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1975年
、ぼくは大学1年生だったか、2年生だったか?大学生協の書籍部の棚にこの詩集が並んでいたことを覚えています。
芝生 巻頭の、この詩を読んで、自分から、なんだか限りなく遠い人が立っているような気がしたのを覚えています。
そして私はいつか
どこかから来て
不意にこの芝生の上に立っていた
なすべきことはすべて
私の細胞が記憶していた
だから私は人間の形をし
幸せについて語りさえしたのだ
2 武満徹に 谷川俊太郎 も若かったんだなあ。というのがまず第一番目の感想ですね。 「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」 と題された詩篇は、全部で 14 あります。二つ目に 「小田実に」 とあるのが、なんだか不思議な感じがしましたが、どの詩も、印象は、少し陰気です。
飲んでいるんだろうね今夜もどこかで
氷がグラスにあたる音が聞こえる
きみはよく喋り時にふっと黙り込むんだろ
ぼくらの苦しみのわけはひとつなのに
それをまぎらわす方法は別々だな
きみは女房をなぐるかい?
4 谷川知子に
きみが怒るのも無理はないさ
ぼくはいちばん醜いぼくを愛せと言ってる
しかもしらふで
にっちもさっちもいかないんだよ
ぼくにもきっとエディプスみたいな
カタルシスが必要なんだ
そのあとうまく生き残れさえすればね
めくらにもならずに
合唱隊は何て歌ってくれるだろうか
きっとエディプスコンプレックスだなんて
声をそろえてわめくんだろうな
それも一理あるさ
解釈ってのはいつも一手おくれてるけど
ぼくがほんとに欲しいのは実は
不合理きわまる神託のほうなんだ
14 金関寿夫に
ぼくは自分にとてもデリケートな
手術しなきゃなんない
って歌ったのはベリマンでしたっけ自殺した
うろ覚えですが他の何もかもと同じように
さらけ出そうとするんですが
さらけ出した瞬間に別物になってしまいます
たいようにさらされた吸血鬼といったところ
魂の中の言葉は空気にふれた言葉とは
似ても似つかぬもののようです
おぼえがありませんか
絶句したときの身の充実
できればのべつ絶句していたい
でなければ単に啞然としているだけでもいい
指にきれいな指環なんかはめて
我を忘れて
1972年五月某夜、半ば即興的に鉛筆書き、同六月二六日、パルコパロールにて音読。同八月、活字による記録および大量頒布に同意。
気にとまった作品を書きあげてみましたが、あくまでも気にとまったということです。それぞれに、刺さって来る一行があるのですね。
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