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2023.06.17
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カテゴリ: 映画
図書館で『アメリカ人の見たゴジラ、日本人の見たゴジラ』という本を、手にしたのです。
横書きで論文調の構成ではあるが・・・何やらマニアックであり、面白そうである。




池田 淑子編著、大阪大学出版会、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
ゴジラはついに星になった(ゴジラ座、2018)。なぜ半世紀以上も日米で愛されているのか。ゴジラを愛してやまない日米の6人の研究者がその問いに挑む。

<読む前の大使寸評>
横書きで論文調の構成ではあるが・・・何やらマニアックであり、面白そうである。

rakuten アメリカ人の見たゴジラ、日本人の見たゴジラ


「ゴジラ(1956年)」のアメリカ版「怪獣王ゴジラ (GODZILLA KING OF THE MONSTERS)」のポスター

「はじめに」の冒頭部分で日米のゴジラ映画を、見てみましょう。
pi~ⅲ
<はじめに>
 およそ60年以上も前、核に対する強いメッセージが吹き込まれた日本のゴジラ映画は、2011年3月の東日本大震災(3.11)による福島第一原子力発電所の事故以降、国の内外で再評価が始まった。
 なかでもアメリカでの反響は非常に早いものだった。2012年1月、初代『ゴジラ』(1954)に英語の字幕が付けられたオリジナル版が、そのアメリカ版であるGodzilla, King of the Monsters!(1956)とともに、2枚組DVDの形でクライテリオンコレクション(The Criterion Collection)から発売され、さらに、2014年には、初代ゴジラ映画のリブート版Godzillaが制作され、世界中で大ヒットを収めた。

 一方、国際的な再評価を目の当たりにした東宝は、2014年6月、ゴジラ60周年記念のイベントに、当時主役を演じた俳優、宝田明氏とアメリカの新作映画Godzillaのギャレス・エドワーズ監督を招待し、初代『ゴジラ』のデジタル・リマスター版を劇場公開した。そして2016年7月、一度は自ら終止符を打ったゴジラシリーズを復活させ、新作『シン・ゴジラ』(2016)を制作・配給したのである。

 このように、アメリカにおけるゴジラ映画の需要は、日本よりも進んでいる。チョン・ノリエガ(Chon Noriega)の論文「ゴジラと日本の悪夢」(“Godzilla and the Japanese Nightmare”1987年にアメリカで刊行)など、研究もかなり早くから行われてきた。一方、日本でゴジラ映画に関する学術書が現れたのは、1990年代後半になってからのことである。

 日本の地政学的な文脈の中で、『ゴジラ』を「怪獣神話」として分析した高橋敏夫が第一人者であろう。3.11以降、日本でのゴジラ研究は急速に増え、なかでも吉見俊哉は、『夢の原子力』のなかでゴジラが戦後の日米関係の象徴であると同時に日本の戦争と戦後の象徴でもあると論じ、ゴジラ表象の社会的・文化的意味を深く掘り下げている。

 『シン・ゴジラ』の制作・上映以降のゴジラに関する研究は、『ユリイカ』2016年12月臨時増刊号の総特集「『シン・ゴジラ』とはなにか」、藤田直哉の『シン・ゴジラ論』(2017)、小野俊太郎の『新ゴジラ論』(2017)など、めざましく進んでいる。

 しかし、日米両国におけるゴジラ映画の分析は、ほとんどが日本の地政学的文脈で行われたものであり、アメリカの文脈ではあまり行われていないのが現状である。ゴジラ映画がなぜこれほどアメリカで受容され、流通し消費され、半世紀以上も繰り返し制作されてきたのかについて探求した研究は、残念ながら非常に少ない。

 ましてやアメリカではGodzillaが2億ドル以上の売り上げを獲得したにもかかわらず、日本で大ヒットした『シン・ゴジラ』が非常に限定された劇場で、しかも短期間しか上映されず、わずか100分の1の約190万ドルしか売上げを獲得できなかった理由を、探求する糸口となるものは見つかっていない。

 本書は、編者の2014年から2015年の米国コロンビア大学での学外研究中にアメリカのゴジラ研究者とアメリカでの受容について交わした議論を基に、立命館大学国際関係学部の研究者とともに、ゴジラ映画の日米両国における受容について考察するものである。「不気味なもの」として、またある時は「ヒーロー」として現れるゴジラ表象の正体を明らかにし、日米両国でゴジラ映画が長く受容されてきた理由を解読する手口を見つけることが本書の目的である。

 また、それは、ゴジラ映画がなぜ国境を越え、往来するトランスナショナルな存在になったのか、という問いに対する解答を模索する試みでもある。日本のポピュラー・カルチャーの先駆者であるゴジラの「下からのグローバル化」、アメリカでの「ローカル化」を経て、トランスナショナルな存在へと至る過程を紐解く糸口としたい。
                              池田淑子                       





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Last updated  2023.06.17 00:10:51
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