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2024.10.06
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『日本の異国』という本を、手にしたのです。
この本の目次を見ると以下載っていて興味深いのです♪
足立区のフィリピンパブ、埼玉県川口市の多文化共生、西葛西のリトル・インディア、新大久保の未来など。




室橋裕和著、晶文社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
2017年末で250万人を超えたという海外からの日本移住者。留学生や観光客などの中期滞在者を含めれば、その数は何倍にもなる。今や、都心を中心に街を歩けば視界に必ず外国人の姿が入るようになったが、彼らの暮らしの実態はどのようなものかはあまり知られていない。私たちの知らない「在日外国人」の日々に迫る。

<読む前の大使寸評>
探検家・高野秀行さんがこの本を高く評価しているので、きっと面白い本なんでしょう♪

rakuten 日本の異国



足立区のおじさんたちに愛されるフィリピンパブが報告されているので、見てみましょう。
p13~19
<竹ノ塚 魅惑の癒しスポット、リトル・マニラ>
■リトル・マニラは朝5時から営業
「足立区のおじさんたちは、口は悪いけど目が優しいんだよね」
 アニーさんはそう言って笑う。
「『このヤロ』『バカヤロ』でまず始まるけど、言っていることは正しかったりする。接客のマナーや態度についてよく怒られたけど、勉強になりましたよ」

 そんな足立区を拠点に、日本で働くこと25年以上。アニーさんはいま、東武スカイツリーライン竹ノ塚駅のそばにあるフィリピンパブ「カリン」のママだ。
 店はなんと朝5時から営業している。
「タクシーの運転手たちから、夜勤が明ける朝方に店を開けてほしいって言われて」

 運転手たちだけではない。夜の仕事を終えた日本人のホステスやホストたちも飲みにくる。夜が明ける頃になると、今度は年金暮らしのおじいちゃんたちが訪れる。雑多というか、もはや意味不明な客層かもしれない。朝方に飲める店はほかにもあるだろう。でも、足立の人々は老若男女、ここにやってくるのだ。

 朝5時から11時までは、飲み放題、歌い放題で、さらに和定食がついて3時間2000円。一般的なアジアンパブだと、1時間3000~5000円というところが多いだろうか。早朝だからか、やたらに安いのである。それにフィリピン人がパブの台所で和食を仕込むという姿もまた足立区ならでは、かもしれない。

「あまりお金がなくても、ここに来れば友達がいて会話して、好きな歌を歌って楽しめる。朝や昼のお客さんは増えてますよ」
 店内に漂うのは、南国そのままのほどよい脱力感だ。扉を開けたとたんに、ゆるい空気に包まれる。そして出迎えてくれるのは、熱帯の花のような笑顔。いきなり温度と湿度が上がったような気さえする。

 そして妙に距離が近いのだ。エッチな意味ではない。お店のフィリピーナたちは、会ったとたんに友達感覚というか、やけに気安いというか、ぜんぜん気を遣わせてくれないのである。かっちり身構えて緊張感すら漂わせながら接客する日本スタイルとはぜんぜん違う。テキトーにがちゃがちゃ水割りをつくり、ほかのフィリピーナとタガログ語でなにやらバカ笑い」をして、かと思ったらじっと目を見つめてきて「オツカレサマ」なんて言ったりする。くだらない冗談ひとつにケタケタと笑い転げてお腹を抱えたり、「ほらほら」とスマホで故郷の農村や家族の写真を見せてきたりする。

 どのテーブルもこんな感じで、なんだか女子高の教室にお邪魔しているようなかしましさなのである。彼女たちももちろん仕事だからこうやって接してくれるのだろうが、それにしたって距離が近い。仕事とプライベートの区別がぜんぜんついていない。

「みんな一緒に遊んでいるだけだから」
 とアニーさんは笑うが、脚とホステスという垣根を取っ払ったような友達感覚は日本のキャバクラやガールズバーとはまったく違う。
 客もだんだん、染まってくる。
 明るいうちから泥酔して寝込んでいるおじさん。外出したかと思ったらハンバーガーとチキンを買ってきて店にいる人々に振る舞う人。流暢なタガログ語でカラオケを熱唱しては、ギャルたちをどっかんどっかん盛り上げているおじさん。そして家で作ってきたという故郷の料理を持ち寄るフィリピーナたち・・・。

 いい意味で弛緩したアットホームな空気と、常連でなくともすぐになじめる親しみやすさは、アジアそのものだ。ひと昔前の淫靡なフィリピンパブのイメージは、あまりない。

 フィリピンパブというと誤解されがちだが、お客の多くが求めているのは性的なサービスではない。フィリピーナの大らかさと、ホスピタリティに甘えに、癒されにやってくるのだ。彼女たちとひとときバカ騒ぎをして、腹の底から笑うことで、救われている日本のおじさんたちがいる。

■黎明期は1980年代
 昭和の昔に一世を風靡したフィリピンパブ。その黎明期は1980年代初頭であったといわれる。当時はまだ貧しかったフィリピンなどの東南アジアから、高度経済成長に沸く日本を目指す女たちの流れがあったのだ。彼女たちは「じゃぱゆきさん」と呼ばれた。
 背景はいくつもある。まずフィリピンでは「海外への出稼ぎ」というものが一般的であったこと。アメリカの植民地だった経験もあって英語力が高く、フィリピン人の労働力は世界中で歓迎された。男は建設現場などの肉体労働、女は飲食やメイド。そして夜のサービスに従事する(あるいは十字させられる)こともあった。

 国外で働くフィリピン人はOFW(Overseas Filipino Workers)と呼ばれ、現在では一億の母国人口のうちおよそ一割を占める。彼らからの送金は貴重な外貨獲得源であり、故郷の家族を支える。フィリピン人にとって、海外で働くハードルはもともと低いのだ。





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Last updated  2024.10.06 02:18:09
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