全31件 (31件中 1-31件目)
1
公共工事の品質確保の促進に関する法律の改正法案が今月に衆議院の本会議で可決成立したのだが、品質確保の担い手である施工者や設計者が人材を確保し育成しやすくすることを目指して、施工者が適正な利潤を得られるよう発注者に配慮を求める条文などを盛り込んだ内容になっているのだ。公共工事品確法改正案では建設業の担い手の中長期的な育成・確保の促進を法律の目的として追加されており、これを実現するための発注者の責務として施工者が適正な利潤を確保できる予定価格の設定や、計画的な発注と適切な工期設定だけでなく設計変更や発注者間の連携の推進などを規定して、事業の特性に応じて多様な入札・契約方式を活用することも盛り込んでいるのだ。 現行法でも建設産業を育成する視点などを総合評価に取り入れることはできるのだが、改正品確法案は議員立法で提案されたこともあって、改正前と比べるとこれまで長年にわたって建設業界が発注者に改善を求めてきた課題の解決を目指す内容となっているのだが、ダンピングの防止や工事の担い手の処遇改善など、我々建設業に従事する者を擁護する具体的な内容の条文が増加されている。品質の確保には施工者などの経営体力の維持が必要という考えを強く感じさせる内容となっており、発注者の能力および体制を考慮しつつ工事の性格や地域の実情などに応じて多様な入札および契約方法のなかから適切な方法を選択することで品質を確保することにしているのだ。 同時に改正される公共工事入札契約適正化法の改正案には、反対に入札時の内訳書提出の義務付けや施工体制台帳の作成・提出義務を、すべての受注者に広げることなどが盛り込まれ中小企業には少し厳しい内容になっているのだ。そのほか完成後の公共施設に対して適切な維持管理を求める条文などを追加しているのだが、全体として発注者に新たな責務を課した条文が目立つとされている。戦後の建設産業は企業数や雇用だけでなく利益が右肩上がりで伸びる好循環が続いたため、産業が抱える本質的な問題が表面に出ることはなかった。ところが公共投資が削られ経済全体のデフレが重なったことで、入札契約制度をはじめとするさまざまな問題が表面化するようになってきていたのだ。 数十年にわたる建設産業の好循環に慣れていた発注者によってこうした問題は無視され、むしろより安値で契約しようという動きが広がっていたのだ。それが市場縮小による過当競争が発生して初めて建設産業が消滅するのではないかという危機感が共有できるようになり、現行の会計法と地方自治法に沿って公共調達を進めれば進めるほど建設産業は疲弊するといった地方の基幹産業の危機が叫ばれるようになっていたのだ。そこで公共工事の契約を根本から見直す法改正が必要になり、従来の公共調達に欠けていた建設産業が健全に存続するため「中長期的な担い手の育成・確保」への配慮を、公共工事の発注者である国や地方自治体等の責務として明確に位置付けたというのだ。 今までは発注者が法に基づいてできることをせず、技術評価にばかりこだわったためにうまく機能しなかったし、受注者側も知識も経験も無い技術者が「評価点の高い」というだけであぐらをかいている会社がたくさんあってというのだ。実際に実務をする人で経験値が高い人で評価していかないと土木業界から人が減るばかりで増えていかないのだ。公共工事は生産者ではなく発注者が生産するものと価格を決めるところに異質な部分があって、こうした権限を持つ発注者が建設産業に配慮し、契約をコントロールするのは当然のことなのだが、これまで発注者に許されなかった建設産業へのさまざまな配慮を今回の公共工事の品質確保の促進に関する法律の改正法案法では反対に義務化しているのだ。 --- On Sat, 2014/5/31, > wrote:
2014年05月31日
コメント(0)
アベノミクスによる景気回復基調を背景に企業の倒産件数が22年ぶりの低水準となったという報道がされているのだが、私の所属している建設業では企業が余力を残しながら事業を断念し休廃業するケースが急増している。後継者難や経営の先行き懸念が主因で「東京商工リサーチ」によると昨年の解散を含む休廃業数は2万9千件となっており、過去10年で2倍に急増したとされている。債務超過などで倒産に至る前に自主的に会社を整理するだけでなく、資産が負債を上回る資産超過のうちに事業を停止するといった「隠れ倒産」とも呼ばれる休廃業の急増は、景気回復の波に乗り切れない中小零細企業の経営の厳しさを浮き彫りにしているとも指摘されている。 倒産も休廃業・解散も圧倒的多数は中小企業とされているのだが、で東京商工リサーチによると解散を含めた休廃業は産業別で、建設業が8535件と最多で全体の約3割を占めるそうなのだが、一方で銀行取引停止や民事再生法の適用申請などの倒産件数は5年連続で前年比減少し22年ぶりに1万1千件を下回ったというのだ。建設業の倒産件数は5年連続で前年を下回り続けており、昨年は休廃業・解散が倒産会社数の3.5倍にも達したというのだ。公共投資が拡大し民需も住宅需要などで活況を取り戻しているが、長引いた業績低迷で体力が脆弱化したところに、昨今の人手不足に労務費や資材高騰が重なって先行きの見通し難から、事業継続を断念したケースが増えたとみられている。 次いで飲食業や宿泊業などを含むサービス業他が6497件で、小売業3991 件に製造業2857件と続いているそうなのだ。サービス業他は零細規模の飲食業などが多く、小売業も価格競争が厳しさを増しているというのだが、地区別の休廃業・解散をみると全国9地区のうち北海道と東北を除く7地区が前年を上回ったそうなのだ。増加率では北陸の29.4%増を筆頭に、私の住んでいる四国は17.6%増となっているのだが、震災の復興工事が進む東北は前年の2200件から1768件へと約2割減ったのが目立ったというのだ。私の知っている建設業では創業から40年余社員は約40人で、父から社長を継いで踏ん張ってきたが公共事業の削減で利益が出なくなりここ3年間赤字が続き廃業を決断した。 東京商工リサーチは休廃業の増加について、事業の先行きを見通せない中小の経営者が取引先や金融機関に迷惑を掛けないうちに事業を整理しようという意識が働いていると指摘しているのだが、いずれにせよ倒産と休廃業・解散を合計した件数でいえば、リーマンショック以降では年間約4万件の高水準が持続していることになり、「中小・零細企業の実態を把握するには休廃業・解散の動向にも目配りが必要だ」と指摘している。もう30年位前の話になるのだが実は私の実家も水道設備関係の仕事をしていたのだ。私は家業を継ぐ意思がなかったので親父が元気なうちに下請け会社に重機や入札に参加できる権利等を売却し、職人さんたちも全員引き受けてもらったのだ。 会社の借金は社長だった死んだ親父個人が返済したのだが、その時親父も「借金が払えるうちに事業をやめれば誰にも迷惑がかからない。社員の働き場所の確保を最優先に考えた」といっていたのだ。親父から事業を引き継いだその下請けだった会社も、最盛期に年2億円超の売り上げを記録し社員も10人近くに増やしたのだが、私の知っていた職人さんたちも高齢化で相次いで退職し、その息子さんたちに事業を押しつける気にもならなかったようで、結局全員に退職金を払い今年3月末に無借金のまま廃業届を出したそうなのだ。債務超過になる前に退職金を支払い幾ばくかの資産も残せたそうで、お袋に挨拶に来たときには「借金が返せず事業をやめられない経営者は大変だ」と語っていたそうなのだ。 --- On Fri, 2014/5/30, > wrote:
2014年05月30日
コメント(0)
「スーパーゼネコン」と呼ばれている大手建設会社の4社は、今年の3月期の決算を発表したのだが受注高は4社とも前期より増加しており、鹿島を除く3社が増収となっているのだが、労務費の上昇などに伴い特に建築工事で採算の悪化が進んでおり、完成工事総利益率は清水建設を除く3社で低下しているそうなのだ。大林組の完成工事総利益率は前期より1.6ポイント低下しており、その理由を全国的に労務単価などが高騰したことが一因としているのだ。作業員の実質賃金は型枠工の労務単価は東日本大震災の前と比べると東北で2.5倍となっており、関東でも2.2倍だし関西では1.5倍になっている。高騰する前に受注した工事ではコスト増を反映しきれず利益率を引き下げたというのだ。 土木の完成工事総利益率は大林組を除く3社で前年同期より改善したのに対して、建築では4社ともに低下しており基本的には解消されていないのだ。土木工事の場合は重機などによる機械化や効率化が進んでいることから、人件費に利益が大きく左右されにくいのだ。それでも深刻な人手不足には変わりがなく、建設業関連の新規求人倍率はいずれも上昇しており、中でも型枠・鉄筋など躯体工事にかかわる技能労働者への求人倍率は10倍を超えているとも言われているのだ。建設現場で働く労働者の需給は少なくともここ10年で最も逼迫して大きな懸念材料が顕在化しているのだ。特に人手不足による労務費の高騰は今期の利益を直撃した格好となっているようなのだ。 「スーパーゼネコン」と呼ばれている大手建設会社の4社でも受注・売上高ともに増額修正となったにもかかわらず、営業利益は期初予想から減額せれているし、経常利益も同じく減額されたているそうなのだ。売上高営業利益率でみると期初予想の2.16%から1.18%へと大幅に低下しているそうなのだ。労務費と資材の高騰ということなのだが、建設業界は長期間にわたって市場が縮小し、その間各社はダンピング競争を繰り広げ、かなり熾烈な競争をした結果シワ寄せが末端の労働者に集中したのだ。数年前までは「職人の年収は200万円半ばから300万円台前半。1日現場に出ても1万円も稼げない」という声が聞かれ、現場の職人をまとめる親方でも、年収400万円に届くかどうかだったのだ。 そのころは「建設現場で働くよりコンビニのアルバイトのほうがいい」というのはもはや業界の定説だったし、現場の作業員からは「生活保護を受けたほうがよっぽどマシ」という声すら上がっていたのだ。特に賃金の低下がきつくなったのは業界全体の受注量が激減したリーマンショック以降で、これを機に建設業界に見切りをつけ多くの職人が現場から去っていったのだ。業界で働く人の数は15年前と比べて約180万人の約27%の減少となっていたのだ。しかも従来から高齢化も進んでいたが今では労働者の3人に1人が55歳以上となっているのだ。もともと建設現場は3K(危険・汚い・キツイ)職場と言われており、それでも人が集まっていたのはそれに見合う報酬を得ていたからなのだ。 業界の特異な構造も賃金適正化のカベになっているとの指摘もされており、建設業界は元請けから「1次下請け」・「2次下請け」と幾層にも分かれている。元請けであるゼネコン自らが技能労働者を抱えることはなく実際には2次以下の下請けが労働者を呼び集めているのだ。重層構造は10次以上にわたることもあって、そのため元請け段階で賃金が上がってもそれが末端の労働者までこぼれてくる保証がないのだ。型枠工などの技能労働者の育成には時間がかかりすぐに人手を確保できない。それだけに技能別にみると人件費がかなり高騰している分野もあるというのだ。このままでは人手不足が足かせとなって今後の建設投資が消化しきれない可能性があるというのだ。
2014年05月29日
コメント(0)
豚肉の価格がじわりと値上がりしているのだが、豚肉品薄による価格高騰の余波が豚骨などの副産物まで及び、九州ではトンコツ味のラーメン店がピンチに陥っている。豚骨の入手に苦慮し一時休業の判断を迫られている店もあるというのだ。これは「豚流行性下痢」の感染が国内外で拡大しているためなのだが、農林水産省によると感染した豚が38道県の677農場でみつかり約20万頭が死んだというのだ。33道県で約8万3000頭が死んだとの4月時点の報告を大きく上回っており、豚肉の卸売価格は2割以上高く食品メーカーや外食産業にも影響が広がっているのだ。「豚流行性下痢」とは糞便を介して豚やイノシシに感染するウイルス病なのだが人には感染しないそうなのだ。 この「豚流行性下痢」に感染した豚を人が食べたとしても問題はないそうで、前に流行した口蹄疫などより伝播力は弱く殺処分も義務づけられていないのだ。ただ生まれて10日以内のほ乳豚は高確率で死亡するし、感染した豚は食品衛生法などにより出荷が禁止されている。さらに発病した豚と同じ農場で飼育されている豚は、感染していなくても出荷自粛措置が取られる場合があって、こうした事情から豚肉の品薄感が高まっているというのだ。東京市場における直近の平均卸売価格は1キロ・グラムあたり607円で今年に入って上昇し続けているという。東京都内で4店舗を展開するスーパーは上級の豚を並べているのだが、仕入れ価格を抑えるため養豚農家から豚を丸ごと買っているというのだ。 仕入れ価格は例年なら1キロ・グラムあたり650~700円だが、現在は900円近くに上昇しているそうなのだが、4月の消費増税によって価格転嫁したばかりの店は「値上げには抵抗はあるが、このままでは経営を直撃する」と板挟みのじょうたいだというのだ。精肉担当者は「顧客離れも心配だが仕入れ条件は厳しく企業努力では吸収しきれない」と、やむなく1割前後の値上げに踏み切ったというのだ。「豚流行性下痢」の拡大以前から相場が上昇しやすい素地はあったといわれているのだが、「豚流行性下痢による死亡は日本の豚飼養頭数の約1%にすぎない。高騰のそもそもの原因は数年前から起こった豚肉在庫の低水準だ」と、農林水産省食肉鶏卵課の担当者は指摘しているのだ。 農林水産省は「豚流行性下痢」の感染拡大を受けて養豚場の実態調査事業に着手し、発生農場と未発生農場で飼養衛生管理の状況を調べて、その違いから実効性のある防疫対策を探っているのだ。もっとも豚肉在庫の低水準の背景には米国で牛肉の生産量が減少したことがあるとされているのだが、一昨年は米国で発生した大規模干ばつによって穀物の生産量が激減し、家畜用飼料の価格が上昇したことから飼料代を抑えたい現地の畜産農家は屠畜量を増やしたというのだ。この反動でその後の牛肉生産量が減ったのだ。牛の成育には2~3年かかるため影響は今なお続いている。その結果牛肉の代替として豚肉の需要が高まり、そこに昨年春に米国でも「豚流行性下痢」の感染が確認されたそうなのだ。 これを受けて昨年4月から今年の2月にかけて米国からの豚肉輸入量は25万トンと、前年同期比で1割近い減少となったというのだ。さらに豚肉の卸売価格上昇によって今度は鶏肉に代替需要が発生しており、国産鶏肉の卸売価格も高値で推移し肉全般が相場高となっているというのだ。卸業者は夏にかけてさらに品不足が強まる恐れがあるとして、影響の拡大を懸念しているとされているが、単純計算で一昨年より2割近く納入価格が上がったというのだ。豚の成育には5~6カ月かかるため、ほ乳豚減少による供給減は少なくとも半年ほど続くと予想されているのだが、消費増税後の節約志向も相まって食卓に肉料理の並ぶ日が減ってしまうかもしれないそうなのだ。 --- On Wed, 2014/5/28, > wrote:
