原因はいろいろ取りざたされているが、最終的には電車の運転士のミスということになりそうだ。今のところブルノ発の電車の運転士が、発車してもいいという指示が出る前に発車したのが原因とされている。現在のブルノ駅の改修工事は、この手の信号が青になる前の発車を防ぐような安全設備を設置するのも目的の一つだろうから、改修後はこんな事故は起こらないと思いたいものである。電車の側も近代化を進める必要はあるだろうけど。
チェコでは、電車が発車する際に、信号が青になるだけではなく、ホーム上にいる駅員が指示を出してから出発することになっているから、今回の事故は二重の人的ミスが原因ということになるのだろうか。改修工事の混乱で駅員の指示が出せなかったとかいう落ちもありそうだけど。
チェコの鉄道では、ストゥデーンカの二回の大事故などの結果、踏切などでの安全対策が進んでいるが、人的ミスはなかなか減らせるものではない。いや、最近増えている理由は、私鉄の参入などの結果、鉄道の利用が活発になり、電車の運転士の人員不足が挙げられることが多い。そのためチェコ鉄道と他のたとえば貨物鉄道の仕事を掛け持ちしていたりする人がいて、過労に追い込まれているらしい。それを防ぐためには新たな人材を供給する必要があるのだけど、教育体制を整えるのは一朝一夕には難しい。
ちなみに今日のブルノでの事故を入れて、ここ2週間ほどで6件の事故が起こっているらしい。幸いなことに犠牲者は出ていないが、かつてのひどかった頃に比べても、事故の起こる回数が多くなっているのは、いいことではありえない。
最初は2月19日にビソチナ地方で起こった事故で、運転士が乗っていない状態で、ディーゼルの気動車が、十人ほどの乗客を乗せたまま走り始め、6キロほど先で停止したらしい。運転士が問題を発見してそれを除去しようと、気動車を離れた瞬間に動き始め、乗客が非常ブレーキをかけても停止しなかったのだという。これは整備ミスが原因なのだろうか。怪我人はなし。
二つ目は2月22日にプルゼニュの近くで起こった事故である。ミュンヘン行きの特急が赤信号を無視した結果、本来の線路とは違う線路に入ってしまい、反対方向に向かっていた電車と正面衝突しそうになって、どちらも何とか停止。ぶつかるまで34メートルだったというから、ブレーキのかけ初めが一秒でも遅れていたら大事故になっていたかもしれない。怪我人はなし。
三つ目はその翌日23日に、チェスケー・ブデヨビツェの駅で、機関車の移動をしていたら、二台の機関車が衝突して一台の運転士が怪我をしたという事故。四つ目は27日にハブリーチクーフ・ブロトで貨物列車と機関車が衝突して脱線してしまったという事故。これも怪我人はなかったらしい。
五つ目は三月二日に、プラハのスミーホフの駅で、レギオジェットの電車が起こした事故で、運転士が停止を求める信号を無視した結果、路線の切り替え機を破壊したという事故。これもけが人は出なかったけど、プラハの中央駅とスミーホフという輸送量の多い路線がしばらく運行停止になってしまった。
こうして並べてみると、ブルノの事故も含めてどれも人為的な原因で発生している。一歩間違えば大事事で住んだのは僥倖に過ぎない。こういう事故が相次ぐと運輸大臣の責任をとう声が上がるのだけど、このポストって任期を全うできない大臣が多いんだよなあ。大臣を代えたからといって状況が改善した例はあったためしがないし。とまれ、一番よく使うオロモウツ‐プラハは安全対策が一番進んでいる路線だから、ここで事故にあったら仕方がないと諦めよう。一番危ないのは単線の電化されていないローカル線である。
2019年3月6日21時30分。
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