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厚生労働省が今月に発表した2014年上半期の労働災害発生状況の速報値では、建設業の労災死亡者は前年同期比28.2%増の159人に上ったそうなのだ。しかも建設業の月別の労災死亡者数では2月の数値が突出して高く、前年同月比111.1%増の38人だったというのだ。5月以降は逆に前年を下回る数値に落ち着いている。全産業の労災死亡者数は前年比の19.4%増で437人となっているが、建設業の死亡者数は業種別で唯一100人を超え前年同期比の増減率でも全産業の平均を上回っているというのだ。死亡事故が増加した原因なのだが昨年の後半から今年の1月までは消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の影響で、新設住宅着工戸数が前年同月を大幅に上回る月が続いたことがあげられている。 さらに2月には関東や近畿を含む広い範囲で記録的な大雪が降ったこともあって、厚生労働省労働基準局の建設安全対策室では、こうした環境が建設業の労災発生に影響した可能性を指摘している。厚生労働省が発表した昨年の労働災害発生状況では、建設業の労災による死傷者数は前年より0.7%増えたが死亡者数は6.8%減少していたのだ。東日本大震災の復旧・復興や政権交代の影響で建設工事の発注が上昇傾向にあるなか、死者を出す深刻な事故は減っているということだったのだ。「労働災害発生状況」によれば一昨年の労働災害による死亡者数は全産業の合計で前年比6.7%増の1093人で、このうち建設業は7.3%増の367人と全体の33.6%を占めていたのだ。 建設業の死亡者数というと転落事故が原因とされているのだが、業界を挙げて「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱」及び「手すり先行工法等に関するガイドライン」 により実施親綱や安全帯等適切な保護具の使用を徹底だけでなく、高所作業における安全確保に資する教育を繰り返し啓発しているのだ。それでも発生した転落事故の約9割で防止措置を実施していなかったり不十分だったりしたことが分かったというのだ。私の住んでいる愛媛県でも調査に入った工事の箇所のうち、足場の作業床からの墜落・転落災害防止に関する違反現場81 箇所はそもそも足場等に手すり等の墜落防止措置が講じられておらず、ヘルメットの着用もしていなかった工事現場もあったそうなのだ。建設業で発生した労働災害のうち墜落・転落による死傷災害は年間約6000人といわれ、死亡事故原因の第一位となっており、このうち「足場からの墜落・転落」が約15%を占めている。事故を防ぐために厚生労働省や国土交通省は手すり先行工法の活用を促しており、手すり先行工法では最上層と全ての作業床に常に手すりや中さんがある状態で、仮設足場の組み立てや解体を進めるとされており、また労働安全衛生規則改正により新たに義務づけされた従来の手すりに、中さん又は下さん等の手すり等の設置がなされていなかったことから、経済産業省は手すり先行工法のJISを改正したと発表したそうで、従来は想定していなかった先行形手すりの外側への墜落を防ぐというのだ。 「先行形手すり」に安全帯の取り付け設備としての強度を増した「S種」を新設したそうで、旧規格では手すりの外側への墜落は想定していなかったのだが、現場では足場上で部材を受け渡したり手すりから身を乗り出して作業をしたりすることも少なくないため、上さんと中さんの隙間や中さんと作業床の隙間から墜落した事例や、ネットやシートの設置時などに先行形手すりから身を乗り出して墜落したケースもあることから改正に至ったというのだ。既存の第1種とS種が混在した現場でも簡単に見分けられるように、S種の先行形手すりには緑色の塗料を見やすい箇所に塗布することも定め、作業員が姿勢を崩しても建物の反対側に位置する手すりが体を受け止めて墜落を防止できるようにするそうなのだ。
2014年07月31日
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TVのサスペンスドラマ等を見ていると、殺人現場に「鑑識」という腕章をつけた警察官が、「現場には触らないで」と言いながら「KEEP OUT」とか「立入禁止」と書いてある黄色のテープを貼り巡らして、指紋や靴跡の採取・死体の検証・証拠品の確保を行うシーンが出てくる。それが現場における鑑識作業なのだが、その後はご存じの通り目撃情報や監視カメラの映像入手そして検死解剖などから死因と死亡時刻の推定し、そして犯人の手がかりとなる年齢・体重・身長・職業・特徴を証拠品などから推定し、犯人を特定しながら逮捕へとつながっていくのだ。つまりフォレンジック調査とはこうした鑑識作業の中で、被疑者が使っていたPCなどから不正行為を行った証拠や日時など特定をしていくことを指すのだ。 フォレンジック調査は正式には「デジタルフォレンジック」や「コンピューターフォレンジック」と呼ばれる技術だ、主にパソコンやサーバーなどに入っている電子データを収集・解析し、犯罪捜査や訴訟における原因究明や証拠集めなどの調査に使われる。フォレンジックでは電子機器のハードディスク内の保存データを解析するだけでなく、消去済みのデータやメールの復元を行い、外部記憶装置へのコピーやプリントアウトなどの履歴まで、可能な範囲で復元して調べられるというのだ。このためフォレンジックは防衛省や警察・国税庁や公正取引委員会など様々な捜査機関で使われている。企業における社内調査の需要も増えており、セキュリティー対策会社などが企業向けにフォレンジックサービスを提供しているというのだ。 フォレンジックの調査はまずはパソコンのハードディスクをコピーすることから始まる。調査員が誰もいなくなる真夜中のオフィスに入り、目的のパソコン内のデータをすべて抜き出しコピーするというのだ。このデータをセキュリティー会社のラボに持ち帰り保存ファイルや消去されたデータとメールやウェブ閲覧の履歴などを可能な限り復元しながら、証拠を集めるためデータ解析するのだというのだ。フォレンジック調査とはパソコンから完全消去ソフトで削除されたメールやファイルを復元できる「魔法の道具」なのかというと違うというのだ。徹底的に壊されたパソコンが残っていたがハードディスクそのものが破壊されてしまうと、さすがにフォレンジック調査はもうできないそうなのだ。 記録したデータ部の磁気情報を上書きされたら残留磁気などからの復元はできないが、完全削除してもフォレンジック調査からその内容を特定できるというのだ。「消去データやメールをどのように復元して、調査するのか、詳細は企業秘密」というのだが、大まかな流れとメカニズムの一部は次のような手段で行われるそうなのだ。フォレンジック調査では通常削除されたデータを、復元機能を使ってその内容を復元する作業がとても重要になる。証拠隠滅のために完全削除ソフトを使ってデータの本体を破壊していればその後の調査は難しくなる。つまり本当の意味での「完全削除」とはHDDやCPU・メモリなどの全ての部分でデータおよびその痕跡を完全にクリアしない限りほぼ不可能なのだ。 フォレンジックの調査ではサーバーとの組合せによる完全削除されたメール内容の復活や、インターネットの利用履歴・有料サイト等の使用頻度・持ち出された特許データにダウンロードした画像やファイル・暗号化したファイルなどのパスワード解析など、初心者が驚くほどの調査ができてしまうそうなのだ。断片化したファイルや機密文書のかけらだけでなく、画像ファイルの一部分だけを復活することもできるのだ。ほかにも手法や復元専用ツールが複数あり、さらにフォレンジックの技術も日々進化し解析手法は増え復元精度もより高まっているそうなのだ。もちろんフルオーダーメイドのフォレンジック調査費用は高く、PC1台に100万円前後かかるということのようなのだ。
2014年07月30日
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希少価値が出るとモノの値段は高騰してくるのだが、私の所属している建設業界でも賃金が上がれば職人も増えるし仕事の質も向上してくるのだ。長期的視野に立てず脱ダム宣言した元知事や建設業界を悪者呼ばわりしたマスコミも問題だし、政権を取る前の民主党などの影響が大きかったと思っているのだ。芋の建設業界は震災前まではマスコミ等にボロクソに言われまた賃下げの憂き目も我慢して業界に残り続けてみたものの、今や忙しすぎて今度こそ脱出したくなる業界ではないかと思ってしまうのだ。現在の人手不足は「働く人」が所得を増やす絶好のチャンスであり、なぜにこの状況で外国人労働者を増やして日本国民の賃金を抑制しなければならないのかさっぱり理解できないのだ。 建設業界でも必死に職人を定着させる努力をしてきたが、職人単価を以前の半分以下に落としてきた政府のやり方のせいで、転廃業するものが多く出た今の状況は当然の帰結なのだ。建設コストをあたりまえのように叩いてきた過去の状況こそが問題で、建設コストを叩こうとする側からはもちろん困るだろうが、職人の賃金はコストではなく当然の報酬であり権利なのだから当然払うべき義務なのだ。賃金を上げても有能な職人が集まらないことも問題で、素人がたくさん現場に来てもかえって困ってしまうし、工事の品質も悪化してしまうのだ。職人がいなくては建物等ができないのだから型枠大工だけの問題ではなく、鉄筋工・埋設配管する電気工・設備工にも職人不足の問題にもなっているのだ。 そしてゼネコンの所長や我々のような現場の技術職には、各職種の日程調整という大事な責任があって、職人は予定通り現場に入れないと他現場に行って戻ってこなくなるのだ。元請けや業界全体がこれを機に優秀な職人を育てる体制を築けばいいのだが、人口減の日本では10年後くらいには工事が再び減って安値受注が横行する構図が見えていることから、いま職人不足だからといって国内の人材育成に過剰投資できないことも問題なのだ。官僚たちは土木業や建設業をコミュニケーション能力が「相対的に」求められない、製造業のラインの作業員と混同しているように思えてならないのだ。製造業とは異なり全ての土木事業や建設事業はオーダーメイドであり「設計図」通りが絶対に正しいというわけではないのだ。 何しろ設計者が現場の地形等を「完璧に理解している」などということはあり得ず、現場の作業員は「自らの判断」で設計者とやり取りし、設計図を修正しつつ築土構木・建造物の建設を進めていかなければならないのだ。必然的に土木業や建設業の現場で働く方々は専門工にならざるを得ないし、現場のコミュニケーションと設計者との円滑なコミュニケーションが、事故を防止し安全な構造物や建物を造り上げるわけなのだ。我が国の建設業というのは元発注単価の切り下げが作業員の賃金低下に直結する構造的な問題で、今後建設業に新規参入者が増えるのであればアメリカのように建設作業員のユニオンを作り、ユニオンから作業員を派遣する形態に変更する良いチャンスだと思っているのだ。 職人数の減少はバブル崩壊以前から指摘されてきたことで、当時はバイト代が高騰し建設現場には殆ど学生が入ってこず、職人の中にも転職するものが多くいたのだ。当時から業界人たちは「このままでは将来建設業界や製造業界に入ってくる人間はいなくなる、今のうちに職人をドイツのマイスターのように社会から尊敬される様な制度を作るべきだ」、という考えをもっていたのだ。しかし政府や社会一般はそのような危機感を微塵ももっておらず、バブル崩壊後に職人数は半減しリーマンショックク後さらに決定的なダメージを受け、職人たちは業界から出て行かざるを得なくなったのだ。先ほど述べたマイスター制度のようなものを作り、職人を大事にする政策をいまからでも実行してほしいと思うものなのだ。
2014年07月29日
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私の住んでいる愛媛県では「行革に際限ない」ということで、「行革甲子園」などといってコストカットを行っているようなのだが、身内の自民党県議団からも「もう現場は限界なんじゃないか。これ以上コストを削る余地はあるのか」という質問が本会議で出たりしているのだ。理事者側はいくつかのエピソードをあげて「一言でコスト削減と言っても実際にやり切るのは難しいし、そもそも実現するには『心』が伴ってないと中途半端なもので終わります。自治体等も『自治体にも倒産はありえること』ショック療法になって、みんなが心を入れ替え涙ぐましい努力を重ねられる集団にならなくてはいけない。他の行政も私たちと同じように心を入れ替え、つましい姿勢でコスト削減に取り組めるかどうか」と返答したそうなのだ。 コスト縮減ということでは一度破綻し再生した日本航空の例が有名なのだが、その再建方法の記事を読んでみると、整備の現場で必要な備品も調達方法を見直し、例えば機械の油や汚れを拭き取るための布である「ウエス」においても、これまでは購買していたがそもそも「ウエス」は汚れを拭き取るものだからぼろ布などで良いということで、最近では世界中日本航空グループの社員が使った古い衣料品などを集めて「ウエス」して使っているそうなのだ。この「ウエス」1枚の値段は1円にも満たないがこうしたコストを抑えていけば、結果としては大きな実を結ぶといいった現場のアイデアを生かしたというのだ。私なんぞは室内乗務員の使った古い衣料品に当たればラッキーと思ってしまうくらいだろう。 ほかにも整備の現場で部品を運ぶ時にコンビニ袋を活用したり、乗務員たちが自分で機内食を持ち込みケータリング会社に支払う積み込みコストを削減したりと、いくつもの現場から上がってきたコスト対策が載せられていたのだが、どの話も非常に良いエピソードだし現場が努力している様子はとても伝わってきたのだ。例えばコストを抑えるために社員のスペースを削減しているそうなのだが、日本航空ではスタッフ1人当たりの保有面積を約3.7平方メートルと規定しており、本社のフロアを圧縮しデスクスペースは随分狭くなったというのだ。ほかにも「社長や役員も昔のように個室はありません。平場でみんなが机を並べて働いている」そうなのだが、こちらの方が役員同士の議論が活発になり組織の風通しが良くなったというのだ。 コスト削減の一環で始めた取り組みが結果としては良い風土を作ったとしているのだが、記事の編集後記によると記者の感想は、「売上高1兆円を超える企業のトップである。もちろん幹部同士で話し合うこともあるだろうが、最後は社長が経営判断を下さねばならないのだ。一人きりで思索にふける個室を用意しても、それは無駄遣いではないはずだ。室温が上がると空調の電気代がかさむから仕事中は控えめに息をしないといけないといった、コスト削減を美談や美徳と捉える流れは、いつか社員にこんな苦労を強いるようになるかもしれない。取材を通して、そんな妄想が膨らんだ」と書いてあったのだ。そして最後に「大切なのは涙ぐましい努力の先に何を実現しようとしているかということだろう」と結んであったのだ。 社員全員が危機意識を持ち実行しなければコスト削減はできないことは事実で、日本航空の社員たちが稲盛会長の指示のもと破綻から再建に至る道のりで、心を入れ替えたのも本当だからビジネス誌の記事になっているのだと思うのだが、コスト削減への取り組みを読む中である種の息苦しさを感じてしまったのだ。私も今年から6年ぶりに県職員の担当者と冷房のついていない会議室で話すことが多くなったのだが、彼らの話にこの記事と同じような息苦しさを感じてしまうのだ。県職員がコスト縮減の取り組みを「もう大変ですよ。でも本気でコストを削るならここまでやらなくちゃ」と。まるで尊い行いのように語ること対して、何もそこまでする必要があるのかとも思ってしまうのだ。