2014年05月28日
コメント(0)
少子高齢化・人口減少が急速に進展する日本において、実質GDPを経済成長の指標に設定することは望ましくないというのだ。欧米と比較しても日本は中程度の成長をしているのだが、一般の感覚は異なる理由は実質GDPの成長率が年々低下しているからだとされている。「社会保障・人口問題研究所の将来推計人口」によると、労働投入量と深く関係する「生産年齢人口」は30年後までに毎年1.2%程度のスピードで減少していくというのだ。労働投入量が1.2%ずつ減っていくのを補ってなおかつ実質GDP成長率2%を達成するためには、技術進歩などを上昇させることで労働生産性を3%超上昇させることが不可欠なのだが、この日本の状況を考えると極めて厳しいハードル課すことになるというのだ。 生産の増加のうち労働や資本と言った生産要素の増加で説明できない部分の増加を計測した「全要素生産性」とは、通常「技術進歩の進捗率」を示すものとされており、経済成長に与えるこの「全要素生産性」の寄与は高度成長期でも4~5%であったのだ。その後は2%程度にまで低下し労働生産性の伸びは日本が1.48%になってしまい、このように労働生産性の伸びには限界があるとされているのだ。このような環境で経済成長の目標について極めて厳しいハードルを設定すると、もはや目標としての現実味を失い市場における政府への信認を低下させるリスクさえあるといわれ、付加価値重視にして生産性を向上させ交易条件を改善させていく方法が必要となっている。 社会保障についてなのだが現状は中福祉・低負担で財政赤字が出ているわけだが、これを米国のような低福祉・低負担とするのか、北欧各国のような高福祉・高負担にするのかが問題だとされている。あるいは社会保障が高齢者中心になっているのを、少し子どもに重点化させるような方向とするのかが議論されているそうなのだ。「アベノミクス」ではないがとにかく5兆円や10兆円の補正予算を編成し公共投資を拡充することで、実質GDP成長率を一時的に嵩上げすることはできるのだが、その結果残る財政赤字や膨大な政府債務のツケは将来世代や若い世代が支払うことになる。このためいまおこなわれている「アベノミクス」のような成長には限界があることは明らかなのだ。 政府が実質GDP成長率を経済成長の目標に位置付ける限り、メディアもそれを指標として報道し国民は間違ったメッセージを受け取ることになるのだが、少子高齢化や人口減少が急速に進む日本で、実質GDP成長率を経済成長の目標に設定することは望ましくないのだ。人口は長期的な減少を許容するのかといったことが、移民とか出生率との関係で見えてくる。経済成長の適切な目標を考える時に「選択する未来委員会」が行った議論は重要なのだ。内閣府の資料である「目指すべき日本の姿について」は、経済成長の目標として人口減少を許容するのか否かで経済成長の目標が異なること、「1人当たりの総生産」と「国内総生産」のどちらを重視すべきか選択の視点を投げかけているのだ。 この「選択する未来委員会」は「経済財政諮問会議」の下に今年1月から安倍晋三首相の指示で設置されたもので、人口やエネルギー・財政など日本が抱える構造問題について、50年先を見据えた日本経済の課題を議論するというものなのだが、人口減少が進むことで懸念される国内需要の縮小や、労働力人口の減少などをどのように解決するべきかを議論する専門調査会なのだ。この「選択する未来委員会」が公表した恐ろしい予想では、地方は最低限の機能でさえ確保できない地域が多数出現し、過疎化が進む全国約1800の自治体のうち、523自治体は「消滅可能性」が高く、生活水準が2割低下し社会保険料の水準を維持するなら消費税は25%まで引き上げられることになるというのだ。
2014年05月27日
コメント(0)
国土交通省は社会保険に加入していない建設会社が公共工事を受注できないようにする仕組みの大枠を固め、3年後を目途に建設業許可業者は100%社会保険に加入し、それ以降は元請け業者が未加入の下請け業者と契約しないことや、未加入の作業員を現場に入れないなど徹底するようなのだ。その一環として国土交通省は8月から直轄工事で社会保険未加入の一次下請けを使った元請けに制裁金を科すなど指導を強化することを決めたそうだ。保険に加入していない元請けを入札から排除するとともに、元請けが保険未加入の一次下請けと契約していた場合には、その最終的な契約金額の10%を制裁金として請求するとともに、競争参加有資格者名簿への登録を保険加入会社に限定する。 今月には各地方整備局に通知するとともに、農林水産省など他の国の発注機関や都道府県や政令市などにも協力を要請したというのだ。社会保険未加入の場合は建設業許可の新規取得・更新を不許可にはしないものの、指導書を送付し指導しても加入しない場合は未加入業者との契約をしないといったことだけでなく、その会社の作業員等の現場への入場を認めないとしているのだ。そして未加入が発覚したときは社会保険への強制加入や未納保険料の徴収とともに、営業停止処分の対象にすることも検討しているというのだ。建設業の団体はこの処置に対して「保険料負担を免れるために不本意ながらも『一人親方』化など外注化が強まる」と危惧していつそうなのだ。 現在でも社会保険の保険料は建設業者が負担しなければならない「法定福利費」と呼ばれるもので、建設業法で規定する「通常必要と認められる原価」に含まれている。元請負人および下請負人は見積時から必ず必要経費として確保しなければならないし、下請負人の見積書に「法定福利費相当額」が明示されているにもかかわらず、元請負人がこれを一方的に削減したり含めない金額で契約を締結したりすることは、建設業法に違反するおそれもあるということになっているのだ。関係団体は「建設労働者の年金権が確保され、福利厚生が拡充されることは歓迎するが、法定福利費が確保されなければ、下請けや零細業者の経営は立ち行かなくなる」と指摘して反対しているのだ。 さらにこうした重大な問題を「ガイドライン」という指針だけで、元請け業者に下請け業者の社会保険加入への指導を求め下請け業者を整理・淘汰を狙っているという指摘もあるというのだ。国土交通省はこの社会保険未加入問題に関して賃金の引上げと罰則の両方で解決すると言っていたのだが、保険負担がデカ過ぎてムリして加入した処で、経営できるのかという事業主の声や相談が圧倒的に多くあがっており、実際に関係団体がシミュレートしてみると10%そこいらの施工費上昇位では焼け石に水で事業主には負担感しか残らない結果しか出なかったというのだ。施主や元請からは保険分の見積を提出しても受注になると、保険分を実質拒否される事が多く下請さんに保険分の支払いを行うと負担が物凄い というのだ。 私の住んでいる愛媛県では未だ賃金上昇の恩恵はないのだが、賃金上昇の話がニュースで流れる事が増えたせいか、昔一緒に頑張ってくれた下請さんや職人さんから「本当に賃金が上昇したら生活できる様になるので建設業に戻る事も考えたい」と言ってくれるケースが出だしたのだ。まさか賃金の引上げ昨年の2回で終了ってことないとおもっているのだが、まだ上げないと保険含めて安心して生活できる賃金には遠いとされており、もっと賃金が上昇してくれて施主・元請が保険分の負担を渋らず払ってくれるようになれば今まで一緒に頑張ってきてこれからも一緒にやってくれると言ってくれた下請さんを支える為に、支払う側の施主・元請の施工費に対する姿勢の変化に期待しているのだ。 --- On Mon, 2014/5/26, > wrote:
2014年05月26日
コメント(0)
千数百年の歴史を持つ日本の「畳文化」が危機に直面しているとされているのだが、イグサで作る畳の表面部分である「畳表」の国内需要量はここ20年で3分の1に減り、住宅から急速に和室が姿を消しているのだ。背景には若い世代の畳離れやフローリング主体のマンションが増えるなど住環境の変化があるといわれている。そこで業界では環境対策などを目的に畳の普及を図るキャンペーンとして、「畳ビズ」商品を開発して畳のリラックス効果などをPRしているのだが、昨年9月には明るい光が差したとされ、東京五輪決定を受け林芳正農林水産相が五輪の選手村で畳の使用を推進したいと述べたのだ。東京五輪で外国人らを畳で「おもてなし」する構想も浮上している。 畳の復権へ一丸となって力を入れているというのだが、畳は世界に類がない日本固有の文化で畳の原点は大昔から存在するというのだ。畳の記述は「古事記」にさかのぼり当時は敷物を重ねたものとか藁を重ねただけだったと推測されている。現在の畳に似た構造になったのは平安時代に入ってからであり、厚みが加わるとともに大きさの規格化が進められているのだ。鎌倉から室町時代にかけ部屋に敷き詰めるようになった。茶道や数寄屋造の普及に伴って広がり、江戸時代に庶民の家にも敷かれるようになったらしい。畳の語源は、たためるもの、重ねられるもの、敷物などが由来で、現在のような畳床がついたものではなく、ムシロ状の敷物を折り重ねたものの総称とされていたようです。 畳の語源は「たためるもの」・「重ねられるもの」ということで、敷物などが由来で現在のような畳床がついたものではなくムシロ状の敷物を折り重ねたものの総称とされていた。平安中期の律令の施行規則である「延喜式」によると、階級により大きさや縁の色が定められており、平安時代までは板床に敷くクッションの一種の様な感覚で使われていたが、室町時代に入ると「書院造」の登場によって部屋全体に畳が敷かれる様式があらわれ、茶道の拡大に伴い正座と共に普及していったというのだ。江戸時代に入ると畳そのものが建築物の重要な要素として見なされるようになり、城や武家屋敷の改修工事を司る役職として「畳奉行」という役職も作られ任命されたという。 こうした千数百年の歴史を持つ畳文化が危機にある中、日本家屋では畳の枚数で部屋の大きさが示されるように、畳の寸法が重要で基準寸法となっているのだ。この畳の寸法にはいろいろなものがあって、差が生じる原因には2つの点が区別されているのだ。そのひとつは基準となる1間の寸法が異なることだとされており、太閤検地の時は1間が「6尺3寸」ときめられたそうなのだが、江戸時代になると6尺が中心となったというのだ。もうひとつの違いは部屋が畳を基準とする「畳割り」なのか、それとも柱を基準とする「柱割り」かによって変わるというのだ。当初の建物はどの部屋でも畳の寸法は同じとなるという「畳割り」であったが、江戸時代になると「柱割り」が主体となったというのだ。 「柱割り」の場合は部屋の大きさの基準である畳の枚数が変わり、柱・敷居の寸法により畳の寸法が微妙に異なることとなるというのだ。畳職人として現在の名工と呼ばれる人の話では「3ミリのズレが生じると、畳は隙間なく部屋に収めることができなくなる。そのため作業の中で一番神経をとがらせるのが採寸だ。正確に設計されている家でも実際には数ミリのズレがあるから、同じ部屋でも畳の大きさは全て違う」と語っているのだ。日本人の畳離れ」が顕著といわれておりようなのだが、この日本独自の文化である畳は、夏涼しく冬暖かく、ごろ寝ができるうえに人が集まり、一家団欒を保つことができる部屋なので、古事記にも出てくる畳という日本独自の伝統文化を大切にしないといけないのだ。 --- On Sun, 2014/5/25, > wrote:
2014年05月25日
コメント(0)
東日本建設業保証など3社の保証会社が昨年度に前払い金を保証した公共工事の請負金額は、前年度比で土木が11%増となり建築が26.4%増とどちらもこの5年間で最高の増加率となっていたそうなのだ。私の事務所でも保証ボイドや銀行保証ではなく西日本建設業保証を使って前払金保証をしてもらっているのだが、工事発注の先行指標となる公共施設設計の請負金額も増加傾向が続いているそうなのだ。公共工事などの請負金額は公共事業の縮小を掲げていた民主党が政権を取った影響で落ち込んでいたのだ。数年前には土木工事は13.1%建築工事が6.8%それぞれ前年度の請負金額を下回っており、それによって労務賃金等も大幅に下がっていたのだ。 しかし3年前の3月に東日本大震災が発生したことや、2年前の12月に自民党が政権復帰したことなどを経て状況は大きく変わってきたのだ。特に震災復興関連の中では労務費が高騰する前に受注したものも多く、その後労務費が高騰するにつれ採算が低下した案件が多かったとされているのだ。「今後も労務費の上昇は予想されどう収益に影響していくのか、不透明な部分が多い」との声も聞かれるのだが、昨年度の土木工事の請負金額は8兆2653億円で建築工事は3兆1194億円となっており、その内訳を見ると土木では土地造成工事が2447億円で前年度比139.8%増となり、建築では住宅宿舎工事が1兆396億円で前年度比73.4%増とそれぞれ急増している。 震災復旧・復興で公共工事が拡大していることを如実に示す集計結果となっているのだが、建設業の常用労働者に支払われた給与の月額平均は37万1千円で、低賃金で困っていた震災前と比べても1.6%の増加しかしていないのだ。このことはあれだけ公共事業における設計労務単価が上がっても基本給や残業代はほぼ横ばいで、賞与など不定期の給与の増額が大きく影響したとみられるそうなのだ。ほかの業界から見たら建設業界の利益率は高くないとされるのだが、公共投資でいちばん潤っているのは地方ゼネコンだといわれており、地方ゼネコンは公共投資のウエートが高いうえに「国土強靭化事業費」は地方自治体では、地元の建設業に仕事が行くよう工事を細分化して発注されているからなのだ。 厚生労働省は約190万カ所もある常用労働者5人以上の事業所のうち、抽出した約3万3千カ所を対象に賃金調査を毎月行い、各事業所で支払われた給与の月額平均などの速報値を発表したのだ。その数値は正規職員のものなのだが、昨年4月から今年の2月分の確報値に加えて昨年度の月額平均を試算しているのだ。昨年度は「アベノミクス」ということで景況が好転したといわれていたのだが、全産業の給与の月額平均は前年度比0.1%増の約31万4千2円にとどまっており、建設業でも基本給などの所定内給与は前年度とほぼ同額だったというのだ。残業代などの所定外給与は前年度より1.9%増えたものの2万円と少額であるために給与の総額に与える影響は小さいそうなのだ。 賞与などの「特別に支払われた給与」は前年度比12.3%増の5万2千円で、全産業の平均が1.6%増の5万4千円だったのに比べると、増加した金額こそ全産業の平均よりわずかに下回るが増加率では大きく差を付けているのだ。ただし一時金による給与の増額は臨時の措置という意味合いが強く、震災復興や東京五輪の開催決定などで建設需要が好調でも、建設各社は業況の行く末を必ずしも楽観していないことがうかがえるのだ。真夏の炎天下に汗をかきながら仕事をやるより店員や運転手をやっているほうが体は楽だということで、随分と転職してしまっていることから、そういう人たちを建設業に戻ってきてもらうためにはやはり賃金をよくするしかないということなのだ。 --- On Sat, 2014/5/24, > wrote:
