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2025.02.22
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デイヴィッド・ピース「Xと云う患者」(黒原敏行訳・文藝春秋社) ​​  「一読三嘆!」 という言葉がありますが、
​「私は芥川龍之介が、子どものころから好きだった、雲の意図なんて、絵本で読んだし!」​
という方に、まず、おススメします。「杜子春」とか「蜘蛛の糸」とか、童話とか絵本でなじんでいる人って結構いらっしゃるのですね(笑)。​​
​​​ で、
一気読み!
が、おススメです。途中で止まってはなりません。立ち止まって、原作が気になったりすると、止まっちゃうんです(笑)。
 作品は  デイヴィッド・ピース「Xと云う患者」(黒原敏行訳・文藝春秋社) です。副題に 「龍之介幻想」 とついています。​​​
​​​ これらの物語は我々の世界の、鉄の城の一つにいる患者X(ペイシェント・エックス)が、聞く耳と時間のある者には誰にでもしゃべる話である。
 彼は実際の年齢より若く見える日もあれば、老けて見える日もある。痩せこけている日もあれば、肥っている日もある。三界の苦をその身に受け、幽霊と幻影に苛まれ、千の自己に分裂して、無数の悲惨な人生を経験した挙句に、ここへつれて来られた。彼がどんな経験を、・・・いや、詳しい話はしばらく措くとしよう。(P9) ​​​
​  「序」 がこうして書き始められます。
 で、​

「糸の後、糸の前」
「地獄変の屏風」
「反復」
「切り裂きジャックの寝室」
「二度語られた話」
「黄いろい基督」
「戦争の後、戦争の前」
「悪魔祓い師たち」
「災禍の後、災禍の前」『河童聖人』
「基督の幽霊たち」
「事の後、事の前」
​​​ という​ 11篇 の物語が語られていきます。 短編小説集 というわけです。たとえば最初の 「糸の後、糸の前」 はこんなふうに書きだされます。​​
​ ある日のことでございます。御釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂が、絶間なくあたりへ溢れて居ります。極楽は丁度明方なのでございましょう。(P13) ​
​​​ どうでしょう、
​​ 「えっ?」 ​​
​  とお気づきの方はお気づきでしょうね。そうです、 芥川龍之介 の名作 「蜘蛛の糸」 の書き出しそのままです。​​​
​​​ しかし、次の1行で、この物語を語っているらしい 「患者X」 「蜘蛛の糸」 を書いている 龍之介 から離陸します。
​​​ ​ところが御釈迦様が御歩きになっていると、泣声が聞こえて来ます。​
​​​​​ 原作にもこんな文はありませんし、​本来、極楽では 「泣声」 など聞こえてくるはずがないのですが、 お釈迦様 がご覧になっている蓮の花のそばに佇んでいたのが 基督 で、その 基督 が泣いていたということになれば、
​​ なんじゃ、それ? ​​
​  ですよね(笑)。​​​​​
​基督さまはあるものを御覧になって泣いていらっしゃるのでした。​
​  ​​​​​​​​​​​​原作で 御釈迦様 がご覧になるのは、蓮池の底、地獄でうごめいていた カンタダ という男の姿でしたが、この作品で 基督さま がご覧になったのは、誰あろう 芥川龍之介 でした。
​​ で、どうなるの? ​​
​  は、まあ、本書を手に取っていただく他ありませんが、これが 「龍之介幻想」 の始まりです。 11の短編 に登場するのは 龍之介自身 であったり、 堀川保吉 であったりします。 漱石門下 はもちろんですが、友人の 小穴隆一 川端康成、斎藤茂吉 とかも登場します。​​​​​​​​​​​​
​​​​​​​​​ ボクが一番面白かったのは 「切り裂きジャックの寝室」 ですが、師の 夏目漱石 「鼻」 を褒めた手紙に始まり、 龍之介と漱石の会話 が圧巻でした。
「鼻」 1916年 の作品ですから、この作品で 龍之介 漱石 と出会っているのは、 漱石 が亡くなった年のことですね。​​​​​​​​​

 で、短編群の最後の ​「事の後、事の前」​ の書き出しの扉書きには
自嘲
水洟や鼻の先だけ暮れ残る 
           芥川龍之介
  昭和二年(一九二七年)七月二十三日
​​ とあります。
 そうです、ちょっと乱暴ない方ですが、この 「Xという患者」 という作品集は 作家芥川龍之介 の10数年の生涯の、いわばトピックとして記憶されている出来事の小説化ですね。​​

​​​​​​​​​ で、最初に 三嘆 といいましたが、まず、最初の 一嘆
​芥川作品の見事なコラージュぶり! ​​
​ です。
 次に、 二嘆 ですが、 デイヴィッド・ピース というイギリスの作家が 英訳された芥川作品 を読んでの英語表記の創作だということですね。英訳なんて読めませんから、勝手な想像ですが 「原作」→「英訳」→「創作」→「翻訳」 というプロセスを思い浮かべると言葉を失いますね。
 だから、まあ、 黒原敏行さん 翻訳技 三嘆 というわけでした。​​​​​​​​​

​​​​​​​​​​​​ で、 一気読みのススメ ですが、ボクは 「切り裂きジャックの寝室」 を読み終えて手がとまりました。読みながら デイヴィッド・ピース という イギリスの作家 が、たとえば 漱石 とかについてどう考えているのかというあたりに対する ??? が湧いてしまったんですね。
 命が尽きんとしている 漱石 と、やがて、自ら命を絶つであろう 龍之介 が出会っている場が描かれているのですが、精緻な人形芝居のような展開を描いている イギリス人 が、いったい何を考えているんだろうというような疑問です。
 ついでに、付け加えれば、 コラージュ されている 芥川作品 が気になって読み返したうえで、本作を読むと、同じような疑問が湧いてきます。
 だから、まあ、 一気読み ですね。
 で、蘊蓄に浸るのは、その後ということで。もちろん個人的な感想ですが、おもしろいことは間違いありませんよ。​​​​​​​​​​​​

​​ ちなみに、 デイヴィッド・ピース という方は、今、現在は 東大 で英語による創作の教員かなんかをなさっているようです。イギリスでミステリーを発表されて、高い評価を受けているようですが、他にも戦後の日本をネタにした作品があれこれあるようですよ。​​






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​​​​​​​​​​​​​​ ​​​  追記
 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で 楽天ID をお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)​​​​

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最終更新日  2025.03.01 22:51:15
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