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2011.12.16
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カテゴリ: 歴史
2日続きの軍事ネタになりますが・・・・・
尖閣諸島沖の巡視船衝突事故、南沙、西沙諸島での暴力的な遊弋などを見ると、「人民解放軍は何を考えているのか?」と思うわけです。

伸び率二桁におよぶ軍拡で、今も「孫子の兵法」に基いて謀略に励む人民解放軍の不透明さが不気味である・・・・ということで、この本を手にした次第です。


ワリヤーグ
黄海を航行する中国初の航空母艦「ワリヤーグ」。8日に米デジタルグローブ社の衛星が撮影した。


「中国の海洋戦略にどう対処すべきか」大田文雄・吉田真著、芙蓉書房出版、2011年刊

<はじめに> p1~2
 中華人民共和国は建国以来、海洋への進出に意欲を燃やしており、それが顕著な形となって現れてくるのが1980年代前半です。1989年以降約20年間連続して防衛費は二桁の伸びを成し遂げ、そして特に北京オリンピック終了後から自信をつけて積極的に海洋進出を図っています。その一連の動きとして2010年9月に生起した尖閣諸島沖の海上保安庁巡視船と中国漁船との衝突事故がありました。
(中略)
こうした事件を機に、中国海洋進出の実態と、これに我が国はどのように向かい合ったら良いのかについて、国民的な議論がなされているところです。



<孫子の兵法> p7~10
 2001年に、太田は統幕学校長として、カウンターパートである中国国防大学を訪問し、軍事戦略教育における孫子の位置づけを問うたところ、先方の回答は中核的地位を占めているとのことでした。同じ時、太田は中国参謀本部の対外インテリジェンス担当参謀長熊光楷陸軍中将と人民解放軍司令部で会談しましたが、会談の途中で太田が「孫子の兵法」の一節を口にすると、すかさず応じ、「孫子の兵法」を完全に諳んじていたことが印象的でした。
 その後の2006年に、中国人民解放軍は軍事科学院の専門家が編纂した「孫子兵法軍官読本」を訓練教材として正式に採用しており、これまで将校クラスが研究していた「孫子の兵法」を全兵士にまで拡げています。

 トウ小平の24文字戦略の中に表された「韜光養晦」即ち、韜とは刀や槍の鞘であり、光は輝く能力、晦は「晦冥」でお分かりのとおり暗闇ですので「輝くような能力は隠し、人には分からないところで(戦力)を養っていく」という戦略も、武経七書の一つである六韜の一節であり、中国は古典兵法を今でも採用しているところ、今日の中国の動きを見ていると孫子の兵法に則ってグランドストラテジーを遂行していると思わせることが幾度となくあります。
 毛沢東も『孫子の兵法』の指針を多く取り入れ、また中国海軍の戦略思想も根底に『孫子の兵法』があるとされています。

 2010年に出版された『瓦解戦』では、『孫子の兵法』始計編第一の「兵とは詭道(相手を騙すこと」を「用兵の鍵」として、「謀略と奇策を善く用いて敵軍を瓦解させる」としています。一見、非軍事活動をすべき漁船が、海上民兵として機雷の敷設訓練といった軍事活動に加わることが日常的に行われています。米国防総省出版の2008年版『中国の軍事力』にも「計略(Stratagem)や欺瞞(Deception)が軍のドクトリンに取り入れられている」と記されています。

 虚実編第六には「其の必ず救う処を攻めるばなり」とあります。これは相手にとって取られると必ず救ってくるところを攻めるという意味です。2010年9月に尖閣列島周辺海域で中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりし、船長が逮捕されましたが、船長を解放させるために、中国はこの手を使いました。フジタ工業の4名が逮捕されたのです。

 同じ虚実編第六ですが、「それ兵の形は水に象(かたど)る。水の行は高きを避けて低きに趣き…」という一節があります。後述するように中国の海洋進出パターンは力の空白に乗じ、相手を試しつつ、相手が強硬なヘッジをかけなければジワリジワリと進出していき、まさに水が浸透していく有様によく似ています。

 やはり虚実編第六には「兵の形は実を避けて虚を撃つ」、即ち「敵の弱点を我の強点によって攻撃する」とありますが、アメリカに対しては弱者である中国は、アメリカがあまりにも情報に頼り過ぎていりことを弱点と捉え、専門のサイバー攻撃部隊を養成して指揮・管制・通信網をズタズタにしようとしたり、ネットワークの重要拠点である衛星を破壊する実験を行ったりしています。こうした中国のやり方を、暗殺者の戦棍として米国では警戒しています。
(中略)

 本章で述べる三戦、超限戦、瓦解戦といった中国の軍事戦略は、軍事とは言いながらもほとんどが非軍事力の活用という総合的な戦略です。2009年版台湾の「国防報告書」にも「平時と戦時の兵力配備を同一化し、従来の活動領域を越えた領域での活動を行うなどして、例外的行為を慣例化・常態化させることにより、相手方の警戒意識の麻痺や国際社会の状況の変化を黙認・受容させることなどを企画している」としており、まさに尖閣列島周辺海域での侵犯行為の常態化などは、これを狙ったものでしょう。
 この点、軍による敵重点への兵力集中を主眼とするクラウゼヴィッツ兵学に染まった西側(日本も含む)は、その足元をさらわれかねない危険性を有していることに留意しなければなりません。後述するように、中国海軍の装備・戦術は西側一流海軍国と比較すればまだまだのレベルであり、クラウゼヴィッツ流兵学者にとってみれば大したことはないと思われがちですが、戦略、政治、文化といった非軍事面をも含めた総合的な面では侮れず、それが中国に対抗するために『孫子の兵法』を学ばなければならないとする大きな根拠となります。



