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2021.06.27
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『食べる世界地図』という本を、手にしたのです。
この本の腰巻にある、UK「食の紀行」部門グランプリ受賞!というコピーにキャッチされたのです。





ミーナ・ホランド著、エクスナレッジ、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
世界の39の国と地域の料理と、その後ろに隠された歴史と文化。南インドのココナッツ・フィッシュカレー、刺激的なペルーのセビチェ、中東の茄子のペースト、デンマークのドリーム・ケーキ…。名前だけでも食欲を刺激する料理の数々に、塩漬けタラや唐辛子といった多くの国に共通する食材の秘密、移民がもたらす影響と変化。地理と歴史が複雑に絡み合う食文化の世界を読みとく、極上の食辞典。初心者にも作れる、それぞれの地域のレシピも掲載!
グルマン世界料理本大賞2015 UK「食の紀行」部門グランプリ受賞!

<読む前の大使寸評>
この本の腰巻にある、UK「食の紀行」部門グランプリ受賞!というコピーにキャッチされたのです。

heibonsha 食べる世界地図


世界の39ヶ国のうち、まず日本料理を、見てみましょう。
p313~318
<日本:「花より団子」>
 うっすらとしたピンク色の枝が雲のように空を覆う、京都の桜並木・・・まさに日本的な風景だ。浮世絵から村上春樹の小説『ノルウェイの森』の映画版マデ、アート作品や映画ではおなじみの景色である。西洋人が日本に対して抱くイメージも、同じように美しい。人々の社会習慣から家電製品、アニメ、寿司などの食べ物にいたるまで、どれも複雑で、しかも繊細に見える。

 実際、寿司ほど繊細な食べ物はない。同じ大きさの巻き寿司が白黒の兵隊のように並び、握りが次々と出てくる店に思わず足が向いてしまうのは、寿司がおいしいからだけではない。これほどまでにみごとな食べ物は見たことがないからだ。

 外科手術のような正確な職人の手さばき、小さな輝く宝石のようなイクラやとびこ(トビウオの卵)。
そうした寿司を食べるための箸、がり、鼻にツンとくる山葵(わさび)・・・まさに魅惑の世界だ。

 イギリス人が普段、エキゾティックな料理だと思って食べているものは、たいていの場合、実際には慣れ親しんだ調理法や食材が使われている。肉、豆類、野菜の煮込み料理などは、スペインからインドまで基本的には同じで、調味料だけ違ったり、食材が地元産のものに置き換わっているだけだったりする。

 ところが、寿司は西洋の料理とはまったく別の、斬新な食べ物だ。たしかに、米、魚、野菜など、おなじみの食材を使っているが、それらが組み合わさると、私たち西洋人の常識はたちまち履される。生の魚? 乾燥させた海藻で包んだ米?

 いまでこそ世界じゅうに広まっているが、寿司はあいかわらず謎に包まれている。そもそも、どれだけの人間が寿司の作り方を知っているのだろう。板前になるための修業には十数年もかかり、寿司の世界で生きていこうとすれば、文字どおりその道に一生を捧げなければならない。

 そのあたりの事情については、2011年に公開された映画『二郎は鮨の夢を見る』で触れている。東京の伝説的な寿司店<すきやばし次郎>と、その80代の店主を追ったドキュメンタリー映画だ。そのなかで、エビの卸業者の言葉が紹介されている。「<次郎>みたいな店で働くといううことは、人生と引き換えにする価値がある」

 どこの国でも、料理の慣習や伝統を作り上げるのは、食材そのものと同じくらい、それらをいかに供するかにかかっている。西洋では、日本の食べ物は高級だと相場が決まっているが、それは食べる芸術品としてのイメージがひとり歩きしてきたせいだ。だが、冒頭で紹介したことわざのように、庶民が食べている日本料理のほとんどは、見た目よりも大衆的だ。まさしく「花より団子」なのだ。

 斬新で、海外にも専門店の多い寿司は、たいていの西洋人が真っ先に思い浮かべる日本料理だろう。ところが実際には、日本人はめったに寿司を食べない。日本を訪れる機会があれば、日本人が日ごろ食べているのは米や麺だとわかるだろう。伝統的な和食は“一汁三菜”、つまり汁物、白米、そして3種類の副菜で構成される。

 150年前までは、仏教の教えによって、四つ足動物の肉を食べることは禁じられていたため、日本人は季節の野菜や、島国ならではの豊富な魚介類をさまざまに工夫して食べていた。最近では西洋の科学者がそうした食生活に着目し、その結果、健康のためには上質の肉を少しだけ食べるのがよいと提唱されるようになった。日本人も肉を食べるが、毎日ではない。西洋にくらべて肉に重きを置いていないことは、テーブルセッティングにも表れている。食卓につくと、目の前には箸、その近くに汁物のお碗とご飯茶碗。肉や魚はその奥だ。

 肉が禁じられていたことを考えれば、同じアジアの中国、タイ、インドなどにくらべて、日本料理にバリエーションが少ないのも納得できる。肉を使わなければ、スパイスの量も種類もあまり必用ない。日本料理の香辛料は、比較的限られている・・・生姜、少しばかりの唐辛子、柚子、みりん、山葵(わさび)、いまではすっかり日本に定着しているカレーも、19世紀後半になって、イギリスから伝わったものだ。といっても、入念にスパイスを調合して作るインドカレーとは違って、日本のカレーはたいてい市販のルーをもとに作られ、ライスかうどんにかけて、あるいはパンに詰めて食べる。

 牛は昔から耕作用だったため、乳製品もそれほど種類は多くない。日本の食卓には19世紀になるまで肉、バター、チーズはほとんど登場せず、それ以降も、あまり大きな変化は見られない。料理には植物油、ヒマワリ油、ゴマ油などが使われる。植物油とヒマワリ油はてんぷらなどのフライに、ゴマ油は炒めたり焼いたりするときに使われることが多い。お好み焼きもゴマ油で作るとおいしい。
(中略)

 ロンドン初のうどん専門店<こや>の料理長、山崎純哉によれば、いまや出汁(だし)は世界じゅうのシェフに使われているが、いまでも「日本料理の基本であることに変わりない。たとえば、麺で店を区別することは難しい。というのも、どの店でもほとんど変わらないから。でも、出汁は店によって違う」。<こや>の出汁は鰹節だけでとり、昆布もしいたけも野菜もいっさい加えない。シンプルだが、魚の風味がじゅうぶんに生かされたつゆだ。よい出汁は“芸術”だという山崎の言葉にもうなずける。

 麺は忙しい現代人の強い味方でもある。何しろ、日本の食事には欠かせない汁物も一緒に摂ることができるのだ。麺料理には熱いものと冷たいもの、そして冷たい麺を熱いつゆにつけて食べるスタイルがある。つゆには鴨、エビ、わかめ、キノコなどが入っている。立ったまますすってもよいし、テイクアウトもできる。いわば日本のファストフードだ。



うどん【こや/KOYA】出汁が香る讃岐風うどんをSOHOで頂く より





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Last updated  2021.06.27 00:37:14
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