2014年07月28日
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今は8割の人が病院で亡くなるこのごろなのだが、病院を高齢者の急増と同じペースで増やすのは財政事情や人手の面で難しいのだ。このままでは人生の最期を穏やかに迎えられる「死に場所」が足りなくなる恐れが強いとされている。このため政府の社会保障国民会議が昨年夏に打ち出した方針では、迫り来る「超高齢・多死社会」に備える見直しがいくつも盛り込まれたというのだ。今の病院中心の医療体制では急増する高齢者を受け入れられないため、住み慣れた地域や在宅で支える仕組みへの転換が迫られており、政府がめざす高齢者医療の姿は「時々入院、ほぼ在宅」では、患者が自宅や施設で暮らすのを基本とし入院が必要でも極力短期間とする形だというのだ。 今は医療が発達しているということで患者が病気になると病院に駆け込み、面倒をみてもらう「病院完結型」が基本で、これを地元住人の健康状態を把握する「かかりつけ医」や看護師が患者を訪ねて診療する「地域完結型」に変えていくというのだ。そして老人医療というと65~74歳は「前期高齢者」で75歳以上は「後期高齢者」と分離していたのだが、「前期高齢者」や「後期高齢者」という名称は2008年度から使われている。高齢者医療制度で75歳以上をさす後期高齢者という名称は、これまで、「お年寄りへの差別を感じる」と批判が相次いでいたのだ。そこで甘利経済再生担当相から「『後期高齢者』という呼び名が悪い。高齢者の社会保障を変えていく」という言葉が出たのだ。 この「後期高齢者」という言葉は老後を楽しく過ごす人の気持ちを逆なでしかねないとされ、特に「後期高齢者」という呼び方に「冷たい」といった批判があったのだ。そこで甘利経済再生担当相は田村厚生労働相に相談して名称の変変更ということになったのだが、「厚労大臣は、『前期高齢者を若年高齢者』と発言された。それに呼応する言葉としては、『熟年高齢者』ですかねと」と甘利経済再生担当相述べたというのだ。後期高齢者を熟年高齢者にまた65歳から74歳までの前期高齢者を若年高齢者に変更してはどうかというのだ。この後期高齢者という名称に対して多くの批判が集まったおり、制度施行初日の閣議でも当時の福田康夫首相も「長寿医療制度」という通称を使うように指示したというのだ。 私はこんな言葉遊びより特別養護老人施設に入れない高齢者の問題だとか、介護職の高離職率の問題だとかやることたくさんあると思うのだが、政府や官僚はゆったりのんびり構えている人間が多い模様で、現場で働いたことがない人間に介護の現状がわかるわけがなく、机上の計算や資料だけでわかった気になっているのではないというところなのだ。この熟年という言葉の意味は広辞苑によると「人生の経験を積み、円熟した年ごろ。中高年に相当」といい、そして中高年というのは50代のこととされているのだ。高齢者医療制度における高齢者の定義は65歳以上なのだが、つまり熟年高齢者では50代なのか65歳以上なのかよくわからないということになってしまうのだ。 およそ2年後に熟年高齢者の年齢に達する麻生財務相は「そういう言葉の遊びは、あまり興味がない。わたしの感性には、そんなに響きません。熟年と言い換えたからといって、そうかねと」と述べたそうなのだが、平日の昼下がり華麗なワルツの調べにのせてステップを学ぶ高齢者の高齢者向けのお見合いパーティーで、新たな呼び方について聞いたところ80代のパーティー参加者は「熟年・若年やめてもらいたい。『高齢者』だけにしてほしい」と話し、「『後期』というのは、人間として扱われていない感じがするから、『熟年』の方がいいかなと思う」と話したというのだ。一番多かった回答は「なにか恩恵があるならいいけど、何もしてくれないなら、どっちでもいいです」ということだったそうなのだ。
2014年07月27日
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文部科学省が「学校施設の長寿命化の手引」というガイドブックをウェブサイトなどで公表したそうなのだが、老朽化した学校施設の学習環境を改善し長期間にわたって使い続けるための改修手法について一問一答形式でまとめているというのだ。自治体が学校施設の長寿命化改修を円滑に進めることを促す。文部科学省は、学校施設と公民館や福祉施設など他の公共施設との複合化について議論する「学校施設と他の公共施設との複合化検討部会」を立ち上げることを決めた。この8月に初会合を開く。メンバーは学校施設や公共施設計画の専門家を含む12人で構成し、2015年7月までの約1年で6回程度の会議を開き、最終的に報告書にまとめる。 この「学校施設と他の公共施設との複合化検討部会」部会では、学校施設の複合化を進めていく意義と効果や学校施設の複合化に関して余裕教室活用の促進策を図るだけでなく、複合化した学校施設では利用者や管理者が多様になることから、施設の運営・管理の留意事項などを検討課題として議論する予定だというのだ。学校施設が地域の中心としての施設という位置づけはとても重要なのだが、他の施設があるということは不特定多数の人が出入りするリスクが増えるということなのでセキュリティなど課題があるということも指摘されているのだ。あまりガチガチに規制しても複合化した意味がなくなるし、規制が緩いと子供たちを通わせる親としては心配するということで加減が難しそうなのだ。 今回新たに学校施設の複合化について検討会を設置することとなった背景には、大きく2つの動きがあったといわれており、1つは総務省が地方自治体に対して公共施設などの総合的かつ計画的な管理を推進するため「公共施設等総合管理計画」の策定に取り組むよう要請したことのようなのだ。総務省はその中で自治体の今後30年程度にわたる人口予測や、現在の公共施設における老朽化の程度や利用状況、今後の維持管理・更新にかかる中長期的な費用などを把握することを求めている。さらにそのデータをもとに10年以上にわたる長期的な視点で学校施設をはじめ公共施設の更新・統廃合・長寿命化などを含めた公共施設の管理に関する基本的な方針を定めるよう促しているのだ。 もう1つは昨年に「第2期教育振興基本計画」が閣議決定されたことで、政府は教育行政の基本的方向性として学習を通じて多様な人が集い協働するための体制・ネットワークの形成や環境整備などを掲げている。つまり学校施設が子どもたちの学びを地域社会全体で支援する場であると共に、地域コミュニティーの拠点としての役割も果たすことが求められるということだ。こうした状況を踏まえ文部科学省では公共施設の再編を進めるうえで、学校を地域の中核と位置付け他の施設との複合化を進めていく方針のようなのだ。検討部会のメンバーには学校の建築計画に詳しい大学教授や、学校と保育所・老人デイサービスセンターなどの複合化に取り組んだ教育者等が名を連ねているそうなのだ。 この検討部会では実際に複合化した学校へのアンケート調査も実施して現場の声を議論に反映していく考えなのだが、このことはとにかく何でも国が決めて国が推進してそれを「下部組織」化している地方が実施するという構造をなくす方針で、公共施設の統廃合に取り組む事のあらわれのようなのだ。私もまちづくり等の会には参加しているので、地方にお金を配れば地方の問題を地方で解決するはずだと考えており、それくらいのあるいは霞が関が思っている以上のアイデアは地方にはあると思っているのだ。「琵琶湖のことは滋賀県が考える」いった前滋賀県知事の言葉を敷衍させて、地方のことは地方が考えるべきで、学校だっておなじでミニ東京というか霞が関が考える地方はいらないということなのだ。
2014年07月26日
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ベネッセホールディングスにおける情報漏洩は、最大2070万件というように流出した情報の多さから業界関係者や消費者に大きな衝撃をもたらしているそうなのだ。個人情報保護法の成立以降は住民基本台帳に頼った情報収集が難しくなったことから、ベネッセホールディングスのようにオフラインで独自に作成した名簿に対するニーズは高まっているというのだ。ある専門家は「ベネッセが流出した名簿は網羅性と正確性が高く、価値は100億円単位だ」と推定しているそうなのだが、価値が高ければそれだけ狙われやすくなるというのだ。顧客情報が抜き出されたのはベネッセホールディングスからデータベースの保守管理を委託されたグループ会社が業務を再委託した先の企業だというのだ。 そこに派遣されていたシステムエンジニアが情報を取り出し、転売目的で名簿会社に持ち込んだとされているのだ。この構図を俯瞰していくと専門家は情報漏洩が相次ぐ理由が見えてくるというのだ。最近の個人情報の流出事件ではホームページのIDやパスワードなど、インターネットで収集・管理されていた情報の流出が問題となっていたのだが、実はこうしたオンライン上で登録された情報には偽名や不正確な情報が多く含まれており、個人情報の「質」は必ずしも高くないとのことだった。一方でベネッセホールディングスから漏洩した情報のようにオフラインのイベントなど主に対面で収集されたものは、オンラインで集められた情報よりも正確なことから100億円単位という高額な価値があるというのだ。 日本を含め多くの国ではオンラインでもオフラインでも不正に入手したと知りながら個人情報を売買するのは違法なのだが、個人情報の活用に関する規制はオフラインの方がオンラインよりも遅れているというのだ。例えばオンラインでは迷惑メールを防止するための特定電子メール法が改正されて、相手の合意を得ずにダイレクトメールを電子メールで送ることが禁じられているのだが、オフラインでは名簿に掲載されている住所に一方的に紙のダイレクトメールを送りつけることができるというのだ。今回の問題を受けて紙のダイレクトメールについても同意を得ずに送ることを制限するなど規制を強化すべきだとの意見が専門家から出ているが、名簿の利用が制限されれば事業が立ち行かなくなる名簿業者が出るというのだ。 今回の事件で過去最大規模の個人情報を流出させてしまったものの、ベネッセホールディングスの情報管理体制について、「他社と比べても、しっかりやっているという印象」と評価する専門家は多かったというのだ。ある専門家は「情報管理が進んでいると思われていたベネッセホールディングスで問題が発生したことを受け、企業内で情報を管理する部署は一斉に改めてチェックすべき点を抜き出している」と内情を話しているのだ。企業は保有している情報が狙われる中でどうすれば盗まれるリスクをさらに低下させることができるのかということなのだが、 専門家が揃って有効な手段だと指摘するのは「ログと呼ばれる動作記録のチェック」だというのだが、普段からログをチェックしていない企業は珍しくないというのだ。 社外にデータ管理などの業務を委託すれば情報が流出するリスクはそれだけ高くなるが、コストなどを考えれば外部への委託は避けられないというのだ。今回の情報流失でもデータベースの管理を委託された企業に派遣されていたシステムエンジニアが情報を持ち出したと容疑を認めており、容疑者は動機について「金が欲しかった」と供述している。データのバックアップやデータベースの管理については委託先に強い権限を与えざるを得ないが、こうした業務を委託する際はデータの暗号化を進める一方で、管理を委託した企業と別の組織にログなどの監視をさせることが求められるそうなのだ。それでもどの専門家も「どんなに体制を整えても情報漏洩を100%防ぐのは不可能」と指摘しているのだ。
2014年07月25日
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先日説明会があって参加してきたのだが、土木構造物の維持管理・経年劣化・耐久性等を主とするインフラの維持管理に関する資格制度を検討している国土交通省の「社会資本メンテナンス戦略小委員会」は、国や地方公共団体が行うインフラの維持管理に関して登録する民間資格の基準案などを創っているそうなのだ。この点検技術者等の資格は更新制度のある資格を対象とし、橋梁やトンネル・砂防施設といった分野別に登録するそうなのだ。検討している資格の対象は「道路・・河川・砂防・海岸・下水道・港湾・空港・公園」の8分野とするようで、道路と公園については点検と診断でそれぞれ別個に民間資格を登録し、港湾と空港は設計に関する資格も対象とするというのだ。 この制度の中でいう「一級構造物診断士」は、技術士・コンクリート診断士・土木鋼構造診断士・コンクリート構造診断士あるいは一級建築士の有資格者を対象とし、土木構造物の維持管理・、経年劣化・耐久性等に関する点検や調査に診断および診断結果に基づく補修・補強・改修等の計画・設計・施工計画・施工および施工管理を実施・指導する総合的技術を有する実務経験者に付与するとしているみたいなのだ。また「二級構造物診断士」は、維持管理計画に基づき土木構造物の経年劣化や耐久性等に関する点検・調査業務を実施し、事後の診断・補修・補強・改修等の計画・設計等に必要な情報を示せる技術をする実務経験者に付与するそうなのだ。 これらの点検技術者は「独立法人土木研究所」と共同で著述した「非破壊試験を用いた土木コンクリート構造物の健全度診断マニュアル」に基づく調査診断技術を修得する必要があり、「社会資本メンテナンス戦略小委員会」のワーキンググループが点検や診断に要する知識や技術のレベルを分野ごとに明確にしたというのだ。国土交通省によると今後パブリックコメントを実施し登録する民間資格を公募する予定のようなのだ。国土交通省では点検・診断などに関する民間資格は、道路や河川といった「分野別型」とコンクリートや鋼などの「材料別型」と、特定の点検機器の操作技術など「特定技術型」の三つに分類できるというのだが、これまでは点検・診断業務などの維持管理に特化した既存の資格は存在しなかったというのだ。 国土交通省の「社会資本メンテナンス戦略小委員会」が検討している資格制度は、業務発注時の資格要件として活用することから、使い勝手が良いように発注業務単位に合わせて登録するつもりのようなのだ。そのため分野別型の資格が登録対象となり特定技術型は外れる見通しのようなのだ。コンクリート診断士のような材料別型については発注業務全体をある程度カバーできるかどうかがポイントとなるもこみで、材料別型を対象とするかどうかは「今の時点では判断していない」というのだ。国等が求める技術水準を民間資格が満たしているかどうかを評価して、水準を満たす民間資格を登録したうえで早ければ来年度から点検・診断業務を発注する際の資格要件として活用するつもりのようなのだ。 登録する「一級構造物診断士」や「二級構造物診断士」といった資格には、技術の進歩に合わせて更新制度があることを求めており、講習の受講や継続教育の単位取得などを更新の要件としている資格を対象とするそうなのだ。不良・不適格な資格取得者に対し資格を剥奪するなどの措置を講じているみたいだ。また地方における資格の登録者数を考慮して、民間資格単体で維持管理の発注要件資格を満足しないなら、複数の資格を組み合わせて維持管理に対応する方策も考えられるとしており、鋼・コンクリート複合橋の点検・診断業務ではコンクリート診断士と土木鋼構造診断士の組み合わせとかで対応するといった、民間資格複数組み合わせによる対応も考えているようなのだ。
