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2023.08.02
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『暁の宇品』という本を、待つこと5ヶ月ほどでゲットしたのです。
今でも日本近海や太平洋の海底に沈んでいる輸送船の数々・・・米軍の攻撃を受けて沈んだのであるが、そこには皇軍の兵站軽視という問題があったわけで、ここが大使の関心を引くのです。





堀川恵子著、講談社、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
日清戦争、上海事変、ガダルカナル、そして8・6-。日本の「海の戦争」を支えた輸送基地=宇品港の三人の司令官と、軍都・広島が背負った「宿命」。日本軍事史上の最重要問題に光を当てる傑作。

<読む前の大使寸評>
今でも日本近海や太平洋の海底に沈んでいる輸送船の数々・・・米軍の攻撃を受けて沈んだのであるが、そこには皇軍の兵站軽視という問題があったわけで、ここが大使の関心を引くのです。

<図書館予約:(12/14予約、副本6、予約61)>

rakuten 暁の宇品



「第9章 船乗りたちの挽歌」で、ガ島攻略時の兵站が語られているので、見てみましょう。
p256~260
<地図にない島ガダルカナル>
 しかしラバウル基地に、次の攻撃をあきらめるという選択肢などない。司令部は「軍の面目どこにあらんかと意気込みすさまじいものがあった」と篠原が書くように、全参謀が全力を傾注して輸送船団突入作戦に向かった。

 とにかく長距離を高速で駆けることのできる輸送船で一気に洋上を進み、海軍の護衛を受けながら夜間にガ島に突入、敵機が活動を始める日の出前になるべく短時間で揚陸を終えて基地に引き返すという一気呵成の計画が立てられた。

 最新の大型輸送船が各地での任務を中断し、遠くラバウル基地へと集められた。一万総トンクラスの笹子丸、崎戸丸、佐渡丸、九州丸。四隻は日本陸軍虎の子の優秀船だ。さらに海軍からも同クラスの吾妻山丸、南海丸の二隻が加わった。六隻すべてに船舶高射砲連隊を搭乗させ、出来る限りの防空態勢をとった。

 元船舶参謀の松原茂生は戦後、ガ島戦をふりかえる中で、この典型的な強襲上陸作戦にもっとも適した舟艇母艦MTをなぜ投入しなかったのだろうかといぶかしんでいる。しかし、MTは二月のジャワ上陸作戦の最中に日本海軍の魚雷の誤射を受けて大破。サルベージもされず、このときはまだジャワ沖で横腹を海面に出していた。MTを巡る日本軍の失態はどこか示唆的である。

 第二陣の川口支隊の敗退からすでに1ヶ月、アメリカ軍は日本軍の目を盗むようにしてガ島に続々と輸送船を送り込んで兵力を増強させていた。実は日本海軍は何度か、現場付近でアメリカ軍の輸送船団を確認しているのだが、艦船ではないという理由から攻撃を見送っている。海軍は「ミッドウェイの報復」として戦艦とくに空母への攻撃を最優先し、輸送船を軽視した。
 ともあれこの時点で、両軍の戦力は拮抗していた。

<輸送船団、壊滅す>
 安全な司令部で作戦を立案する参謀群。片や敵機が待ち構える孤島に生身で突入させられる船員たち。両者の目に映る風景は当然、大きく異なる。ここからは後者の目線から作戦の現場を辿る。

 10月12日、兵隊と軍需品、糧秣を満杯に搭載した6隻の輸送船団はラバウルを出発、ガ島への中間点にあたるショートランド島を経由し、全速でガ島北岸タサファロングを目指した。司令部から渡された地図は藁半紙にガリ版で刷られた簡単な海図1枚だけで、後は船長の腕頼みである。
(中略)
 22時、6隻は予定どおりタサファロング沖に到着。全船が砂浜に沿って一列横隊に投錨するのを見届けて、護衛の海軍艦艇は引き揚げていった。
 闇夜の中を甲板のウィンチが動き出し、いっせいに積載物の揚陸が始まった。大小発が続々と海面に下ろされると同時に、舷側では船倉深くに詰め込まれていた上陸部隊が縄梯子を伝って大発に移乗していく。船舶砲兵たちは敵襲を警戒して上空を見上げるも、南国の空には南十字星が静かに輝くばかりである。

 軍需品の揚陸には船舶兵のみならず、船員たちも総出で参加した。しかし何時間たっても作業はいっこうに終わる気配がない。そもそも1万総トンクラスの大型輸送船に満載した重量物を、揚陸設備のない浜辺に数時間で下ろせるはずがなかった。
 南の島の夜明けは早い。午前4時前には水平線が白々としてきた。灰色だった海が少しずつ色を取り戻しはじめたころ、山のむこうから敵機の大編隊が姿を現す。朝のすがすがしい空気はたちどころに破られた。

 前日までのルンガ飛行場への攻撃は、確かにアメリカ軍に大損害を与えた。しかしアメリカ軍は密かに二本目の滑走路をつくっていて、そこから辛うじて生き残った戦闘機が飛びたった。加えてガ島から800キロ離れたアメリカ軍の後方拠点エスプリッツサント島からも援軍が駆けつけ爆撃機による連合編隊を作った。天王山の戦闘にアメリカ軍もまた必死の態勢を組んだ。
(中略)
 船団の上空では日本海軍の零戦が述べ110機態勢で護衛にあたったと記録にはある。だが主力部隊がラバウルからで、1機あたりわずか5分から15分の護衛ではどうにもならない。
 洋上では20ノットの校則を誇る優秀船も、投錨してしまえば一寸たりとも身動きができない。最初にねらわれたのは、宇品が育成してきた船舶高射砲連隊だ。まずは砲座が狙われ、そこに集中的な猛射が降り注いだ。爆弾が命中して破裂するたび船橋が吹き飛び、火柱が上がり、船体はズタズタに引き裂かれていく。
(中略)
 飛行機の編隊に狙われた船のど無力なものはない。それはもはや戦ではなく、ただ一方的にやられるだけ。船内はあっという間に地獄絵図が広がった。

この際、ロシア・中国・北朝鮮からの脅威について 『日本人が知るべき東アジアの地政学』 で学び直しておこうと思うわけです。

『暁の宇品』4 :ガ島攻略時の兵站
『暁の宇品』3 :上海近くでの敵前上陸
『暁の宇品』2 :陸軍兵站の近代化
『暁の宇品』1 :陸軍の操船





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Last updated  2023.08.02 00:16:07
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