くが日本通過ビザだった。

 市毛と杉原が発給したビザにより、果たして何人のユダヤ人が助かったのか、カウナスと同様、正確な数は不明である。ただ、後に残された多くのユダヤ人がナチスによって虐殺された事実を考えると、プラハでのビザも歴史的に大きな意味を持っている。


『杉原千畝の実像』1 :杉原千畝の成り立ちの一端





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Last updated  2024.09.07 08:05:59
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