2014年05月24日
コメント(0)
日本建設業連合会は全国鉄筋工事業協会や普通鋼電炉工業会と共同で、建設業における配筋ミスを防ぐための鉄筋識別法に関する報告書をまとめたそうなのだ。日本建設業連合会の会員企業の作業所を対象にアンケート調査を実施し課題を整理したところ、鉄筋の見分け方に対し分かりにくいとか知らないなどの実態が明らかになり、識別法の普及と教育が必要だと指摘したというのだ。日本建設業連合会は前身の1つである旧建築業協会時代から工事における配筋ミスの防止に取り組んできており、5年前には独自の鉄筋識別マーキングルールを公表しているのだが、さらなる検討のためにワーキンググループを立ち上げ、今回の報告書はその議論の成果を取りまとめたものなのだ。 建設業が多くの工事で使用する鉄筋の表示は形状と降伏点の形式で示され、日本工業規格では7種類が規定されている。丸状の棒鋼を丸鋼・棒鋼の表面に突起を有しているものを異形棒鋼と呼ぶのが一般的なのだが、異形棒鋼は通称として異形鉄筋と呼ぶことがあるのだ。また異形棒鋼でも突起の形状がねじ節状のものを一般の異形棒鋼と区別するために、ねじ節鉄筋と呼ぶことが多く、異形鉄筋の各部突起の名称は軸線方向の突起を「リブ」といい軸線方向以外の突起を「節」と呼ぶのだ。そして丸鋼は「SR285」とか異形鉄筋は「SD345」等で表示しており、現場での配筋ミスを防止するため鉄筋の鋼種や径に応じてマーキングする取り組みが進んでいるのだ。 ねじ節鉄筋では表面の一部を色分けする「カラー識別マーキング」が、竹節鉄筋では圧延時に浮き彫りする「ロールマーク」の間隔を詰めるといった取り組みが始まっており、識別塗色による表示は鉄筋端部の切断面に色による識別表示がされているのだ。異形鉄筋の圧延マークは「鉄筋径・材種・製造業者名・またはその略号」を表しているのだが、日本建設業連合会の会員企業の作業所を対象にアンケート調査では、カラー識別の認知度は68%で実際に使用している作業所は27%しかなかったそうなのだ。一方で私の事務所のようにカラー識別を「使用している」と答えた作業所のうち57%が「配筋ミスが少なくなった」と回答しており、ミス防止に一定の効果があることも分かったというのだ。 このように現在の建設業工事には欠かせない鉄筋なのだが、受入時にミルシートとメタルタグとロールマークを確認することをしない監督もいるというのだ。たしかにミルシートとメタルタグを確認してさらにロールマークも確認が必要なのかということのようなのだが、現物のロールマークを確認するのならメタルタグの確認は必要ないと考えている監督もいるようなのだ。特に若い衆の中には「ミルシート」と「メタルタグ」と「ロールマーク」の関係を知らない人間もいるのだ。このことは「金のアクセサリー」に例えられているのだが、本物であることの証明書か保証書が「ミルシート」と考えられ、アクセサリーのパッケージが「メタルタグ」と考えていいだろう。そしてアクセサリー自体に刻まれた刻 印が「ロールマーク」となるのだ。 証明書とパッケージが本物でも中のアクセサリーが偽物にすり替わっている可能性もあり、高い金を出して買ったアクセサリーなのだから純金の証である「K24」等の刻印があるか確認する必要があるだろう。「ロールマーク」の確認はそういう意味なのだが、「メタルタグ」は納入本数が書かれているのでやはり確認が必要なのだ。そして「ミルシート」は品質証明書ですからもちろん必要となるということなのだ。「ロールマーク」は全ての作業所が「知っている」と答えたが「配筋検査時の確認が容易ではない」と回答しており、表示方法やピッチの改善を求める作業員が多かったそうなのだ。さらに構造設計者に対して配筋ミスの要因となる複雑な構造設計があると指摘し、現場で組み立てやすい設計の要望 も多かったそうなのだ。 --- On Fri, 2014/5/23, > wrote:
2014年05月23日
コメント(0)
私の読んでいる業界紙によると、札幌市は路面電車の軌道延伸工事の入札が3回にわたり不調となったのを受けて、随意契約で市内の建設会社に工事を発注したというのだ。札幌市交通局の昨年度の工事入札では4割を超える不調が発生したそうで、労務費や資機材価格の上昇などで全国的に公共工事の入札不調が頻発するなか、夜間作業が多い案件であることも入札への参加意欲に影響したとみられるそうなのだ。そこで業界自体で会員企業を対象に実施したアンケート調査では、所定外労働時間が増加傾向にある企業がこの1年で大幅に増えたことが分かったというのだ。この調査は会員企業に対して今年1月に実施し回収率は約49%だったというのだ。 回答した企業のうち残業時間が「増加傾向」にあると答えた企業は約43%で、売上高の大きい大手ほど「増加傾向」と回答した割合が高いということになっている。深夜残業時間も全体的に増えており回答企業のうち約18%が「増加傾向」と答えている。このような所定外労働時間は年間一律で増加しているわけではなく、特に年度末などの繁忙期に集中しているのだが、所定外労働時間が増えているのは、震災復興事業などをはじめとした仕事の増加が大きな要因と考えられるということのようだ。一方で仕事量の増加に対応しきれず技術者が不足している事態も生じ始め、所定外労働時間が発生する原因を聞いたところ売上高規模を問わず「技術者不足」を挙げる会社数が昨年よりも増加していたというのだ。 受注競争の激化などに伴う工期設定の短縮や一人あたりの業務量増が影響し、現場監督者の昨年11月の平均残業時間は80時間を超え、残業時間の分布から、「80時間以上」残業する外勤者は49.9%とほぼ半数を占めるうえ、「100時間以上」も増加傾向にあるなどその突出ぶりが見て取れ、建設産業で働くホワイトカラー層の苛酷な労働実態が浮き彫りになったというのだ。残業時間のうち4割を休日出勤が占めるとされているとされており、労働時間削減の対策では、「ノー残業デー」の実施を回答した企業が最も多かったそうなのだ。建設会社の多くは数年前から労働組合に対して「ノー残業デー」の実施を要請しており、昨年の10月の毎週水曜日に「ノー残業デー」の一斉実施を試みたそうなのだ。 この「ノー残業デー」を導入している企業は一昨年の調査では9.4%だったが、昨年は10.9%、に増加しており、今年は11.2%に上昇しているそうなのだ。労働時間削減の対策として2番目に多かった回答が、「補助者の補強」なのだが、急増した仕事を再雇用者や契約社員、アルバイトなどで補う方針を採る会社が多かった。書類作業は技術者でなくても出来て、それを確認するという業務に移行するだけでも多くの時間を節約出来るということのようなのだ。我々技術者が行っている仕事の中には技術者でなくても出来る仕事は多くあるはずで、残業を重ねて体を酷使しても結果ミスを誘発しその代償は高額なものになることから、トップのマネジメント能力が問われていることのようなのだ。 最近3年間の離職率について各社に聞いたところ、売上高規模にかかわらず「増加傾向」と答えた企業が増えているそうで、離職の主な理由として1番多かった回答は「業界や会社の将来への不安があるため」だった。「労働時間への不満」と回答した割合は14.1%と3番目に多かったのだが、労働時間への不満の具体的な理由について回答を求めたところ、「長時間労働・所定外労働時間が多い」を選んだ割合が41.1%と断トツで高かったのだ。我々労働組合も「これ以上休暇の取れない状況が続けば、ストレスがメンタルヘルス不全を誘発しかねないし第一産業自体の魅力が失われてしまう。建設産業の将来を担うはずの30歳未満の4割超が今すぐもしくは今後の転職を考えている」と交渉時には訴え続けているのだ。 --- On Thu, 2014/5/22, > wrote:
2014年05月22日
コメント(0)
若者の使い捨てが疑われる企業等のいわゆる「ブラック企業」が社会問題化しており、この「ブラック企業」には法的な定義などはないとされている。労働者の育成を行わず長時間や過重な労働を強いて残業代も払われないなど、若者だけでなく労働者全体を使い捨てのように扱う企業を指すとされている。「ブラック企業」の問題では劣悪な労働条件だけがクローズアップされているようなのだが、昨年12月に厚生労働省から発表された『若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況』では、過重労働による健康障害防止措置が実施されていないもしくは不十分なものとして、約2割の事業場に対して是正勧告や指導が行われているというのだ。 行政機関は残業代の不払いなどと同様に、従業員の健康や安全に関する措置に対しても厳しい目を向けているわけなのだが、会社が従業員の安全を守るという意識や姿勢を欠いていることは、「ブラック企業」といわれかねない一つの要素となっていることは間違いないのだ。厚生労働省は若者の使い捨てが疑われる企業等に対して、法令違反を是正しない会社の送検や企業名の公表も視野に入れて厳しく対応していくことを明言しており、新聞・テレビなどの報道や行政からの公表などによって会社名が明らかになることは、社会的な信頼を失いかねず会社にとっては大きな痛手となるというのだ。そして場合によっては事業の継続をも困難にさせる場合もあるというのだ。 さらには従業員の権利意識の高まりなどで会社はあらぬ風評を受けかねず、会社のリスクを管理するうえでも信用やサービスといったものをより向上させていくためにも、職場の環境を含めた従業員の安全や衛生に注視すべきだというのだ。経営層においては「従業員を守ることは顧客を守ること、強いては会社を守ること」ということを念頭におく必要があり、いま職場で起きている安全や衛生に関する問題や課題について、具体的な対策や取り組みを現場に伝えることが必要なのだ。そしてそれぞれの職場においては、安全や衛生に関する対策を講じておく姿勢こそが何よりも重要になってきており、従業員の安全に対する配慮を欠いた場合には会社の責任を問われるというのだ。 従業員が営業所の2階倉庫の開口部から1階に転落して負傷し、後遺障害を負ったという事故の裁判例では、従業員は会社に対し会社の安全配慮義務違反の債務不履行に基づき損害賠償を請求したというのだ。この裁判例では2階の開口部から落下する危険性が具体的に存在していたと認められ、会社が落下を防ぐための安全確保の措置を講じる義務を負っていたにもかかわらずその措置を講じていなかったと判断され、会社に対しては損害賠償額として約1500万円の支払いが命じられているのだ。従業員の安全を考えることは顧客の安全を考えることと同じだということで、職場にある危険性をあらかじめ察知してその対策をとっておくといったことは顧客に対する危険性をも排除することに繋がるというのだ。 労働安全衛生法は会社がやるべきことの最低基準を規定しているものだが、誰もが知っておくべき箇所は限られているそうなのだ。この労働安全衛生法と関係規則の多くは過去の労働災害を教訓として定められており、それは転倒防止への対策であったり腰痛防止の対策であったり、この法律の趣旨を知ることは災害防止に必ず役立つはずといわれているのだ。例えば職場ごとにどのような危険が潜んでいるのかについては、労働安全衛生法は「職場巡視」ということを規定しているのだ。また職場の危険性に対してどのように対処するかについては、従業員に対する安全や衛生に関する教育の実施などがあって、このことについても労働安全衛生法には定められているそうなのだ。 --- On Wed, 2014/5/21, > wrote:
2014年05月21日
コメント(0)
日本では農耕民族と狩猟民族で世界を2つに分ける論説が多いのだが、そして「日本人は農耕民族で、欧米人は狩猟民族」といった文章を割りと見かけるが、学問的にはこれはおかしいとされているそうなのだ。まず欧米人は狩猟民族ではないとされており、例えばアメリカ人はたしかに肉食傾向が強いかもしれないが、あれは牧畜によって手にした牛や豚の肉を食っているのであって、野原にいる牛を追い掛け回しているわけではないというのだ。確かに先住民族であるネイティブ・アメリカンを指して狩猟民族というのなら間違ってもいないのだが、また日本人も農耕民族ではなく狩猟民族の要素もあって、これだけ海にかこまれていながら漁業をまったく行わなかったはずがないというのだ。 縄文時代の日本にはナウマンゾウがいたそうなのだが、それが何故絶滅したかというと、そのころの日本人である縄文人が狩り過ぎたからで、ナウマンゾウを狩って食べ過ぎたからだというのだ。日本の古代の地層では縄文土器が発掘され貝塚が各地で発見されており、野生の草等を煮込んだり海辺に落ちている貝を食ったり自然の木の実を採取したりと、農耕生活より以前に狩猟採取をしていた文明がある事が分かっている。そして大陸から分断され他の文明と出会わない日本人が、自分たちの知識だけで農作をできるほど先進国であったなども考えられないというのだ。この農耕民族・狩猟民族という分類には「ケガレ意識からくる農耕民族側の狩猟民族への差別意識」が根底にあるという意見もあるのだ。 つまりこの分類を用いている人間は無意識のうちに「我々はキレイな農耕民族で、アイツらは血の穢れにまみれた野蛮な狩猟民族なのだ」という身勝手な価値観があるというのだ。その学説では歴史上地球を支配し大量の命を奪ってきたのは農耕民族の可能性があり、狩猟民族のせいとは限らないとされているそうなのだ。自然を自分の都合のよいように切り開いてきた民族と、自然の中で自分の居場所を作ってきた民族との差ではなく、農耕だろうが狩猟だろうが着目すべきことはその生産活動の在り方であるということも言われているのだ。米国のある研究結果では「何を植えるかで人の思考パターンが変わる」という結論を打ち出して、農耕民族と狩猟民族で世界を2つに分ける論説を間違いだとしているのだ 。 他人を殺して土地を奪う事で食料がいくらでも増える民族と他人を殺しても鳥も魚も増えない民族ということだけでなく、貧富や身分の差がある民族と自分の実力が試される民族・では、どちらが平和かなんて考えるまでもないだろう。この研究している大学の教授によると農耕だろうが狩猟だろうが、着目すべきことはその生産活動の在り方であり、植物か動物かの成果物ではないというのだ。同じ農耕民族の中でも米産地の人間と麦産地の人間とでは、思考特徴が大きく異なると分かったというのだ。「電車・バス・そしてレールの中からペアをつくる」実験では、米産地の人間が関係性を重視して「電車とレール」を選ぶのに対して、麦産地の人間は分類に基づき「電車とバス」を選ぶ傾向が強いそうなのだ 。 ほかの実験も似た結果を示すそうで「自分と友人を丸で表す」実験では、米産地の人間が自分を他人より少し小さめな丸を描くのに対して、麦産地の人間は明らかに友人より大きな丸で自分を描くことが分かったというのだ。理由は米と麦の生産方法が大きく異なるからなのだが、米の生産はインフラ整備から始まり多くの人々の共同作業が必要であるのに対して、麦の生産は個人の単独作業でも生産可能だからだ。長い生産活動を通じて米産地の人々は協調性とチームワークを重視する文化心理が形成され、麦産地の人々は独立性と個人主義的な文化心理が形成されたため、アジアでも麦産地の人々の心理特徴は西洋人のそれに近く、人々が長い歴史における生産の在り方に着目すべきだというのだ。 --- On Tue, 2014/5/20, > wrote:
