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良いねえ。わたしも茨木のり子大好きです。詩集とか対談集とかもある。他には石垣りん。でもこの詩は知らない。しみじみ心を打つ詩ですね。わたしも今回の原因不明の脳病になって初めて具体的に寂しいとか死とかを感じています。そして今やっと95歳で亡くなった父の孤独や、好きではなかった義母の寂しさなんかを思い出しています。今ならもっと寄り添えたと思うし、もっとそばに居てどんな話でもそう言っている心を思いやれたやろにと思います。 お調子者の シマクマくん ですが、
「そうか、石垣りんか。」と思いついて、退院後初めて行った 市民図書館 で、どうせならという気持ちで 石垣りん の最初の詩集 「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」(童話屋) を借り出して読み始めました。
あとがき これが、 小卒 で銀行の事務員さんとして働いてきた女性が、戦中から戦後の社会を、家族の生活を支える働き手として暮らし、その生活の中で書きためた詩を世間に差し出し、 詩人石垣りん になった始まりの挨拶です。 39歳 です。
今度あることからたくさんの人のお世話になって、通常なら風呂敷か鰹節のひとつもくばって祝いとするところなのですが、何かこう、私に似つかわしい気持のあらわしかたはないものか、と自分の内面をのぞいてあれこれ物色したのですが、貧しい台所で、ご馳走したくてもわずかに書きためた詩稿があるばかり。
長いあいだ生きてきて、たくわえらしいものはただのこれだけだつたのか、と思い知らされました。
でもまあこれで、ひとつひとつの膳部をそろえて見よう、とそんなこころづもりで編集にとりかかつてはみましたものの、読み返してみると、鮮度の落ちた魚や野菜を人にすすめるような申し訳なさが先に立ちます。
けれど友だちは、そんな私をはげまして、喜んで受け取つてくれるかも知れないのです。
いい気な話ですが、私はそうしてくばるのに必要な部数を、もうすこしふやして刷りました。
機関誌などを通じて間接に知ってもらうことの出来た、働く仲間の誰かが、貴重な労賃をさいて私の詩集のために支払ってくれるかもしれないからです。私はそのかたに前もつてここでお礼を申し上げ、ここに書かれたものの中のどれかひとつでも、そのかたの心にとどまることができればしあわせだと思つております。
一九五九年九月 石垣りん
ここに書かれたものの中のどれかひとつでも、そのかたの心にとどまることができればしあわせだ に、ハッとさせられますね。お読みになればおわかりだと思いますが、 彼女の詩 を支えているのは 生活者の倫理 です。働いて暮らす、貧しい親兄弟、家族を支える。小学校を卒業して、以来、40年間、働きづつけた 彼女 の 「ことば」 を育てたのは、日々の 「労働」 以外のなにものでもありません。 「労働」 として 商品化された日々の生活 が 詩人の論理 を育て、 詩人の誇り高い思想 を産んだのです。
原子童話 石垣りん 戦中から戦後の社会を 「働く女性」 として生きた詩人の心の底あった平和への思いが、70数年後の今、異様なリアリティを持って響いてくる詩ですね。 「原子童話」 とアイロニーを込めて題した詩の、当時、 20代の女性のことば を嚙みしめなおす時がやってきている気がする昨今ですが、いかがでしょう。
戦闘開始
二つの国から飛び立った飛行機は
同時刻に敵国上へ原子爆弾を落としました
二つの国は壊滅しました
生き残った者は世界中に
二機の乗組員だけになりました
彼らがどんなにかなしく
またむつまじく暮らしたか―
それは、ひょっとすると
新しい神話になるかもしれません。(一九四九・九)
追記
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