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著者 フィアット は 1966年生まれ 、フランシュ・コンテ地方出身のフランス人で、本国でこれまでに出版された著作は 「スティーヴン・キングよ永遠に」・「バットマンの冒険をめぐる叙事詩」 他十冊を数える(2013年現在未邦訳)詩、小説、評論他多様なジャンルを手掛けるが、とりわけポップ・アイコン(大衆文化において記号的な役割を果たす人物、作品、キャラクターおよび概念その他)に現代思想を援用して読み解くスタイルを得意としている。 というわけですが、実は劇作家で演出家で、役者でもある人らしいのです。日本には、最近、兵庫県の北部の町、豊岡市に演劇大学を作った 劇作家平田オリザ に誘われてやってきたらしくて、 2011年4月 から約一か月の間 フクシマ や ヒロシマ などを取材旅行したようです。
「あのねクリストフ、今日は汚染地域ギリギリまで行きます」 平田オリザ の運転する自動車でフクシマに向かう 「僕」 は、 「海」 を見ながら、なぜか 「ゴジラ」 のことを思いはじめます。
オリザが言う。
「あそこに入るのは、ジャーナリスト以外ではクリストフが初めてだよ。怖い?」
最後に 平野氏 は言った。安全管理とはすなわちリスク評価に基づくものだ。けれど千年に一度来るような災害に関しては、つまり三月十一日のケースがそれだったわけだが、データを集めて数値を見積もること自体が難しい。いずれにしても、異常事態に対しては様々に異なるレベルでの介入措置があり、今回のように深刻な状況になるのは稀なのだ。 2021年4月 の今読み直しても、実にリアルな発言ですね。この小説の不思議な面白さは、作家が出会った人たちとの、こういう記述にあると思います。 フクシマ や ヒロシマ で出会った人に限らず、たとえば 加藤典洋 の発言に、揺り動かされるように、作家が描く淡いフォーカスの物語の中で ゴジラ が蠢動し始めるイメージは刺激的でしたよ。
そしてこう締めくくった。 「福島の原発はもう手詰まりなんです!」
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