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2021.04.27
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カテゴリ: アート
図書館で『デザイン偉人伝』という本を手にしたのです。
日本絵画のフラット性をデザインという物差しで語っているところが・・・ええでぇ♪






松田行正著、左右社、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
俵屋宗達はトリミングの達人、モネはオールオーバーの先駆者だった!…「デザイン」という言葉が生まれるずっと以前から偉業は成されていた!偉人たちの手法や着想のヒントを時代背景とともに解き明かす。目からウロコのデザイン史!

<読む前の大使寸評>
日本絵画のフラット性をデザインという物差しで語っているところが・・・ええでぇ♪

rakuten デザイン偉人伝



ポスターの流行が語られているので、見てみましょう。
p100~104
19世紀パリのポスター流行の背景
 19世紀後半、シェレはポスターというメディアを創始したが、ポスターが注目を浴びるようになったのにも当然背景がある。
 まず、紙の大量生産が可能となったこと。それまであった事前検閲制度が撤廃されたこと。印刷技術が発達したこと、加えて、パリのあるセーヌ県知事、オスマン男爵による大改造によってパリが味気なくなったための彩りをポスターが担ったこと。新聞などのメディアの発達などが挙げられる。
シェレのポスター

 それまでのパリは路地が入り込み、汚物やゴミなどをそのまま道路に投げ捨てていたため不衛生極まりなかった。そうした都市の汚物はセーヌ川を汚染した。飲み水をセーヌ川から得ていたため、疫病もあとを絶たなかった。

 また、道路が入り組んでいたため、暴動が起きたときも簡単に鎮圧ができず、ゲリラ活動にうってつけだった。暴動はフランス革命以来、パリの名物でもあった。
 皇帝になったナポレオン三世は、オスマン男爵に、パリの衛生状態改善とともに、軍隊をすぐ派遣できる広くてまっすぐな道路づくりを命じた。

 そして、凱旋門を中心に放射状に広い道路が延び、円形の道路が放射状の各道路を結ぶ、現在のパリ市街ができあがった。
 画一的な形に生まれ変わったパリは、オノレ・ド・バルザックやヴィクトル・ユーゴーらが描いた往年の風情を失った。規則性が都市をつまらなくしたのだ。かつての入り組んだ街路では、暴動によるバリケードばかりではなく、大道芸、演芸小屋、劇場などが並び、「街路は娯楽に捧げられていた」。

 その風情を幾分か取り戻した気分にさせてくれたのがシェレが描いたポスターだった。踊り子たちが乱舞する姿態は、かつてのパリの猥雑さを彷彿させてくれた。

 また、1851年にロンドンで世界初の万国博覧会が開催され、フランスを含めてヨーロッパ各国は、工業化をめざした。それにともなってメディアも発達する。新聞、雑誌、キオスク、展示会、音楽会、サーカス・見世物などの興行も発展した。新聞は広告収入も得るようになり、広告の重要性が高まるとともに、イラストレーターなどのクリエーターの需要も増えた。情報化社会のはじまりである。そのなかでポスターは媒体の最前線に位置づけられた。

■シェレのポスター革命
 シェレは、1858年に、オペレッタの創始者、ジャック・オッフェンバックの依頼で公演ポスターの制作を引き受ける。オッフェンバックのオペレッタは当時最先端だった。

 このときにつくった<地獄のオルフェ>のポスターが世界初の多色リトグラフのポスターとなった。一応タイトル文字は絵柄の一部として使っているような感じだが、あまり評判を呼ばなかった。

 おそらく、テーマに沿っているとはいえ色使いが、濃い緑とくすんだオレンジで地味だったのと、全体にイラストがゴチャゴチャしてポイントが明快ではなかったことが理由として挙げられる。

 その後、シェレはパトロンを得て、自らのリトグラフ工房をつくり、ポスター制作に仕事の中心を置いた。
(中略)

 以後シェレは、十数年で1000点くらいのポスターを制作したというから驚く。シェレなしではパリを語れない時代だった。

 そして、シェレの活躍は、ポスターを蒐集するギャラリーや富裕層を生むなど、ポスター表現をアートにした。戦間期、ベル・エポック時代を迎え、ポスター・アートが、蔓延する享楽に火を注いだ。

<地獄のオルフェ>


『デザイン偉人伝』2
『デザイン偉人伝』1
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Last updated  2021.04.27 00:18:13
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