2014年05月20日
コメント(0)
私のように建設業特に土木の仕事をしていると、どうしても用地交渉というのが必要となってくるのだが、日本では供給を調整する減反政策で高い米価が維持されているので、零細な兼業農家でも農業を続けられるといわれており、しかも私の住んでいる地方でも農地を宅地などに転用すると莫大な利益が転がり込むとの期待から、農業をしないのに農地を手放さない「土地持ち非農家」も多いのだ。農林水産省は年間農産物販売金額が15万円以下の場合には、農地を所有していても統計上は「農家」にカウントしないのだ。彼らは「土地持ち非農家」という奇妙な行政用語で呼ばれその数は全国に137万戸だが、ただしこうしたインチキ農家と家庭菜園を営むサラリーマンには決定的な違いがあるというのだ。 「自給農家」や「副業農家」とか「土地持ち非農家」はあくまで統計上の分類であり、税法上はすべて農家として数々の優遇措置を受けることができているのだ。農家を農業収入の割合で分類した農林水産省統計によると、農家総数253万戸のうち農産物をほとんど出荷しない自給的農家が3分の1の90万戸にのぼるとされているのだ。副業的農家である88万戸に準主業農家である39万戸と合わせれば、なんと農家の約86%が農業収入を主たる収入にしていない農家となるのだ。それに農家は税務署による所得税の捕捉率が低いとされており、米作農家の平均所得が35万円と低い理由は平均売り上げ210万円のうち175万円が経費として計上されているからなのだ。 農作物を家族で消費する自給的農家でも自家で食べた分を換算して売り上げと計算し、栽培に要した経費と差し引きして赤字が出れば本業の給与や年金所得と合算して税金の還付を受けられるのだ。当たり前の話だがサラリーマンは趣味の家庭菜園に要した費用を経費にできるはずもなく税金控除にはならないのだ。さらに農地の固定資産税は低く農業を継続すれば相続税や贈与税が免除される優遇措置まであって、兼業農家や土地持ち非農家にとって農地は農業のための生産資本ではなく単なる資産になっているのだ。日本の農業は総産出額が8兆5千億円の規模を持つ巨大産業で、安全性からなども考えると本来なら十分に世界で勝負できる力を持っているとされているのだ。 海外進出は志のある農家の力に頼っているのが現在の状況だといわれており、農地の大規模化は必須だがそれが遅々として進まないのだ。これまでも農地保有合理化事業という仕組みはあったのだが、大規模化は進まなかったのが「農業をしない農家」を支えているのが農協という「戦後最大の圧力団体」だといわれているのだ。主業農家を戸数で凌駕する零細農家は農協とガッチリ結びついて構造改革に抵抗しており、総農家数253万戸のうち農産物を販売していない「自給的農家」は89万7千戸で、兼業の方が主体の「第2種兼業農家」は95万5千戸にのぼるというのだ。多くの国民は兼業農家というのは農業だけでは食べていけないから仕方なく兼業していると誤解しているのだ。 コメ作りについては機械化が進み労働時間は10アールあたり26時間とされており、本職がサラリーマンで週末にしか田んぼに来なくても問題なくできるというのだ。コメ農家平均の数値で農業所得は約62万円なのだが農業外所得は約184万円で年金等が約211万円なのだ。つまり多くが兼業農家や年金生活者で肥料や資材を農協から割高で購入し、農外所得をJAバンクに預金してさらに農地転用で生じたカネもJAバンクに入金するというのだ。農協は、農家への住宅ローンや教育ローンまで扱うので、農家戸数は多いほうが確実に儲かる。農協の真の狙いは自給率の増加や食料の安定供給ではなく、自らの利益のために農家戸数を維持することだと言っても過言ではないのだ。 しかも農協は水田ならぬ「票田」となり自民党政権の基盤を支えており、見返りに自民党は減反や補助金という旨みを農協と零細農家に与え、予算獲得に執念を燃やす農林水産省にもこのことに力を貸しているのだ。そして農業土木予算が地域の経済を担う我々建設業者に工事という形で還元されているのだ。この「農政トライアングル」を壊すことは強い農業を育てる必須条件になるとされているのだが、安倍政権は農業の規模拡大のため「農地中間管理機構」を新設して農地の集積・集約を進めるとしているのだ。この「農地中間管理機構」が農家から農地を借り上げ整備・大区画化して大規模農家などに貸し付ける仕組みなのだが、ここでも農協が立ちはだかっているのだ。
2014年05月19日
コメント(0)
町中の公衆便所や駅の便所というのは「暗い・汚い・臭い」の3Kが常識で、管理者が定期的な掃除はしていたようなのだが、自分さえよければなど考える人が多くて平気で汚す利用者のマナーの悪さもあって、いくら掃除しても追いつかないということが言われていたのだ。そのうえ都市部では大半の家庭のトイレが洋式であり、子供にトイレトレーニングも洋式で行う家庭が圧倒的で、逆に言えば子供が公衆トイレのような和式トイレを使う機会は限られているということになっていたのだ。和式トイレは便器が汚れている場合に靴や衣服の裾に汚物がついてしまいそうだという不満も多かったというのだ。トイレという呼び方もされておらず「便所・厠・御不浄」などと呼ばれていたのだ。 それが最近のトイレ事情は掃除が行き届いているうえ、多くの公共トイレも清潔で明るいものになっており、利用者のマナーの向上で入ることに抵抗を感じることが極めて少なくなっているように思えるというのだ。「日本トイレ協会」会長の高橋志保彦さんは「安心して使える公衆トイレは地元の人にとって快適なだけでなく、ほかの地域からの集客にも欠かせない。街づくりの大切な要素です」と話しているのだが、トイレブースの間仕切りは床から天井までの高さにしてプライバシーを保てるようにするとか、荷物置きスペースを設置するだけでなくトイレをアート作品に仕立てたりユニークなトイレを設置したりして、公衆トイレのイメージアップを図ろうと様々な取り組みが進められているというのだ。 大分市では来年にトイレを芸術表現の場にするイベント「おおいたトイレンナーレ」を開催する予定だそうなのだが、これは市内にある約15か所の公衆トイレの外壁や内装にアート作家が手を加える予定で、改装が終了した所から順次公開していくというのだ。市街地にある若草公園の一角の公衆トイレの外壁が今春改装され液晶モニターが設置されたというのだ。表面は鏡のように加工され昼間は公園の木々が映っているが、日が沈んで暗くなると液晶モニターに映像が次々と浮かび上がることから、これまで見向きもされなかった夜の公園のトイレの周りに見物客が集まり「こんな芸術的なトイレなら、ほかの街の人にも自慢できる」とうれしそうにカメラやスマートフォンで撮影しているというのだ。 財源不足に悩む自治体の中には企業の力を借りて維持管理に努めるところも出てきており、京都市は市内の観光地3か所の公衆トイレの命名権を企業に売却したというのだ。企業は自社のPRも兼ねてトイレの外壁をきれいにしたり、手洗いカウンターを漆塗りの高級感のあるものに替えたりしたところ、修学旅行の生徒が「トイレがおしゃれ」と撮影することもあるというのだ。京都市の担当者は「公衆トイレが快適な空間になることは、観光都市としては大切なこと」と手応えを感じているそうなのだが、東京都渋谷区も公衆トイレの命名権を企業に売却しており、現在は4か所のトイレが対象となって消臭剤や便座の消毒剤・手洗いせっけんなどをトイレ内に置いて清潔感をアピールしている企業もあるというのだ。 公衆トイレは多くの人が利用するだけに行政の管理が行き届かないケースもあるのだが、「公衆トイレをきれいにしたい」と東京都内のある街では、地域住民が毎週集まって掃除をしているボランティア活動もあるというのだ。毎週集まって江戸川区内の公衆トイレを掃除する「便所掃ジャー」というそうなのだが、2年前から「トイレ掃除をすることで地域に貢献したい」と取り組んだというのだ。発案者は「ここの公衆トイレはきれいですね」という観光客からの評判を聞くとうれしくなるというのだが、ブログで活動報告すると県外からも「始めたい」と連絡が来たそうで、「街の公衆トイレも自分たちのトイレとして責任を持とうと思ってくれる人が増えればうれしい」と話しているそうなのだ。
2014年05月18日
コメント(0)
アベノミクスによる景気刺激策や公共事業の増加などで建設業をはじめ、小売業・外食産業など幅広い業種で「人手不足」が表面化している。その結果今迄非正規社員が多かった小売店や外食といった分野で非正規社員の正社員化が進んでいる。人手不足との関係も指摘されているのだが、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、1万6千人の非正規社員を正社員化する計画を明らかにしているし、居酒屋などを展開するワタミは転勤を伴わないエリア限定社員制度を本格導入し、アルバイトから正社員への登用を増やす意向であることを明らかにしているのだ。ユニクロの正社員化も基本的には地域限定型なので、基本的にワタミと同じ試みということになるのだ。 このほかスターバックスや杵屋などが同様の方針を表明しているのだが、ユニクロの柳井社長は正社員化の理由として、少子高齢化と景気回復による人手不足をあげている。牛丼チェーンの「すき家」では1300円を超える時給でもアルバイトが集まらず、店舗のオペレーションが出来なくなるという事態も発生しており、現場の人手不足はかなり深刻なようなのだ。こうした人手不足に対しては不景気が続いてきたのだが、実際は日本の労働力人口はここ10年ほぼ横ばいが続いており、これだけ見るとそれほど人手不足にはならないとされてきたのだ。しかし年齢別の動向を見ると15歳から34歳までの若い世代の労働力人口は、ここ10年で何と2割も減っているというのだ。 私が所属している建設業では作業員の高齢化が問題となっているのだが、いくら高齢者の労働人口が減っていなくても、こうした小売や外食のチェーン店ではでは若い世代の社員が中心となっていることから人手不足が深刻になったというのだ。今後は中高年も含めて労働力人口がますます減っていくことから慢性的に人手不足が続く可能性が高いと考えられているというのだ。これまで非正規社員だった人が正社員になれば雇用に対する不安が減少するので安心して働くことができるようになって消費にもよい影響を及ぼすかもしれないのだ。ただ企業は人手を確保したいといっても無制限に待遇を改善させることはできず、人手不足が半永久的に続くとなるとどこかのタイミングで人を確保できなくなるという のだ。 こうなると今までのような拡大をする事業展開を諦める企業が増加し、ひいては経済成長も鈍化するという事態が発生する可能性があるというのだ。このため政府内部では外国人労働者の受け入れ拡大について議論が進められているようで、こうしたことも議論の背景になっていると考えられるということのようなのだ。企業業績が拡大する一方で「人手不足」は「職人不足による工事の遅滞や中止」や「製造現場での従業員不足による生産の遅れ」に「外食産業での営業時間短縮や店舗閉鎖」など幅広い産業に広がり、あげくに「求人難」による倒産も出てきたというのだ。また大手企業を中心に賃上げが話題にあがるが、最近の倒産で人件費高騰による負担増から資金繰りが悪化したケースも出てきたというの だ。 東京商工リサーチではこれまでも「人手不足」関連倒産を集計していたが、主に代表者死亡や入院などによる「後継者難」型、経営幹部や社員の退職に起因した「従業員退職」型が中心だったそうなのだ。ところが最近の「人手不足」の深刻化によって「求人難」型が出始め、今年の累計では「後継者難」型が80件に対し、「従業員退職」型が3件で「求人難」型が2件だったそうなのだ。事業継承の課題が深刻化していることを背景に「後継者難」が圧倒的だが、今後は「求人難」型の増勢が懸念されているのだ。人手不足や人件費上昇が新たな経営課題に重くのしかかっているのだが、業績が拡大する時期にこのような状況が今以上に深刻化すると新たな支援策も必要になっているのだ。 --- On Sat, 2014/5/17, > wrote:
2014年05月17日
コメント(0)
