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第二次世界大戦がはじまってから数週間、1939年の秋のことだった。六歳の少年が東欧の大都市から、何千という子どもたちと同じように、両親の手によって、遠い村へと疎開させられた。 こういう事情で、東ヨーロッパの田舎の村に連れられてきた6歳の少年である 「ぼく」 が1939年から1945年に至る流浪の「体験」と、そこで学んだ、その時、その時、生きていくために大切だと思い知ったことを語り続ける物語でした。
ぼくはマルタの家に住み、両親が迎えに来てくれるのではないかと毎日のように待ちわびていた。泣いてどうなるものでもなかったし、めそめそしているぼくに、マルタは目もくれなかった。 これが 「ぼく」 が語り始めた最初の経験ですが、語っている 「ぼく」 は、実際の経験から何年も経って、語り始めていることは明らかだと思います。
ぼくは自分が一人ぼっちだということにはたと気付いて、ぞっとした。しかし、二つのことを思い出した。オルガは人を頼らず生き抜くためにはその二つのことが大切だと言っていた。一つ目は、植物と動物に関する知識で、何が毒で、何が薬になるか見極めること。もうひとつは、火を、すなわち自分なりの「ながれ星」を持つということだ。 「ぼく」 が最初にあずけられた マルタ の死の結果、 「ぼく」 の扱いを衆議する村人たちから買い取ったのが、 呪術師・祈祷師オルガ でした。
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