最低賃金のニュースなんかでも、今の最低賃金ではバカンスにも出かけられないとか不満を述べる人がいて、金がないならないなりのやり方があるだろうにと思わずにはいられない。クリスマスプレゼントにしても借金してまで買った物をもらっても、気に入るとは限らず、クリスマスの後には返品のための行列ができるなんてニュースを見ると、しかも領収書のないものをあの手この手で返品するのを認めさせようとしているのを見ると、何だか特別な娯楽であるかのように見えてくる。
もう一つ、チェコの人たちが愛しているのは、割引販売である。1ハレーシュ(1コルナ=100ハレーシュ)でも安いロフリークを探して、広告のビラを比べて買い物するスーパーを決めるという話は、割引とは直接関係ないけれども、できるだけ安く買いたいというバーゲン好きにつながるメンタリティを見て取ることはできる。より安い品を求めてスーパーをはしごするなんて話もあったか。
スーパーマーケットの棚は、「sleva」という表示にあふれている。わかりやすい値段が何パーセント引きというものもあれば、値段は同じだけど量を増やしたというものもある。前者は店で設定した割引で、後者はメーカーの設定する割引になる。スーパーが発行するポイントカード所持者だけが活用できる割引もあったかな。その辺は日本も変わらないのだろうけど、安く買うことにかける執念ではチェコの人の方が上をいくような気がする。
必要だから、ほしいから買うではなく、ただ単にいつもより安くなっているから買うなんてことをいう人も結構いるしさ。そういえば共産主義時代の映画にも、安く買えるものを買い集めている人物が登場したなあ。右足用のしか生産されなかった靴とか、売り物にならないようなものを集めて、必要に応じて修正しながら使っているのだったか、口八丁で他人に売りつけているのだったか。
さて、ブラックフライデーというのは、もともとアメリカでクリスマス前のバーゲンセールとして始まったものらしい。それがチェコまで入ってきたのは多分最近のことだと思うけど、借金をしてまでクリスマスプレゼントを買うチェコ人が、この特別バーゲンに熱狂しないわけがない。年々規模が大きくなっているような気がする。
クリスマス前のバーゲンセール自体は以前から伝統的に存在していたはずだ。そのいつもの大安売りに特別感を出そうとして、どこかの企業がブラックフライデーという名称を使用し始めたのが、チェコ中に広まったんじゃないかと想像している。例年はテレビのコマーシャルでブラックフライデーがどうとかこうとかいうのを聞いて、店が込むから買い物に行くのは面倒だなあと思っておしまいなのだが、今年は、ネット上で買い物したときにメールアドレスを登録したお店からブラックフライデーの開始を注げるメールが来た。その店では最近買い物をしたばかりだから、バーゲンだからといって買う気はないけど。
大安売りで買うのもチェコ人なら、売るほうもチェコ人である。つまり大安売りも一筋縄ではいかない。ブラックフライデーには限らないのだが、チェコのお店の中には、定価で売っていた商品を値上げしたり、値下げ幅を大きくしたりする前に、定価を高く改定するところが多いらしい。その結果、例えば実際には値下げ前と10パーセントしか変わらないのに、50パーセント引きと表示されることになる。そして、その店に通って値段のチェックをしていた人ならともかく、大半の人は半額になっているの大喜びして飛びつくのである。ひどいときには、実際は値上げしたのに、定価をさらに上に設定して、安売りに見せることもあるようだ。
そんな店側の反則すれすれの売り方に対抗しようとする買い手がいるのもチェコで、いろいろな店の価格をモニタリングして、見た目の上の値下げ幅ではなく、実際にどのぐらい安くなったのかを教えてくれるようなサイトもあるようなことをニュースで言っていた。うーん、そこまでして割安で買いたいのかなあ。高いと買うのをためらってしまうのはよくわかる。でも、バーゲンだから買うというのはよくわからない。
2019年11月29日23時30分。
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