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今日は 柴崎友香
の 「フルタイムライフ」(河出文庫)
の 案内
です。出版されたのが 2005年
ですから、今では、もう、 20年前の作品
です。最初は 「ウツ、」
という題名で雑誌に掲載されたようですが、単行本、文庫本の題名は 「フルタイムライフ」
です。
語り手 は 喜多川春子 、この春、美術系の大学を出てこの会社に就職した新入社員です。五月
書類を細かく切り刻むシュレッダーは、どういう仕組みになっているのかはわからないけれど、一度にたくさんの紙を入れることができない。ホッチキスの針もいちいち外さなければならない。一つぐらい針がついたままでも、何の異常もないように飲み込んでしまうけれど、シュレッダーの刃が欠けて傷みが早くなるらしい。普通のコピー用紙なら多くて十枚ぐらいがこの機械の限界で、それ以上だとがこがこっと大きな音を立てて動きが止まり、入れた書類は途中まで切れ目が入った状態で逆向きに吐き出される。このシュレッダーは、細切りではなくて一センチメートルくらいの正方形に裁断するタイプで、途中で戻ってきた紙は三分の一ぐらいが一センチ幅に切り目が入れられていて、そのぴらぴらした形は七夕の飾りみたいに見える。「喜多川さん、まだシュレッダーしてんの?わ、スゴイ量やな」(P7)
なんというか、たとえば雨降りのときに、「晴れている状態が正しい」とは決して言わずにちゃんと雨に濡れて、水たまりをじっと見つめながら、空の動きを想像している。という、実に卓抜な評言を記していますが、デザインを勉強していた女性が、さしたる当てもなく入社した機械部品の製造会社で、新入社員として暮らす一年間を 「雨に濡れ」 ながら 「水たまり」 を見つめ、遠くの 「空」 の様子を見上げては、語り続けるお話です。
「ハッ」させる、間合いがありますが、これが、ボクの好きな 柴崎友香 の 本領 だと思います。
やっぱり、 傑作 ですね(笑)。
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