2014年07月24日
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とびや大工など高い技能を持つベテランの職人が建築現場から消え、品質低下や工期遅れが危ぶまれている建設業界なのだが、大震災の復興後を見据えた若手の採用や育成が急務とされているのだ。そればかりか五輪開催都市を決めるIOC総会が開かれた日に、ある大手建設会社の部長は開催地決定を別の意味で注目していたそうで、「現状でも、これまでにない職人の労賃高騰がものづくりの現場を直撃している。これでオリンピック開催が決まれば果たして増大する工事量をこなせる能力があるのか」ということだったのだ。職人不足の深刻化によって建設コストが上昇し建設工事が前に進まない事態が続出しており、実は東日本大震災の前から職人不足は顕在化していたというのだ。 建設業界の関係者がこう心配するほど職人不足と労務費高騰は著しいのだが、なぜ職人不足はこれほどまでに深刻化したのかというのは、東日本大震災からの復興などで工事量が増えたことも理由の1つだがそれだけではないのだ。実は大震災前から東北地方で職人不足が顕在化していたそうで、職人不足が顕在化した矢先に東日本大震災が起こったというのだ。震災復旧で被災地の職人不足が一気に深刻化したわけなのだが、宮城県建設業協会の伊藤博英専務理事は「ガレキ処理に大量の職人が流れたことで、建築や土木の復旧を担う職人が足りなくなった」と話しているのだ。復興需要が本格的に始まると消費増税前の住宅の駆け込み需要などもあり建設投資は急増したというのだ。 国土交通省の統計では昨年度の建設投資は前年度比10.2%増の48兆7千億円で、リーマンショックがあった年度をやっと上回ったというのだ。しかも今年6月に発表した今年度の建設投資見通しは48兆5千億円で、消費税増税で景気の下支えをするといいながら4年ぶりに減少しているのだ。もっとも減少は前年度比0.5%の減少にとどまっており、こうして全国的な職人不足は深刻化し需給バランスが崩れて労務費が急上昇したのだ。この状況に対して清水建設建築事業本部企画部の加藤雅裕部長は、「資材価格の乱高下はこれまでも経験したがこれだけ労務費が上がるのは業界始まって以来ではないか。全く先が見えない状態だ」とのような見方を示している。 少し前まではゼネコンの担当者も「困ったなぁ、はやく元に戻らないかなぁ」などと危機感がなく他人事のようで、そのうち安く仕事してくれる職人が大量に出てくると考えている様に私には見えていたのだ。今でも元請けの建設会社は「足りないなら辞めた職人を連れ戻せばいい」と考えがちなのだが、仙台市の工事で型枠大工が不足したのは退職や転職をした型枠大工が戻ってこなかったからなのだ。業界の担当者は「当然声を掛けたが、『安い給料だけど転職して定職に就いているから』と断られた」と話しており、仕事があるとはいえ職人を社員として抱える専門工事会社もこの需要がいつまで続くか分からないことから、すぐに人手を増やすわけにはいかないのが実態なのだ。 社会保険未加入問題で座長を務めていたある大学の先生が、講演で賃金下落の一番大きな原因の一つは「事務機や什器が1万で買えだした事」といっていたのだ。実際に公共工事の調達で「什器が1万以下なのだから内装なら1万5千円でも高い」と言われたそうなのだ。私の事務所は比較的裕福だったこともあってそうでもなかったのだが、若い衆は苦労する割に他業種と比較して条件が良くない事から、既婚者以外長続きせず長くても2年ほどで辞めてしまうということを聞いたことがあるのだ。今の労務費と人員でも利益を出し工期遅れも最小限にとどめる業務システムの構築も急務なのだが、賃金が上がれば職人も増えるし仕事の質も向上することも考えてもらいたいものなのだ。
2014年07月23日
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私も年度末のモーレツに忙しい時は職場で恐ろしい睡魔に襲われたときがあるのだが、仕事でパソコンに向かっているときなどに「寝てはいけない」と分かっているのに眠気が襲ってくることは数多く経験しているのだ。その時はどう対処しているだろうかということを男女500名に「眠気覚ましで効果がある方法」について教えてもらったという記事が雑誌に載っていたのだ。私の場合は若い衆に声をかけたり上司と話したりしているのだが、自分の意見を言う事で脳が活性化されるということから眠くなったら大した用事も無いのに話しかけてみるのも有効だそうなのだ。前日きちんと寝たはずなのに眠くなってしまうと、それではどんなに仕事へのモチベーションが高くてもなかなか進まないのだ。 そこで今回は仕事中に眠気がやってきたときの対処方法ということになるのだが、「眠気は仕事の大敵」ということで、雑誌に記事によると眠気覚ましで最も効果があるものについて質問したところ、1位は「コーヒーを飲む」が選ばれたそうなのだ。カフェインが有効なのとブラックコーヒーの苦みで目が覚めるという意見が集まったそうなのだ。その中には「即効性があると思う」という声も数多くあって、カフェインを摂るときはコーヒーがおすすめだということなのだ。コーヒーに含まれるカフェインは脳に直接作用するため覚醒しやすくなるそうです。ただ時間差でカフェインが効き始め効果が出るのに30分ほどかかるそうで、昼休みに少し昼寝をしたいと思っている人は寝る前にカフェインを飲むと目覚めがすっきりするそうなのだ。 2位は「歩き回る」ということのようで、強制的に身体を動かすことで目を覚まさせるという作戦といったところのようなのだ。仕事中に眠くなってしまうのは身体が動かない状態が続いてしまうからなのだが、そこで少し眠いなと思ったら身体を動かすことが有効てきだというのだ。会社内を一周してみたり外の新鮮な空気を吸ったり、トイレに立つという人も多く冷たい水で手を洗ったりラジオ体操やストレッチをしたりするという意見もあったそうなのだ。身体を伸ばすことで眠気を覚ますことができ、腕を上げて伸びをしたり立ち上がって前屈したりするだけでもかなり目がはっきりしてくるというのだ。強い光には眠気を覚ます効果があることから、外で直射日光を浴びれば一気に眠気が減ってくるそうなのだ。 3位は「ガム・タブレットなどを噛む」ということのようで、噛むという行為で目も覚めるしミントやメンソールなどの刺激成分で気分もシャキッとするというのだ。メンソールやキシリトールは眠気に効果があって、メンソールは脳の中枢神経に働きかけキシリトールはその清涼感により眠気覚ましによく効くというのだ。そのためメンソールとキシリトールの両方が入ったガムを咬むことはおすすめなのだが、ただ公務員のように「仕事中にガムは噛めない」という意見もチラホラ見られこの手段がとれない人もいるようだ。4位は「栄養ドリンクを飲む」でカフェインが配合されているので眠気に即効性がある栄養ドリンク常飲者からの支持が固かったそうなのだが、こちらもガムと同様に「眠気対策」をうたった商品がたくさんあるそうなのだ。 5位は思い切った作戦のようなのだが医学的には一番有効な方法で、「トイレで少し寝る」・「睡眠に勝る眠気覚ましはない」・「眠いときは寝たほうが良い」と仕事の能率アップのために潔く仮眠を取る方法を選んでいたそうなのだ。医師の話でも「5分ウトウトするだけでも効果がある」とのことのようだ。日本では会社や学校での居眠りを良いことと思う人はまだ少数派なのだが、本当にできるビジネスパーソンはうまく昼寝時間をとっているそうなのだ。人生を楽しむ人が多い南ヨーロッパや熱帯地方では「シエスタ」という昼寝を習慣にしている人がたくさんいるそうなのだ。ただ私も経験があるのだが「徹夜明けは本気で寝てしまう」とか、「寝すぎると他の人の迷惑になる」といった声もあるので注意したいものなのだ。
2014年07月22日
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私の住んでいる愛媛県も平年より少し遅れて梅雨明けし、学校の方も終業式を終えていよいよ夏休みといったところなのだが、国会は秋の臨時国会まで事実上の政治休戦を迎えた。これを受け公費による衆参両院議員の海外視察が本格化し、8月末までに与野党の120人余りが渡航する見通しだ。野党は集団的自衛権をめぐる審議が不十分だとして予算委員会の閉会中審査を求めているが、与党は応じない構え。国会議員にとって長くて楽しい「夏休み」期間となりそうだ。現役閣僚も公費での全国行脚ということになっているのだが、下村博文文部科学相は福島県福島市の福島県立医科大で、「嘘で固められている」と批判されている甲状腺エコー検査等を視察したそうなのだ。 その後下村博文文部科学相は地元の中学・高校生を前に講演し「困難に負けず、夢や志を持ってほしい。国はチャンスを最大限提供する」と震災復興の将来の担い手を励まし、風評被害対策や奨学金制度の拡充に取り組む姿勢も強調したそうなのだ。質疑で女子中学生から「福島で自然エネルギーをもっと有効活用できないか」と提案され、下村博文文部科学相は「技術革新をどう創出するかが大事。ここにいる人たちに勉強してほしい」と応じたというのだ。避暑というわけではないだろうが「第28回札幌航空ページェント」で展示される米軍の新型輸送機「MV22オスプレイ」が問題となっている北海道でも、田村憲久厚生労働相は北海道平取町で地元経営者らとの対話を行いなったそうなのだ。 田村憲久厚生労働相は手間味噌ということなのか、景気回復で人手不足感が広がっている現状を「正規雇用の拡大につなげるチャンス」として、若者が安定した職に定着できるよう在学中や就職活動中の雇用対策を社会全体で推進することなどを盛り込んだ若者の雇用を支援するための法案を、来年の通常国会に提出する考えを明らかにしたそうなのだ。地元へのお国入りではないが安倍晋三首相も視察先の福岡市で九州電力の貫正義会長らと会食した際、鹿児島県の九州電力川内原発1・2号機の再稼働に前向きな意向を示したというのだ。安倍首相は出席者からの早期再稼働要望に対し「何とかする。しっかりやっていく」と語ったと関係者が明らかにしたそうなのだ。 安倍政権は「原子力規制委員会」の新たな基準を満たせば、原発の再稼働を積極的に進める方針だとされているのだが、再稼働の判断自体は地元自治体と事業者に委ねているとの立場だったのだ。その安倍首相の発言は再稼働への積極姿勢を示したといえるのだが、酒席言うべきことだはないと避難が上がっているのだ。また人口減少の克服や地域経済活性化に取り組む「地方創生」関連の法案を秋の臨時国会に提出すると明言したそうで、「この秋の臨時国会に地方創生に関連する第1弾の法案を提出し、スピード感を持って地域支援に全力を挙げていく」と述べたそうなのだ。衆参両院事務局によると通常国会閉会以降に海外派遣には衆院96人と参院31人の計127人が参加を予定しているそうなのだ。 主な日程では衆院憲法審査会のメンバー七人が7月に国民投票制度の調査のためスペインなど三カ国を訪問する予定で、衆院予算委も「経済、財政、政治情勢調査」の名目でベトナムなど五カ国・地域を回る予定だそうなのだ。国会議員団の海外視察は長いものでは1週間を超える欧洲ツアーなどもあり、合計で100億円を超える税金が使われることになるということのようなのだ。自民党国対幹部は「長い日程を一緒に過ごして人間関係を構築し、国会審議を円滑に進める野党対策の側面もある」と効用を説いているし、自民党関係者は「政局が安定していると日程が組みやすい」と説明している。私も海外視察そのものは悪くないと思っているのだが誰がどこへ行ってどういう成果を上げたかを公表してもらいたいのだ。
2014年07月21日
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一般社団法人日本経済団体連合会の榊原定征会長は原発の再稼働について、「安全が確認された原発は、速やかに再稼働すべきだ。国民全体の願いでもある」と述べたというのだ。榊原会長は以前にも「原発を早期に再稼働させることを、新たなエネルギー基本計画に明確に反映してほしい。原発の再稼働が停滞すると電気料金の値上げ幅が倍以上になる可能性があって、これは経済成長を阻害する大きな要因となるため、早期再稼働は産業界にとっても国民生活にとっても極めて重要」と発言しているのだ。そこで九州電力が再稼働を目指している鹿児島県の川内原発1・2号機が過酷事故や地震・津波への対策を強化した新たな規制基準に初めて適合した原発となることが重要となっているのだ。 それでも「原発再稼働反対」の声は収まっていなくて、電力9社の株主総会で株主が提出した「脱原発」議案への賛否が問われたそうなのだ。「脱原発議案」は市民団体や自治体などが提出したのだが全国の9電力すべての総会に提案されたのは初めてなのだ。各電力とも原発再稼働を支持する金融機関などが多くの株を持っており、議案は否決されたのだが脱原発から各電力会社側の支援まで対応は大きく分かれ、自治体の姿勢からは市民の「脱原発」という声の受け止め方の違いが見えたというのだ。再稼働に向けて特に懸念されるのは誰が最終的に安全と判断し責任を負うのかが不透明なことで、世論調査でも「安全が確認された原発の再稼働について」の反対が55・2%に上っているのだ。 それでも安倍晋三首相は視察に訪れた福岡市博多区の料亭で貫正義九州電力会長ら九州の財界人と会食した席で、出席者から鹿児島県の川内原発1・2号機の早期再稼働を要請されると、安倍首相は「川内はなんとかしますよ」と応じたといい、再稼働に前向きな安倍政権の姿勢をより鮮明にしたというのだ。安倍首相は料亭で約2時間も貫正義九州電力会長ら貫会長らと会食したというのだが、その席には麻生太郎副総理兼財務相の弟の麻生泰九州経済連合会会長や、石原進JR九州相談役らが同席したというのだ。九州経済連合会というのは九州と山口の企業が加盟する経済団体で、会食後に石原JR九州相談役が安倍首相とのやりとりを記者団に明らかにしたというのだ。 九州経済連合会は九州でも懸念される今夏の電力不足を解消するため、原発の運転再開を求める緊急アピールを発表しており、「九州の企業活動のみならず住民の生活にも大きな影響を与える恐れがある」として、鹿児島県の川内原発1・2号機の再稼働を要請しているのだ。 鹿児島県の川内原発1・2号機をめぐっては、原子力規制委員会が安全対策の新規制基準を満たすとする審査書案を公表し再稼働が確実になったばかりなのだが、九州では麻生副総理の実家が経営する麻生グループが、福岡を中心に幅広い事業を展開しているし、山口と言えば安倍首相とその親族が日本政府と自民党政権を牛耳って来た一家の地元で、そのようなことから安倍首相は九州の経済界とのつながりがとても強いのだ。 これまでも安倍自民党が政権奪還をしてから、原発の再稼動第一号は九州電力の原発になる可能性が大きいと言われて来た。その大きな理由の一つには経済産業省が玄海原発を再稼動することに決めて準備を進めていたのに、当時の菅元首相が安全性に問題があるとして抵抗したためそれが実現できなかったからだと言われているのだ、原子力規制委員会が基準クリアを認めたからと言って決して「安全だ」と言えるわけではないし、実際、規制委員会の田中委員長は「安全だとは私は言わない」と明言しており、原発事故時の周辺住民の避難に関してもきちんと決まっていないというのだ。酒席で国民的焦点の原発稼働を要請する業者に確約を与える安倍首相というのは奢り以外の何ものでもないのだ。
2014年07月20日