<超限戦> p20~21
 超限戦とは1999年に喬良、王湘穂という二人の中国空軍大佐が共著で出した書物です。その名のとおり限度を超えた戦いですが、限度にはいろいろな意味があります。国境や戦場の境界線、固定概念、倫理上の規則といった限度もあるでしょう。それを超えていく、即ちサイバー攻撃などは、国境を越えていく良い例でしょう。また戦争には越えてはならない一線、例えばジュネーブ条約で決められた人道法上の限度もあるでしょう。それを越える、要するに「何でもあり」のやり方が超限戦と言えます。
 書中の定義によれば、超限戦とは「武力も非武力も、軍事的も非軍事的も、殺人や障害またそうでないものも含め、あらゆる手段を用いて自分たちの利益を敵に無理やり認めさせる」という意味です。非軍事的手段の中には貿易戦が入っています。2010年の尖閣列島事案で中国漁船が逮捕され、釈放されないと知った中国は、日本経済の泣き所であるレア・アースの輸出を事実上止めたとされていますが、これなども貿易戦を使って相手に自分たちの主張を無理やりに認めさせた好例と言えるでしょう。
 2005年前後に、日本がオーストラリアのレア・アースを輸入しようとした際、中国がそれらを事前に買い占めてしまった事案がありました。中国は自国にレア・アースがあるのにも拘わらず、何故買い占めたのか、今回の事案によってはっきりしてきました。中国は貿易を自国の主張に相手を屈服させるための戦略兵器にしたいと思っていたのです。

 中国のサイバー攻撃に関しては、これまで中国政府は一貫して「関与していない」としてきましたが、2010年12月にウィキリークスが「メディアを担当している李長春と、治安を担当している周永康という二人の政治局常務委員が指示している」としたことから中国政府の関与の疑いが濃厚となってきました。特に周永康に関しては、金正日の後継者として金正恩が姿を現した2010年10月の北朝鮮軍事パレードで金正日の右隣に立っていたことで有名です。周永康は、かって石油や資源畑の経験が長かったことから、先に述べたレア・アースの禁輸に関与した可能性も高いように思われます。



<民主国家群との共同 ロシアほか> p158~159
 最後に海洋国家ではなく民主国家とも言いがたいロシアですが、同じ上海条約機構の一員とは言え、最近ではロシア製兵器をコピーして安く第三国に転売している中国に不満を強めており、かつ人口が希薄化しているシベリア地域に中国人を送りこんで資源を漁り、また軍拡著しい中国に対して警戒心を増大させて中国離れの傾向があることから、今後連携していく余地があるものと推察されます。2011年6月にフィリピン東方海域に進出した11隻の中国艦隊にロシア海軍艦艇が偵察、それに対して中国の艦載ヘリコプターが接近・周回の威嚇行動を行いましたが、戦略的パートナーシップである国同士がこのようなことをするでしょうか?

 太田は2011年7月にモンゴルに出張しましたが、在モンゴルの城所日本大使が「中露間は、実際には非常に仲が悪い」と語っていたことが印象的でした。
 ロシアと中国の間にあるモンゴルについては、1990年代初期に民主化した後の経済的に厳しかった時、日本が最も経済援助したことから親日的な国であり、今回の東日本大震災に際してもバットボルド首相が公務員に1日分の給与を提供するように呼びかけ義捐金が集まりました。
 モンゴルはジンギスカンの蒙古帝国崩壊後16世紀頃からは清の支配下に、1911年には独立しましたが中露の密約により1915年のキャフタ会議で中国軍閥が占拠、1921年からはロシアの衛星国となりました。この歴史からモンゴルは中露の仲が良いときには自国の安全保障が危うくなることを経験しているため、上海条約機構には加盟していません。また中国による圧政と、現在でも中国人はモンゴル国内で多くの犯罪を起こしていることから、モンゴル人の9割方は中国人を嫌っています。
 2011年7月に太田はモンゴルでボルド国防大臣と会談し、中国に対する懸念を共有しました。

 以上の自助努力、米国との共同、他の海洋国家・民主国家群との協力という多層の努力の相乗によって効果的な対策がとれるものと思われます。

 中国は、これまでの一人っ子政策が効いて約20年後には、社会保障費の増大から、経済の減速が中国共産党の正当性に疑問を投げかけ、現在の日本同様、国防費への投資が減っていくでしょう。また易姓革命の中国における歴代の王朝が衰退していった経緯は、権力者達が既得権益に胡坐をかいて腐敗し汚職を重ね、社会格差が広がって各地で暴動が起こり王朝が倒れていくのが常であり、現在各地方で毎日のように起こっている格差・雇用不安・機会不均等・民族問題に起因する暴動、そして共産党員の汚職からして「共産党王朝」が衰退していくのも時間の問題であり、それまで上記対策のシナジー効果によって何とか持ちこたえることができれば、と思っています。

 これまで、世界のリーダー的存在となった国は、島国や半島国家といった海洋国家で、かつ自由や民主主義のように諸外国を魅了するような理念を持っていました。こうした前例からすれば、中国は世界のリーダーにはなり得ないと考えられます。


「共産党王朝」が衰退していくのも時間の問題・・・・と頼もしい観測もあり、希望の芽が見えますね♪
そういえば、9/30 中華の「ネット攻撃システム」 で超限戦という耳慣れない言葉を見かけたことを思い出したのです。
超限戦とは中華の何でも有り戦略であり、クラウゼヴィッツ兵学より次元が高いことは確かであるが・・・・・「それをやったらお終いよ」的思考なんでしょうね。








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Last updated  2011.12.17 11:39:15
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