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2023.11.07
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カテゴリ: 映画
図書館で『こんな雨の日に』という本を、手にしたのです。
めくってみると、カトリーヌ・ドヌーブさんを主役にして映画を撮る記録となっていて、私向きの本になっているのでおます♪




是枝裕和著、文藝春秋、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
映画コンテ、自身が撮影した写真、撮影の記録とともに、是枝監督自身が映画について、現在の想いを綴るー
【目次】
『こんな雨の日に』から『真実のカトリーヌ』へ/伴走ープロデューサー 福間美由紀/グラビア/『真実のカトリーヌ』から『真実』へ

<読む前の大使寸評>
めくってみると、カトリーヌ・ドヌーブさんを主役にして映画を撮る記録となっていて、私向きの本になっているのでおます♪

rakuten こんな雨の日に


パリで行われた制作費前貸制度受験のあたりを見てみましょう。
p151~154
<伴走:プロデューサー福間美由紀>
 本作が受けたのは、選択助成ののなかの制作費前貸制度(Àvance sur Recettes)である。フランス映画もしくはフランス寄りの合作が対象となる。この制度だけで年間約35億円が拠出され、1本あたりの助成金額も大きい。選考は2段階。第1段階の脚本・書類審査では、40~50本の応募企画の中から20本程度が残される。第2段階の面接試験では、審査委員会によって5、6本が最終的に選ばれる。その面接試験を2018年6月28日パリで受けた。当日の風景を思い出す。

・・・朝。監督、ミュリエル、マチルド、通訳のレア・ル・ディナムさんと16区リューベック通りのCNCに到着。翌週に14区のラスパイユ通りへ大がかりな引っ越しが決まっていると館内スタッフに教えられる。待合室前の廊下に2009年カンヌのポスターが貼られているのが目に入った。『空気人形』のときですね、と監督に話しかけたが、「ですねぇ」とさすがに本番前の集中と緊張の背中。面接審査の部屋に通されると、部屋の奥には委員会メンバーがUの字に並んで座っていた。

 映画プロデューサー3名、監督2名、脚本家1名、編集技師1名、映画雑誌編集者1名、映画ジャーナリスト1名の総勢9名。CNCは文化省直属? の機関だが、審査するのは役人ではなく映画人なのだ。持ち時間は15分。委員会メンバーに向けて監督がプレゼンテーションしていく。なぜフランスで? なぜこの2人の女優を? なぜ家族の物語を? 言語の壁をどうやって超えていく? 前日のリハーサルらしきものをふまえながら一通り説明し、矢継ぎ早の質問に対して監督が当意即妙に答えていく。

 たとえば、脚本リライトのエピソードを聞かれて、家族の寝室事情における日仏文化のギャップについて、「フランスでは親子は川の字で寝ないし、ましてや家族のつつましい幸せの風景とは思われないとスタッフミーティングで言われた。むしろ6歳の子どもがひとりで寝ないなんて心に欠陥があるの? 夫婦2人が同じベッドで寝ないの? えっ危機なの? と違和感を持たれた」など、ユーモアを交えて話したときはどっと笑いも起きた。

 資金調達状況についてはプロデューサーが話した。こうしたプロフェッショナルな審査基準による口頭のプレゼンを経て、晴れて企画が選ばれる仕組みは、書類審査のみの日本の文化庁の制作助成とは異なるが、より透明性があって健全にも思えた。翌日、イーサンと皆で飲茶を囲んでいるときに朗報が届き、胸をなでおろした。

 話をプロダクションの進捗に戻そう。仏訳版プロットを、2016年4月下旬にビノシェさんに送った。「ドヌーブさんとは最近アフリカでチャリティイベントに一緒に出席して素敵な出会いだったわ、イーサンとは1週間前にskypeで話したばかりで、なんと世界は小さいんでしょう!」と驚かれた。物語を描き始めたそばから、劇中家族が現実にも接点を持ちシンクロし始めていたとは、これも映画のマジックだ。
(中略)
 2017年4月初旬、『海よりもまだ深く』のプロモーションでパリへ。Bel Àmi(ベラミ)でドヌーブさんと面談した。ドヌーブさんは是枝作品だけでなく日本やアジアの映画も頻繁に劇場で観ているほどの筋金入りのシネフィルだ。成瀬巳喜男の『浮雲』は大好き、と微笑まれたとき、いよいよ監督と相性が良さそうだなとうかがえた。

 9月、パリ郊外で主人公の家のシナハンを行った。「ホームドラマは家で決まる」と監督は常々言う。紅葉する庭があること、『サンセット大通り』のような時代に完全に取り残された大女優とは違って、仕事も人生も晩年ながら現役感のある女優の主がイメージされること、代々家族が過ごしてきた時間が感じられることを重視した。


『こんな雨の日に』2 :映画撮影の続き
『こんな雨の日に』1 :2018.8.23





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Last updated  2023.11.07 00:02:27
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