映像作品のほうは、最初に見た作品のインパクトが強すぎて、以後はどれを見ても、いまいちというか納得しきれないものが残る。完全に現代化を施したBBCの「シャーロック」は、あれはあれでありだと思ったけれども、他はどうしても記憶の中のシャーロック・ホームズと比べて、違うと思ってしまう。
こんな感情は、1980年代半ばから90年代にかけてNHKで放送されていた「シャーロック・ホームズの冒険」を見ていた人の多くが感じているに違いない。それほど、あのイギリスのグラナダTVが制作したドラマの完成度は高かった。日本語の吹き替えも悪くなかったし、珍しくまたいつか見てみたいと思えるテレビ番組だった。
それが、昨日だっただろうか。何気なくテレビの番組表を眺めていたら、「Dobrodru?ství Sherlocka Holmese」の文字が目に入ってきた。日本語に訳すと「シャーロック・ホームズの冒険」である。イギリスのドラマで、制作年は1984年となっていた。これまでも何度か期待してははずれということがあったので、念のためにチェコテレビのホームページで確認したら、大当たりだった。
大当たりだったのはいいのだけど、先週、先々週とすでに二回分の放送が済んでいて、今後の再放送の予定もないようだった。何だって、こんな名作を土曜日の午前十時からなんて中途半端な時間帯に放送するんだ。いや、それはまだいい。一体どうして、大々的に予告編を流さなかったのだろう。現代版の「シャーロック」のときには何度も予告編が流されて、第一回の放送を見逃すなんてありえないような状態だったのに。
一回目、二回目は見逃したとはいえ、三回目以降を見逃すわけにはいかない。休日とはいえ午前中からテレビをつける気にはなれないから、セット・トップ・ボックスで録画である。この時点で、全部放送された場合に備えて、録画して保存するためのUSBメモリーを新たに買うかなんてことを考え始めていた。ファイルの形式を変換するのには異常に長い時間がかかり、毎週一回一時間分なんてやりたくないから、DVDをMP4に変えたビデオ保存用のハードディスクに一緒にしたくはない。
それはともかく、昼食時に再生した「シャーロック・ホームズの冒険」は、本当に昔見たあれだった。オープニングの特徴的な音楽といい、ブレット演じるホームズのときに奇矯な振る舞いといい、長らく見たいと思っていたあのホームズだった。この回の題名は「námo?ní smlouva」、すぐには日本語題が思いつかなかったのだが、「海軍条約」である。小説も読んだし、このドラマも見たはずなのだけど、あまり覚えておらず、頓珍漢な推理をしながら最後まで見た。
そして、深い満足感を感じると共に、一回目の「ボヘミアの醜聞」と二回目の「踊る人形」が見られないことを残念に思う気持ちが改めて沸き起こった。特に「ボヘミアの醜聞」のほうは、チェコに関る話だけに、どのような形で出てくるのかが気になる。ということで、いかに見逃した二回分を手に入れるカを考えることにする。チェコテレビが再放送してくれればそんなことする必要はないのだけどねえ。
2021年4月4日21時。
タグ: シャーロック・ホームズ
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