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2021.03.19
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​​ 石塚真一「BlueGiantExplorer 2」(小学館)
​​​  石塚真一 「BlueGiantExplorer」(小学館) 第2巻 「ゆかいな仲間」ヤサイクン 3月のマンガ便 で届きました。​​​
​​​​​  「BlueGiantExplorer」 宮本大君 のジャズ修業アメリカ編ですが、 第1巻 シアトル に上陸した 宮本大君 が、 第2巻 では、ホンダの中古車を手入れ、大陸横断の旅をスタートします。​​​​​
​​  オハイオ州ポートランド がアメリカ編の二つ目の舞台です。下の場面は、 シアトル を出発した 宮本大君 が、ヒッチハイカーの ジェイソン君 を載せて ポートランド に到着したシーンです。 ​​
​​ ここまで、 石塚真一 「BlueGiant」 を読んできましたが、何となく気づいたことがあります。​​
​​ このマンガは確かにジャズ・ミュージシャンとして、世界の頂点に立ちたいという少年の夢を描く、実に素朴な 「ビルドゥングス・ロマン」 なのですが、ここまで読者であるぼくを引っ張り続けてきたのは、 宮本大 自身のキャラクターや、音楽演奏の感動的な描き方も大切な要素なのですが、どうも、このマンガのいちばんの肝は、 宮本大君 が出会う 脇役たち の描き方なのではないかということに思い当たったのです。​​
​ 少年マンガには、ある意味、常道ですが、主人公を成長させていく、他者として登場するライヴァルたちがいます。たとえば、 「初めの一歩」 にしろ、 「あしたのジョー」 にしろ、ボクシング・マンガがおもしろいのは戦う「相手」がいるからだということはすぐにわかるわけです。しかし、ミュージシャンの演奏の成長に「敵」はいるのでしょうか。​
​ かつて、 石塚真一 が描いた 「岳」 では、山が相手でした。技術的な成長以上に、山という 「自然の厳しさ」 が、ライヴァルとして立ちはだかり、それに向き合う主人公の「内面」の描き方がマンガを支えていたと思います。​
​  「BlueGiant」 でも、ここまで、 「最高の音楽性」 という高みを目指す主人公の描き方を 「岳」 とよく似ています。​
 しかし、音楽の 「高み」 は物差しで測ることが出来る 「山」 ではありません。新しく創り出し、新しく生まれるものです。人それぞれの 「好き好き」 を超えた 「高み」 はどうすれば描けるのでしょうか。
 で、石塚は「人」を描くことにしたのだというのが、ぼくが、ふと、気付いたことでした。そう思って読み進めると、音楽関係者ではない、印象的な登場人物が何人か登場します。
​​​  上のシーンで登場した ジェイソン君 もその一人です。彼はスケート・ボードを楽しみ長旅を続ける、アメリカ文学でいう 「ホーボー」 と呼ぶべき流れ者ですが、彼との偶然の出会いは、 宮本大 に音楽の 「外の世界」 の広さを教えます。
 この巻に出てくる、もう一人の、印象的な脇役は、ひょっとしたらヒロインになったかもと思わせるコーヒーショップの女性 シェリル・ハント です。​
 毎朝一杯のコーヒーを飲むために立ち寄ったお店で出会った女性ですが、彼女の最後の言葉が素晴らしいのです。
​​​「私とアナタは、凄く違うんだね。」​​​

​​ シェリル がいった言葉ですが、人と人の遠さを、互いの存在に対する敬意として描いた 石塚真一 をぼくは信用します。​​
​ 表紙の 宮本大 の眼差しも、厳しさを加えつつありますね。彼が、どこまで 「少年」 であり続けられるのか、ますます楽しみですね。
追記2022・03・31

第3巻 ​・​ 第4巻 ​・​ 第5巻




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最終更新日  2024.04.28 21:45:40
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