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2020年の秋
に 「ペリリュー」
第1巻
から 第9巻
までをまとめて読みました。感心しました。続いて 「さよならタマちゃん」
を読んで、すっかり 武田一義さん
のファンになったのですが、 2021年、
2月のマンガ便
で 「ペリリュー(10)」(白泉社)
が届きました。
終戦から1年半 — 。 表紙の人物は、 田 丸くん ではなくて 吉敷くん だと思います。軍から脱走し、米軍に投降する企ての最中、上官によって撃たれます。 田丸くん は瀕死の 吉敷くん を支えて進みますが…。
昭和22年3月 、田丸と吉敷は 「生きて日本に帰る」 という約束を果たすべく、壕からの脱出に成功する。
投降 ― それは生死を共にしてきた仲間の敵になるということ。では生き残った兵士にとって 「正しい行動」 とは何か。
全体を危険から遠ざけるための規律か。
全員を救うための危うさのある勇気か。
「仲間」の命がかかる決断を迫られる島田。
混乱の中、島に銃声が響く―。
生き残った兵士それぞれに、譲れない正義がある。
数多の喪失に耐え、思いを繋いだ若者の生還の記録。

アメリカ軍に投降し、1年以上も前の敗戦の事実を知った 田丸くん
が 吉敷くん
を思い出すシーンです。 このシーンを引用するかどうか、悩みました。作者はこのシーンを描くために、ここまで描き続けてきたと思うからです。こうして引用しながらいうのも変ですが、この 「案内」
をお読みいただいている方には、できれば、 1巻
から 10巻
まで、読んできて、このシーンに出会ってほしいと思います。
売れるか売れないかの空っ風に晒されている 「現代」 という時代であるにもかかわらず、、この作品は 「売る」 ために書かれたとは思えない
「まじめさ」 を失っていないように感じるからです。
追悼とは、戦死者を英雄として讃えることではない。 これは 「売る」 ためにつけられた腰巻、帯に載せられた推薦文です。誠実な文章だと思いますが、今、こういわなければならない この国の 「戦後」 とは、 田丸くん が帰ってきてからの80年 とは、一体何だったのでしょうね。
追悼とは、彼らの死の無惨さを、私たちの記憶にしっかりと刻み続けること。もがき、あがきながら死んでいった人々の傍らに静かに寄り添うこと。
生き残った人々の負い目にも心を寄せながら。 (吉田裕)
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