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明治の詩人 いかがですか?同世代の方はくすぐったいんじゃないでしょうか? 「 日夏耿之介 心を析け渙らすなかれ」 なんて、詩人の名前はともかく、題が読める方は相当ですね(笑)。ちょっとパラパラしてみたいになりませんか?
島崎藤村 おくめ 若菜集序詞 8
土井晩翠 星落秋風五丈原 14
薄田泣菫 ああ大和にしあらましかば 20
蒲原有明 朝なり 24
北原白秋 邪宗門秘曲 接吻 27
河井酔茗 魚の皿 32
木下杢太郎 築地の渡 34
三木露風 接吻の後に 36
大正・昭和の詩人 Ⅰ
高村光太郎 道程 典型 40
山村暮鳥 岬 46
日夏耿之介 心を析け渙らすなかれ 48
堀口大学 砂の枕 50
千家元麿 自分は見た 52
佐藤春夫 秋刀魚の歌 54
室生犀星 小景異情 60
西条八十 胸の上の孔雀 63
萩原朔太郎 竹 小出新道 67
宮沢賢治 春と修羅 71
佐藤惣之助 ふしぎなる大都会を欲して 77
大手拓次 藍色の蟇 80
吉田一穂 死の馭者 82
尾崎喜八 大地 85
大正・昭和の詩人 Ⅱ
金子光晴 女たちへのいたみうた 90
高橋新吉 壊れた眼鏡 93
萩原恭次郎 日比谷 96
小熊秀雄 蹄鉄屋の歌 99
壷井繁治 風船 103
小野十三郎 工業 106
中野重治 しらなみ 109
草野心平 聾のるりる 111
中原中也 正午 春日狂想 115
八木重吉 明日 119
岡崎清一郎 仮寓春日 121
逸見猶吉 ウルトラマリン 冬の吃水 123
尾形亀之助 五月 125
山之口獏 数学 128
大正・昭和の詩人 Ⅲ
三好達治 雪 駱駝の瘤にまたがって 134
丸山薫 鴎が歌った 141
田中冬二 蚊帳 142
立原道造 やがて秋 145
富永太郎 恥の歌 147
菱山修三 夜明け 懸崖 149
伊東静雄 わがひとに与ふる哀歌 151
西脇順三郎 失われた時 155
村野四郎 塀のむこう 体操 161
北園克衛 煙の形而上学 166
北川冬彦 馬 174
安西冬衛 春 172
あとがき 繰り返し、思い出に浸ったことをいいますが、ボクは、こういう啖呵の切り方をする 鮎川信夫 が好きだったんですね。 懐かしいです(笑)。
(前略)
七、八年前、 創元社 から刊行された 「現代名詩集大成」 の解説を依頼されて引き受けたときの私の気持は、ただ明治以降の新しい詩の概念が、個々の詩人においてどのように発現しているかを、この機会に調べてみたいということであった。それはまた、近代の個々の詩人の努力が、読者のいかなる期待と結びついているかをさぐってみたいということでもあった。
そのような機会は、詩の特殊な専門家でないかぎり、そうたびたび訪れるものではない。現代詩に関する自分自身の考えからはなれて、いわば任意気ままに他人の詩を読んでみるのもおもしろいかもしれないといった気楽な気持ちで引き受けたのであった。
もちろん、 私は純粋に鑑賞的態度に終始した詩の見方が可能であるとは信じていない。 たとえ、早急な価値判断を抑制して、能うるかぎり作者の意図と結果の領域にのみ分析の範囲を限定したとしても、おのずから「ある評価」によって左右された感情のバイアスはあらわれるのである。
しかし、それにもかかわらず、自分自身の詩的基準や価値判断からはなれて、他人の詩の領域に自由に立ち入ってみたいという気持ちは強かった。それまでの自分の興味の限界に、あるあきたらなさを感じていた、ということもあった。近代詩の成果といわれているものに故意に背を向けていたわけではないが、自身の詩的経験からして、積極的関心を持つに至らなかったという事情もある。
人は誰でもそれぞれ違った詩の観念を持っている。近代詩にあっては、特にその傾向がつよい。位置や姿勢の違いにすぎなくても、根本的な立場の違い、詩概念の違いとなってあらわれてきて、相互に全く理解しえないというような、混乱した状況を呈することがある。ちょっと先入観を抱いているだけで、評価がまるで逆になるというようなこともしばしば経験するところである。
詩に何を求めるか、ということも、もちろん大切である。だが、そのまえに詩とはどういうものかを、ありのままにさぐってみる必要があるであろう。個々の詩人の仕事についてそれを見れば、 詩は個性的経験の高度の凝集であることの証であり、時代の影響、流派の制約を越えた表現である。そのことを信ぜずして、詩を読んだり、書いたりすることは、およそ無意味であろう。
解説的な文章を私に書かせた心理的背景を要約すれば、だいたい以上のようなことに尽きる。 (1966年10月)
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