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2015.02.09
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カテゴリ: 映画
図書館で予約していた『敗戦とハリウッド』という本を受け取り、パラパラめくってみると・・・
ゲッ!堅い感じの完璧な論文スタイルである。
本を手にしないで予約すると、よくあるパターン(外れ)だが、即返すのも悪いので持ち帰って読むことにしたのです。

占領政策あるいはプロパガンダという観点で、アメリカが行ったイラク戦争とアフガニスタン侵攻の戦後処理を見ると、まあ見事な失敗である。
一方で太平洋戦争後の日本占領は、敗戦国の国民から見ても成功例と言わざるを得ないのです。
中東の場合、イスラム教、部族社会という困難さはあったにしても、この占領結果の違いは何だろうと思うわけです。

日本社会の分析に関しては、ルース・ベネディクトの『菊と刀』が秀逸であったが・・・
占領後の日本統治に関しては、用意周到な文化政策、プロパガンダが効を奏したようですね。

・・・そういう見方で、この本を読み進めます。


ハリウッド

北村洋著、名古屋大学出版会、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
占領政策の一環としてハリウッド映画を利用したGHQと、その到来を歓迎して映画館へと押し寄せた日本人。両者の関係を多面的な交渉のプロセスと捉え、検閲・配給・宣伝をめぐる様々な試行錯誤から、ファン文化の形成まで、熱狂と葛藤に満ちた占領の文化史を描き出す。

<読む前の大使寸評>
この歳になって、やっとハリウッド映画の呪縛から開放されたというか・・・ハリウッド映画の劣化に気づいた大使である。

思えば・・・アメリカン・ニュー・シネマの頃は素晴らしい作品が溢れていたが・・・
アメリカ映画をこよなく愛でる下地は、大使がまだ物心つく前から周到に準備されていたようですね。
アメリカの占領政策を知りたいと思う今日この頃である。

<図書館予約:(11/14予約、2/06受取)>

rakuten 敗戦とハリウッド 占領下日本の文化再建



物心ついた頃に、ジョン・ウェインの『駅馬車』や『硫黄島の砂』を観た大使であるが・・・まさにこの政策にのっていたようですね。

<はじめに> よりp2~3
 本書では、戦後の日本再建においてハリウッドの果たした政治的・社会的・文化的役割を考察していく。そのため、アメリカ政府、軍、映画産業の公式文書、メモランダム、議事録、私信などを検証しながら、ハリウッドとアメリカの外交・占領政策の関係を明らかにする。また、アメリカ映画が日本人に与えた影響についても検討したいと思う。そのため、日本で流通した新聞、チラシ、プログラム、ポスター、さらには関係者へのインタビューを通じて、人々がいかにしてハリウッドと接し、それを解釈したかを検討したい。

 以下、本書の立ち位置を簡単に説明しておこう。まず、筆者は「外交政策」研究への貢献を目指している。本書で具体的に論じるアメリカによる日本の「占領」は、過去数十年にわたり多くの歴史家によって検討されてきたが、長らくその根幹にあったのは「占領」をアメリカの「政策」として理解することであった。多くの資料の発掘と綿密な読解に基いたこの分野の研究の多くは、GHQ/SCAPの複雑な組織構造を解き明かし、日本に対する非軍事化・民主化政策を形成・遂行する過程、および「逆コース」にともなう産業と経済の回復を優先する展開に光を当てた。

 近年の研究は、こうした政治・経済政策などから「社会」へと視野を広げ、民族、人種、ジェンダー、文化などの視点から「占領」のポリティクスを再考し、ことに被支配者たる日本人の占領体験を包括的に見つめ始めた。その中で際立つのはジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』である。ピューリッツアー賞をはじめとする一連の栄誉を獲得したこの著作は、占領政策が日本に与えた影響を分析するにあたり、敗北に打ちひしがれた日本人が、いかにして戦争という「過去」とアメリカによる占領という「現在」と向き合ったかを精緻に綴っている。ダワーは「占領」を単にアメリカによる「上から」の一方的な介入と見なすことを拒み、「日本人」の生き様を、政治家から小説家、「パンパン」、農民、子供に至るまで、「万華鏡的」な描写によって克明に―「上から」も「下から」も―描き出している。