東京電力の家庭向け電気料金が6月から沖縄電力を抜いて全国で最も高くなるそうで、離島の沖縄の電気料金は発電や送電の費用がかさむうえに原発もないことから、これまで本土の電気料金より1~2割高かったそうなのだ。しかし福島第一原発事故後の東京電力の値上げで差が縮まっていたのだ。業界関係者は「本土と沖縄の料金が逆転するのは、聞いたことがない」と驚いている。その東京電力は新潟県にある柏崎刈羽原発の再稼働が見通せないとして来季の連結業績予想を見送ったそうなのだ。新総合特別事業計画で仮定する柏崎刈羽原発の7月からの再稼働は絶望的な中、修繕費の繰り延べなどコストダウンにも限界があり、年末までに電気料金の再値上げの判断を迫られる可能性もあるというのだ。 電力10社が公表するモデル家庭の1カ月の料金を集計したところ、東京電力の6月分における家庭向け電気料金は前月より26円高い8567円で、9円下がった沖縄電力の家庭向け電気料金の6月ぶんである8558円を上回ったというのだ。福島第一原発事故前をみると発電の98%を火力で賄う沖縄が7270円と全国で最高だったのだが、その一方で原発の比率が約3割だった東京電力は沖縄より14%安い6257円で10社の中で3番目に安かった。現在では東京電力はギリギリの経費削減を進め3期連続の経常赤字を何とか回避しており、今年の3月期連結決算は経常損益が1014億円と3年ぶりの黒字を確保したのだが、これは電気料金値上げに伴う収入増やコスト削減効果が大きかったというのだ。 しかも経済産業省は今年の夏の節電対策を議論する「電力需給検証小委員会」を開き、沖縄電力を除く電力大手9社の今夏の電力需給見通しを公表したのだが、ピーク時の電力需要に対する供給余力を示す「供給予備率」は全国平均で4.6%と、昨夏の見通しに比べ1.6ポイント低下しているそうなのだ。今夏の電力需給見通しでは全国の原発がすべて停止したままでも、電力大手9社が安定供給に最低限必要な3%以上を確保しているのだが、発電所の故障リスクに備えるには5%程度の「供給予備率」が必要とされており、政府が月内にまとめる節電対策では沖縄電力を除く電力大手9社管内に対し、2年ぶりに数値目標付き節電要請を行わないことにしたようなのだ。 もっともこの需給見通しにはカラクリがあって猛暑だった2010年か13年いずれかの夏並みの気温を前提に、8月の最大電力需要を想定しているというのだ。これは原発を廃炉にする上でも深刻な問題となるという警告なのだが、とにかくこれまでの日本は原発に依存してきたのだ、ということを認識させようとしているみたいなのだ。東京電力は原子力規制委員会が安全審査を進めている柏崎刈羽原発の地元対策を強化するため、平成27年7月までに「新潟総支社」を設置する計画なのだが、それに先立ち今年6月末をめどに増田祐治常務執行役が設立準備担当に就任するそうなのだ。その柏崎刈羽原発の再稼働7月からの再稼働は、敷地内の断層調査などで時間がかかり大幅に遅れる可能性があるとされている。 原発1基が再稼働すれば年間1000億円~1450億円のコスト削減効果があって、東京電力の広瀬社長は「状況はさらに厳しくなっている。再稼働の時期が後ろにずれれば、負担がたまっていく」とため息をつくが、今年の3月期連結決算における経常黒字達成は金融機関が東京電力に融資を継続する前提条件だったのだ。「原発しか日本にはエネルギーを安価に入手する方法はない」と政府は力説するが、日本製の『地熱発電』プラントは優秀で世界でもトップクラスのシェアを誇り、一説によれば日本国内の地熱エネルギーは原発数基分に上るという。また電気製品の省エネ技術とて我が国の技術は高水準であるのだから、こういった強みを生かしてこの厄介な原発からの依存から脱却しなければならないのだ。
2014年05月16日
コメント(0)
東京都町田市の無認可で操業していた工場の爆発火災では、建物内にあった水をかけると爆発の危険があるマグネシウムが水による消火活動を阻んだそうなのだ。消防隊は直接放水ができない状態」ということだったのだが、消火活動に当たった消防隊員は歯がゆそうな表情で現場の状況を説明していた。業界団体によると燃焼中のマグネシウムに水が触れると水が分解され水素と酸素が発生し爆発を起こしたり、マグネシウムの燃焼を加速させたりすることがあるため水による消火は厳禁なのだ。マグネシウムは消防法の危険物にも指定されており、マグネシウムを扱う施設での火災では、チタン工場における溶融マグネシウムの漏洩による爆発等で鎮火まで6日間かかったケースもあるというのだ。 この火事は一昨日に町田市成瀬の金属加工会社「シバタテクラム」の工場から火が出たもので、消防車約60台が消火活動に当たったが少なくとも1階と2階の計約1400平方メートルが焼けたというのだ。出火当時22人が作業中だったというのだが、この火事で20~60代とみられる従業員の男性7人と女性1人の計8人が負傷し、このうち2人が重いやけどで重体となっている。爆発火災が起こった当初は周囲にゴムが焼けたような臭いが漂い、「搬送されるけが人は酸素マスクを着けて、衣類が焦げていた」と付近の住民は表情をこわばらせていた。この工場ではパソコンの基盤が作られていて、1階の倉庫にマグネシウム80kgとアルミニウム20kgがあり、はんだごての火花が引火したというのだ。 マグネシウムを主として製品等へ使用する場合はアルミニウムや亜鉛等を加えたマグネシウム合金として使用されるそうなのだが、マグネシウム合金の具体的な製品用途例としては、オイルパン・ステアリングホイール・エンジンブロック等の自動車部品だけでなく、ノートパソコン・携帯電話・一眼レフカメラの筐体等の電子機器部品・杖・車椅子等の福祉用品等があり、多くの場合軽量化を目的として使用されているそうなのだ。マグネシウムは1808年に発見され商業生産は1886年アルミニウムと同時期にはじまったのだが、マグネシウムの方は製錬が難しかったことなどから、アルミニウムと比べると産業としての成長は遅れたそうなのだ。第一次世界大戦を契機に主に軍事利用を目的とした利用が増えたそう なのだ。 現在では世界総生産量約870,000トンの80%を超える700,000トンが中国で生産されているというのだが、業界団体によると今回の火事のように燃焼中のマグネシウムは、適度の水が触れると化学反応を起こし、水を分解し水素と酸素が発生させて爆発を起こしたり、マグネシウムの燃焼を加速させたりするそうなのだ。このため水による消火は厳禁なのだが、今回の火事でも爆発的に燃え上がる恐れがあったため東京消防庁は、工場内に直接放水せずに周囲の建物などに放水し延焼を防ぐ措置を取り、いったん消火活動を中断したそうなのだ。そして工場内の温度調査を行い安全祭が確保できたなら、燥砂や薬剤を使ってマグネシウムを覆って空気と遮断するなどして消火したそうなのだ。 マグネシウムは消防法の危険物にも指定されているわけなのだが、それでも溶融マグネシウムは一度漏洩すると対処が大変難しいというのだ。今回の爆発火災でも有害な塩素系ガス発生の恐れがあるとみて、外出を控えるよう放送をおこなったそうなのだ。目撃者も「マグネシウムが怖い。早く煙が収まってほしい」とハンカチで口を覆いながら話していたのだが、一帯の住民らに防災スピーカーや広報車で避難を呼びかけ、火災現場から約300メートル離れた町田市立総合体育館には、工場の周辺住民約30人が避難していたというのだ。消防は昨日の朝から工場の内部の状況を確認し、工場の中に入って消火剤や砂などを使って消火活動をおこなったそうなのだ。 --- On Thu, 2014/5/15, > wrote:
2014年05月15日
コメント(0)
日本の鉄道建設コンサルタント会社がベトナムとインドネシアならびにウズベキスタンで、政府関係者にリベートを支払っていた問題で外務省は、その問題とされたコンサルは政府開発援助の無償資金協力事業から1年半ほど排除したというのだ。この鉄道建設コンサルタント会社はこれら3カ国の政府関係者に対するリベートの支払いを認めており、記者会見で社長が責任を取って辞任の意向を表明しているという。この鉄道建設コンサルタント会社における政府開発援助の無償資金協力事業案件である鉄道建設のコンサルタント業務で、利益供与の疑いが表面化したのを受けて弁護士を委員長とする第三者委員会が設置されており、委員会は総額約1億6千万円のリベートの支払いがあったとする調査報告書をまと めていた。 この報告書の中で鉄道建設コンサルタント会社が、外国の政府関係者への不正な利益供与を禁じる「不正競争防止法18条」などに抵触した可能性を指摘したのだ。リベートとは売手側が支払を受けた額の一部を買手側に払い戻すことで、その払い戻されたものをいうとされているのだが、長期契約や大量契約をしてくれた買手に対する割引制度として欧米各国では通常の商取引であるとされているのだが、本来は取引相手個人に対しても契約に明文化されることが多くそうなのだ。報告書によると3カ国に対するリベートの内訳は、ベトナムに対するものが6600万円でインドネシア向けが約2177万円と500万円となっており、ウズベキスタン向けが約7200万円となっているそうなのだ。 ベトナムではコンサルタント業務の契約をベトナム鉄道公社と締結する際に、ベトナム鉄道公社の職員が6000万円のリベートを日本の鉄道建設コンサルタント会社の国際部次長に要求したそうなのだが、この国際部次長はベトナム鉄道公社の職員と交渉してリベートを4500万円に減額したものの、契約内容の変更などを理由にリベートの増額を求められ最終的には計6600万円を支払ったというのだ。第三者委員会は日本の鉄道建設コンサルタント会社の管理職に対し外国の政府関係者へのリベート支払いを、どのように認識しているかについてヒアリングを行っており「リベートの提供は賄賂だという認識があったので、出来ればきればこのようなリベートは払いたくない」と回答しているそうなのだ。 それでも「リベート支払いについては会社からも『極力ゼロにしろ』と言われているので、一応最初はゼロベースから交渉する。しかしリベートの支払いを渋ると契約をキャンセルするというようなことを言われたり、契約交渉の引き延ばしに遭ったりするため結局は応じることになる」というのだ。それでも契約が成立した見返りとして契約担当者などにこっそり現金を渡すことは、公務員の場合は賄賂にあたる事から許されていないのだ。そして「実際にお金を渡した時は何に使うのかなと思ったが、会議の際に封筒にお金を入れておくことといった会議費などで必要といった話もあり、そういう費用で使うのかなと思って必要だから仕方がないのかなという印象だった」というのだ。 鉄道建設コンサルタント会社の管理職からリベートを必要悪と見なす声が数多く上がったことについて第三者委員会は、この鉄道建設コンサルタント会社に事業リスクとコンプライアンスリスクの管理体制がないと指摘し、「十分なリスク管理体制を整備しないまま、バスに乗り遅れるなと無防備に新興国市場へ進出することの危険性に対する認識が、この会社には決定的に欠けていた」と厳しく批判したというのだ。海外での建設コンサルタント会社の贈賄事件に関して外務省と国際協力機構は、政府開発援助の無償資金協力事業を巡る贈収賄などを防止するため「不正腐敗情報受付窓口」を設けているのだが、第三者委員会はこの窓口を積極的に利用しようとする社員がいなかったと指摘もしているのだ。 --- On Wed, 2014/5/14, > wrote:
2014年05月14日
コメント(0)
政府による電力需給対策・施策なのだが、今夏の電力需給に対応する「2014年度夏季の電力需給対策について」はゴールデンウィーク明けにも発表され、具体的な今夏の節電要請、あるいは電力使用制限令の有無に関する詳細が明らかになるとされているのだ。その施策の判断材料として以前から各種専門委員会が開催され討議が行われているわけなのだが、中でも重要なのが「電力需給検証小委員会」で、施策決定のための各種資料が提示されその公開も行われているのだ。過去の電力需給対策を検証した限りではこの委員会で呈された資料がほぼそのままの形で政府の施策発表の際の資料としても用いられ、震災から3年以上が経過した今夏季でも昨夏よりもさらに厳しい電力需給状況が見込まれている。 最大の理由は大飯原発3・4号機の停止や松浦火力2号機の使用が望めないといった供給力のイレギュラー的マイナスが生じたからだとされているのだが、火力発電所においてはその設備容量である最大発電可能容量の2割の施設が老朽化し、本来閉鎖・廃棄扱いされてもおかしくない発電所を、半ば強引に稼働させている状態であることとされている。原発稼働停止に伴う火力発電の焚き増しによる燃料費の増加も顕著化しており、「原発の停止分の発電電力量を、火力発電の焚き増しにより代替していると仮定しているのだ。直近の燃料価格などを踏まえ」これまでの実績及び今後の試算を行うとなんと過去3年間で9.0兆円のロスが生じる計算となるとされているのだ。 震災直後から連なる政策の決定的な過ちもあって元々震災以降は綱渡り的な電力のやりくりが求められていたわけだが、そのリスクが体現化した形となるというわけで、需要の面では節電が逐次進んでいるが、震災以降の経済復興などに伴い電力需要は増加している。新電力への移行もあるが需要が大きく増加していることに変わりはないというのだ。この状態は各発電所において従来行われるはずのメンテナンスや機器の改編・更新を先延ばし、間引きなどを実施し稼働を続けた上でのものとなっているのだ。さらに従来ならば解体待ちの老朽化した発電所まで再稼働させているところも少なくなく、少なくとも電力需給が昨年夏より厳しい状況に変わりはないとされているのだ。 昨年夏と比較して新設発電所の稼動や再生可能エネルギーによる発電量力の上乗せ、新電力への切り替えに伴う電力管轄からの離脱など需給面でプラスとなる面もあるのだ。しかしそれらプラスとなる要素の内部にも火力は老朽化や管理の面でリスク上昇しているし、水力は天候に左右される面や連続使用の点でやや難があるといわれているのだ。再生可能エネルギーは出力に波があるため火力や水力より使い勝手が悪いなどの問題があるいえ、稼働率そのものも通常想定以上に高めているとされている。このコストは直接的に電力会社への負担となってメンテナンスや機器改編・更新のさまたげとなっている。それが電気料金の引き上げとなり家計や企業への重圧となっているということのようなのだ。 家計に限ってもそれだけ可処分所得が減り生活への負荷につながることは、多くの人が体感しているに違いないということなのだ。「想定以上の稼動率」よ「老朽発電所の再稼働」という火力発電所の2つのリスク上昇要因により、計画外停止件数は増加の一途をたどっているというけっかもあって、原子力発電所の停止に伴う火力発電用燃料費が膨らんだ結果、6社が経常赤字を余儀なくされている。電気料金の値上げやコスト削減では追いつかず、北海道と九州の両電力は日本政策投資銀行から出資を受け入れると正式発表しているし、電力各社の経営が厳しいのは円安も重なって燃料費が膨らんだからなのだ。原発再稼働の見通しは立っておらず再値上げを検討する動きも出てきているのだ。 --- On Tue, 2014/5/13, > wrote:
2014年05月13日
コメント(0)