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建設業における労災の発生は死亡事故等の重大な案件は減少しているのだが、東日本大震災の復興工事が進む岩手県の沿岸部では、今年に入ってからも重大建設現場での災害が頻発しているそうなのだ。岩手県の沿岸部にある労働安全基準監督署の3署の管内では、1月から6月までの半年間で建設関連の死亡事故が5件発生しているそうなのだ。このうち宮古署管内では5月に宮古湾の海底土質調査のやぐらが倒壊して男性作業員が溺死するなど、半年間に3件の建設関連の死亡事故が発生したことから、6月には宮古署初の「死亡労働災害多発非常事態宣言」を発令したというのだ。しかも岩手県沿岸部の建設現場の約8割で墜落防止措置違反など労働安全衛生法違反があったというのだ。 それだけではなく東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県・宮城県・福島県で、厚生労働省が昨年の12月に建設現場を一斉に監督指導した結果、54.5%の現場に労働安全衛生法違反が見つかったそうなのだ。これも東日本大震災で津波被害を受けた沿岸部の建設現場では復興工事に伴って、労働災害が増加したことによるものなのだが、直接の建設工事現場ではないが建設会社が実施している福島県内で除染作業においても、厚生労働省が昨年の1月に福島県内で除染作業箇所を調査したところ、事業者の約45%が現場の安全衛生などで法令に違反していたと発表しているのだ。違反事項で特に多かったのは除染する場所の放射能濃度などの事前調査だったそうなのだ。 このようなこともあって岩手労働局では建設現場での労災防止を最重点課題に位置付け、沿岸部にある宮古・釜石・大船渡の各労働基準監督署管内の建設現場に立ち入り、調査と監督指導を実施しその結果を公表したそうなのだ。対象となった宮古・釜石・大船渡の沿岸3署の建設現場289カ所のうち79%に当たる228カ所で安衛法違反があり、このうち57カ所に対して指導より重い処置である危険な箇所への立ち入り禁止や、危険な作業の停止といった「使用停止等命令」を行ったというのだ。主な違反では建設現場での事故で一番多いとされる転落事故防止に必要な足場における、高さ2m以上の作業場所に手すりなど墜落防止措置を講じていない現場が154カ所もあったそうなのだ。 他にも下請けが法令に違反しないように指導するなど、元請けが講ずべき措置を取っていない現場が108カ所もあり、車両系建設機械や移動式クレーンの運転中に労働者が接触しないように立ち入り禁止措置や誘導者の配置などを怠っていた現場が55カ所あったというのだ。特に悪質だったのは作業員に対する健康診断をしないケースだったというのだ。厚生労働省が公表した「労災隠しの送検件数」の調査結果でも、送検件数は過去10年間で最多の140件に上っているそうなのだが、その中でも建設業の送検件数は82件で全体の約6割を占めたというのだ。そこで労働基準監督署では年末まで非常事態の態勢を維持し、職員による建設現場へのパトロールなどを強化していく考えだという。 このように建設現場での事故の多発について岩手労働局では、「建設業における技術者や技能労働者の不足だけでなく、現場代理人による複数の現場の掛け持ちなどが背景にある」とみて、引き続き工事が増え続けている沿岸部の建設現場への監督指導に、力を入れていく構えだというのだ。そればかりではなく「建設業労働災害防止協会」など県内14団体に対して、「機械設備などの安全確保と点検の確実な実施」や「安全管理の観点に立った作業計画の作成と労働者への周知・徹底・労働者相互間の連絡体制の確立」務めるように勧告を行い、作業方法と安全確認の徹底や労働者への安全衛生教育の充実を求めているが、事故の最大の原因である過重な労働条件の改善しか方法がないということのようなのだ。
2014年07月19日
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国土交通省は2050年を見据えた国土づくりの理念を示した「国土のグランドデザイン2050」を発表したのだが、今後の人口減対策として都市が連携する「高次地方都市連合」を構築し、60~70カ所の都市圏を維持する戦略を盛り込んだというのだ。山間部などでは5000カ所ほどの「小さな拠点」に日常生活を支える機能を集約し地域の持続と成長を目指すというのだ。このような指針を作ったのも総務省の国勢調査などによると、全国の人口は5年前の年時点で1億2806万人だったのだが、2008年をピークに減少しつづけ2050年には9708万人に落ち込むと推計されているのだ。国土交通省の推計でも2050年になると現時点で人が住んでいる地域の6割で人口が半分以下に減り約2割で居住者がいなくなるというのだ。 百貨店や救命救急センターなど高度なサービス施設が立地しやすいとされている30万人以上の都市圏なのだが、首都圏と中京圏・近畿圏の3大都市圏を除き、6年前の時点で全国に61カ所あったそうなのだ。ところが人口の減少によって2050年には三大都市圏を除き43カ所へと約3割減少する見込みなのだ。国土交通省では人口10万人以上の市を中心市とした圏域で、一般道を通って自動車で60分以内の範囲を「都市圏」としている。都市圏の人口が30万人を割り込むと百貨店や大学に救急救命センターなどの高度な都市機能の維持が難しくなるとしているのだ。ここでも地方都市単体では企業の撤退などが進み買い物や医療など多様なサービスの提供が難しくなるというのだ。 こうした都市圏の人口減少に対し国土交通省は隣接する地方都市が高速道路などのネットワークを活用して連携し30万人規模の人口を確保することを提案しており、県境を越えた地方都市連合をつくるよう促し、都市圏内で各種サービスを利用できるようにして住民の生活レベルの維持につなげるとしているのだ。つまり地方都市同士の連携に当たっては都道府県境など従来の行政エリアに固執せず、生活実態に合わせたエリアとすることが重要だとしているのだ。例えば鳥取県の米子市と島根県の松江市を高速道路で連携させることで、多様性を持った地域が相互に連携して推定人口37万人の都市圏が形成され、高度な都市機能を維持できるとみているのだ。 国土交通省ではこうした地方都市連合を組むことで人口30万人以上の都市圏を全国に60~70カ所維持できると考えており、都市においては都市機能と居住機能を中心部に誘導して再整備を進めるとともに、公共交通ネットワークの再構築を図ってコンパクトシティの形成を推進するというのだ。さらに複数の地方都市がネットワークを活用して一定規模の人口を確保し、都市機能を分担する「高次地方都市連合」を構築するなどとしているのだ。そして大都市圏域は国際経済戦略都市へと発展させ、地方圏域はコンパクトシティ・高次地方都市連合などから形成される活力ある集落へ変化させていくといった、新しい国土形成計画の全国計画を数年以内に制定するとしているのだ。 山間部など集落が散在する地域の人口減少に対しては、山間地域でも商店や診療所など日常生活に欠かせない施設を歩ける範囲に集め、周辺の集落の日常生活を支える小さな拠点である「小さな拠点」を全国で5000カ所程度つくる予定だそうなのだ。この「小さな拠点」と周辺地域を道路などでつなぎ、周辺の集落とはコミュニティーバスや情報通信ネットワークでつないで集落の消滅を防ぐとしている。さらに「道の駅」などを設けることで地域の雇用創出にもつながるとしており、情報通信技術を活用した遠隔医療や遠隔教育だけでなく、小型無人ヘリコプターを活用した宅配システムなど地域の実情に合った技術を取り入れれば、新たなビジネスモデルを創造する場に発展すると期待しているようなのだ。
2014年07月18日
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鹿児島県にある九州電力の川内原発が再稼働の前提となる安全審査に事実上合格したということなのだ。川内原発1・2号機はこれまで優先的に安全審査が進められ、その結果「原子力規制委員会」は新しい規制基準に照らして、事実上の合格証となる審査書案を了承したというのだ。「原子力規制委員会」の審査書案は約420ページにわたるもので、九州電力が示した地震や津波の想定・事故対策などを個別に検討し作成され、「新規制基準に適合している」とする審査書案を定例会で了承したのだ。今後30日間の意見公募などを経て審査書を決定されると、川内1・2号機は東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ安全対策を強化した新規制基準をクリアする初の原発となるというのだ。 安全審査合格は原発を再び稼働しても問題ないと判断されたゼロリスクと誤解されるが、クリアしたのは設備面でのハード対策に過ぎないのだ。このことは「原子力規制委員会」も「過酷事故対策や自然災害への対応を検討してきた。十分というつもりはないが、私たちが考えられることは慎重にきちっと評価してきた。基準に適合しているかどうかを審査するだけで、稼働させるかどうかには関与しない」との姿勢を崩していないのだ。原発事故が起きた場合の避難体制は審査でも「審査の中では評価していない。自治体が、住民が安心できる防災避難計画を作ってほしい。防災対策を作ることは規制庁の範囲外」といって、事故が起こったときの住民避難に関してはノーチェックだというのだ。 私の住んでいる愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機を含め、現在は12原発19基が規制委の安全審査を受けているのだが、事実上の「合格」第1号が出たことについて「原子力規制委員会」の田中俊一委員長は、「新しい規制基準は相当厳しい。長い時間をかけて議論して納得いく審査書案がまとまり、一定程度安全性が高まったと思う。基準への適合は審査したが安全だとは私は言わない。これがゴールではないので努力していく必要がある」と述べたというのだ。原子炉等規制法で定められた原子力委員会と経済産業相への意見聴取の手続きにも入り、これらを反映した審査書を完成させると川内原発は新しい基準に適合する初めての原発となり再稼働は秋以降になる見通しとなるようなのだ。 九州電力は「今後とも委員会の審査に真摯かつ丁寧に対応するとともに、更なる安全性・信頼性向上への取り組みを自主的かつ継続的に進め、原発の安全確保に万全を期したい」とのコメントを発表したというのだ。これに対し原発を抱える町は複雑な反応を見せており、鹿児島県薩摩川内市からは「一長一短ある。両方正解なのか、両方不正解なのか、わからない」といった声が聞かれたそうなのだ。福島第1原発が立地する福島県大熊・双葉両町の町民は「事故は起きるという前提で再稼働を考えてほしい。新たな安全神話が生まれると、震災前と同様、住民の安全対策が議論しにくくなる」として「新たな安全神話」が生まれることへの不安を口にしていたそうなのだ。 原発立地自治体の住民からは「東京電力福島原発の事故がまったく教訓になっていない」と怒りの声も上がっていることもあって、政府も今のとことは「稼働させる政治判断はしない」との立場をとっている。「原子力規制委員会」は「国が自治体の業務に口を出すことは立場上できない」と繰り返すが、原子力行政に詳しい九州大教授は「規模の小さい自治体が独自に対処できる問題ではなく、規制に組み込む法改正が必要だ」と指摘しているのだ。実質的に再稼働の判断は電力会社と立地自治体に委ねられ、国策でもある原発が国の責任があいまいなまま稼働する可能性もあるというのだ。福島第一原発事故の最大の教訓の一つである防災対策を「置き去り」にしたままの再稼働は住民の理解を得られないのだ。
2014年07月17日
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日本列島を縦断して全国に大雨を降らしたのは今年の台風8号だったのだが、土木の技術屋である私もビックリするニュースが滋賀県で起こっていたのだ。昨年の台風18号の豪雨で崩落した滋賀県大津市内の山間部の市道で、通り掛かったオートバイの男性が転落死した事故を巡り、滋賀県警大津警察署は市道の維持管理担当だった29歳の市職員を業務上過失致死の疑いで書類送検したというのだ。滋賀県警大津警察署によるとその当時に大津市の相模川で「男性とバイクが転落している」と通報があり、現場で相模川に倒れている男性を発見した。市道は台風18号の大雨の影響で片側半分程度が崩落しており、男性は病院で死亡が確認されたことから、滋賀県警大津警察署は事故との関連についても調べていたそうなのだ。 この事故現場は大津市膳所平尾町を通る幅員2.3mの市道で、付近を相模川が流れている箇所なのだが、昨年の9月に来襲した台風18号による豪雨の被害が大津市内に広がり、市道は最も多い時で約50カ所にわたって崩落や冠水などで通行できなくなったというのだ。そこで大津市は通行止めのバリケード設置を建設会社に指示するなどして対処していたそうで、問題の市道も舗装面が延長16m幅1.5~2.95m深さ2.6mにわたって崩落したそうなのだ。そこへ午前5時30分ごろオートバイに乗って市道を走ってきた男性が、崩落箇所から相模川に落ちて溺死したのだが、亡くなったのは京都市の自営業の男性で現場近くの池に釣りに行くため自宅を出たということのようなのだ。 滋賀県警大津警察署同署によると市道は幅約1・5メートルほどしかなく、川に面した幅約0・8メートルが長さ約3メートルにわたって崩れ落ちており、その下でオートバイに乗って市道を走ってきた男性は発見され、男性が走ってきた方向には通行止めのバリケードがなかったということから、大津市道路管理課の職員が市道の崩落を知りながら確実な安全対策を講じなかったことが事故の原因だったとして大津地方検察庁に送致したというのだ。現場の市道は台風18号の大雨で崩れ大津市が通行止めにしていたが、下流側にバリケードは設置していなかったことから、大津市は「今後、対応が適切だったかを含め、調査する」としているのだが、このような事故をたった一人に責任押しつけるのかというのが私の感想なのだ。 大津市道路管理課によると問題の市道は東西に伸びており、路側崩落を台風通過時には確認していた。すぐに崩落現場の西側にバリケードを設置して通行止めにしたが、東側は通行止めの措置を取っていなかったというのだ。そして事故を受けて東側にもバリケードを設置したそうなのだが、大津市道路管理課は事故当時に「通行止めの措置ができていなかった。非常に申し訳ない」と話していたのだ。それでも「台風の影響で大雨や強風の恐れがあり、台風に関する情報はテレビニュースのほか入手しやすい方法で情報収集してください。今後の台風情報に注意して浸水・土砂災害等から身を守っていただきますようお願いします」という注意勧告は行っていたのだ。 台風来襲中に京都の人間が滋賀県まで釣りに行くこともどうかしていると思うし、「崩れた道を通って落ちる人間って何?」といいたいくらいなのだ。バリケード゙がなくても市道を通行止めにしていることは情報等を見るとすぐに知ることができるし、台風直後の荒廃現場に出かけて前を見ずに転落する方にも落ち度があると思っているのだ。担当の管理職が「部下に封鎖する様に連絡した」と言い出したことから、通行止めなどの措置を十分にしなかったとして、業務上過失致死容疑で大津市建設部の男性技師が書類送検され他という側面もあるようなのだ。送検された技師も容疑を認めているというのだが、このような事故は組織の問題であっても一職員だけの責任ではないだろ。
2014年07月16日
