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「ああ、あの二人は同じ年に生まれて、同じ年に逝ってしまったんだ。」 ボンヤリそんなことを考えていて、 この本 です。表紙の写真は、 2000年 ですから、 お二人 が 65歳 のときの姿です。
思い起こせば今から四十年近く前。指揮者として着任したばかりの僕がNHK交響楽団にボイコットされた時、大江さんは武満さんと井上靖さん、三島由紀夫さん、黛敏郎さん、團伊玖磨さん、有坂愛彦さん、一柳慧さん、それから中島健三さん、山本健吉さん、浅利圭太さん、谷川俊太郎さん、石原慎太郎さんたちと一緒に、僕を励ますためのコンサートを急いで開いてくれたことがあった。あのコンサートのおかげで、僕にとって夢にも考えなかったほど大勢のさまざまな友人、先輩が一気に増えた。けれども僕はすっかり日本で仕事をするのをあきらめて、仕事のあてもないままアメリカに渡った。そんな、半人前にすらなっていなかった僕を、大江さんは知っている。僕たちは同じ時代を生きてきたんだと、しみじみ懐かしい。(P224) 後に 「世界の小澤」 と呼ばれるようになる、 小澤征爾 の始まりの思い出ですね。
小澤さんと僕とは同じ年に生まれた。小澤さんは中国で、僕は四国の森の中で。戦後の社会の混乱と、それが再生する過程の気風をなした民主主義がなかったら、異分野で仕事を始めたばかりの青年であるふたりが会って話すことはなかっただろう。いま、初老となったふたりがあらためて長い時間をかけて話すこともなかったにちがいない。 まあ、こちらも 「ノーベル文学賞作家」 なわけで、どちらが主役というのは決めかねますが、 彼 は 彼 で、二人の活躍を総括する言葉として 「民主主義」 を出してくるというところがおもしろいですね。
いよいよ「戦後民主主義」が終わった! まあ、そんなことを実感しました。
目次
僕らは同じ年に生まれた(大江健三郎)
若い頃のこと、そして今、僕らが考えること
芸術が人間を支える
"新しい日本人"を育てるために
語り合えてよかった(小沢征爾)
追記
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