福島県では除染で取り除いた土や放射性物質に汚染された廃棄物の量が膨大となるため、現時点で最終処分の方法を明らかにすることは困難といわれているのだ。このため福島県で発生した除染で取り除いた土や放射性物質に汚染された廃棄物を、最終処分するまでの間安全に集中的に管理・保管するための中間貯蔵施設を福島県内に設置することとしている。除染で取り除いた土や放射性物質に汚染された廃棄物を、最終処分をするまでの間安全に管理・保管するための施設である中間貯蔵施設には、貯蔵や減容化のための施設のだけでなく空間放射線や地下水のモニタリング結果の情報公開や、効果的な減容化技術の研究開発・評価のための施設も併設する予定なのだ。 いずれも福島県内で発生した放射性物質に汚染された廃棄物に限るとしているのだが、除染に伴い生じた土壌・草木・落葉・枝・側溝の泥等で、可燃物は原則として焼却した焼却灰を貯蔵し、1キログラムたり放射能濃度が10万ベクレルを超える廃棄物を想定しているそうなのだ。中間貯蔵施設は除染で出た汚染土壌や廃棄物を最長30年間保管するものとし、可燃物は原則として焼却灰とするわけなのだが貯蔵容量は推計で約1,500万~2,800万m³と東京ドームの約12~23倍とするそうなのだ。この施設の敷地面積は推計で約3km²~約5km²となっているそうなのだ。候補地となっている福島県大熊町の町議会は、国による住民説明会の開催を受け入れることに同意しているのだ。 避難先で開かれた大熊町議会の全員協議会で渡辺利綱町長は、中間貯蔵施設の住民説明会を開くことに議会の同意を求めた。渡辺町長は「早く方向性を示してほしいという声もありまして、議員の皆様にご相談申し上げたところでございます」と述べ、中間貯蔵施設について県外での最終処分を法制化する方針を示したうえで、大熊町に住民説明会の開催を求めていたというのだ。大熊町は町議会の同意を得られたことから、今後政府と説明会の日程などを調整することにしており、渡辺町長は「福島県大熊町の除染を進めるためにも必要かつ重要な施設だが、基本的には『迷惑施設』。町内への整備は帰町の妨げになるとの指摘もある」と苦しい胸の内を語ったそうなのだ。 渡辺町長は長期避難に伴う悩みや復興に向けた課題を説明し、今後については「国に丁寧な説明を求め、町民全体の合意を得ながら進めていく。できるだけ早く町としての方向性を決めたい」と述べたそうなのだ。復興まちづくりビジョン中間報告の概要も述べ「少しでも将来への夢や希望が持てるものを提示していくのが行政の仕事」と語った。これまで中間貯蔵施設受け入れに関する住民説明会を開く条件として、政府に具体的な地域振興策を示すよう求めてきたそうなのだが、交付金の金額は未定だが1000億円を超えるとみられるというのだ。候補地の扱いについて政府はこれまで国有化を主張してきたが、井上副大臣は「地元の要望を受け止め賃借も含めて幅広く検討したい」と説明したそうなのだ。 交付金について井上副大臣は「使い道は町に任せたい。受け入れの判断時期までに規模を決めたい」と述べ、佐藤知事は「施設の面積が小さい方が双葉郡の復興につながる」と集約を求めた理由を説明したそうなのだ。中間貯蔵施設の敷地規模については「国から要請があった面積のままにしたい」として新たな負担が生じないようにするそうなのだ。環境省の試算では施設に搬入する汚染土壌などの廃棄物は幅があって、福島県では草木などを最新技術で減容化した場合に搬入量がどのくらい減るか国にあらためて精査を促すそうなのだ。設置案で示した建設候補地内で保管できるように計画見直しを求めるとしているのだが、反対派には佐藤知事が自ら調整に乗り出す考えを示していたそうなのだ。
2014年05月12日
コメント(0)
子育て支援の「量」と「質」の改善を目指すとして、「子ども・子育て3法」が3年前に成立しているのだが、「施設型給付」と「地域型保育給付」という2つの給付制度の創設や「認定こども園」制度の改善を図ることにしているのだ。子育て支援策は実施主体を今と同じように市町村として地域のきめ細かいニーズを反映した「事業計画」を策定することから始まるとされている。今年4月からの消費税アップにともない財源が7000億円も用意されるようで、さらに初年度は3000億円を追加で用意し合計1兆円が「子ども・子育て支援」に充てるというのだ。ちなみに過去の子育て予算は全体で4.7兆円なので、かなりアップすることになるそうなのだが、消費税からの捻出なので有効に使ってもらいたいのだ。 4月の消費税増税にあわせて子育て世帯を支援する措置では、子ども1人につき1万円が給付されるというのだが、子育て世帯の消費税増税の影響を緩和し子育て世帯の消費の下支えを図る観点から、臨時的な給付措置として行うものというのだ。この「子育て給付金」をめぐっては歓迎する声が多い一方で、「申請しないともらえない」という制度への不満やメディアの報道がほとんどないのではないかという声もあるというのだが、告知は申告手続きがはじまる直前の5月ごろからやるそうなのだ。子育て支援策をめぐっては幼稚園と保育所を一体化した「総合こども園」構想があり、それにすべて移行するという案もあったのだが廃案になっているし、規制緩和ということで有力だった株式会社などの参入も見送ら れているのだ。 それでも市町村を主体として地域ニーズを反映したサービス展開を掲げており、例えば3歳以上だったらどういうサービスを使いたいかなど、市町村がアンケート調査して事業計画に盛り込んで計画的に整備することが可能になっている。今回の大きなポイントは「施設型給付」と「地域型保育給付」制度の創設で、財政措置を一本化したり認可基準を明確にして認可施設を増やしたり、小規模保育など実情に合った保育の実現を図ったりして、子育て支援の「量と質」の改善を目指しているのだが、3歳児の場合には職員1人あたりの園児数をこれまでの20人から15人にして手厚くするだけでなく、「低賃金重労働」だった職員の待遇改善として私立の幼稚園・保育所等の職員給与を3%アップさすというのだ。 「施設型給付」とはこれまではバラバラだった「認定こども園」や「幼稚園」・「保育所」に対する財政支援を一本化するもので、「保育所」だったら厚生労働省から保育所運営費が支給され、「幼稚園」だったら文部科学省から私学助成や幼稚園就園奨励費が補助され、「認定こども園」だったら幼稚園部分と保育所部分のそれぞれに対して、安心こども基金から運営費用が支払われているのを、それらを基本的に施設型給付費として一括して支払うことになるというのだ。新制度においては「認定こども園」になれば公的契約となり、施設型給付を法定代理受領し保育料等も利用者から徴収することになるのだ。また、保育料等の徴収によって新たな事務が発生することから、その分を保育単価に上乗せするこ とも可能となるのだ。 もう一つの変更点は「地域型保育事業」として、「認定こども園」や「幼稚園」・「保育所」を国が新たに基準を設けて、「幼保連携型」は改正認定こども園法に基づいた一つの認可で済むようになり、市町村が認可する形になったのだ。しかも指定制をやめて認可制度の改善を行ったことで指定制が織り込んでいた「幼稚園」・「保育所」等の5年の更新制はなくなったのだ。「幼稚園」や保育所の認定こども園への移行は義務付けませんが、認定こども園は増やしていきたい意向です。その一方で「供給過剰による需給調整が必要な場合を除き、認可するものとする」とされ、必ずしも待機児童がいない地域であっても認可基準を満たしていれば、「認定こども園」や「幼稚園」・「保育所」等が現行制度より も認可を取得しやすくなるというのだ。 --- On Sun, 2014/5/11, > wrote:
2014年05月11日
コメント(0)
労働時間と報酬のリンクを外した「新たな労働時間制度」の創設が大きな争点となっており、この制度の提案は「第4回経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議」で行われ、提案文書の「個人と企業の成長のための新たな働き方 ~多様で柔軟性ある労働時間制度・透明性ある雇用関係の実現に向けて~」によると、労働時間にかかわらず賃金が一定になる働き方を一般社員に広げることを検討しているそうなのだ。子育て期で出社が難しい女性等が仕事の成果などで賃金が決まる一方で、労働基準法等の法律が定める労働時間よりも長時間働いても残業代が支給されなくなったり、過労死が問題視される長時間労働の温床になったりする恐れがあるとされているのだ。 政府の産業競争力会議は安倍首相の「時間ではなく成果で評価される働き方にふさわしい、新たな労働時間制度の仕組みを検討してほしい」という提案を受けて、労働時間規制緩和の動きが再び現実味を帯びてきたのだ。労働基準法では1日の労働時間を原則8時間として、残業や休日・深夜の労働には企業が割増賃金を払うことを義務づけている。企業には人件費を抑えたりもっと効率的な働かせ方を取り入れたりしたいという要求がある。今は管理職や研究者などの一部専門職に限って企業が労働時間にかかわらず賃金を一定にして、残業代を払わないことが認められているのだが、今回の提言ではこの残業代を払わないことの対象を一般労働者まで広げるよう求めているのだ。 この制度の対象として年収が1千万円以上など高収入の社員のほか、高収入でなくても労働組合との合意で認められた社員を検討しており、いずれも労働者本人の同意を前提にするということにはなっている。また従業員の過半数が入る働組合がある企業に限り新入社員などは対象から外すとされている。今回の労働時間と報酬のリンクを外した「新たな労働時間制度」として2つのタイプが提示されているのだが、どちらにしても企業には労働者を使いやすい内容となっているのだ。Aタイプは「労働時間上限要件型」と呼ばれており、労使の合意と本人の希望選択をもとに適用され、労働時間に応じてではなく職務内容や成果等を反映して報酬を支払うタイプとされているのだ。 Bタイプは「高収入・ハイパフォーマー型」と呼ばれており、年収1千万円程度の年収下限要件を定めた上で本人の希望に基づき、仕事の成果・達成度に応じて報酬を支払うタイプとなっているのだが、両タイプとも働き手にとって大事な「働き過ぎ」に歯止めをかける有効な対策はどこにも見当たらないのだ。もともと日本の労働時間の規制は弱く、労働基準法においても1日あたりの労働時間を8時間と定めているのだが、弱小な労働組合などと合意すれば8時間を超えて働かせても合法だとされているのだ。条件をつければ過労死の認定ラインである月平均80時間を超えて残業させても違法にならず事実上は青天井で、その代替えとして休日や深夜に働かせた場合に割増賃金を支払うよう義務づけているのだ。 企業に割増賃金を負担させることで長時間労働を抑える仕組みなのだが、今回の提案のBタイプでは労働時間の量的上限規制は提案に含まれておらず、労働者の健康への配慮は規制改革会議の意見書に比べ後退したものとなっているというのだ。Aタイプについては「子育て期で出社が難しい女性が念頭にある」とされ、「子育てや親の介護など労働者の事情に合わせた働き方ができるように」ということのようだが、この提案には2つの気になる言葉があってそれは対象者が「営業職」と「若者」だということなのだ。子育て・親介護世代に時間制約があることはわかるし、高齢者も長時間労働は敬遠したいかもしれない。しかしここになぜ「若者」が入ってくるのか理解できないのだ。
2014年05月10日
コメント(0)
豚の感染症「豚流行性下痢」が連休中も猛威を振るっているそうなのだが、昨年10月以降では全国33道県518農場に広がる中で、九州7県でも鹿児島を中心に270農場で確認され、死んだ子豚は全国で10万頭まで達したそうなのだ。九州は豚飼養頭数が全国の3割を占める一大産地だけに13年ぶりのPED蔓延の打撃は大きく、PED流行の影響は市場に及び始めたというのだ。今後の出荷量減を織り込んですでに豚肉の卸売価格は前年比3割も上昇しており、農林水産省などによると3月の豚肉卸売り平均価格は1キロあたり、関東で前年同月比2割高の466円で関西も3割高の483円と値上がりしているそうなのだ。 PEDはウイルスが引き起こす豚の感染症なのだが成獣が死ぬことは少なく、子豚が感染するとそのかわり高確率で死に至るというのだ。ただし人に感染することはなく、昨年10月に沖縄県でPEDが確認されるとじわじわと拡散しているそうなのだ。昨年の12月に鹿児島県で発病し宮崎県串間市の農場でもPEDが確認されたというのだ。九州では13年ぶりの発生なのだが全国の豚飼養数968万頭のうち、九州は3割の305万頭を占めるというのだ。その中でも鹿児島県137万頭と宮崎県83万頭の2県の養豚数が群を抜いており、今回のPEDの流行はこの鹿児島県と宮崎県で猛威を振るっているというのだ。 子豚は誕生から半年で成育し出荷時期を迎えるそうなのだが、農畜産業振興機構の担当者は「今夏に出荷量が減るとの懸念も、価格高騰の一因となっている可能性が大きい」と分析しているのだ。価格上昇の要因は国内のPEDだけではなく、平成25年4月以降米国でPEDが大流行していることも豚肉の高騰に拍車をかけているそうなのだ。米国では伝染病関係の届け出が義務付けられていないため、被害の全容は分からないが米国農務省によると感染は29州5790カ所に及び、おびただしい数の子豚が死んでいるといわれており、バーベキューシーズンの夏に米国内需要が伸びるため日本への輸出が品薄になる可能性が大きいとされているのだ。 日米を含め世界的に蔓延する今回のPEDウイルスは、中国発祥との見方が強まっているそうなのだが、中国では5年位前からPEDが大流行し、計100万頭以上の子豚が死んだとされているのだ。農業・食品産業技術総合研究機構によると、中国のPEDウイルスは新型だそうで、その遺伝子型が米国や日本で確認されたものと類似しているというのだ。国境を越えて移動する人や飼料・資材にウイルスが付き、中国から米国に拡大して日本に侵入したとみられる。「口蹄疫の流行から4年が経ち、気の緩みから防疫の抜け穴を作ってしまったかもしれません」と鹿児島県の家畜防疫対策監は苦渋に満ちた表情で語っていたのだ。 日本が輸入する豚肉は米国が4割を占めるとされているのだが、農水省動物衛生課の担当者は「PEDウイルスが海を渡って国内に入ってきたとするなら、同じように口蹄疫ウイルスや、未知の恐ろしいウイルスも侵入し得るということになります。常に最大の警戒が必要です」と危機感を募らせている。しかも鹿児島県は養豚業者が多い地域に車両消毒所を設置するなど防疫態勢を強化しているが、抗生物質が効かない薬剤耐性菌が世界各地で広がっているとの報告書が発表されているというのだ。豚の感染症「豚流行性下痢」の感染確認から半年も経っているのに、PED終息の見通しは立っておらずその被害は20億円超と推計されているのだ。 --- On Fri, 2014/5/9, > wrote:
2014年05月09日
コメント(0)
