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「住み心地のいい離れの一軒家で一人暮らしを続ける 北川春子39歳 。母屋に越してきた、夫を亡くしたばかりの 63歳、青木ゆかり 。裏手の家に暮らす、今どきの新婚 25歳、遠藤沙希 。年代も性格もまったく異なる3人の出会いかはじまった、あたたかく、どこか嚙み合わないご近所付き合い、その行方は」 なんか、これで、この作品のすべてが言い尽くされている気がしますが、ちょっと説明すると、 北川春子さん の住んでいる借家の新しい大家さんが 青木ゆかりさん で、 遠藤沙希さん が、同じ敷地にもう一軒ある 黄色い家 に住む、 大家さんの甥っ子のお嫁さん です。
大家さんのお葬式のときにいちばん泣いていた人だ。 小説は 春子さん を視点人物して描かれている、所謂、 三人称小説 です。だから、登場するのは、あまり人付き合いのない 彼女の友人 、住居のある町周辺とそこに 住む人たち 、 彼女 が一度だけ帰る 実家の両親 、勤め先の 同僚 だけです。とりわけ驚くような事件も起きません、あるようなないような日常があるだけです。だから、お嫌いでなければどんどん読めます。読んでいて、時々、出会う
と、春子は、すぐにわかった。
和装の喪服に髪もまとめていたあのときと、オレンジ色のブラウスにウェーブのかかった髪が肩まで下りている今とでは、かなり印象が違うが、ドアを開けた途端に、あ、あの人、と葬儀の光景が思い浮かんだのだった。
見た目からすると、五十代半ばというところだろうか、と春子はは推測した。その人は、玄関先に立ったまま、途切れることなく話し続けている。春子が一言答えれば、十倍くらい返ってくる。
「わたしもね、一人暮らしなのよ。だからね、お互いにね、助け合いましょうよ。心強いわぁ。春子さんは、もうここに住んでながいのよね?」
「五年、あ、六年です。」
「で、どうするの?」 という出来事は、おそらくどなたにも覚えのありそうな、それでいて忘れてしまっている、世間や、職場や、家族との軋轢や和解です。
「ふつうにやってたらいいやん。」 まあ、そういう 「ふつう」 という言葉が、それぞれの 存在 を自由から遠ざけていることにうすうす気づきながらも、ふつうの暮らしをしているという安心感で生活している、あの、 「ふつう」 です。
「ふつう、こう考えるで。」
「女性なら、ふつう・・・」
肯定していく作家の文体! は見事だと思いました。
見上げると窓ガラス越しにカーテンの亜麻色がある。ここに引っ越したときからだから、そろそろ買い替えようか。今度はもう少し明るい色がいい。そう、黄色か黄緑の日差しが透けて見える記事のを買いに行こう、と春子は思った。(P336) 柴崎友香 が描こうとしている 「光」 が、作家自身の 小説世界における立ち位置 と 人間に対する態度 を感じさせて、共感しました。とてもいい作品でしたよ。
追記
ところで、このブログをご覧いただいた皆様で 楽天ID
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