「ゴジラ(1956年)」のアメリカ版「怪獣王ゴジラ (GODZILLA KING OF THE MONSTERS)」のポスター
「はじめに」の冒頭部分で日米のゴジラ映画を、見てみましょう。
pi~ⅲ <はじめに>
およそ60年以上も前、核に対する強いメッセージが吹き込まれた日本のゴジラ映画は、2011年3月の東日本大震災(3.11)による福島第一原子力発電所の事故以降、国の内外で再評価が始まった。 なかでもアメリカでの反響は非常に早いものだった。2012年1月、初代『ゴジラ』(1954)に英語の字幕が付けられたオリジナル版が、そのアメリカ版であるGodzilla, King of the Monsters!(1956)とともに、2枚組DVDの形でクライテリオンコレクション(The Criterion Collection)から発売され、さらに、2014年には、初代ゴジラ映画のリブート版Godzillaが制作され、世界中で大ヒットを収めた。
このように、アメリカにおけるゴジラ映画の需要は、日本よりも進んでいる。チョン・ノリエガ(Chon Noriega)の論文「ゴジラと日本の悪夢」(“Godzilla and the Japanese Nightmare”1987年にアメリカで刊行)など、研究もかなり早くから行われてきた。一方、日本でゴジラ映画に関する学術書が現れたのは、1990年代後半になってからのことである。