厚生労働省は3月の有効求人倍率が前月より0・02ポイント上昇し、1.07倍となったと発表したそうなのだが、有効求人倍率が上昇するということは人手不足が外食・小売りなど幅広い業種に広がっているということのようだ。人口減少による働き手が減っているという構造的な要因に加え、景気の回復基調でパート・アルバイトの奪い合いが起きているためだ。私の所属している建設業でも復興需要や公共事業の増加で、入札不調や工期の遅れが相次いでおり、労働需要が急拡大している建設や土木などの分野では、職人の不足が深刻な状況となっているのだ。入札が不調になって工期が遅れるというような話だけでなく、人手が確保できなくて倒産した企業まであるというのだ。 新規求人数が昨年の3月と比べて5・4%増と引き続き好調さを維持する中、有効求職者数が前月よりも1・7%減となったことが有効求人倍率を押し上げる要因となったのだが、運送業界も3月まで「駆け込み需要で配送の依頼が増え、仕事を受けきれなかった」そうなのだ。アルバイトの時給は上昇を続けリクルートジョブズの募集時平均時給調査によると、3月は昨年と比べて6円増の948円と9カ月連続で前年を上回ったというのだ。時給上昇だけでなく賞与を支給したり正社員化したりする動きも出てきたそうなのだ。ニッセイ基礎研究所の研究員は正社員化の動きについて「非正規では定着率が低くなり、ノウハウが蓄積されないという反省があった」と指摘しているそうなのだ。 長引くデフレの中で現場の雇用はそうした長期的な方向とは逆行した形になってしまい、牛丼チェーン店「すき家」通常24時間営業だが、都市部では3月下旬から午前9時~午後10時に短縮したそうで、これはアルバイトが一斉に辞め店を回せなくなったというのだ。別の店ではバイト募集のポスターの深夜時給1325円という印刷文字の上に、手書きで1375円と記されていたそうなのだが、「大学生のバイトが辞めて人が集まらない」とか「朝まで1人なので仕事はきつい」ということで、一時休業や短縮営業に追い込まれたそうなのだ。居酒屋チェーン「和民」を運営するワタミも全体の店舗数の約1割にあたる60店を今年度中に閉鎖し、1店当たりの人員を増やし職場環境改善を進めるというの だ。 中華料理チェーン「日高屋」を展開するハイデイ日高はアルバイト店員に1回数万円の賞与を年2回支給する制度を創設し、吉野家は店長に親睦費用を支給してバイト店員との結束を強めているというのだ。長時間労働が常態化しているチェーンもあって飲食業はもともと敬遠されがちだったが、景気が良くなり他業種でもバイトの条件が改善しており、そのことで人手不足が外食・小売りなど幅広い業種に広がっている原因のようなのだ。「バイトに対する教育が不十分で、やる気、やりがいをうまく引き出せていない」ことも要因で、こうした背景には生産年齢人口の減少といった中長期的な予測に加え、景気回復をきっかけに始まったパートやアルバイトの奪い合いがあるというのだ。 人手不足が顕在化してくると人材の確保の巧拙がその企業経営の成果に大きな影響を及ぼすようになってくるのだが、使い捨ての労働ではなく現場での技能訓練などで支えた質の高い労働の活用が鍵になってくるそうなのだ。パート労働を正社員並みの待遇にするという同一労働同一賃金は欧州などでは社会的常識として広がりつつあるそうなのだが、これからは日本の企業もこれを意識せざるをえなくなってくという予想もされている。すき家ではバイトの足りない穴を埋めるため数少ない正社員がフル稼働させられているに違いないのだが、労働の量の投入には限界があってバイトの穴を正社員だけでは埋められなくなってきたため、両者の垣根をなくして同一の人事制度を作るべきなのだろう。 --- On Thu, 2014/5/8, > wrote:
2014年05月08日
コメント(0)
今年のゴールデンウイークもやっと終わったということなのだが、再来年の8月から新たに「山の日」という祝日が誕生することになりそうなのだ。我々が住む日本は山の国で古くから日本人は山に畏敬の念を抱き、森林の恵みに感謝し自然とともに生きてきているのだ。山の恩恵は渓谷の清流を生みわが国を囲む海へと流れ、深く日常生活とかかわりながら豊かな心をも育んできたとされている。わが国の文化は「山の文化」と「海の文化」の融合によってその根幹が形成されたといわれているのだが、その中でも山を敬まって山に親しみを感じ山の恵みに感謝するという行事ははるか昔からあって、例えば4月中旬から7月にかけ各地の山で行われる「山開き」はその原点とされている。 衆議院本会議では「山の日制定法案」を自民党・民主党・公明党など与野党9党の賛成多数で可決したそうで、「山の日制定法案」では国民の祝日として8月11日を山の日に定め、施行を再来年の2016年としているのだ。また山の日の意義について「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」と明記されているそうなのだ。「山の日制定法案」は参議院に送られ今の国会で成立する見通しなのだが、これによって年間の祝日は15日から16日に増えるほか初めて8月に祝日が誕生することになるのだ。これで祝日がないのは6月だけとなるのだが、山の日制定にあたっては経済活動への影響を避けるため、多くの国民が休むお盆期間の周辺で調整していたそうなのだ。 この「山の日(やまのひ)」とは一部の府県で制定されている記念日だったそうなのだが、長野県が独自に制定を目指している「山の日」については、知事が県議会で名称を「信州 山の日」として7月第4日曜日とする方針を表明すると、登山愛好家だけでなく上高地を訪れる多くの人々に親しまれる恒例の行事となっていたのだ。山梨県では故郷の山や森林を見つめ直しその恩恵に改めて感謝する契機とするため、8月8日を「やまなし山の日」と定め8月8日を中心に山梨県内各地で様々なイベントを行い、山村施設への無料招待などが実施されていたそうなのだ。どちらの県も「山の日」を記念日としていたのだが、「日本山岳会」は60年以上も前から「山の日」に取り組んでいたそうなのだ。 山岳5団体が国民の祝日として「山の日」をつくろうという取り組みをスタートさせたのだが、この「山の日」は「山に親しむ・山に学ぶ・山と生きる」をコンセプトに、森林づくりなどの環境保全活動を通じて現在及び将来にわたって、豊かな山や森林の恩恵を享受できる自然との共生社会の実現を目指すとしているのだ。「山の日」制定の意見書は過去にも長野県や奈良県の県議会から提出されていたが、自治体のトップが集まって国に祝日化の要望を出したのは初めてのことということで、いくつかの新聞がかなり大きく取りあげたそうなのだ。山の日を制定する目的について、国に祝日化の要望では「山を守り育てながら生かしていく機運醸成の機会にする」としていたのだ。 登山愛好家らの山岳団体などは「山の日」という祝日が誕生にあたって、梅雨がおおむね明け子どもが夏休み入りして催しに参加しやすいことを挙げ、より多くの人に山を楽しんでもらうことから7月第4月曜日としていたのだが、超党派の国会議員による「山の日」制定議員連盟は祝日がすでに年間15日あり、追加に慎重な経済団体などの意見も踏まえ企業が夏休みに入るお盆の時期を中心に検討し、当初8月12日とすることで意見集約したというのだ。ところが1985年に起きた日航ジャンボ機墜落事故と同じ日に当たることから、群馬県上野村の神田強平村長からも再検討を要請されていたというのだ。「家族で山に親しみ、国民全体が有効利用できる」として8月11日に落ち着いたというのだ。
2014年05月07日
コメント(0)
過酷さの割に賃金が低いと指摘される介護職なのだが、政府も手は打ってきたものの依然、として他業種との格差は埋まらないそうで、ここへきて人材確保には賃金アップか外国人の活用かということで国の姿勢も揺れているそうなのだ。就職した私の子供もこの介護護労働者の一員なのだが賃金は他業種に比べて低く、昨年10月に行われた全国労働組合総連合のアンケート調査では、手当を除く正規職の平均賃金は20万8千円弱だったそうなのだ。厚生労働省調査の全産業平均が29万6千円ということなので約9万円下回っている。正規職で介護福祉士の資格を持つ私の子供の月給は手取りで約18万円となっており、15万円を切るという同業の友人よりは「恵まれている」と感じているそうなのだ。 長らく介護は主婦による家事労働とみなされてきたことから、職業としての確立が遅れ低賃金から抜け出せないといわれているのだが、TV番組で介護職の実態を放映していたのだ。東京都葛飾区の特別養護老人ホームには1フロアには約40人が入居しており、大半は80~90歳代で7割は認知症という。同僚と2人で一晩に4回は巡回しおむつを替えやトイレを介助し、床ずれ防止として寝ている人の体位を変えることもさえもするそうなのだ。消灯後も徘徊する人はいるし繰り返し呼び出しボタンを押す人もいる。月4~5回の夜勤日は午後5時前から翌朝10時前までの勤務なのだが、この日は引き継ぎ書類の記入やシーツの交換に追われ朝食にありつけたのは昼近くになっていた。 ひと息つけるのは午後11時の食事と2時間の仮眠の間だけなのだが、「朝方トイレに行きたくなりそう。でも、呼ばないようにする」と気遣う女性入居者に、介護職員は「気にしなくていいのですよ」とほほ笑んでいたのだ。サービス残業はあたりまえで「仕事に夢を見られない。このままなら、なり手はどんどんいなくなる」とインタビューに答えていたが、専門学校の同期80人のうち介護職を続けているのは十数人で、この職員自身の手取りは初任給から2万円ほど上がり、ようやく月約23万円となったそうなのだ。この介護職の男性は同業の妻が初めて産んだ子の育休中で、共働きでなければ生活は成り立たないことから、もう「保育所を確保できるかが不安でならない」とこぼしていたのだ。 関係者は「人件費率は7割近くで赤字になる。内部留保をため込む法人は人件費を削って介護の質を落としているのでは」と指摘し、報酬に常勤労働者の比率に応じて加算する仕組みを作れば解決するとみちるのだ。厚生労働省も社会保障審議会で介護報酬の使い道について議論を始めているそうなのだ。介護報酬とは保険料と税金に利用者の自己負担を元に、介護施設に払われる公定料金なのだが、今年末に報酬の引き上げを決め来年度から介護職員の待遇改善を実現できるかどうかが焦点のようなのだ。「賃金や労働条件が低いままでは離職者がますます増え、人手不足が深刻化する。国は介護報酬を引き上げるなど処遇改善を図っていくべきだ」とされているのだ。 政府の産業競争力会議では外国人の積極活用を打ち出しているのだが、田村憲久厚労相は外国人を無制限に受け入れると介護業界全体の賃金水準低下を招くと懸念する。いままでも経済連携協定に基づいてインドネシアなどの介護労働者1000人強を受け入れてはきたが、目的は「研修」で、厚生労働省も介護報酬で賃金を増やし日本人中心に人手不足を解消していく考えのようなのだ。それでも月平均の介護保険料は制度発足時の2911円から4972円に膨らんでおり、保険料などが財源の介護報酬で賃金増を図れば介護保険料は5000円を突破するのは確実となっている。負担が増すお年寄りや保険料を折半する労使の理解を得られる保証はないのが実態なのだ。
2014年05月06日
コメント(0)
東京電力福島第1原発で非常時以外は汚染水を貯蔵できない建屋に、放射性セシウムの濃度は1リットル当たり3700万ベクレルという高濃度汚染水が移送された問題で、東京電力は社員が起きた可能性が高いと発表した。普段使わないポンプの電源を誤って入れたため「故意ではなかった」と説明しているのだが、東京電力福島第1原発で本来は同じ配電盤にある空調設備の電源を入れるはずだったが、配電盤にはどのスイッチが何の電源なのか表示されていなかったため、作業員が移送ポンプのスイッチを誤操作した可能性が高いと発表したのだ。東京電力は「当社として非常用設備の管理できていなかった」と話し、作業員のミスを防ぐ仕組みに不備があったと認めたというのだ。 放射性セシウムの濃度が1リットル当たり3700万ベクレルという高濃度汚染水が、大量に移送する予定のない建屋に流れ込んだのだが外部へは漏れていないという。東京電力によると予定外の高濃度汚染水がたまっていることが確認されたのは焼却工作建屋の地下1階で、この建屋は汚染水の貯蔵場所が不足したときなどに使用するため、汚染水を移送するための配管やポンプが設置されているというのだ。これまでは一度も使用していなかったのだが汚染水を貯蔵する別の二つの建屋内の水位が不自然に変動していることが分かり、東京電力が調査したところ2カ所にあるポンプ計4台が作動し、高濃度汚染水が焼却工作建屋の地下1階にたまっていたというのだ。 東京電力は原子炉等規制法に基づき原子力規制庁に報告したそうで、規制庁の指示をいけて東京電力は誤って流入した高濃度汚染水を元の建屋に移送したが、大量すぎて1日では完了しなかったため作業を続け、それと同時に作業に携わった社員ら94人に聞き取り調査を実施したそうなのだ。そして空調設備のスイッチを操作した作業員1人が見つかり、この時併設されたポンプ4台のスイッチを誤って入れた可能性が高いと結論づけたというのだ。東京電力が誤移送を発見したのはそうとう遅れた点について、「建屋の水位計を毎日監視しておらず、誤移送に気づくのに時間がかかった」と説明したのだが、ポンプのスイッチのある建物はいずれも施錠されていなかったという問題も露見したのだ。 また東京電力福島第1原発で地下水が原子炉建屋に流入し汚染水となるのを防ぐ「凍土遮水壁」についても、東京電力は「安全に管理できる」と説明したが、原子力規制庁は「設置した場合の悪影響について評価が足りない」などと批判安全に管理できる根拠を示すデータが不十分と判断したというのだ。遮水壁は事故を起こした1~4号機の周りを囲むように、地中に長さ約1.5キロの凍らせた壁を造り地下水の流入を防いで汚染水を減らす目的で、政府が昨年9月に建設を決定したものなのだ。汚染水は敷地内に46万トンあって毎月1万トン以上増えているのだが、東京電力が6月にも着工する予定の汚染水対策の「柱」とされる遮水壁の建設の遅れは廃炉作業にも影響しそうだというのだ。 この遮水壁建設は前例がない大規模な工事とされ、約320億円の国費の投入を予定し完成を目指しているのだが、原子力規制庁は「設置して悪影響が出るならば撤退も考える必要がある。国費を投入する観点からきちんとした説明をしてもらう」としているのだ。その東京電力の3月期連結決算は売上高が初めて6兆円を突破し3年ぶりに黒字を回復したというのだ。家庭用電気料金の抜本的な値上げを行い増収となったほか、被曝管理や安全管理のため区画ごとに出入りする作業員のチェックを怠るなど管理費を縮減したうえ、廃液プールの浄化など設備修繕の先送りで修繕費を前期比2割以上圧縮し、我々の税金を食いつぶしながら経常黒字を確保したというのだ。 --- On Mon, 2014/5/5, > wrote:
2014年05月05日
コメント(0)