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建設コンサルタント会社の人材争奪戦が激しくなっているそうなのだが、昨年の採用から学生の確保が難しくなったとの声をよく聞いてはいたのだ。それを受けて今年は多くの会社が採用活動の強化に乗り出しているみたいで、私の愛読している業界紙の調査によると、今年4月入社した新人では売上高50億円以上の大手の建設コンサルタントでは40%が、それ未満の地方の建設コンサル等では32%が予定数を確保することができなかったそうなのだ。その理由は会社の規模によって違いがあって、大手で最も多かった理由は予想以上に内定辞退者が多かったことだそうなのだが、中小の場合そもそも応募者自体が予定数に満たなかったケースが多いそうなのだ。 建設コンサルタント会社といえばいずれも好調な決算が目立ちっており、受注額が上位20社のうち対前期比で建設コンサルタント部門の売上高が減少したのは1社にすぎず、半数に当たる10社は10%以上の伸びを記録していたというのだ。これは東日本大震災の復旧・復興業務や政権交代後の経済対策が建設コンサル各社に恩恵をもたらしているようなのだ。それでも建設コンサルタント会社の人材争奪戦が激しくなっていることから、「今年は、各社が新卒の採用活動を早めたようだ」ということも噂されているようなのだ。ある会社で来年4月入社の採用活動で役員面接に進むことになった学生にそのことを伝えようと連絡したところ、既に他社の内定が出ていて辞退されたケースが数件あったというのだ。 そこで多くの建設コンサルが就職セミナーへの参加の拡大や、就職情報サイトの活用など各社は様々な取り組みを進めているというのだ。地元の建設コンサルに聞いたところでは役員にそれぞれ担当大学を割り当て、地元大学だけでなく近隣の大学の教官に対して積極的に働きかけているそうなのだ。東京に本社を置く大手の多くは地方での採用活動を強化しており、ある会社では昨年から沖縄を含む全国8拠点でそれぞれ会社説明会を開催し、採用試験や面接などを行うようにしたそうなのだ。新人の採用が難しくなったことに加えて離職率の高さも建設コンサルタント会社にとって悩みの種で、せっかく苦労して採用した新入社員が入社から数年で公務員などに転職してしまうケースは少なくないというのだ。 「以前は一括して本社に試験に来てもらっていたが、それが学生の負担になっていた」と話す担当者もいるのだが、「昔は黙っていても来てくれたが、最近はそんなことでは優秀な学生がどんどん他社に取られてしまう」というのだ。また大手の建設コンサルでは今年から新たに留学生枠を設けたそうで、来年4月にはこの枠で採用した留学生が1人この会社に入社する見込みだそうなのだ。それと入職者不足に悩む建設業界にあって数年で離職してしまう若手が多いのもまた事実で、どうやって彼らを定着させるかが課題となっている。若手社員が孤立しないように若手同士が交流できる場を積極的に設けたり、以前は部門ごとだった研修を複数部門で開催したりして若い社員の交流の場となるようにしたそうなのだ。 若手に限らず価値を生み出す企業や会社の存在意義と自らの必要性を強く納得させられる企業には給料以上の魅力があるとされているが、それに関連して地元の建設コンサルでも小学校への「出前講座」を実施しているところがあるというのだ。それが若手の定着にどう結び付くのかということなのだが、子どもたちにインフラ整備の意義を伝える目的にとどまらず、伝える側の社員に仕事のやりがいや魅力を再認識してもらうことが主眼だというのだ。人材確保策の一環として一旦退職した社員を再び雇用する「リピート制度」を導入しているところもあって、その第1号として退職して出身地に戻った50歳代の社員が、1年半ほどたって5月に戻ってきたということもあるというのだ。
2014年07月15日
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私が受講しているコーチングの研修で、医師によるとそもそも筋肉は柔らかいものだそうで、その筋肉が硬くなっているというのは要するに筋肉が緊張していて力が入っている状態だからだそうなのだ。運動や仕事のために力を入れたらその後に必ずストレッチをして柔らかくする必要があるということで、筋肉を緊張させて硬いままにしておくと可動域が狭くなって速く動けないというのだ。そして疲労から次に向けて動くのがおっくうになるというのだ。重いものを持ち上げるには太い筋繊維が必要なのだが、 次の行動へ速やかに動こうと思ったら筋肉は柔らかくしておかなくてはならないそうなのだ。この医師が言う筋肉の話はどうもそのまま「組織」にあてはまりそうだということから話が始まったのだ。 社員に過剰に負荷をかけ「とにかく目標を達成しろ」といったコミュニケーションばかりを取り続けていると、社員は常時緊張した状態となり組織全体が「硬く」なっていくというのだ。その硬さが恒常的なものになるとだんだん社員は動く範囲が狭くなり、速く動けなくなって「次の行動」に移動できなくなるというように変化に対して機敏に対応できなくなっていくというのだ。いわゆる「硬直的組織」のできあがりということなのだが、上司がよく言っている「柔軟性の高い機動的な組織」からはかけ離れていってしまうというのだ。どうすれば組織の硬さを取り柔らかく機動的な状態を取り戻せるのかということなのだが、情報の上下の流れや組織の境界を越えた流れがきわめて重要となるそうなのだ。 私が受講しているコーチングの研修でいう変化に対応できる組織は、柔軟性を持つ「しなやかな組織」であり、しっかりした基盤を持ちながら変化に対応できる柔軟性を持つというのだ。メンバーが何でもできうるという自由な発想をしながら組織を縦だけでなく横にも見て、積極的に他部署を支援し成功体験に縛られず常に新しい何かを模索しているということのようなのだ。組織というものをイメージするとき人はたいてい階層構造を思い浮かべるのだが、「しなやかな組織」は自組織の階層を減らして縦の境界を越えて活動し、水平的に昇進させることで価値を余すところなくつかみとる。しなやかな組織は水平的に思考しより協調的かつ効率的で幅広い能力を持つ組織の利点を享受するというのだ。 この「しなやかな組織」の特徴は苦情を言う人間を無視したりはしないということで、彼らの声を聞いて学習するというのだ。苦情はもともと不愉快なものだがその苦情は変革のチャンスでもあるということを理解しているのだ。だから顧客の不満だけでなく社員の不満も浮かび上がらせ対処するメカニズムを内部に備えておく必要がある。社員の不満も浮かび上がらせ対処するのは「現場の」人々で、パフォーマンスを高めるためにはこうした人々の意見を引き出す方法を見つけなければならない。とりわけ社員については、苦情を言っても報復されないという安心感を持たせる必要があるのだが、問題視されている行動を認識しても対処になければ単なるジェスチャーで終わってしまうといっているのだ。 人の思考は「今ここに居着く」という傾向があるといわれているのだが、武道でいう「居着く」というのは心を奪われ瞬時に動くことができない状態をいうそうなのだ。その特徴は「しなやかな組織」の定義とは逆で「今の仕事のことだけしか考えていない」・「今属している部署の利益の最大化しか頭にない」・「今の成功に酔っている」ということのようなのだ。居着けば居着くほど 頭は硬くなり「新しいもの」への関心は薄くなるというのだ。それならば人や組織を柔らかくしなやかにするためにリーダーができるのはメンバーを「今ここに長く居着かせないこと」で、組織の柔軟性を高めるためにぜひ「ストレッチ」をメンバーとのコミュニケーションの中に時折取り入れてみることもひつようなのだろう。
2014年07月14日
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東日本大震災の復興事業やアベノミクスによる公共投資の拡大などにより、私の所属している建設業の人手不足が顕著になっている。建設業就業者数は平成9年の685万人をピークに減少を続け、昨年度には503万人となってしまっているのだが、その結果建設業界における労働力不足は最悪の状態となっているそうなのだ。昨年の11月に行われた厚生労働省の調査ではなんと41%の建設業者が作業員不足を訴えているというのだ。そのうえ東京オリンピックに向けてさらに建設労働力が不足すると予想されていることから「技能を持つ外国人労働者の受け入れを適正かつ円滑に進める」というのが政府の方針だそうで、短絡的な方法で人手不足を乗り切ろうとしているようなのだ。 国土交通省は建設分野での外国人材活用に関する緊急措置として、中小企業団体などの監理団体や受け入れる建設会社に対する、外国人労働者の受け入れ要件などを定めた告示案を先月の末にまとめたというのだ。その告示案では外国人労働者の受け入れ人数を受け入れ企業の常勤職員の総数までとし、同等の技能を持つ日本人と同等額以上の報酬を支払うように規定しているそうなのだ。「タイル張り」や「配管」など現行の外国人技能実習制度で対象としている21職種のほか、建設会社が実習を実施する場合に限って「鉄工」・「塗装」・「溶接」の3職種を追加したというのだが、その外国人労働者の要件は日本で最長3年間の技能実習を修了し素行が善良であったことになるみたいなのだ。 しかも法務相が指定する「建設特定活動」という在留資格が与えられると、技能実習を修了してからも2年間は継続して働けるようになるうえ、実習を受けた後に帰国した外国人でも日本に再入国して特定活動の資格を得ることができ、帰国後1年以上経過している場合は3年間働くことができるということのようなのだ。そのかわり「団体・企業の新規参入は認めない」とか「監理団体は過去5年間に2年以上、建設分野の技能実習生を受け入れた実績があること」など10項目の要件を満たすと国土交通省が「特定監理団体」として認定するというのだ。受け入れる建設会社はその「特定監理団体」と共同で「適正監理計画」を作成し、大臣認定を受けなければならないとしているのだ。 この「適正監理計画」には受け入れる外国人労働者の人数や就労場所・業務内容・従事期間や報酬予定額などを記載されており、外国人労働者の受け入れを進める一方で監視体制をより強化する内容となっているのだ。告示案では国土交通省あるいは都道府県知事が建設業法に基づいて建設会社への立ち入り検査を行うことができると定め、さらに「特定監理団体」や建設会社に対して巡回指導を行うことや、元請団体や専門工事業者団体などの建設業者団体はもちろん、学識者・国土交通省・法務省・厚生労働省などで構成する適正監理推進協議会を設けることもきめている。もっとも実習制度を建設業の人手不足を補うために活用するのは本来の趣旨と異なるという意見も強くあるというのだ。 人手不足が深刻な農業や水産加工品の製造などでも、実習生は欠かせない労働力となっていりそうなのだが、この実習制度は日本で習得した技能を本国の発展に役立ててもらう国際貢献が本来の目的なのだ。建築・土木というのは誰がなんと言おうと技術職で、しかも技術は人に蓄積され伝承される特殊なものなのだ。外国人に頼る前に厳しい状況でも国内の人材確保や育成に力を入れなければ、また外国人という逃げ道によって職人さんの労働条件すら改善しなくなる恐れが強いのだ。日本で起きた震災ではインフラの復旧が他国の方からしたらビックリするほどの速さで行われてきたがこれは作業員が日本人だったからと思っており、建築・土木の技術力は大きな国力だと信じているのだ。
2014年07月13日
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私の所属している建設業界では途中入社が多く30代の新人クンいたのだが、これまで新入社員といえば一般的な会社等では高校や短大、大学などを卒業した20歳前後の人たちを指したのだが、高齢者の雇用ということで65歳定年制の時代を迎え、60歳になって雇用延長や再雇用・再就職のために新しいスタートを切る人たちが増えているというのだ。そうした人たちを「60歳新入社員」と呼ぶようなのだが、たとえ雇用延長や再雇用によって同じ職場で働き続けるのだとしても、「新入社員」という意識を持てということなのだ、「再雇用」とか「雇用延長」と言うとどうしても今までの延長線上で捉えがちですが、それでも週4日勤務等になるとか1日の勤務時間が短くなるとかライフサイクルは当然変わってくるのだ。 そこで自分のマインドを一度リセットし新入社員として新たにスタートするのだという意識を持つ必要がるというのだ。同時にこの「再雇用」とか「雇用延長」の人たちの上司になる30~40代の人たちには「年上部下は扱いにくい」といった先入観を持たず、彼らは新入社員なのだという意識でうまくコミュニケーションを取ってほしいというのだ。人事のコンサルタントによると年下上司となった若い人からも「シニアの人たちとうまくコミュニケーションが取れない」という相談を受けることはよくあるそうなのだが、逆に「年上部下」の人たちは昔のように「年下の上司」の部下となることについてあまり気にはされていないそうで、「元の部下に使われるなんてなんてまっぴらだ」と思う人はもうほとんどいないそうなのだ。 それでもこの人事のコンサルタントは「年寄りのほうこそ、気配りをすべき」が持論で、ただでさえシニア社員は使いにくいと思われがちだから、過去の成功体験をふりかざしたり元部長のような振る舞いをしたりするのは禁じ手だといっている。定年後の「再雇用」や「雇用延長」の場合には賃金は7割になったり半減したりするのだが、だからと言って働きもそれまでの7割や半分でいいと考えてはいけないともアドバイスしているのだ。企業側も一般的に退職時が知識・人脈のピークと言われる「60歳新入社員」に、今までどおりの働きをしてもらうために「体は誰でも衰えるもの」ということを考慮して、いかに効率的で疲れずに働いてもらう環境を作るかを考える必要があるというのだ。 たとえばつるつるとした紙に書かれた文字は蛍光灯の下だと反射して見えにくかったり、30分も同じ姿勢で座っているのは苦痛だったり、視力や筋力の低下によっていろいろな影響が出てくるものなのだ。スマートフォンやタブレットもシニアには使いづらい面があって、液晶画面上を指でなぞろうとしも反応しにくいというのだ。これは指先が乾燥してしまうからなのだが指先にハンドクリームを塗れば解決するそうなのだ。そういう老化に伴う現象を理解しうまく対応すれば影響を軽減することも可能で、一生懸命やっていても筋力が低下すると何をするにも時間がかかってしまう。そんな状況を自分でも歯がゆく思っているところに「何をやっても遅い」と非難するのは酷だというのだ。 この「60歳新入社員」に対して「仕事が遅い」とか「仕事を覚えない」といった言葉は、若手の新入社員に対しての叱責と同じなのだが、その意味合いは随分と違うというのだ。20代の新人クンたちが「遅い」のは知識や経験が不足しているからで、「覚えない」のは覚える気がないか覚え方が分からないからなのだが、覚えたけどすぐに忘れる60代の新人サンたちとは異なるというのだ。「何度言っても覚えない」というのも記憶力の低下が理由で、これも本人がある程度自覚しているのに指摘すれば怒りを倍増させるだけだというのだ。ビジネスの視点でシニア層を捉える場合には自社の従業員というだけでなく、「顧客であるシニア層にどう接するか」というテーマになるといった視線も必要だというのだ。
2014年07月12日
