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2021年06月07日
内閣不信任案否決(六月三日)
日本だと内閣不信任案がどの程度頻繁に出されるのかは知らないが、チェコでは日常茶飯事である。いや平均すると年に一回ぐらいの割合になるから、年中行事のようなものだといったほうがいいかもしれない。2000年以降の政権で不信任案を一回も出されなかったのは、野党の市民民主党と閣外協力協定を結んでいた社会民主党のゼマン政権ぐらいのものじゃないだろうか。
これまでの数ある不信任決議の中で、実際に可決されたのは、トポラーネク内閣に対して出された2009年のEU議長国を務めていたときのものだけである。あのときは、EU議長国の首相として舞い上がっていたトポラーネク氏に対する嫌がらせとして、可決される可能性はないことを承知の上で提出したら、身内の市民民主党から造反者が出て可決されたのだった。野党側も予想外の結果に、可決を喜ぶよりも当惑していたような記憶がある。
これまでは、バビシュ政権と閣外協力協定を結んでいた共産党が、可決されないように協力してきたことで否決されてきたが、共産党はすでに閣外協力協定を破棄しており、賛成と反対の土地らに手を挙げるか注目されていた。珍しくメディアの注目を集めた共産党は、審議の前日の昨日の時点では方針を明かさず党員全体の意見を集めて決めるなんてことをいっていた。
それで、今日の午前中にセズナムを見たら、「共産党は足でバビシュ支持に投じる」なんて見出しが目に飛び込んできた。最初は、この不信任決議の不毛さに抗議して、採決に際して、反対の意見を表明するのに手ではなくて、足を挙げることにしたのかと思った。それで、ちょっと共産党を見直す気になったのだけど実際は違った。
見出しの「足」が単数ではなく、双数になっていた時点で気づけばよかったのだ。手をあげるときに普通は片手を挙げるのだから、足の場合にも片足しかあげないはずで、こちらの理解したことが正しければ、「足」は単数になるはずなのに、双数の7格が使われているということは、両足でバビシュ政権を支持する行動を取るということである。つまりは、審議採決に参加せずに、両足で歩いて会議場を出て行くということを意味していたのである。
チェコの下院でも重要な議案に関しては、出席議員の過半数ではなく、全議員の過半数、つまり200議席あるから、101人の議員が賛成しない限り可決されないことになっている。だから共産党が退場した時点で、賛成も反対も過半数を上回らないことは明らかだった。この場合は内閣不信任案が可決されないことは明らかだったのだが、そこから延々、与野党の議員たちの演説が続き、十数時間もの時間を浪費した挙句に採決が行われ、予想、いや予定通り否決された。
なんともまあご苦労なことである。共産党の議員たちの決定をうらやましいと思っていた他党の議員もいたに違いない。マスコミ関係者も、仕事として審議の様子を見守っていただろうけれども、いい加減に終わってくれと思っていた人が多かったはずだ。以前何かの件で、この手のマラソン審議をテレビで流しながら仕事をしていたことがあるけれども、たまに注意を向けるだけでも同じ発言の繰り返しばかりでうんざりしたのを覚えている。
2021年6月4日21時。