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2020年07月18日

チェコ鉄道事故連発(七月十五日)



去年の三月初めのこと だった。あれから1年半ほどのときを経て、再びチェコの鉄道に受難のときがやってきた。
 最初にニュースになったのは7月7に西ボヘミアで起こった事故だった。カルロビ・バリとドイツとの国境の駅ポトゥーチキを結ぶローカル線のペルニンク駅近くの山間部で、普通列車同士が正面衝突し死者2名、負傷者24名という被害を出した。山間部の道路から離れた場所での事故だったために、救急隊員はペルニンクの駅に救急車を止めて線路上を走って現場に駆けつける必要があったという。救急ヘリコプターも現場から離れた場所にしか降りられなかったようだ。

 事故の原因は、片方の列車の機関士が、ペルニンクの駅で反対方向に向かう列車を待った上で出発しなければならなかったところを、待たずに出発したことだと見られている。このローカル線は単線で、一部の駅の構内でしか対向する列車とすれ違うことができないようになっている。この駅がどうだったのかは知らないが、ローカル線の駅は無人であることが多く、駅員がいても切符の販売係で出発の指示をする人がいないので、機関士が勘違いをしていた場合には、それを指摘できる人がいない。安全対策がほとんどとられていないのが、一番大元の事故の原因だということになる。
 運輸省ではローカル線の安全対策に関して、一部の専門家が提案している機械を導入しての暫定的な解決法は取らず、EU規格の安全技術を導入する長期的な計画を立てているようだ。ただそれが実現するまでには、最低でも数年はかかるとされており、それまでの間、どのようにしてローカル線で人間のミスによる事故を防ぐかというのが課題になっている。

 人為的な原因で事故が起こるのは安全対策が不十分なローカル線だけではない。プラハからパルドルビツェ、オロモウツを経てオストラバに向かうペンドリーノの走る路線は、チェコの中では最も安全対策の進んだところである。特にプラハからコリーンまではブルノ行きの二つのルートでも利用されるために走る列車の数も多いのだが、ここでも機関士のミスで死亡事故が起こった。
 ペルニンクでの事故からちょうど一週間後の7月14日、プラハとコリーンの間にあるチェスキー・ブロトで、普通列車が停車中だった郵便用の貨物列車に追突し、普通列車の機関士が亡くなり、35人の人が怪我を負ったという。原因は機関士が赤信号を無視して走行を続けたことだというが、一説によると、一旦停車した後、再度走行を再開したのが事故につながったとも言われている。
 安全対策が進んでいる電化区間でも、赤信号のときには、電車が自動でストップするような対策はとられていないということなのだろう。人為的なミスは完全にゼロにするのは難しいものだが、チェコの鉄道管理局では、機関士に対してすべての駅で出発の際に運行管理室に連絡を取ることを義務づけることで、赤信号や進行禁止の状態での発車を防ごうとしているようである。

 7月に入っての死亡事故は以上の2件だけだが、ほかにも小さな事故が頻発している。最初は4日の事故で、プシェロフとオストラバを結ぶ路線のプシェロフの近くで、レオエクスプレスの電車が問題を起こしてこの区間の電車の運行が数時間停止した。この件は電車が起こした事故というよりは、鉄道の架線の状態が問題だったようだけど、垂れ下がった架線に電車がぶつかったのかな、チェコ語で読んでもよくわからない。架線の状態に問題があるという理由で一度停車し、運転再開の許可が出たので走行を再開したら事故が起こったということのようだ。
 2件目はペルニンクの事故で、3件目は7月10日に、プラハ—コリーン間で起こっている。この事故は、人身事故を起こして停車していたペンドリーノの乗客を運ぶために現地に向かっていた列車が、となりの線路で停車していた急行の車両に接触し脱線したというものである。幸いに怪我人などは出なかったようだ。気になるのはペンドリーノの起した人身事故だが、跳ねられた歩行者は亡くなったらしい。

 4件目は、プラハからベロウンに向かう路線で、12日に起こった事故ともいえないもので、プルゼニュ行きの急行が路線が空いているという表示で進入したら、そこにはすでに普通列車が停車していたというもの。機関士が気づいてブレーキをかけたのが間に合って衝突には至らなかった。これは、機関士ではなく路線の管理をしている人のミスであろう。
 5件目は上記のチェスキー・ブロトの事故。3件目もそうだが、チェコの鉄道網で一番重要な部分での事故だったために、多くの列車に遅れが発生し、特急など一部の列車は、ニンブルク周りの迂回路を使って運行していたようだ。当然遅れも分単位ではなく時間単位になる。
 そして、今夜、パルドルビツェ地方のフルディムの近くで、ローカル線の普通列車が脱線するという事故が起こった。原因は現時点ではわかっていないが、幸いなことに犠牲者はいないと言う。けが人も出ていないのかな。乗客は二人だけだったようで、救急車や警察が来るのを待たずに現場から歩いて自宅に帰ったとかニュースで言っていた。警察では情報提供のために連絡するように呼びかけているらしい。

 さて、この事故の連鎖いつまで続くのだろうか。最近は武漢風邪の影響もあってバスもトラムも鉄道も、公共交通機関は全く利用していないのだけど、この状態が続くと利用しようという気にもなれなくなってしまう。
2020年7月15日14時30分。










タグ: 事故 鉄道
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