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「どうする職人危機」ということなのだが、公共事業にも労務費高騰は暗い影を落としており、労務費高騰と構造的な職人不足に伴う労務費高騰が、日本の建築生産を根底から揺さぶっているというのだ。被災地や首都圏の公共建築では入札不調や設計案の白紙撤回が続出し、民間建築でも工事の遅延や凍結が相次いでいるのだ。内閣府が公表した国内総生産確報値は異例の数字となったそうで、それまで前年度比1.2%増としていた国内総生産の実質成長率を0.5ポイントも下方修正したのだ。その主因は公共事業を指す「公的固定資本形成」が前年度比14.9%増から1.3%増へ大幅に下がったことが原因なのだが、これは復興事業や経済対策のために積み増した公共事業費が年度内に執行できなかったからなのだ。 この公共事業費は翌年度に繰り越されたのだが、景気を下支えするはずの公共投資が予定されていた期間内に使われなかったというのだ。このように予算が執行できなかった1つの原因は職人不足と労務費高騰で、公共事業では施工者を決める際に原則として入札を行い、最も低い金額で入札した会社と契約するシステムになっている。ただし国や自治体が積算した工事費を予定価格とし、その金額を超えた額で入札した会社とは契約しないのだ。 もし入札参加者の金額がすべて予定価格を超えていた場合はその入札は「不落」となり、入札参加者が誰もいなかった場合は「不調」となる。どちらも施工者が決まらなかったことから発注者が入札をやり直すことになるのだ。 このところ建設業界では労務費が高騰しているため入札の不落や不調が全国で相次いでいるそうなのだが、こうなると入札のやり直しには時間が掛かるためそれだけ予算の執行が遅れてしまうのだ。また入札が成立して施工者が決まったとしても、職人が足りずに工事が思うように進まないケースも発生しているそうなのだ。国土交通省によると建設産業界は深刻な担い手不足に悩まされており、東日本大震災関連の復興工事や東京オリンピックに向けた建設ラッシュなどの要件もあって人手不足が深刻化しているそうなのだ。一般財団法人の建設経済研究所が今年の4月に発表した「建設経済レポート」でも、昨年度の公共事業について次のように指摘しているのだ。 「施工能力の制約によって工事進捗が遅れてしまうと、13年度に予定されていた建設投資額が14年度に繰り越されることになり、その結果13年度の国内総生産の下支え効果も限られることが懸念される」このまま職人不足が続いて公共工事が円滑に進まなければ、今年の12月に発表される昨年度の国内総生産確報値の下方修正や伸び悩みもあり得るというのだ。バブル崩壊後の財務省主導でのゼネコン・建設業叩きの結果が今の惨状になっているのだが、人手不足によって需給バランスが崩れ建設職人の労務費は上昇の一途となっており、それが建設コストの上昇につながり日本経済の足かせになっている。建設業界で「深刻なリスク」が顕在化し「人材危機」とも呼べる事態が日本全国で進行しているのだ。 気がついたら建設業界は景気循環をよくしたいときに、どうしようもない業界に衰退してしまっていたということで、この状況が足かせで日本全体の景気がよくならない現状を政府も官僚もよく自省する必要があるのだ。建建設業の許可業者数は減少傾向にあってこの状態を厚生労働省の調査によると理由の一つとして考えられるのは時間外労働だというのだ。厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、建設業の労働者1人当たりの所定外労働時間は全産業の平均より2割ほど多かったうえに前年より6%ほど増えているというのだ。地域別に見た場合でも全地域で技能労働者は減少傾向にある中で仕事が増え、特定の技術者に仕事が集中した可能性があると厚生労働省は指摘しているのだ。
2014年07月11日
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被災地の生コンクリート不足を打開するために宮城県主導で設置した生コンの仮設プラントが完成から、職人不足や資材不足などで工事が遅れているのが原因で、1カ月以上たっても稼働していないことが分かったというのだ。この生コンの仮設プラントは宮城県や石巻市が発注する一部の災害復旧事業に限定されているのだが、宮城県事業管理課によると今月末時点で対象工事の全てが未発注か現場は動いているものの、仮設プラントの生コンを使用する段階にないというのだ。工事の計画的な施工ができず遅延しているのは、被災地にまん延する職人不足や資材不足の影響で入札不調が多発して受注先が決まらないほか、思うように工事が進まず工期が延びていることが原因とみられる。 問題の仮設生コンプラントによる生コンの出荷先は、一部の災害復旧事業限定という条件で国からの補助を受けているため、対象外の工事に出荷するには国の了承を得なければならないとされているのだ。そのうえ仮設プラントの生コンの単価設定は1m3当たり約2万6000~2万9000円と、今年度6月時点の東北地方の一般的な単価よりも倍近く高く、その差額は国からの補助で賄われているのだ。単価が高い理由の一つが、材料コストの増加だ。被災地では生コン材料の骨材や砕石が不足しがちなので、仮設プラントは県外から材料を調達している。もう一つの理由が、仮設プラントの稼働期間は3年間限定で、その間に投資費用を回収する必要があるためだ。 宮城県事業管理課によると対象の災害復旧事業以外で、想定よりも早く着手できた現場もあることから、国の了承を得ればそのような現場へ仮設プラントの生コンを供給することができるとみているが国の承認には時間がかかりそうだ。そのような技能者不足に関して少しでも手助けになるようにと、「職人の減少によって日本の建設業界の仕組みが崩壊しようとしている。一刻も早く職人育成に取り掛からなければ間に合わなくなる。建設業界で長年職人として働いてきた我々が、恩返しの意味でも立ち上がるべきだ」ということで、職人の養成学校を開校しようと建築関係の工事会社と住宅販売会社に建材販売会社・設計事務所の経営者など8人が設立した一般社団法人があるというのだ。 若い職人の育成に課題を感じながらも単独の会社では解決が難しいことから、共同で育成しようと考えたプランだそうなのだが、来年度にはプレ開校し3年後までに職業訓練校の認定取得を目指すというのだ。会員企業が受講料を払い雇った新人をこの学校に預けるといった利用を想定しており、国などの助成金を会員が取得するサポートも行うというのだ。会員からの月額1万円の会費と受講料に協賛金などで学校を運営する予定で、修時間も150時間まで増やすほか職長向けの研修も用意するというのだ。協賛している建材メーカーの研修施設を借りるなどで60時間の受講料を1人当たり30万円以下にする計画なのだが、まず育てようとしているのは現場で手伝いができる人材だというのだ。 職長が頼んだものを持って行くとか現場内のゴミを分別して処分するとか、建材の簡単な取り付けができるなどなのだが、「職長が忙しくて教える余裕がないため、入社しても仕事が覚えられないでつまらなくなり、すぐに辞めてしまう新人が多い。手伝いができるようになってから現場に出れば、自信が付いて自主的に覚え始める。新人への職長のいらいらも減る」と設立の目的を話していたのだ。それにもうひとつは職人のブランド力向上だそうで、「テレビドラマで建築職人を取り上げてもらうよう売り込む、職人が社会的に高い評価を受けているドイツのマイスター制度を学ぶなど職人育成は社会的な責任、中小企業が単独では難しいことに取り組む」と担当に理事は意気込んでいるそうなのだ。
2014年07月10日
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電気は基本的にためておくことができないとされているのだが、梅雨明けも近づいている西日本では今夏は厚くなりそうだという天気予報もあって、西日本での電気の供給が綱渡りになりそうなのだ。ピーク時の需要に比べて供給にどれだけ余力があるかを予備率というのだが、瞬間的な需要の変動に対応するには3%以上の予備率が必要だとされている。電力需要は1時間の平均値に対し最大3%程度変動するため、安定供給には予備率3%が最低限必要となっているのだ。もっとも猛暑などに備え予備率7~8%を確保することが望ましいとされているというのだが、3%を下回る見通しとなった場合は電力会社間での融通処置や管内での節電要請を実施するとされている。 それでも予備率が1%程度を下回る見通しになると事前に対象時間や地域を知らせる計画停電が実施されるのだ。電力会社の予備率の推定は猛暑だった夏並みの気温になると仮定していることから、今夏の全国の予備率は4.6%と昨夏実績より2.1ポイント悪化するというのだ。政府の今夏の需給見通しは過去最高の猛暑を想定し、水力や太陽光などの発電量も過去の実績で少なかった水準をベースに見積もるなど厳しいケースを前提にしているのだ。この電力需要を基にして政府の夏の節電協力要請期間が沖縄を除く全国でスタートしたのだが、今年は東日本大震災以降で初めて「稼働している原発がゼロ」の状態で夏を迎えるということを強調しているようなのだ。 政府による夏の節電要請は今年で4年目だが過去3年は大きな混乱もなく終了しており、政府が原発再稼働の方針を打ち出す中での動向が注目されているのだ。政府による今年の夏の節電協力要請期間は今月1日から、お盆を除く9月30日までの平日午前9時から午後8時となっているそうで、政府はエアコン温度を28度以上に設定するなどの節電に無理のない範囲で協力するよう呼びかけているのだ。「稼働している原発がゼロ」の状態で夏を迎えるのは東日本大震災以降で初めてになるが、節電については数値目標を設定せず無理のない範囲での協力をとしているのだ。具体的にはエアコンの利用を控えて扇風機を使用することや、エアコンを使用する場合には28度を目安に温度設定することなどを呼びかけているのだ。 昨年の夏までは電力不足回避のため政治的判断で、原発依存度の高い関西電力だけは福井県にある大飯原発を再稼働するのを認めましたが昨年の秋には停止したのだ。原子力の安全規制を担う原子力規制委員会は地震や津波の想定を自発的に引き上げたことを評価し、鹿児島県にある九州電力の川内原発の安全審査を優先的に進めていますが、今夏中の再稼働は厳しい状況なのだ。今年の夏は日本で原子力発電が始まった1966年以降において原発ゼロで迎える初めての夏になる公算が大きくなっているのだ。政府の節電要請は震災後の夏から始まり政府は需給見通しを事前に発表してきたが、過去3年の供給予備率の実績はほとんどが見通しを上回っているのだ。 「震災後、企業や家庭は空調や照明を控えるなど節電策を強め、ピーク時の電力需要は4~13%減ったと電力各社は推定しており、これらの節電はある程度は定着したといえるのだ。ただ今年は震災から4度目の夏になり『節電疲れ』が懸念されており、景気も上向き電力需要は首都圏などで昨夏より増えるとの予測もあるというのだ。これらを考えると需給を厳しめに予想するのは妥当といえるのだ。東日本大震災の前まで電力供給の3割を担ってきた原子力発電所の再稼働が見通せないことなのだから、今後も原発の再稼働が不透明ななか、持続的な省エネをいかに定着させるかが課題になるのは当然で、カギを握るのは電気をどこでどう使っているかを「見える化」し省エネの動機付けにすることのようなのだ。
2014年07月09日
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自民党の有志議員は自民党本部にて「携帯電話問題懇話会」の設立総会を開いたということなのだが、携帯電話の所有に関しての課税は以前から何度か噂されていた話で、議員連盟設立という具体的な動きにより本格的な課税実現への道筋が立てられることになりそうなのだ。この議員連盟は携帯電話の所有にも税金を取ることを立法化することを目的としており、つまり現状の自動車税のようなものが想定されているようなのだ。議員連盟会長の中山泰秀衆院議員はパソコン1台ごとに課税する欧州の例を挙げて、携帯電話税による財源確保を訴えているというのだが、これは携帯電話・スマートフォンの普及に伴い青少年保護のあり方が変わりつつあることからの課税のようなのだ。 こうした青少年の安全対策に予算が必要であることも理由として挙げられているのだが、携帯電話など所有していない私には関係がないが、スマートフォンを複数所有するユーザーや法人からの悲痛の叫びが聞こえてきそうな話とされているのだ。もっとも自民党のいう「税制改正の基本的考え方」の登場したキーワード「担税力」で、これは税金が増えてもがまんできる経済力のことなのだ。お金持ちや土地などの資産を持っている人を思われがちだが、たばこや酒も嗜好品とみなされ増税の検討対象になりやすいとされている。今回の課税対象となるのは携帯電話の「所有台数」なのかそれとも回線の契約数なのか、データ端末やタブレットは含まれるのかといった課題もありそうなのだ。 国民の人口を超えるまでに伸びた爆発的な回線数も、ダブルホルダーなどのユーザーや、タブレット・その他回線契約の発生する機器に担保されている部分があり、ただでさえ冷え込んでいる携帯端末の販売数にさらなるトドメとなるのではという懸念もあるというのだ。「携帯電話問題懇話会」の議員連盟は、財政再建や青少年の安全対策強化に向けた予算確保の観点から、自動車税のように携帯電話の保有者にも課税する仕組みの導入を念頭に置いており、今年の秋頃に提言を取りまとめる見通しのようなのだ。携帯電話税の導入を主導する議員は、「パソコンに課税している」というのだが、パソコンは家庭に1台〜2台あれば良いのに対して、スマートフォンや携帯電話合は家族内のほぼ全員が所有しているのだ。 携帯電話の累計加入件数は1億3000件を超え国民1人1台の時代で、比較するのはあまりにも規模が違いすぎ、またスマートフォンや携帯電話は車のよりも圧倒的に買い替えのサイクルが早く、買い替え後も古い端末を破棄せずに持ち続ける人もいるので課税の対象が上手く定まらないという指摘もなされている。実は「ケータイ増税」は以前から狙われていたそうで、東日本大震災後の復興財源の一つとして「1台あたり1日5円から10円程度もらえば数千億円の規模になる」と、当時の経済財政担当相が言っていたそうなのだ。この時は「ケータイ増税」は具体化しなかったものの、携帯電話の通信会社などが払っている電波利用料の引き上げなどが取り沙汰されたそうなのだ。 海外でもフランスの有識者委員会が今年の5月にスマートフォンやタブレット端末を販売する会社などを対象に課税する案を政府に提言しており、税収は仏文化の発信に役立つコンテンツの育成に充てる狙いで実現すればアップルやグーグルも課税の対象になるとみられる。端末本体に課税するのではなく使用するICカードに対して課税するという方法も考えられているそうなのだが、1人1回線ではなく1人が2回線契約することも多いので、消費者はもちろん収益にも影響が出そうな事業者からも反発がありそうなのだ。現在は携帯電話税の導入に向けて議論されている段階で具体的な話はこれからとなるのだが、広く・薄く税金をかければお金持ちでなくても負担には耐えられるとの考え方のようなのだ。
2014年07月08日