 本書でもダワーのように占領期を「上下」両方から検証しようと思う。そのために、終戦後の日米関係を「共有の場」という枠組みで考えてみたい。ここでハリウッドに的を絞るのは、それが日米をつなぐ媒介として特殊な役割を担ったからである。「占領」という制約的な政治状況のなか、アメリカ映画産業は海外の私企業として例外的に商業活動を許可され、「政策」と「社会」の架け橋として機能した。つまり、終戦後のハリウッドは、アメリカ政府の「選ばれし装置」として機能したのである。その中で、アメリカの映画会社は「夢の工場」の魅惑を日本に輸出すると同時に、「啓蒙キャンペーン」と呼ばれた営為を展開し、スクリーン内外の活動を通して日本全国にアメリカの存在を見せつけていく。


終戦後のハリウッド映画の躍進ぶりを見てみましょう。
(まるで、今のアナ雪の躍進を見るようである)

<おわりに> よりp208~209
 1952年6月24日、『硫黄島の砂』(1949年)が日本で初公開された。リパブリック社が製作したこの作品は、ジョン・ウェイン演じるストライカー軍曹の指揮の下、タラワと硫黄島におけるアメリカ海兵隊の戦いぶりを劇的に描いた。その中で、無骨で勇敢なストライカーは、部隊の一部から反感を買いながらも仲間の信望を得ていく。そして硫黄島の擂鉢山での死闘の後、アメリカ軍は星条旗を掲げるが、その直前にストライカーは日本の兵士に狙撃され、仲間に見守られながら静かに息を引き取る。

 この映画は1949年に製作されていたが、日本人の気持ちを逆撫でするのではないかという心配から、GHQ/SCAPの下では公開されなかった。しかしセントラル社が解体すると、リパブリック社は米軍やアメリカ大使館と即座に打ち合わせを行い、公開の準備を進めた。日本向けのプリントからは「ジャップ」や「ニップ」といった差別用語が入念に取りのぞかれ、反響を確かめるために日本の興行者、メディア、硫黄島からの復員兵を招いて試写会が催された。

 宣伝に際してリパブリック社は、アメリカの愛国心を標榜する言説を排除し、「極力ハリウッド式ヒロイズムの謳歌を避け」た映画として広く売り出した。結果は大成功だった。
 ロードショー公開された日比谷劇場では大入りが続き、1週間の興行記録はたちまち塗り替えられた。『硫黄島の砂』は、その年の洋画の配給収入の二位に食い込むこととなる。

 この一見意外とも思える『硫黄島の砂』の興行的成功には、いくつかの理由が考えられる。まずは、『駅馬車』や『スポイラーズ』で名を馳せたジョン・ウェインが主役を務めたということが挙げられる。また、戦後見られた軍歌の復活や戦記物への高い関心からも察せられるように、第二次世界大戦に対する関心が高まっていたことも推測できる。
 戦争映画に関しては、もちろん『きけ、わだつみの声』(1950年)、『二十四の瞳』(1954年)、『人間の条件』(1959~61年)などといった日本を描いた作品が多くの観客の共感を呼んだが、アメリカの戦争映画の人気も高まっていた。佐藤忠男は、その大きな理由を、日本軍が強敵として描かれている点にあるとみている。佐藤自身も、要所要所でアメリカ兵が「日本軍の強さに舌をまく」場面に「一種くすぐられるような快さで、私の胸にひびい」たと告白している。

 日本における『硫黄島の砂』の成功はまた、占領期に再開したアメリカ映画の配給攻勢の成果を象徴する現象でもあり、以後のハリウッド映画に対する日本の観衆の熱意を暗示しているように思える。実際、終戦後に再開したアメリカの映画攻勢の効果には目を見張るものがあった。

 実に6年半もの間、セントラル社はGHQ/SCAPとの協調関係を維持しつつ、組織的な商業活動を全国的に展開した。そしてアメリカ映画を単に「娯楽」としてではなく、「文化」と「啓蒙」の媒体として売り込み、観客の関心を誘った。そして多くの日本国民の「心」を掴んだのである。


ムム アナ雪など最近のディズニーの躍進を苦々しく思っていた大使であるが・・・
アメリカの文化的占領政策は現在まで連綿として続いていたのか(それは思い過ごしです)
「啓蒙キャンペーン」とは、プロパガンダと同義であり(言い換えても間違いでない)・・・
確かに啓蒙されたが、何かを誤魔化されてきたと思わないでもないのだ(それも思い過ごしです)。

この著書は、朝日の吉岡記者の 書評 を読んで図書館に予約したのであるが、ちょっと専門的過ぎたようです。





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Last updated  2015.02.10 01:03:09
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