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2020年10月09日

地方議会選挙2020結果3(十月六日)





 まずは、リベレツ地方からである。この地方は、市長無所属連合の揺籃の地とも言うべきところで、前回の選挙で第一党になったのも市長連合で、現職の知事も市長連合の人である。ただ、最近この地方知事に関して汚職の疑いで捜査を受けるというスキャンダルが勃発したこともあって、どのような結果になるのか注目を集めていた。チェコの場合には、汚職で摘発されても、裁判で無罪になることも多く、またどうせ他もやっているだろうというイメージがあることもあって、疑惑の政治家に対して比較的寛容である。
 結果は、市長連合が圧勝し、全45議席のうち半数に迫る22議席を獲得した。これまでよりも議席を増やしているので、知事の疑惑はあまり問題にされなかったと考えてよさそうだ。第二党になったのは10議席のANO、それに海賊党と市民民主党が5議席ずつで続き、3議席を確保した5位のオカムラ党までが、5パーセントの議席を獲得するためのラインを超えた。



 選挙後の連立の交渉では、市長連合が海賊党と市民民主党に声をかけていて、市民民主党はこの3党連立に積極的らしいが、海賊党が難色を示して、2党だけの連立を求めていたらしいが、最終的には市長連合の主張が通って3党で連立することが決まったようだ。気になるのは、この地方の市長連合が、全国的に使われている市長無所属連合ではなく、リベレツ地方(のための)市長連合という名称を使い続けていることで、中央からの自立性を主張しているのだろうか。

 二つ目は、人口が最も多い中央ボヘミア地方で、これまではANOが第一党で知事の座も確保していた。ただ、ANOの女性知事が、いろいろと、武漢風邪騒ぎの最中にマスクなどの医療物資が届かないと不満の声を上げた消防士を裁判で訴えるとか、やらかしたせいで支持を落としており、前回と比べると得票率も議席数も減らすことが予想されていた。結果は減らしたものの予想ほどではなく、議席数は−1で15議席となり三番目だった。
 中央ボヘミア地方で勝ったのは、下院議員を務める党首のラクシャン氏が候補者名簿に登場した市長無所属同盟で全65議席中18議席を獲得。第2位の市民民主党は、2議席少ない16議席、3位のANOを挟んで、4位の海賊党が12議席、5位のTOP09と緑の党などの同盟が4議席で、ここも5つの政党が議席を獲得した。
 社会民主党と共産党は、リベレツ地方に比べれば善戦したとは言うものの、どちらも4パーセントちょっとで、5パーセントの壁を越えることはできず、社会民主党は11、共産党は8つの議席を失うことになった。オカムラ党も0.4パーセントほど足りずに議席の確保には至らなかった。不思議なのは、議席は確保できなかったけど、「モラバネー(モラビア人たち)」といういかにもモラビア的な団体が候補者を立ていて、0.07パーセントとはいえ票を投じた人たちがいることである。

 選挙後の連立交渉は、この地方は選挙前からANO外しで話し合いがついていたこともあって、ANO以外の4党が連立することがあっさり決まった。知事になるのは、市長無所属連合の名簿1位だった女性候補である。ただこの人、どこかの町の町長を務めていて、町長と知事の兼職は流石にまずいと思うのだけど、市長無所属連合がどう判断するか注目である。日本的に考えたら県知事と県内の市町村の首長を兼任するのはありえないと思うのだが、民主主義が大好きなチェコだからなあ。
 このANO外しは、単に反バビシュというだけでなく、ANOの知事が、任期の途中で連立を組み替えるという連立から外された党にとっては裏切りを働いたという中央ボヘミア地方独自の事情も絡んでいる。恐らく第一党になった政党から知事を輩出するという合意がなされていたものと考えられる。選挙前から連立交渉ってのはフライングじゃないの? と思わなくもないし、こういうあからさま過ぎる反ANOの姿勢が、逆に既成政党に主導されたANOいじめのように見えて、ANOの支持者を増やさないまでも、支持者が減らない原因になっているのだろう。
2020年10月7日10時。












タグ: 選挙 地方議会
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