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いよいよ私の所属している建設業の出番のシーズンとなってきたのだが、大型で非常に強い勢力の台風8号は今後さらに発達しながら北西に進み、猛烈には勢力で沖縄を直撃するおそれがあるというのだ。その後も非常に強い勢力を維持して九州を襲いその後は本州方面へ進む見込みのようなのだ。台風8号は天気予報によるとフィリピンの東にあって1時間におよそ30キロの速さで西北西に進んでいるそうなのだが、今後も発達を続けながら沖縄の南に達し猛烈な勢力で沖縄本島にかなり接近するおそれがありそうなのだ。その後も非常に強い勢力を維持し九州や本州方面へ進む見込みのようだが、この台風8号は8年前に那覇などに記録的な風をもたらした台風4号を上回る勢力となる見込みのようなのだ。 7月としては過去最強レベルでの接近になった平成19年の台風4号は、大型で強い勢力を保ったまま鹿児島県鹿屋市付近に上陸し、その後に四国や紀伊半島の南岸を通って関東沖に抜けていったのだ。宮崎県日南市油津では最大瞬間風速55.9m/秒を記録したほか、徳島県那賀町木頭では24時間雨量が533ミリとなったほか、沖縄本島や九州をはじめとする西日本を中心に記録的な豪雨となり土石流や川の氾濫などの大きな被害がでたのだ。この台風4号はその最盛期に沖縄を通過し勢力を維持したまま本土に上陸し、偏西風に押されて太平洋高気圧の縁を通る進路をとったのだが、大雨によって増水した川に流されるなどして死者3名と行方不明者2名を出しているのだ。 大型で非常に強い勢力の今回の台風8号は勢力を強めながら西北西へ進んでいるのだが、沖縄本島地方で徐々に速度を落としながら向きを東寄りに変え、沖縄本島地方に接近する頃には中心付近の最大風速が54メートル以上の猛烈な台風になる恐れがあるというのだ。沖縄本島地方への接近時に最も発達する見込みで、沖縄気象台は「台風では全国初となる特別警報を発令する可能性もある」として風雨への厳重な対策を呼び掛けているというのだ。このように沖縄に接近するときには猛烈な台風に発達する予想なのだが、台風は地震と違って予想がある程度可能で、しかもその対策を行う時間的余裕があることから、「今からできる対策をしておく」ことが賢明なのだ。 この台風という災害は海面水温が28℃以上の場所で発生・発達すると言われており、沖縄以南の海域がその条件を満たしている状況なのだ。そんな暖かい海の上にある今回の台風8号は発達を続けながら北上しているのだ。フィリピンの東や沖縄以南のいずれの海域も6月上・中・下旬と連続して海面水温は「平年よりかなり高い」状態が続いたそうなのだが、「平年よりかなり高い」とは過去30年間に現れた同時期の海面水温30個のデータを低い順に並べかえたときに、高い方から3番目以内に入る値ということのようなのだ。つまり統計的にみて数少ない事例となるようで、今から沖縄に接近するときには猛烈な台風に発達する予想なので、今週は台風情報に十分注意が必要だろう。 現在出されておる大型で非常に強い勢力の台風8号の最大瞬間風速は75 m/秒ということのようなのだが、これは多くの樹木が倒れたり走行中のトラックが横転したりするほどの風だとされているのだ。さらに予報円の一番西側の日本から比較的離れた所を通ったと仮定しても、この時期は本州付近には梅雨前線も停滞しているため、台風からの湿った空気が梅雨前線を刺激して大雨になることが考えられるというのだ。そこで今回は「台風がそれる」とか「台風の勢力が弱まる」を期待するのではなく、台風から遠い地域でも梅雨前線の影響で大雨になる恐れがあるというのだ。もっとも取水制限となっている四国の早明浦ダムでは平成19年の台風4号と同じように一晩での貯水率100%の期待もあるというのだ。
2014年07月07日
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労働災害ではないが大手ゼネコンの建設現場でも考えられないような施工ミスが繰り返されているそうで、東京都港区で建設していた分譲マンションではコンクリートの躯体中に配管などを通すスリーブに700カ所以上の不具合が発覚し、完成直前だったにもかかわらず解体して建て直す事態に発展したそうなのだ。躯体図と配管施工図の不整合に気付かないまま工事を進めたことが一因とみられているそうでが、建設現場等で死傷者が出る事故が毎年後を絶たないことを地元の新聞はかなり大きなスペースを割いて報道していたが、その新聞の見出しには「揺らぐ安全―団塊退職、途絶える経験知」とあり、事故原因として考えられる事象を表す言葉が添えられていたのだ。 「組織で仕事をする」という言葉に代表されるように建設業界特に土木事業では、自然や社会という大きな対象を相手とすることから、集団の意思決定と論理の時空間的一貫性が重んじられてきたのだ。設計や施工と言った過程では誰がどの資料に基づいて決定したかも含めて、プロフェッションとしての判断と説明責任が曖昧なプロジェクトや、判断の無謬性を重んじるあまり一度下した判断に固執し、新たな情勢変化に対する対応が後手にまわった例も少なくないのだ。そのうえ技術力の低下かということでは専門知識や経験の伝承がうまく行われなかった背景では団塊世代の人たちの行動パターンがあり、そこにこそ大きな問題があったという指摘もなされているのだ。 バブル崩壊組なども言われているのだが、ちょうどバブル絶頂期を味わった人材が現在の責任者のポジションにも多いのは現実で、ある種のゆとり教育で育った50代の悪しきマネジメントが様々な建設事故を引き起こしているといった指摘もされているのだ。私の愛読している業界紙の記事の中では「団塊世代のベテラン作業員の大量退職に伴い、若手作業員に知識や経験などのノウハウが伝承されていない」と原因分析している。作業員のマニュアルを軽視した行動などが事故を招いており若手への教育が徹底されていないというのだ。建設現場ではないが同じことが原因となっているのではないかと思うのだが、さくらんぼの収穫時期に入り木からの転落事故で死者が4人も出たという記事が新聞に載っていた。 良い実を付けてもらうために高所作業がつきもののさくらんぼ農園も建設現場と同様に、経験豊かな働き手が少なくなっているのかもしれないのだが、ここにも人手不足の影響が出ているのだと思ったのだ。TVの人気長寿番組「笑点」でつい最近放映されていたのだが、大喜利の1コマで司会の桂歌丸師匠が「今の外食産業や建設業では、人手不足が大変深刻なのだそうです。そこで皆さんは人手不足で困っている人になって、悩みを言ってください。私が『大変だね』と言いますので、さらに続けていただきたい」という題を出したところ、春風亭昇太師匠の答えは「建設現場です」と答えていた。司会の桂歌丸師匠が「大変だね」というと、その答えが「基礎ができないんです」ということだった。 建設現場の実情がよくわかっているなと思ったと同時に「それじゃ、駄目じゃん!」という春風亭昇太師匠の口癖が思い出されたのだが、そのことに笑えない現実が建設業界にあるのだ。人手不足で需給バランスが崩れ建設工事の質を期待することはますます難しくなりそうなのだが、建設業が長い停滞期に入ったころから「責任施工」のかけ声のもと、昔は直営で仕事を行なっていた発注者である役所も工事会社の自立を求めてきたのだが、現場の労働力も機械力も工事会社が抱えているようになってしまったのだ。したがって工事の品質・工期・価格・安全などに関して工事会社の役割と責任は重くかつ広いのだ。我が国にとっては技能者の育成に改めて本腰を入れなければいけないのではないかと思ってしまうのだ。
2014年07月06日
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東京五輪の開催決定や政府の国土強靭化計画などで建設業界が活気づいているのだが、現在私の所属している建設業界への年間建設投資額は約50兆円とされている。公共事業の削減も相次いで行われ、停滞する景気の影響で民間の仕事も減少していたのだが、バブル時代と比較すればその額は大幅に減少しているものの、5年前くらいの42兆円を底にして再び上昇傾向にあるのだ。東日本大震災の復興関連事業で建設投資額が大幅に増加し、昨年度の建設投資額は約50兆円程度になっているのだ。最小時から約8兆円の増加となっているがこれは公共事業だけではなく、景気の回復によって民間による再開発なども活発になり始めたことも大きな要因となっている。 足元では施工ミスや火災など現場の「技能崩壊」が原因のトラブルが絶えず、需要拡大の一方で建設現場は人手不足に資材高騰と併せた三重苦に喘いでいるのだ。建設投資額の増加はそれだけ多くの工事案件を生み出すことになるが、建設投資額が底をついた5年くらい前頃から多くの技能労働者が廃業や転職を行ったため、ここに来て需要と供給のアンバランスさが露呈してしまい、十分な数の「職人」を集められずに工事そのものに着手できないという事例も発生しているというのだ。建設投資額は75兆円から42兆円にまでに減少し、公共事業の削減等に伴って業界の就業者数も685万人から498万人に減少しているし、この流れのなかで技能労働者の年間給与も大幅にカットされているのだ。 バブル期の崩壊が起こった20年前にでも平均で約438万円あった技能労働者の年間給与額は、建設投資額が底をついた5年くらい前には約357万円にまで落ち込んでいる。このような状態に見切りをつけた技能労働者の業界離れが発生していたのだ。建設人材の不足を考える際に重要なポイントとなるのが若者の建設業離れで、「きつくて危険な仕事」とされる建設業においてこれまでは他業種よりも高い賃金が魅力となり、若年労働者を繋ぎとめる役割を果たしていたのだが、現在その構図は事実上崩れ去ってしまっていたのだ。このことは一時期に「末端の作業員の場合、酷いケースだとコンビニ店員の時給と変わらない場合もある」という声も上がっているほどだ。 人に関する需要と供給のアンバランスの結果建設業界における人件費は高騰しており、五輪会場の整備などが完了するまでは建設費高騰が落ち着く可能性は低いと判断されている。こうした現状が生み出すのが「入札不調」なのだ。政府の試算によればここ6年間で建設業界では延べ15万人の人材が不足するそうで、しかも建設業従業者全体で29歳以下の若手が占める割合はバブル時代の20%から、現在は約10%にまで低下してしまい、逆に私を含め55歳以上の人間が増え続けている状態なのだ。全産業での労働者の高齢化はどの業界も少なからず抱える問題ではあるが、建設業の場合はより深刻で建設業従業者の高齢化は日本全体の問題となってしまっているのだ。 この現状を招いた原因の1つとして考えられるのが、各社が生き残りのために受注価格を下げざるをえない環境が生まれてしまった事なのだ。そのしわ寄せは下請け企業を直撃し末端で働く方々の処遇がさらに悪化してしまったのだ。建設業は公共投資が産業の半分近くを支えており、産業の規模をどのくらいにしていくかを民間だけでは決定しづらく国策的な要素が多分にあるのだ。産業規模が政策によって大きく左右されるということは、そこで必要な人員の数もまた政策によって大きく左右されるということなのだ。建設現場がもつ危険性や体力を要する仕事の多さなどさまざまな要因があるのだが、業界・仕事の持っている3Kイメージを使用者側にも働く側も払拭することが求められているのだ。
2014年07月05日
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東京五輪の開催決定や政府の国土強靭化計画などで建設業界が活気づいているのだが、現在私の所属している建設業界への年間建設投資額は約50兆円とされている。公共事業の削減も相次いで行われ、停滞する景気の影響で民間の仕事も減少していたのだが、バブル時代と比較すればその額は大幅に減少しているものの、5年前くらいの42兆円を底にして再び上昇傾向にあるのだ。東日本大震災の復興関連事業で建設投資額が大幅に増加し、昨年度の建設投資額は約50兆円程度になっているのだ。最小時から約8兆円の増加となっているがこれは公共事業だけではなく、景気の回復によって民間による再開発なども活発になり始めたことも大きな要因となっている。
2014年07月05日
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東京五輪の開催決定や政府の国土強靭化計画などで建設業界が活気づいているのだが、現在私の所属している建設業界への年間建設投資額は約50兆円とされている。公共事業の削減も相次いで行われ、停滞する景気の影響で民間の仕事も減少していたのだが、バブル時代と比較すればその額は大幅に減少しているものの、5年前くらいの42兆円を底にして再び上昇傾向にあるのだ。東日本大震災の復興関連事業で建設投資額が大幅に増加し、昨年度の建設投資額は約50兆円程度になっているのだ。最小時から約8兆円の増加となっているがこれは公共事業だけではなく、景気の回復によって民間による再開発なども活発になり始めたことも大きな要因となっている。 足元では施工ミスや火災など現場の「技能崩壊」が原因のトラブルが絶えず、需要拡大の一方で建設現場は人手不足に資材高騰と併せた三重苦に喘いでいるのだ。建設投資額の増加はそれだけ多くの工事案件を生み出すことになるが、建設投資額が底をついた5年くらい前頃から多くの技能労働者が廃業や転職を行ったため、ここに来て需要と供給のアンバランスさが露呈してしまい、十分な数の「職人」を集められずに工事そのものに着手できないという事例も発生しているというのだ。建設投資額は75兆円から42兆円にまでに減少し、公共事業の削減等に伴って業界の就業者数も685万人から498万人に減少しているし、この流れのなかで技能労働者の年間給与も大幅にカットされているのだ。 バブル期の崩壊が起こった20年前にでも平均で約438万円あった技能労働者の年間給与額は、建設投資額が底をついた5年くらい前には約357万円にまで落ち込んでいる。このような状態に見切りをつけた技能労働者の業界離れが発生していたのだ。建設人材の不足を考える際に重要なポイントとなるのが若者の建設業離れで、「きつくて危険な仕事」とされる建設業においてこれまでは他業種よりも高い賃金が魅力となり、若年労働者を繋ぎとめる役割を果たしていたのだが、現在その構図は事実上崩れ去ってしまっていたのだ。このことは一時期に「末端の作業員の場合、酷いケースだとコンビニ店員の時給と変わらない場合もある」という声も上がっているほどだ。 人に関する需要と供給のアンバランスの結果建設業界における人件費は高騰しており、五輪会場の整備などが完了するまでは建設費高騰が落ち着く可能性は低いと判断されている。こうした現状が生み出すのが「入札不調」なのだ。政府の試算によればここ6年間で建設業界では延べ15万人の人材が不足するそうで、しかも建設業従業者全体で29歳以下の若手が占める割合はバブル時代の20%から、現在は約10%にまで低下してしまい、逆に私を含め55歳以上の人間が増え続けている状態なのだ。全産業での労働者の高齢化はどの業界も少なからず抱える問題ではあるが、建設業の場合はより深刻で建設業従業者の高齢化は日本全体の問題となってしまっているのだ。 この現状を招いた原因の1つとして考えられるのが、各社が生き残りのために受注価格を下げざるをえない環境が生まれてしまった事なのだ。そのしわ寄せは下請け企業を直撃し末端で働く方々の処遇がさらに悪化してしまったのだ。建設業は公共投資が産業の半分近くを支えており、産業の規模をどのくらいにしていくかを民間だけでは決定しづらく国策的な要素が多分にあるのだ。産業規模が政策によって大きく左右されるということは、そこで必要な人員の数もまた政策によって大きく左右されるということなのだ。建設現場がもつ危険性や体力を要する仕事の多さなどさまざまな要因があるのだが、業界・仕事の持っている3Kイメージを使用者側にも働く側も払拭することが求められているのだ。