女性工員の過酷な労働環境を描いた山本茂実が発表したノンフィクション文学である「あゝ野麦峠」などの影響で、副題の「ある製糸工女哀史」ということもあって、戦前の製糸場には暗いイメージがつきまとっているのだ。この小説を原作として映画化もされているのだが、映画では国策において有力な貿易品であった生糸の生産を支えた出稼ぎ女工の、特に悲惨な面が強調して描かれているのだ。原作においては百円工女の恵まれた環境や糸値に翻弄される製糸家の厳しい実情などにも言及し、詳細な聞き取り調査のもと日本の貧しく苦しい時代を懸命に生き抜いた人々を、その時代背景と共に強く浮き彫りにするように描かれている点が評価されている。 今回世界遺産に候補となった富岡製糸場の労働環境は異なっていたそうで、1日8時間労働や夏と冬の長期休暇など、女性工員にとって明治期の労働環境としては、世界でもまれなほど恵まれていたという調査結果となっている。製糸技術を学んだ女性工員たちは帰郷後には各地で技術を伝えることにも貢献しており、こうした環境を登録の事前審査を行った「国際記念物遺跡会議」も注目し今回の勧告に大きく影響したといえそうだ。文化庁や群馬県関係者らによると明治5年の設立当初に働いていた女性工員は約400人とされており、労働時間は1日約8時間で週休1日のほか夏冬に各10日間の休暇があり、食費や寮費などは製糸場が負担していたというのだ。 「国際記念物遺跡会議」は女性工員の過酷な労働環境を描いた小説もあることから、今回の世界遺産に候補となった富岡製糸場の登録勧告にあたり配慮事項として「女性たちの指導者あるいは労働者としての役割を通じた技術移転について調査を行うこと」を求めた。明治26年に民間に払い下げられてからは労働時間が長くなるなど環境は悪化したが、それでも「女工哀史のような過酷な環境ではなかったようだ」と文化庁関係者は調査結果を公表している。教育施設も併設され女性工員たちは辞めた後も、地元の製糸場などで指導的な役割を果たすことが少なくなかったとされ、技術指導者の育成にも力を入れ養蚕技術を独自に改良して大量生産を実現し、世界の絹産業の発展に貢献したとされている。 今回の勧告でもこうした富岡製糸場と関連施設の役割を重視し、「明治時代初期までさかのぼる富岡製糸場は19世紀末期に養蚕と日本の生糸産業の革新に決定的な役割を果たした」と指摘したそうなのだ。文化庁関係者は「世界でもまれに良好な当時の女性労働環境が、注目されたためだろう」としている。さらに「国際記念物遺跡会議」の高い評価を得たのが施設の保存状態で、世界文化遺産の登録には施設が適切に保存・管理されているかがポイントになるとされているのだが、「これだけ大規模な工場が残っているのは奇跡的だ」としていた文化庁は「群馬県が推薦書に記載する施設を4つに絞り、世界遺産としての価値を明確に分かりやすく主張できたことが大きい」と話しているのだ。 明治26年に民間に払い下げられた富岡製糸場は昭和62年まで現役の製糸場として稼働しており、操業停止後も所有する企業が「貸さない・売らない・壊さない」の社訓を定めて保全に努めた結果、和洋折衷の様式で建てられた木骨れんが造りの繰糸場や倉庫などがほぼ完全に残されたのだ。平成19年に群馬県富岡市に寄贈されてからは多数のボランティアもかかわって大切に保存・管理されており、明治政府がつくった官営工場の中でほぼ完全な形で残っているのは富岡製糸場だけだというのだ。140年以上にわたり設立当時の姿をとどめてきた富岡製糸場なのだが、「国際記念物遺跡会議」は登録勧告にあたり都市化の進展に留意することや管理体制の強化についても求めているそうなのだ。 --- On Sun, 2014/5/4, > wrote:
2014年05月04日
コメント(0)
従来のシステムのまま人口増に力を入れるのがいいのか、人口の推移に合った少ない人口で回るシステムに変えるべきか、日本全体で考えなきゃいけない問題なのだが、私の住んでいる愛媛県の人口が140万人を割り139万人台となることがニュースで報道されたのだ。愛媛県が近く4月1日現在の推計人口を発表し明らかにするのだが、愛媛県の人口は戦後70年近く140万~150万人台で推移してきたがついに「130万人時代」に突入する。愛媛県の推計人口調査によると今年の3月1日現在の人口は140万1633人だったのだが、企業の異動や転校による転出数が反映される4月1日の人口は近年5千人以上の落ち込みを示していることなどから140万人を下回るのは確実だというのだ。 それでも転入数が加味される5月1日には例年は若干増加するものの、140万人台を回復するのは困難な情勢だということなので、130万人台への低下は私の住んでいる愛媛県の規模縮小をあらためて印象づけている。この人口減少の原因なのだが何といっても就職口と若い者の娯楽施設不足だろう。国道は介護施設と葬儀場と病院の看板だらけだし、特に愛媛県は県都松山市より東に人口が集中して南の方に過疎化が多いのだ。いくら行政が施策を講じても歯止めが利かない県民人口減は、社会保障や企業活動など県民生活のあらゆる分野に影響が及ぶとされており、特に南予地方や山間部の過疎地の自治体では近い将来存立が危ぶまれる可能性も出てくるのだ。 人口減少のニュースというと島根県は今年の4月1日現在の推計人口が69万7489人となってしまい、1920年に統計開始以降初めて70万人を下回ったと発表したというのだ。推計人口が最も多かった1955年の92万9066人に比べると約4分の1の人が減ったことになるが、この島根県の人口は都道府県別では鳥取県に次いで全国で2番目に少ないのだ。その日本一人口の少ない県である鳥取県は、県全体の人口移動調査の結果を発表し今年4月1日現在の推計人口は57万4530人で、前年同期比と比べ3706人減少したと公表しているのだ。転出入などの社会増減は1574人の転出超過となっているが、単身所帯の増加で推計世帯数は21万3693で前年比の678増となっている。 人口減少ということになると選挙における「一票の格差」が問題となるのだが、与野党でつくる参議院選挙制度協議会に示された座長案で、鳥取選挙区は島根選挙区との合区案が示されたというのだ。こうなると鳥取県内の各党や有権者からは「鳥取選出の議員が消える恐れがある」などの反発と、「1票の格差解消のためには仕方がない」などと一定の理解を示す声が交錯しているそうなのだ。鳥取県の民主党県連代表も「短絡的。鳥取県の声が届かない。誰が中山間地域を守るのか」と反発しているのだが、参議院選挙制度協議会では「島根県より人口の多い都市はいくつもあります。公務員が主な採用先では人口が減るのは当たり前」として、合区案による定数削減を進めるとしているのだ。 私の住んでいる愛媛県でも同じようなもので定数削減はないものの、愛媛選挙区と香川選挙区との合区案が参議院選挙制度協議会から示されているのだ。そこで人口減少の打開案として内閣府は「出生率回復ケース」と「出生率現状ケース」に分けて試算しているのだが、「出生率回復ケース」では移民を毎年20万人受け入れるとともに、女性が生涯に生む子供の数の推計である「合計特殊出生率」が2.07まで上昇すると仮定しているそうで、それによると35年後には人口1億989万人となり、85年後でも1億1404万人になるとしているのだ。つまり日本の将来の人口推計については出生率の回復と移民受け入れを仮定した場合でしか、1億人以上の人口を維持するという試算は不可能というのだ。
2014年05月03日
コメント(0)
沈没で高校生ら約300人の死亡・行方不明者を出した韓国旅客船「セウォル号」が日本で製造されたことは韓国で大きく報じられ、韓国の首相が辞意を表明するなど大きな事件となっているのだが、製造責任を問う声はなく逆に同型船の事故で、最後まで船にとどまった日本人船長らの行動に注目がなされているのだ。乗組員に定期的に義務付けている避難訓練などをほとんどしていなかった実態が浮上している。日韓の救難体制の差も盛んに論じられ「日本を見習え」との指摘が出ている。日本との比較で韓国メディアが注目したのは8年前の11月に三重県沖で転覆したフェリー「ありあけ」の事故なのだが、今回沈没した「セウォル号」をかつて日本の定期船に使っていた会社が運航し造船所も同じだった というのだ。 「ありあけ」の転覆は高波が原因で操船ミスが最大の要因とされる「セウォル号」とは異なるが、積み込んだコンテナが荷崩れを起こして横倒しになった経緯は重なる部分があるというのだ。韓国メディアが最も注目したのは、船長ら乗組員の対応の差だ。閑散期ということもあって事故当時の「ありあけ」の乗客は7人だったが、船が傾くと船長はマニュアルに従って救助を要請するとともに、乗組員は即座に客室に向かい扉が開かなくなる恐れがあるとして、客室から乗客を退避させたというのだ。沈没前の「セウォル号」のように船体の傾きが急になると、消防用のホースを使って乗客を甲板に引き上げ避難させ、約2時間後に乗客全員がヘリコプターで救出されるのを見届けたというのだ。 そして船長らクルー全員が最後に救命ボートを下ろして海に飛び込んだのだが、この行為を知った韓国メディアは三重県沖で転覆したフェリー「ありあけ」の事故で犠牲者が「ゼロ」だった点を、乗客を残して真っ先に脱出し300人の犠牲者を出した今回の「セウォル号」の船長らとの違いを強調しながら繰り返し報じたそうなのだ。そのうえ日本の報道番組で放映された客船を模した模型をプールに浮かべ、過積載で急旋回すれば転覆する様子を実験した動画を見たネットユーザーらは「こんな科学的な実験を放映するのも日本ならではだ」と称賛した上で、「認めたくはないが、わが国も海難対策について日本から学ぶべきなのは確かだ」などと尊敬の念を書き込んだそうなのだ。 韓国紙の朝鮮日報は「造船大国」といわれながら、効率性から商船ばかりに傾注してきた韓国の造船業界を問題視したばかりでなく、コラムでは「乗客が安心して乗船できる旅客船を開発できなければ、本当の造船大国とはいえない」と批判したというのだ。さらに日本では日本政府が8年前に三重県沖で転覆したフェリー「ありあけ」の事故事、客船にコンテナの固定装置の設置を義務付けるなど事故対策が進んだ点にも着目しており、海難事故の緊急通報である「118」番がある点にも言及している。「セウォル号事故でも、このようなシステムがあれば、救助が速められたかもしれない」と指摘し、日本では昨年通報があった海難事故の救助率が96%に上ったと伝えていたそうなのだ。 その他のマスコミ等でも日韓の救難体制の格差も盛んに論じられ、映画「海猿」で有名になった海上保安庁の潜水士の能力の高さを取り上げるメディアもあったというのだ。ハンギョレ新聞は海上保安庁の潜水士が専門の訓練を積み、水深40メートルまでの潜水能力がある潜水士約120人を擁すると報道するとともに、海難事故の緊急通報である「118」番があればヘリコプターで事故海域に駆け付ける特殊救難隊36人が24時間体制で待機している体制にも触れていたそうなのだ。そして「セウォル号」沈没で韓国政府等の行政組織に対しても「事故対応から救助まで日本のような体系的準備やマニュアルが全く見当たらず、残念でならない」と締めくくっていたそうなのだ。 --- On Fri, 2014/5/2, > wrote:
2014年05月02日
コメント(0)
経済は消費者が主役であるといわれているのだが、日本チェーンストア協会が発表した3月の全国スーパー売上高は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が日常消費の現場にも及び、前年同月比9・4%増と2カ月連続でアップしたそうなのだ。平成25年度を通しての売上高も0・8%増と前回の消費増税直前の平成8年度以来17年ぶりのプラスだったというのだ。日本チェーンストア協会の加盟59社約9千店の足元の販売動向について、日本チェーンストア協会は「反動減はあるが、想定の範囲内にとどまっている」と指摘しており、このところの気温の低さが影響して春物衣料の動きは鈍いものの、買い置きできない食料品は第2週目以降に回復しているという見込みをしているようなのだ。 前回の消費増税直後は4月の売上高が4・6%落ち込んだが、今回の影響は比較的軽い見通しのようで、また5月以降の消費の先行きについても「昨年来の消費者心理の改善傾向がベースにあり、販売回復が続く公算は大きい」と予測しているそうなのだ。消費税増税前の3月の売上高を品目別にみると、日用雑貨品や医薬品・化粧品・家具・インテリアの販売額が約20~30%増と大きく伸びたそうで、全体の6割を占める食料品も日持ちするハム・ソーセージ類などを中心に駆け込み需要が生じ6%近いプラスとなったそうなのだ。スーパー等の来店客数は1・4%増で客単価は7・5%増だったそうなのだ。全国コンビニエンスストア売上高も増税前にたばこをまとめ買いする客が多かったそうなのだ。 4月以降の経済だが家計消費は増税前の駆け込み需要の反動減を経て、7月以降回復するかどうか疑わしいという意見が強いとされ、これらは消費者心理の代表的データである内閣府発表の消費者態度指数を見ればよいとされているそうなのだが、雇用・賃金・株価と消費者物価の4大要因に左右されるが、最近では物価上昇による悪化が最大のマイナス要因だとされているそうなのだ。春闘による賃上げ率は全産業平均で1%に遠く及ばなかったとされ、消費税増税に伴う物価上昇を含めた予想インフレ率3%超を大きく下回るし、「株価の鈍化や消費増税後の経済下振れで雇用環境が悪化すると、消費者マインドはさらに悪化する可能性がある」言われているみたいなのだ。 円高の是正で期待された輸出の拡大は弱いままで、輸出回復の遅れはこれまで円安の解消後に少し遅れて輸出拡大が生じるという「Jカーブ」効果が理由とされていた。タイムラグとされる半年を過ぎ輸出数量は前年同月比6.1%増と昨年5月以来1年半ぶりに伸びたが、そのペースはまだ緩慢なままなのだ。そこで財務省は公共工事などの予算を9月末までに6割以上執行するよう各省庁に指示しているのだが、この指示は景気の落ち込みを防ぐのが表向きの理由だが、麻生太郎財務相は「7~9月期に景気の上向きを示す数字が出るような結果にしたい」と、安倍首相が来年10月からの消費税率追加引き上げを判断する際の目安となる景気指数の改善という本音を隠さないのだ。 公共事業の集中発注で夏ごろに景気が勢いづけば、財務省の思惑通り安倍晋三首相は年末までに来年10月からの消費税率10%を決定することになるのだ。これまで物価下落を数倍も上回る速度で賃金が下落する日本型慢性デフレは消費者の購買意欲を萎縮させてきたわけなのだが、悪循環から抜け出すためには持続的な賃上げ期待で消費者が「明日はもっとよくなる」と思うようになることが必要なのだ。今春闘で大手各社が賃上げに応じたので「景気の好循環が明らかに生まれ始めた」と安倍晋三首相は吹聴しているのだが、賃上げ率は低く物足りないが浜田宏一内閣参与の「賃上げの幅よりも、来年以降も続くことがより重要です」という持続性こそが鍵になるみたいだ。 --- On Thu, 2014/5/1, > wrote:
2014年05月01日
コメント(0)
全31件 (31件中 1-31件目)
1