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2019年08月27日

チェコから日韓関係を見る(八月廿五日)




 さらに困るのは、歴史的人物の場合で、これは確か中国の人名でも起こったことだったので、伝統的な音読みと、現地語の発音での読みが混在して誰が誰やらわからなくなるなんてこともあった。現地での読み方を重視するというのは、悪いことではないのだろうけど、音読みで統一した方が便利だったと思う。現地読みだと知らない人の名前が読めないしね。だからこの問題が出てきたころに、ある国会議員が、抗議のために毛沢東を「けざわひがし」なんて読む嫌がらせをしていたのか。社会の先生は読み間違えたといっていたけど、それはありえないだろう。

 さて、例によって枕が長くなってしまったが、チェコから、チェコの政治家になったつもりで、昨今の日韓関係を見ていて思うのは、「韓国はいいなあ」ということである。これは韓国をほめているのではなく、韓国が恵まれていることをうらやましがっているのである。ちょっと政治的に問題が発生しても、反日をあおれば支持率は上がるし、日本の首相が靖国神社に参拝して手助けしてくれることもある。経済的な問題が起これば、過去の出来事を、すでに解決されたことになっていたとしても、もう一度穿り返すことで、日本から金を引き出すことができる。この辺は韓国だけでなく、中国も同じなのだけど、チェコにもこんな打ち出の小槌のような隣国があると楽なんだけどねえ。


 アジアでは被害者の朝鮮半島が戦後、韓国と北朝鮮に分離したのに対して、チェコでは加害者国のドイツが、すでに再統一されたけど、東西に分裂した。チェコとスロバキアも分裂したけど、朝鮮半島の分断とは意味が違いすぎる。それから、東アジアにEUのような組織がないのも、現在のチェコと韓国の違いと言ってもいいかもしれない。

 残念ながら、チェコでは、韓国が日本を叩くように、ドイツを叩くことはできない。いや叩いても意味がない。反独で政治的なキャンペーンを張ったとしても、国民が一枚岩になることはありえず、せいぜい共産党とオカムラ党の支持者のうちの極左の連中がそれに加担するだけだろう。ドイツ以上に嫌われているソ連の後継国であるロシアを攻撃した場合でも、共産党や社会民主党の支持者の一部は、反露キャンペーンに徹底的に反対するだろう。内政上の問題を外交の問題に注目させて、つまりは外国を敵に仕立てることで、乗り切ることはできないのである。だから、文化大臣の問題が延々と話題になり続けているわけだし。

 日本の戦後賠償が不十分だという話にしても、ドイツと比べてどうなのかねえ。個々の強制収容所に収容されて強制労働させられた人たちへの賠償なんかしてないと思うんだけど。何せ、ユダヤ人と並んで、民族浄化の対象となったロマ人に対する補償に関しては知らん顔で、ポーランドのアウシュビッツやチェコのテレジーンなどユダヤ人関係の強制収容所の跡地は、整備されて博物館になっているのに、ロマ人の収容所に関しては記念碑さえも置かれていなかったのだから。
 以前、ポーランドが、ドイツの意を受けたとみられていたEUからの干渉の大きさに腹を立てて、第二世界大戦の賠償を請求するとか言い出したときも、すでに終わった話だとすげなく切って捨てて歯牙にもかけなかった。日本も戦後のどこかの時点で、これでお仕舞ときっちり線引きをしておけばよかったのに、ずるずると引きずってしまうから、時間が経って事実関係の調査さえ難しくなってから話を蒸し返されてしまうのである。

 戦前から戦後を生きた日本人の多くは、少なくとも我々のように1980年代に中学高校で勉強した日本人の多くは、右翼的思想の持ち主であれ、左翼的な思想の持ち主であれ、戦前戦中の出来事に関して、中国や韓国に対して何とも言い難い罪悪感を感じている。それは左翼だと中国、韓国の主張を全面的に取り入れる方向に向かい、極右だとすべてを否定して日本には悪いところなどなかったと強弁することになる。
 実際に政権を握っていたのは右寄りの人たちなので、相手の言うことを全面的に受け入れることはしないまでも、罪悪感を軽減するために、あれこれ口実を付けて譲歩を続けてきたのが戦後の日韓関係だと言っていい。その日本人の感じる罪悪感が、世代交代が進むにつれて薄まってきたのか、日本側が譲歩しなくなってきたのに焦った韓国側が急進化して頑なになっているのが現状と言えるだろうか。

 それにしても、韓国の展開する論理を見ていて思うのは、環境保護団体とか反捕鯨団体のやり口と似ているということである。やつらにとって議論というのは、自分たちの正義を相手に認めさせるためのものでしかなく、自分たちの考え以外のものは話し合いの結論にはならない。ささいな揚げ足取りで大騒ぎするのも特徴か。こんな連中との話し合いというのは時間の無駄にしかならないもので、最近の韓国も同じように対話とか議論と言うのが言葉の本来の意味を失ったところまできているように見える。
 その点では、選挙に勝てば民主主義の勝利で、負けたら民主主義の危機とか抜かす日本の野党もおんなじようなものだよなあ。チェコの既存政党も同じようなところがあって、それで支持を失っているのだから話にならない。昔は国内政治でも外交でも、時に意味不明にずるずると譲歩することはあっても、もう少し建設的な議論、話し合いができていたような気がするのだけど、ノスタルジーから来る過去の美化なのだろうか。

 日本も、そろそろ韓国や中国にとっての、都合の「いい国」であるのをやめる時期に来ているのではないかと思う。と取ってつけたような結論で今日のお話はおしまい。またまたとっちらかってしまった。
2019年8月25日24時30分。










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