2014年07月04日
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組織が大きくなるにつれて使い捨て労務管理がひどくなるということがあるそうなのだが、公務員というのは人にサービスを提供するビジネスで、提供するスタッフが気持ちよく働けないなら良いサービスの提供なんてできるはずがないのだ。このところせっかく公務員試験を受かっても辞退する受験者が増えていることが問題となっており、定年等でとにかく人がどんどん辞めていくのに新しい人員の確保はままならないそんな状況だというのだ。新人職員の人員不足が続けば今度はそのあおりで仕事が急速にハードになったベテラン職員クラスが続々とメンタル等で職場から離脱してしまっているともいわれており、人手不足で増大した業務負担を緩和するための手抜きという要因も挙がっている。 要するに米国では仕事があまりにキツすぎると手抜きをする人が現れ、品質上の問題やそれを隠すための偽造などが発生するということなのだが、景気浮揚による建設現場での人手不足の悩みを聞かせてくれたのが今年初めの事で、今年になって大きな工事を受注したこともあって昔よく行っていた県の土木事務所の担当ということになったのだ。もちろん工事担当者は別にいるのだが県の土木職員等の一層深刻な人手不足という報道が流されているので、私としても監督の質のことも気になって聞いてみると、幹部クラスは「確かに厳しい状況が続いてはいますが、おかげさまでなんとか現状の人員確保がはかれています」といっており、最終的に人員確保はなんとか落ち着いたといっていたのだ。 公務員でも建設関係の技術職は採用抑制や退職不補充ということで若手社員に業務のしわよせが及び、長時間労働を余儀なくされる職場もあるときいていたのだが、あからさまな手抜きをする人は多くないという印象だが、水面下では「米国流」の対応も進んでいるという指摘もあるようなのだ。私が読んでいる業界紙でも「人手不足で増大した業務負担を緩和するための手抜き」という要因も挙がっていたのだ。それと「カネがかかることなら職場環境の改善すらしたくないということなのか、件の土木事務所は10年前より職場環境が悪くなっていると感じたのだ。こんなことでは一般企業の社員以上に熱い使命感に燃え働いている県職員の人たちですら、確実にやる気を失わせられているようなのだ。 それと「目標必達」ということ自体は悪いことではなく、工期内に工事を完成させることはあたりまえで、給料をもらう以上はその覚悟をもつべきであるし、そのことを工夫するのが我々の仕事なのだが、しかし「目標を達成しろ」という檄に「何としても」とか「何がなんでも」という枕詞をつけてしまうと、部下による不正のリスクをグンと高めてしまうということを、上司は肝に銘じる必要があるとおもっているのだ。目先の利益を優先することは悪を生むことになり、周囲の評判を含めて結局もとからダメにするようで、盲目的に無理な指示を受け入れる者は自分が人の上に立った時に、下に対して同じような無理強いを平気ですることになるといわれるのだが、そんな環境に公務員もなってきたのかと驚いているのだ。 収益額や獲得件数など数字上の結果だけで評価すると、部下は数字を作ってでも自分をよく見せようとしがちになる。目標の達成に向けてどのように努力したのかにも、きめ細かく目を配ることも大切だといわれているのだ。「Nobody questions good news.」-- いいニュースは誰も疑わない――、米国企業で巨額の会計不正と横領に手を染めた者の言葉なのだが、できる部下は上司にとってかけがえのない存在で、期待どおりの成果を報告してくれれば「よくやった。すばらしい」と手放しで喜びたくなるだろうが、不正を行う者はその甘さを目ざとく突いてくることから、管理者と呼ばれる人たちはどんな場合も報告を鵜呑みにしてはいけないし、現場を回った際に、なるべく一人ひとりと話をすることを考えるべきだろう。
2014年07月04日
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予定価格と実際に想定される事業費の開きが大きくなれば、いくら民間建設業者が技術・ノウハウを駆使し、コスト削減や事業効率性を高めても対応しきれない。そのようなことから建設コストが事業者の収益を圧迫し、プロジェクトそのものを白紙に戻す動きが現れ始めたそうだ。都市圏の公共事業では東京五輪が開かれる2020年まで建設を延期する動きが相次いでいるそうなのだが、千葉県木更津市は2年後の10月の完成を目指して市役所の改築工事を計画し4月に入札を実施したが、入札参加者が辞退し不調となったというのだ。木更津市によれば労務費や資材費の急激な高騰によって、参加者の見積額が市の予定価格を上回ったことが辞退の理由なのだ。 特に自治体などが発注する大型建築工事で入札参加者が辞退しての入札不調が目立つというのだ。このような大型建築工事の場合は工期が長くその間の価格上昇リスクが高まることが不調・不落の発生割合が高くなる理由なのだ。入札不調を受けて千葉県木更津市が5月に開いた新市庁舎整備の特別委員会で入札を断念したそうなのだ。木更津市は市役所改築工事の長期凍結を決めたそうなのだが、その時に議会等に提示した対策として「現行の計画通りに建設する案」と、「規模を縮小して建設する案」と「東京五輪以降まで延期して建設する案」を策定したそうなのだが、現庁舎の耐震性が不足していることからいずれの案でも仮庁舎の移転が必要となるというのだ。 市役所の移転費用は新市庁舎建設の総事業費とは別に約21億3000万円を見込んでいたそうなのだが、市管財課の担当者は「東京五輪までは、労務費も資材費も下がらないと見込んでいる。延期すれば、建設のための基金を積み増すことができる」と話しているのだ。入札が不調なら価格調査が甘かった証拠なのだから再度価格を調査して再度入札すればいいだけだと思うのだが、職人や技術者の不足が深刻化して需給バランスが崩れ職人の労務費は上昇の一途といわれている。それが建設コストの上昇につながり影響は全国に広がり、昔なら対応できたが今は技能者の絶対数も限られ、いろいろ造っていきたい施設が予定通りに着工できない状況が多発しているというのだ。 労務費高騰が北海道新幹線の開業を見据えた開発計画を直撃しており、JR函館駅前で計画が進んでいた2つのプロジェクトが相次いで白紙に戻り、2016年3月の新幹線開業に間に合わない公算が高くなったというのだ。北海道新幹線は函館駅を通らず北斗市内に設置する新駅「新函館北斗駅」を通るそうなのだが、函館市は新幹線開業を街づくりの好機と捉え函館駅前の再開発に着手していたのだ。それが昨今の労務費高騰などで事業費が3億円ほど膨らむことが判明し、函館市が規模縮小をJR北海道に提案したところ、開発業者とJR北海道を含め3者で協議した結果、「事業ストップというのは、最終手段で異常事態」としながらも、ついには中止することが決まったというのだ。 政府はインフレターゲット定めて消費税増税ということを行い、燃料代の高騰や電気代の値上げ等でインフレを強引に誘導しているだけでなく、景気回復の手段にしているのだから資材高騰や労務費高騰はあたりまえということなのだ。何としてもインフレにもっていきたい政府の思惑通りの結果なのだ。インフレを望んできた大企業連中や自治体が実際にインフレに動き出したらクレームをつけて、感情的に一番デフレで苦しんできた職人さんをやり玉に挙げるなんて絶対におかしいと思っている。技術者を育てるのには金も時間もかかるのに技術者を育ててこなかったのだから、無計画に人を切ったり集めたりするのではなく、公共事業を一定の投資を継続し平準化するべきなのだろう。
2014年07月03日
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消費税率アップで社会保障費の財源の一部を手当てすることができたのだが、財務省はまだまだ増税の手綱を緩める気はないみたいで、このことは基幹税である法人税率の引き下げの要望が経済界に根強いためだ。「消費税1%分を上げた負担を法人税でカバーするなら、5%程度くらいは法人税を下げないといけない計算」ともいわれている。消費税率の引き上げ後の半年程度はマイナス成長に陥るとの見方が強く、景気刺激のための減税や財政支出を求める要望が高まるのは必至なのだ。そこで政府与党内で次々と増税案が浮上しているそうなのだが、背景にあるのは法人税の実効税率の引き下げで、代替の財源確保は容易ではなく場合によっては政治的混乱となる恐れもあるというのだ。 安倍政権は閣議決定した成長戦略の目玉として法人税の実効税率引き下げを打ち出しているのだが、これは諸外国に比べて高いとされている法人税を引き下げ企業の競争力を強化しようという説明をしているのだ。今の日本は財政難でありただ法人税率を引き下げただけでは税収が大幅に減ってしまうことから、財政当局としては税収が減ってしまう事態は何としても避けたいところなのだ。そこで法人税に代わる代替財源をどのように確保するのかが焦点となっているわけなのだが、当初は法人税減税の恩恵を受ける特定の大企業を中心に適用されている各種優遇税制を廃止するというプランが出されたのだが、法人減税に賛成した大企業は優遇税制の見直しには大反対したのだ。 この各種優遇税制は実はものすごくいっぱいあって、エネルギー関連とか設備投資資産の償却関連が特に多くて、大企業は結構その恩恵を受けているそうなのだ。ですから実はすでに法人税の実質的な負担率は欧米諸国なみに低いという大企業は少なくないというのだ。財源を工面する必要がある企業の活力を減税や規制緩和で、設備投資を刺激して持続的な経済成長のサイクルをつくろうとしている安倍晋三政権だが、「法人税を下げて海外の優良企業に日本に来てもらう」というレベルにするには、シンガポール並みに20%を切るくらいにしないとならないことか、らさすがに無理とされているのだ。現実には法人税の減税をしたからと言って企業の手元現金が増えて経済が劇的に元気になることはないのだ。 中小企業の税負担を軽減するための軽減税率制度の見直しや、公益法人に対する優遇制度の見直しなども検討されたのだが、いずれも該当する企業等はこれに反対していたのだ。法人税減税は「大企業優遇」と批判されがちなのだが、確かに法人税減税の直接的な恩恵を受けるのはグローバルな経済活動をしている一部の大企業となっているのだ。つまり国内で仕事をしていてかつその多くは赤字である中小企業には、今回の法人税減税は関係がないということのようなのだ。しかも今年度の税制改正で復興特別法人税が1年前倒しで廃止さることになったのだが、東日本大震災後の復興予算がいらなくなったわけではなないのだ。復興予算は必要だが法人が負担するのはやめようということになっただけなのだ。 そこであらたに浮上してきたのが法人税とは直接関係しない税を増税するという案で、自民党内部では携帯電話に課税する方法やパチンコに対する税金など庶民から税金を徴収する様々なプランを検討しているそうなのだ。多少の増税で価格が上がってもなかなか手放せない存在になったのが携帯電話で、通信業界は景気に大きく左右されにくい業種に育っていて課税しやすいとの思惑も働いているそうなのだ。そして遊戯と定義されているパチンコも大きな産業となっているうえに脱税なども多いことから標的になっているというのだ。しかも「損して得とる」の発想に乏しい財務省は減税の大盤振る舞いによる税金の落ち込みだけは、なんとしても避けたいとの思いでいっぱいのようなのだ。
2014年07月02日
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国土交通省は7月からトンネルや2m以上の道路橋などを、5年に1回の頻度で点検することを義務付けたのだが、近接目視による点検の義務化とその頻度などを定めた省令・告示を施行したのだ。トンネルは全国に約1万本、2m以上の橋は約70万橋に上ることから、この省令等に罰則こそないものの予算や人材の面で苦境に立つ自治体には戸惑う声も少なくないとされている。この省令等の施行に先立ち先月に国交省道路局は定期点検要領を公開したそうなのだが、それによると新たに作成したのは「道路橋」・「道路トンネル」・「シェッド、大型カルバートなど」・「横断歩道橋」・「門型標識など」の5種類の要領で、省令や告示に基づき点検方法や変状の着目箇所や判定事例などを示している。 いずれの要領も「最小限の方法、記録項目を具体的に記した」という位置付けなのだが、要領の内容を満たしていれば独自の点検要領や記録様式を使用してもかまわないというのだ。点検方法は近接目視が基本で必要に応じて触診や打音検査を含む非破壊検査を実施するとされている。近接目視が物理的に困難な場合は現場の条件などを踏まえてファイバースコープや弾性波探査などの適用を個別に検討するということなのだが、予算や人材の不足に悩む小規模な自治体にとって、定期点検の義務付けは悩ましい問題となりそうなのだ。これら構造物類の健全性は「健全」・「予防保全段階」・「早期措置段階」・「緊急措置段階」の4段階で診断するということのようなのだ。 道路橋の場合は「主桁」や「床版」・「支承」といった部材単位の健全性と橋ごとの健全性を判定して、部材単位の健全性の診断結果に基づいて「補修」や「補強」・「撤去」・「通行規制」などの措置を講じるというのだ。その点検を行なって診断を下す従事者等なのだが、要領では「道路橋に関する相応の資格または相当の実務経験」とか、「道路橋の設計、施工、管理に関する相当の専門知識」・「道路橋の点検に関する相当の技術と実務経験」のいずれかを持つ者が定期点検を実施すると定めたそうなのだ。国土交通省の地方整備局は点検・診断業務を発注する際に、技術士やRCCMなどを管理技術者の要件としており、自治体にこれを参考にするよう促しているというのだ。 このような要件を満たしていれば自治体職員が点検を実施することも可能で、実際に自前で点検を実施しようと考える自治体もあるようだ。定期点検の義務付けに伴い自治体の財政面での負担が増すことから、国交省は防災・安全交付金で支援するとしており、新たな補助制度の創設も視野に入れているそうなのだ。発注業務をこなす能力が不足している自治体は、都道府県ごとに立ち上げが進む「道路メンテナンス会議」などを通じて支援するそうで、例えば市町村の意向があれば県が点検業務を地域で一括発注することなども検討するというのだ。トンネルと橋の点検業務については国土交通省が統一の歩掛かりを作成中だそうなのだが、点検の義務化による影響は大きそうだ。 定期点検要領の作成に当たって国土交通省は自治体から意見を募集したそうで、約200の自治体から約1000件の意見が寄せられたそうなのだが、その内容からは「義務化」と「近接目視」に困惑する自治体の様子が浮かび上がっている。義務化について「点検頻度を緩和してほしい」とか、「小さな橋梁については適用除外としてほしい」といった要望が自治体から上がったそうで、これに対して国土交通省は「省令で定めた基準なので、点検の頻度や規模の緩和はできない」との見解を示している。インフラの点検を、頻度を高めて丁寧に実施すること自体に異論はないだろう。とはいえ、予算や人材の不足に悩む小規模な自治体にとって、定期点検の義務付けは悩ましい問題で、しばらくは点検を巡って混乱が続きそうだ。
2014年07月01日
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