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御嶽山(おんたけさん)の噴火から27日で1カ月。行方不明になったままの三重県鈴鹿市の介護士、伊藤亮介さんは25日、妻の里絵さんと16年目の結婚記念日を迎えるはずだった。
2人の娘とともにユニバーサル・スタジオ・ジャパンに通った仲良し家族。
記念日も一家で外出する計画だった。
「3人で頑張るから、ずっと見守ってね」。いつか娘たちと山頂に登りたいと思っている。
2人が出会ったのは、地元にある鈴鹿サーキットの宴会場だった。
アルバイト仲間で、里絵さんが20歳のときに結婚した。
温和な性格だったという亮介さん。
里絵さんには結婚以来、けんかをした記憶がほとんどない。
思春期の長女や次女とも仲が良く、休みが合うたび一緒に旅行に出かけた。
年間パスを購入していたユニバーサル・スタジオ・ジャパンには家族で何度も足を運んだ。
家族のだんらんで亮介さんは「幸せやな」とよく口にした。
25日の結婚記念日の前日は夫婦で、土曜日の当日は一家で外出する計画を立てていた。
アウトドア派だった亮介さんが、本格的に登山を始めたのは3、4年前からだった。
以来、毎週のように近所の伊吹山や御在所岳(ございしょだけ)に足を運ぶようになった。
噴火が起きた先月27日は、未明に家を出て1人で御嶽山に向かっていた。
知人から噴火の知らせを聞いた里絵さんは、何度も夫の携帯電話を鳴らしたが、応答はなかった。
すぐに向かった現地では、犠牲者がヘリなどで続々と運ばれていた。
亮介さんの姿はない。「きっとどこかで生きている」。祈るように自分に言い聞かせたが、高地ならではの厳しい気象条件に左右され、捜索はたびたび中断、時間だけがむなしく過ぎていった。
捜索打ち切りが決まった今月16日、里絵さんと2人の娘は、自衛隊のヘリで上空から捜索現場を見た。
「いっぱいパパに話しかけてね」。
娘たちにそう声をかけてヘリに。
灰と雪に埋まった山頂を目の当たりにして、「亮君、ありがとう」。
涙とともに感謝の気持ちがあふれ出た。
虫が嫌い、登るのがつらい…。
そんな理由で、里絵さんは亮介さんの登山に付き合わなかった。
今、何年先になるか分からないが、御嶽山だけは、娘たちと頂上まで登ってみたいと思っている。
今も夫がいるはずのあの山に。
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